最新の食品業界ニュースから気になった話題を定期的にピックアップし、食品衛生管理のプロの目線からコメントさせていただきます。
今回は、ここ数日連続しているノロウイルスの集団食中毒についてお話していきます。

本日の時事食品ニュース

 

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。


FNNプライムオンライン

各地でノロウイルスの集団食中毒が連続発生

先日、有毒植物の連続食中毒が起きている、というお話をしました。

で、その少し前にはウェルシュ菌による連続食中毒が起きている、というお話もさせていただきました。

そして、今度はノロウイルスです。
そう、ノロウイルスの集団食中毒も、実はこのところ連発しているのです。

まず、最も大規模であったのは、先日発生した愛知県でのものでしょう。
工場の食堂で従事者が発症し、それがその食堂で食事をした工場作業者に広がった、というもの。
下手すれば三桁に届きかねない、集団食中毒でした。

愛知県高浜市の豊田自動織機・高浜工場の食堂で、95人が食中毒の症状を訴え、ノロウイルスが検出されました。(略)

保健所の調査によりますと、今月19日または20日に、この食堂で、若鶏の煮込みプロバンス風、台湾風鶏唐揚、印度風牛ひき肉のキーマカレーなどの昼食メニューを食べた従業員ら約1500人のうち、男性88人、女性7人の計95人が、下痢や嘔吐などの症状を訴えました。
全員が快方に向かっているということです。


FNNプライムオンライン

とはいえ、どうして今回これを扱ったかというと、実はこの4月に入ってにも関わらず冬季以上にノロウイルスの食中毒がやたらと連発しているからです。

報道例をあげるほうが早いでしょう。
まず上の報道は4月19日のことですが、ほぼ同日に千葉県船橋市の保育園でも集団ノロウイルス食中毒が発生しています。
尤もこちらはもう少し規模が小さく患者数37人ですが。

そうかと思えば、この日には北海道千歳市の保育園でもノロウイルスの報告があがっています。
こちらはもっと大規模で、患者数69人だという。

しかも北海道はいまが旬とばかりに、ノロウイルス食中毒が連発しています。
例えば帯広市の学生寮で34人が発症。

釧路でもどうやら連発しているご様子で、今月5件目なのだとか。

また秋田でも、37人がお弁当でノロウイルスに。

一方の西方面に目を向ければ、4月上旬に三重県四日市市の結婚式場で59人の患者数がノロウイルスの食中毒報告があがっています。

で、これとほぼ同様の頃に、茨城は日立市でも特別養護老人ホームで35人がノロウイルス食中毒になっています。

さらに。
この記事を書いている今は2021年4月27日ですが、書いている間にまた新たなニュースが入ってきています。
こちらは栃木県の認定こども園で、44人がノロウイルスに。

このようにぼくが知る限り、この間の冬ってそんなに連発してたって?というくらいにノロウイルスの集団食中毒が続いているのです。
先日お話させていただいたウェルシュ菌などの食中毒連発もさることながら、しかしノロのほうがそれ以上にたて続いているのではないか、というのが食品衛生ヲチャとしての印象だったりします。

ノロウイルス食中毒は冬だけとは限らない

一般的には、ですがノロウイルスのピークといったら11月頃から3月くらいまで。
もうそろそろ終わっている、というのがこれまでの一般的なノロウイルスに対する印象でしょう。

しかしこのように、冬季に関わらず実は一年を通して起こり得るのがノロウイルス食中毒です。
とはいえ例年に比べると今年はやたら多いなという気もしますが、そこに理由は正直、存在しません。

そもそもノロウイルスが冬に多い理由はおよそ次のようなことです。

ノロウイルスが冬に多い理由
  • 低温、乾燥に強いから
  • 免疫力が低下するから
  • 夏季に比べて水を摂取しないから

 

インフルエンザなども同様ですが、まず第一に、冬場の低温・低湿度という環境はウイルスが好むものとなります。
とくに気温16℃以下、湿度40%以下ではウイルスの活性が高まり、長く生存するため、感染力が高まることになります。

しかも冬は体温も下がり、免疫力が低下しがちです。
また夏季などに比べると水の摂取量が減りがちであるため、喉などの粘膜も乾燥し、抵抗力が弱くなってしまう傾向が強い。
これらが冬にノロウイルスの食中毒が多いとされている理由です。


東京都感染症情報センター

最新のノロウイルス食中毒の事件数統計に迫る

では実際にノロウイルス食中毒の統計データはどうなっているのか。
先月末には厚生労働省から昨年データの集計結果も出されています。
そこで統計データを見ていくとしましょう。

