最新の食品業界ニュースから気になった話題を定期的にピックアップし、食品衛生管理のプロの目線からコメントさせていただきます。
今回は、ここ数日連続している有毒植物による食中毒についてお話していきます。

本日の時事食品ニュース

 

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

毎年何件か発生する有毒植物による食中毒

春も本格的に進み、次第に暖かさがましてきています。
今日(4月21日)なんて、日中なんて暑さすら覚えるほどでしたもんね。

さて、毎年そんな頃になると決して多くはないながらも、決まって発生する食中毒があったりします。
それが、有毒植物による食中毒です。

有毒のスイセンをニラと間違えて食べた岩手県内の男性が、食中毒を起こしました。
(略)県は食用の植物かどうか判断できない場合は採ったり、食べたりしないよう注意を呼び掛けています。

本日、上のように岩手県で「スイセン」の葉を食べて食中毒になったというニュースが報じられていました。
というのも、去る4月19日、60代の男性が自宅の畑に生えていた「スイセン」を「ニラ」と間違えてインスタとラーメンに入れて食べてしまった、ということなのです。

しかもそのわずか数日前には、滋賀県でも似たようなことが起こっています。

こちらは、4月16日、滋賀県甲賀市にて70代の老夫婦が、やはり同じくニラと間違えて、炒めものとして食べてしまい、食中毒になったということ。

さらにはその数日前、こちらは福島県ですが、4月13日「ウルシ」を「コシアブラ」と間違えて食べてしまい、食中毒が発生しています。

って随分、ここ数日の間に立て続いてんなあ!

このように、山菜採りや野草摘みのシーズンを迎え、特に新芽や若葉など植物の見分けがつきにくいこの時期、4~5月はこうした有毒植物による食中毒が毎年、ぽろぽろと見られるようになります。
そこで今回は、この有毒植物による食中毒について、お話していくことにしましょう。

ちなみに。
ぼくはあくまで食品衛生の専門家であって、お医者さんでもなければ植物や野菜に詳しいわけでは全くありません。
なので、それらに関する詳しい知識は専門家の方々に譲ります。
細かく正確な知識はそうした方々を参考にしてください。
ここでは、あくまで食中毒という食品衛生に関わることにのみ、触れていくことにします。

死亡者も出る有毒植物による食中毒

日本国内での食中毒の患者数というのは、公表されているだけで年間大体1万人~2万人といったところです。
これまでも何度もお話してきましたが、これらの原因のトップというのは、ノロウイルス、ウェルシュ菌、カンピロバクターなどです。
それらに対し、今回のお話の主役である「有毒植物の食中毒」というのは、決して多くはありません。
どころかかなり少なく、下から数えたほうが寧ろ早いくらいのレベルです。

にも関わらず、毎年この頃になると発生する。
そして、何よりも。
食中毒で死にまで至る人は非常に少ないのですが、この有毒植物による食中毒は高い致死率を誇っているのが何よりも怖いところです。
事実、厚生労働省の統計を見ても、死亡例の原因物質は「自然毒」が高い割合を占めています。

例えば2019年度の食中毒統計によると、昨年の食中毒患者数は、1万3000人強。
しかしこれらの中で死亡者はたった4人でした。
そのうち、有毒植物による食中毒は2人です。つまり半分が、有毒植物です。
実際、毎年「フグ」か「キノコ」、そしてこの「有毒植物」によって、食中毒死亡者というのは出ているのです。

特にこの有毒植物による食中毒というのは地方在住の高齢者が多く、山菜と間違えたりなどして食べてしまい、死亡するという事案が多くみられるのが特徴です。

これは厚生労働省がリーフレットとして出しているものからのグラフなのですが、2015年から2019年までの「有毒植物」による食中毒の年代別患者数値を見てみると、やはり60代以上が最も高くなっています。

そして「死者数」に至っては、この通り。

このように、有毒植物の食中毒は重症化した場合、死ぬことも十分ありえるので十分に注意が必要だったりします。

どんな有毒植物で食中毒が出ているのか

ではどのような有毒植物によって食中毒が起こされているのでしょうか。

いつもお話するように、食中毒統計には2つの見方があります。
それは、食中毒の「事件数」と「患者数」です。
食中毒が多い、少ない、などという話をするとき、それら双方からの視点が必要であり、いずれのデータを欠かせても説得力を失います。
ということで、各々のデータに加えて「死亡者数」もあわせて見ていくとしましょうか。
ちなみに次からのグラフは、厚生労働省が統計した2011年から2020年までの過去10年間のデータに基づいてぼくが作ったものです。

事件数が多い有毒植物、スイセン

まずは「事件数」から見ていきましょう。

これを見ると「スイセン」が圧倒的に抜きん出ているのがわかります。
冒頭でのニュースも、スイセンが二件挙げられていました。
このように、有毒植物の中で最も事件数自体が多いのがスイセンによる食中毒です。

スイセンってどんなんだっけ、という方もいるかもしれないですね。
俺たち7人で穴を掘る。
うん、それ仙水な。

はい、冗談はこのへんに。

「仙水」ではなく、和名「水仙(スイセン)」です。
植物の「スイセン」はまだ冬寒い早春に、春の訪れを告げるように早くから花を咲かせる、野生で群生していることの多い球根植物です。
花言葉は、「神秘」。なんとも神秘的な食中毒要因植物です。

