食品衛生のプロが、気になったメディアのニュースを紹介・解説したり、あるいは日々の衛生管理業務で起こったお話などを、さらっと簡単に触れていきます。
そんな日々の雑記帳、今日のお題は、静岡県で発生したウェルシュ菌の集団食中毒についてです。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
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日テレNEWS24

静岡県の小学校で84人がウェルシュ菌の食中毒に

簡単なニュースチェックや、日々の衛生管理の現場で起こった話をサラっとしていく、「今日の衛生管理屋の独り言」。
本日は、静岡県沼津市で発生した集団食中毒についてのニュース紹介です。

「ウエルシュ菌」を検出…集団食中毒と断定 小学校で児童ら84人に腹痛などの症状 静岡・沼津市

静岡県の沼津市立沢田小学校の児童ら84人が、下痢や腹痛など症状を訴えた問題で、静岡県は今月17日に給食の代わりに提供された仕出し弁当が原因の集団食中毒と断定し、提供した店に営業禁止命令を出しました。

まだ2月だというのに、早くも集団食中毒が発生しました。
静岡県沼津市の小学校で、給食の代わりに出された仕出し弁当を食べて84人が食中毒に。
患者らの便からウェルシュ菌が検出された、ということです。


日テレNEWS24

ウェルシュ菌とは

まず、簡単にウェルシュ菌をご紹介します。
集団食中毒になるくせに、事件数も少なく、また比較的軽症なことが多いので結構マイナーだったりしますので。

尤も、何度か解説してますので、知っている、読んだ、という方は以下は飛ばしてしまって結構です。


Wikipedia

さて、このウェルシュ菌は「芽胞」という熱に強い頑丈な菌のバリアを形成する、いわゆる「偏性嫌気性」の食中毒菌です。
「偏性嫌気性」というのは、酸素のあるところではあまり増殖しない菌のことです。
ですから、スープやカレー、煮物などの中の、酸素のないところで増殖します。
尤も少しくらい酸素があっても増殖するのがこの偏性嫌気性の厄介なところでもあったりします。

実はウェルシュ菌は、土壌や水中など、自然環境にも広く分布しています。
土壌菌ですから酸素のない土中にいますので、野菜なども汚染されています。
また人間や動物の腸内にも普通にいる菌でもあります。
というか、実はウェルシュ菌には種類が幾つかありまして、でその仲間の一部が食中毒を起こす毒素を作る悪い菌なのです。

またウェルシュ菌は、芽胞によって高熱の加工にも耐え、増加します。
これによって増加したウェルシュ菌を食べると、人間の腸内で毒素(エンテロトキシン)を作り、食中毒が発生します。

ただしウェルシュ菌の食中毒は、規模は大きいですがそれほど重症にならないことが多いです。
およそ一日程度で回復することも多いので、問題が深刻化しないこともままみられます。

どうしてウェルシュ菌の食中毒は大規模化するのか

今回食中毒となった患者は、84人。
結構な人数です。
ですが、ウェルシュ菌の食中毒は元々大規模化することが非常に多いです。
患者数が3桁に達することもザラにあります。
頻度はそれほど多くはないけれど、一回起こるとドンと患者数が増える。
それがウェルシュ菌による食中毒の特徴です。

ではどうしてこのように大規模化するのか。
これについては以前詳しく解説した記事がありますので、そちらを参考にしてみてください。
今回は簡単にのみ解説させていただきます。

まず、結果的にウェルシュ菌の食中毒の多くが、今回のように大量調理されるような給食や仕出し弁当であることが多いため、ということがあります。
何せウェルシュ菌食中毒のことを別名、「給食病」と言うくらいです。

では何故、そのような給食などで起こるのでしょうか。
ウェルシュ菌は熱に強い芽胞形成菌です。
つまり、生存に適さないような環境になると「芽胞」というバリアのような殻で自身を守ります。
これは一般的な加熱ではウェルシュ菌は殺せない、ということを意味します。

これらの料理を加熱調理し終え、熱が冷めていく段階で菌が活性化します。
他の菌もいないので、ウェルシュ菌は増え放題、となります。
しかも、ウェルシュ菌は増殖温度帯が他の菌よりも高め(43~47℃)なので、それほど冷却が進んでいない状況から増殖が出来る上、その増殖速度(世代時間)も相当に速い。
これらによって大量に調理したカレーや汁物がウェルシュ菌の食中毒要因となるため、一回での患者数が跳ね上がるのです。

季節にそれほど関係ないウェルシュ菌の食中毒

加熱すれば食中毒は防げるであろう。
逆に言えば、加熱不足だったから食中毒になったのではないか。
そういう一般的な常識を覆すのが、このウェルシュ菌による食中毒です。

それと、もう一つ。
一般的な食中毒の常識を覆す、意外なウェルシュ菌食中毒の特徴。
それは、ウェルシュ菌の食中毒というのは、他の食中毒菌に比べてそれほど季節要因の影響が受けづらい、ということです。
つまり、必ずしも夏に多い、夏に発生するわけではない、ということです。

実際、このように真冬といっていい2月にウェルシュ菌の食中毒が発生しています。
そして去年も、やはり2月に100人を超えるウェルシュ菌の食中毒が起きているのです。

実際、厚生労働省の食中毒統計データを元に、2019年のウェルシュ菌食中毒の発生状況をグラフにしてみましょう。

と、このように夏場が多いというわけではないことがわかるでしょう。
これは、先にも触れたようにそもそもウェルシュ菌の食中毒というのは発生件数自体が少ない、ということもあります。
1件と3件で比べて「多い」「少ない」をどう評価するのか、と言われてもなんともいえない、ということになりますもんね。

でも、だからといって真冬の発生件数が0になるわけではないし、だからといって夏場のほうが起こりやすいというデータが毎年繰り返されるわけでもない。

その理由として、ウェルシュ菌の食中毒というのは必ずしも常温下での食材の放置などによって起こる問題ではない、ということが考えられます。
ウェルシュ菌の食中毒要因の多くは、高温調理した食品の冷却の失敗です。
そして夏でも冬でも、厨房内での加熱食品の温度低下に極端な差が出るかといったら、そこまでもないからです。
例えば高温で煮込んだカレーが、冬だから松とは違ってすぐ鍋底の中まで温度が急激に下がった、なんてことはそこまであるものでもないでしょう。
(暖房をつけてない北海道の奥地で調理したとかいうなら話は別かもしれませんが)

それと。
食中毒の「多い」「少ない」を評価するためには、発生件数のみならず患者数というのも評価基準になります。
これについては、一発でどん!と下手すると3桁いくようなウェルシュ菌に関して、季節要因は全く関係ありません。
実際、上の2019年データにおいても、このように3月が突出しています。

…と思ったんですけど、あれれ、比較的、といったレベルなんですが、夏場のほうが多め…だよなこれ!?
しかも、さかのぼってみたら2018年も、2017年にも少しばかりその傾向が覗けるんですよ。
これはちょっとおもしろいことかもしれませんね。
今後もまた、少しばかり追ってみることにしましょう。

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