以下は、それら厚生労働省が発表している2020年の食中毒統計をもとに、ぼくが作成したグラフです。
まずはノロウイルス食中毒の事件数から見ていくとしましょう。

実は昨2020年は、ノロウイルスの食中毒件数が非常に少ない1年でした。
どのくらい少ないかといえば、事件数、患者数ともに例年の半分かそれ以下、下手すると1/3程度だったのです。
もう少し具体的に話すと、昨2020年のノロウイルス事件数は101件。
一昨年はそれに対し、2倍以上の212件です。

他の食中毒についてもそうした傾向は強かったのですが、このように非常に少なめの1年でした。
ではどうして少なかったのでしょうか。

昨年2020年といったらコロナ禍の1年でしたね。
そのため例年にないまでに手洗いやアルコール消毒の徹底が行われた。
更に4月からの緊急事態宣言。これで外食や社員食堂、学校などでの給食の機会が大きく減った。
これらによって特に春季から夏季にかけての発生が見られなくなったのです。

では、実際にデータはどうなっているか。

実は、まだ新型コロナウイルスの騒動が始まっていなかった序盤、1月から3月はかなりの件数となっています。
冬季、1月から2月は毎年ノロウイルス食中毒のピークですからね。
しかし激減するのは3月以降。ここからの落ち込みがガックーンと下がったのです。

例年、3月というのは割と多いものです。
下手すると冬場より事件数が多い、なんてときも珍しくありません。
4月、5月になってようやく下がり始め、夏場で低水準になる、というのが普通です。

それが3月で急激に発生が抑制され、次第に減少を進めていき、そしていよいよ緊急事態宣言が始まった4月からは、さらに激減。
なんと6月、7月、8月においては0件をキープしていました。

いくら夏季はノロウイルスの発生数は少ないとはいえ、月数件程度の事件数が起こるものです。
大体10件に満たない1桁台、というのが普通でしょう。
それが0だというのだから、よっぽど手洗いなど効果が高かった、というのがこれらからもわかることでしょう。

しかし9月以降、秋にさしかかると、チラホラと発生。
ですがそれほど例年まで高まることなく12月を迎えています。
まあ、それでも例年に比べてそれほど多かったわけでもなかった、という印象なのですが。

例年に比べて、と言っても分かりづらいかもしれませんね。
では実際に、過去3年データと比べてみるとしましょう。

ほら。
一目瞭然でしょ?
2020年を示す紫線データがいかに低水準だったかが、わかると思います。

ノロウイルスの患者数最新データはどうなっているか

ところで、食中毒の「多さ」を語るには、実は二つのデータが必要です。
それは「事件数」「患者数」です。

食中毒の「多さ」の見方:食中毒の状況別分類
  • 事件数:食中毒が発生した件数
  • 患者数:食中毒になった人の数

 

「事件数」とは、食中毒が発生した件数のこと。
「患者数」とは、食中毒になった患者の数のこと。
食中毒が「多い・少ない」、「増えた・減った」というのは、これら双方を合わせることで判断されるもの。
どちらかのデータが欠けていても語れません。

というわけで、次は昨年2020年の「患者数」データを見たいと思います。
はい、こちら。

ほぼ同じような推移ですね。
やはり1月から3月は高めだった。
しかしそれが3月以降、ガクンと減少。
5月に一旦どんと高まったものの、11月までそれが目立って上昇することもない。
で、12月になってシーズンを迎え、高まりが見られた。
とはいえ、こちらも例年に比べればそれほど高水準ではありませんでした。
まあ、事件数が少ないのですから当然です。

はい、「例年に比べて」といっても判らないですよね。
なのでこちらも過去3年データと見比べてみましょう。

ほら。
コロナ以前の1月、2月は、やもすれば過去同月よりも患者数が高かったんです。
それが3月でこちらも、ガックーン落ちてる。
そしてそのままそれが維持され、12月に至る、といった状況です。

ちなみに。
今年のデータはまだ発表、集計されていないのですが、速報値ではかなり低めです。
まあこれに後から出された報告が加わっていくものではあるので、なんとも言えませんが。
でも、それにしたってこの4月は随分と激増し、目立ってきたな、というのが印象的でした。

まとめ

今回はノロウイルスの集団食中毒ニュースに触れながら、最近立て続いているノロウイルスの食中毒報道を紹介するとともに、昨年の統計データがどのようになっているかについて話させていただきました。

なお、昨年2020年の12月に、ここでもノロウイルスについては取り上げさせていただいています。
あわせてお読みいただくと、より理解が深まるかと思いますので、ご興味ある方は是非こちらをどうぞ。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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