ちょっとこの葉に注目してください。
冒頭のニュースでも、葉をニラに間違えたと言っていました。
地方にもよるでしょうが、スイセンの花は早くて1月から4月くらいまで、このように咲いています。
その花がない時期に、つまりは今頃からですが、ニラやノビルなどと間違えて誤食を起こすケースが多いというわけです。

これが芽吹いたスイセンの葉です。
このように野生のスイセンが、畑の近くに生えていたら見間違うのかもしれません。

ちなみに球根をタマネギと間違えて食べてしまう、ということもあるそうです。
それはさすがにどうなんだ、とも思いますが。

ただし、家族単位での食中毒が多いため、広域に渡って発生するようなことは比較的少ないため、患者数はそこまで高まらないようです。

とはいえ、集団化することも稀にあったりします。
例えば、2016年、兵庫県のNPO施設で昼食を食べた通所者10人が食中毒に。
原因は、施設内のプランターに生えていたスイセンを中華丼の具に使ったということでした。

またこれもさらに極稀ではありますが、スイセンによる食中毒では、重症化した場合、次のように死亡者が出ることもあります。
これもまたニラと間違えて食べてのものです。

患者数が多い有毒植物:ジャガイモ

一方、患者数が最も多い有毒植物。これ、何だと思います?
実は、「ジャガイモ」なんです。

そう、あのカレーや肉じゃがやポテトチップでお馴染みの、いわゆる「ジャガイモ」、ですよ!?

そんなわけないジャガー。

はい、そう思いますよね。
ですが、事実なんですよ。見てください。

ほら。
このように、ジャガイモによる食中毒の患者数は、先の事件数でトップだったスイセンを大きく超えているのです。
これはどうしてでしょうか。

そもそもジャガイモによる食中毒は、毎年数件、全国的に発生しています。
とはいえ、プロである農家さんが栽培していたり、普通に販売されているジャガイモで食中毒になることは普通ありません。
ではどんな食中毒が多いのかといえば、小学校などの学校菜園で栽培されたものが原因となる事例が多いのです。
なんでも国立医薬品食品衛生研究所の調査によれば、ジャガイモによる食中毒の9割は学校菜園がその原因であると発表しているのです。子どもたちの作ったジャガイモで食中毒というのも、ちょっと悲しい話ですが。

ジャガイモの食中毒患者数が増えてしまうのは、このように大人数に広がりやすいからでしょう。

では、どうして学校菜園のジャガイモによる食中毒が多いのでしょうか。
それは一般的には次のようなことが理由だとされています。

学校菜園でジャガイモによる食中毒が多発する理由
  • 地表から浅いところに生育させ、さらに土寄せをしないのでジャガイモに日光が当たる
  • 収穫後に遮光保存をしない
  • 収穫したジャガイモを皮付きのまま調理し食べることが多い

 

ジャガイモによる食中毒は、ジャガイモに含まれるソラニンという物質によることが主原因です。
これは、ジャガイモが生育段階で日光を浴びることで含有量が増えることになります。
プロの農家ならそんなことはさせないのでしょうが、やはり学校菜園などとなると違ってしまうのでしょう。

死亡者が多い有毒植物:イヌサフラン

先に何度か触れたように、実は有毒植物による食中毒では時々死亡者が出ます。
そのなかでも最も死亡者が高いのが、「イヌサフラン」によるものです。

この統計からも、ここ10年で合計10人が亡くなっているのがわかるでしょう。
(あ、左端の「スイセン」での1名というのは、先にスイセンのところで紹介したニュースの件ですね)

例えば、北海道でイヌサフランをギョウジャニンニクと間違えた男性が、それをジンギスカンにして食べてしまい食中毒に。
ジンギスカンというのがいかにも北海道らしい話ですが、結果、死亡に至っています。

それ以外にも高齢者がイヌサフランを食べて死亡するという話は、年に1件くらいはあがってくるものです。
この事例ではギョウジャニンニクと間違えていましたが、他にもギボウシ、タマネギなどと間違える場合もあるようです。
これがイヌサフランの花なのですが、ちょっと下の画ではわかりませんね。芽の段階だと、なるほど、確かに似ています。
(上のニュースリンク先に比較画像があるので興味があればどうぞ)

それと、このイヌサフラン以外にも、「トリカブト」を食べて死亡する事例も時折あります。
トリカブトは「ニリンソウ」と似ているため、これと間違えることが時折あるようです。

ちなみにこれ↓がトリカブト。
食べてはいけません。花は紫色をしています。

そしてこっち↓がリニンソウ。
成程、確かに似ている。
花がないと素人目にはぱっと区別出来ないかもしれません。
ちなみにぼくは山などで単体で見つけたら、全くわからないでしょう。まあ、見つけたとして絶対に取って食べようとはしませんが。

まとめ

今回は時期的にも増加している有害植物の食中毒について、まとめてみました。

再度になりますが、ぼくの専門はあくまで食品衛生ですので、正直、植物のことについてはド素人です。
とはいえ、死亡者まで出ている有害植物の食中毒は、決して無視出来る存在ではありません。
そのため今回は食品衛生上で重要なテーマである食中毒という視点からの話をさせていただきました。
つまり、食品衛生に関わる身であるなら、一応の知識としてこのくらいまでは知っておいたほうがよろしいかな、というのが今回の記事の目的です。
参考になれば幸いです。

なお、各自治体や厚生労働省のホームページでは、市民への呼びかけのため、有害植物情報をしばしば挙げていたりします。
興味があれば、そちらを見て知見を広げてみるのもよいでしょう。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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