食品衛生のプロが、気になったメディアのニュースを紹介・解説したり、あるいは日々の衛生管理業務で起こったお話などを、さらっと簡単に触れていきます。
そんな日々の雑記帳、今日のお題は、「新型コロナウイルスによる食品表示基準の弾力的運用」についてです。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

新型コロナで原産地のゴマカシがチョロくなる!?

簡単なニュースチェックや、日々の衛生管理の現場で起こった話をサラっとしていく、「今日の衛生管理屋の独り言」。
本日は、「新型コロナウイルスによる食品表示基準の弾力的運用」についてです。

おっと、最初に断っておきましょう。
タイトル、ごめんなさい。
ちょっと煽りすぎです。

なので、このタイトルで、
「え!?コロナウイルスのせいだといえば、何でもかんでも中国産を国産だと表示してもOKになるの?」
などと思った方。

絶対なりません。

ならないし、「原産地のゴマカシがチョロクなる」なんていうのもありえません。
普通に考えて、なる道理も意味も、欠片もありません。

正確に言うと、「やむをえない場合においては、そうしたことが許されている」という話です。
そこで今回は、この「弾力的運用」について、お話していくことにしましょう。

食品表示基準の弾力的運用

そもそもですが、「食品表示基準の弾力的運用」ってどういうこと?と思う方も多いかもしれませんね。

実は新型コロナウイルスの広がりを受けて、昨年2020年の4月10日、消費者庁は農林水産省、厚生労働省と連名で「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について」(以下略、弾力的運用)という特例措置を出しました。
要は簡単にいうと、コロナウイルスによって原材料不足などから原材料の変更を余儀なくされた場合、ある一定条件を満たせば成分表示を変更しなくてもいいよ、というものです。

消費者庁は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が国内外の食料品のサプライチェーンに深刻な影響を及ぼしつつあることを受け、一般消費者の需要に即した食品の生産体制を確保する観点から、農林水産省及び厚生労働省と連名で、健康被害を防止することが重要なアレルギー表示や消費期限等を除き、食品表示法第4条第1項の規定に基づき定められた食品表示基準の規定を弾力的に運用する旨を、令和2年4月10日に関係機関に通知しました。
今回の運用は、食品の生産及び流通の円滑化を図るために講じるものであり、消費者を欺瞞(ぎまん)するような悪質な違反に対しては、これまでどおり厳正な取締りを行います。

では、これらを少しずつ解説していくとしましょうか。

弾力的運用の背景

かなり乱暴に言ってしまうと。
この「弾力的運用」の内容は、つまりところ新型コロナウイルスによって何らかの原料供給ができなかった場合、別の産地のものを使ったとしても食品表示の成分表示内容を変えずにそのまま販売してもいい、という話です。

…とそのまんまに言ってしまうと、タイトルの煽り通りに「ええ、マジかよ!?何それ!?」と思うかもしれませんがね。
でも、ちょっと待って、一旦ちょっと待ってください。

まずそもそもですが、これは本来、新型コロナウイルスの拡大によって、国内外の食料品のサプライチェーンに大きな影響が及んだ場合、原材料の変更をやむなくされることもあるだろう、という配慮から出されたものです。

ちょっとぼくが勝手に、消費者庁の立場になって考えてみると、こういう話です。

何かを製造する際、何らかの事情で原材料の調達ができなくなった、とします。
仕方ないのでメーカーは別のところから原材料を探し、そこから仕入れることになります。
すると原料原産地は、当然ながら変わってきますよね。
国産で調達できていたものが、中国やベトナムから仕入れるとなると、そりゃ当たり前ですが国産表示はできなくなります。

このように、一般的に原材料の供給停滞によって原材料の切り替えがやむなく生じたとき、当たり前ですが商品に対して「原料原産地」などの包装資材の表示内容の変更が必要になります。
「必要になる」、というのは、要は外注にせよ自社内にせよ、新たに印刷のやり直しと、そのための資材確保を再依頼しなければいけません。

この包装表示の変更って、実は結構手間もコストも時間もかかったりするんです。
だってすでにもう発注して出来上がっている包装資材を処分し、またイチから印字変更して作り直すことになるのですから、やもするとその対応だけで数か月の期間がかかってしまいかねません。
当然その間は生産が滞ってしまうことになります。
これが1社ならず全国あちこちで発生してしまえば、これはメーカーにとっても、また消費者にとっても大きなデメリット、どころか大きな混乱にもなりかねません。

緊急事態宣言をも出した未曽有の感染症が世界的に広がり、先も全く見えないなか、誰もどうなるかなんてわかりません。
この「段利欲的運用」が出されたのは、その真っ只中、2020年4月なんです。
思い出してください、最初の緊急事態宣言のときのことを。
スーパーの棚から様々な商品がごっそりとなくなったときのことを。
これが全国規模で起こった場合、食品流通が止まってしまっては食料不足の問題にまで発展しかねないし、国民の生活を担う責任のある行政としては断固それだけは避けたい。
であれば、食糧難などになるくらいならこのような緊急事態だ、原材料表示の祖語は少々ながら目をつぶっても致し方あるまい。

そんな消費者庁の苦渋の判断だ、ということです。
この判断は、ぼく個人的の意見としては、非難されるべき点は何らないものだと思います。

何がよくて何がダメなのか

それに、消費者庁は何でもかんでも切り替えしなくていい、なんて言っているわけでは全くありません。
当然ですが、そこには一定条件を課したうえでの措置である、と強く協調しています。

その条件とは、次の通りです。

弾力的運用のポイント
  • アレルギー表示や消費期限、摂取する際の加熱の有無、その他健康被害防止において重要なものを除く
  • 原則的な切り替え不要対象は、「食品原材料」と「添加物」のみとする
  • しかしやむをえない場合に関してのみ、「原料原産地」「製造所の所在地」「加工所の所在地」「栄養成分の量」がその対象に入る
  • その場合、店舗内告知や社告、ウェブサイトの経時などによって正しい情報を適時適切に伝達すること

 

このように、弾力的運用の対象はあくまでやむをえないとき限定のものなのだ、という強い行政意思が明確に伝わる内容になっているかと思います。
いくら新型コロナウイルスでやむを得ない状況だとしても、アレルギーや消費期限などの健康被害にダイレクトに関わる事項について変更することは許されていません。

対象となっているのはあくまで「食品原材料」「添加物」といった「品質事項」のみです。
ただし原料切り替えともなれば、実際には様々な事項が変更されることになるでしょう。
そこで、「原料原産地」「製造所の所在地」「加工所の所在地」「栄養成分の量」などについても、やむなく運用対象としてもよい、と言っています。

加えて、あくまでこれは食品の生産流通の円滑化の苦肉の策であり、これに乗じるような悪質な違反については、これまでどおりの厳正な取締りを行う、とはっきりと明言しています。

弾力的運用の問題はないのか

このように、食品の生産流通の円滑化のためのやむを得ない運用措置だというこの弾力的運用ですが、それでは問題は全くないのでしょうか。

幾つか挙げられている問題として、まずこれはいつまで続くのか、ということです。
これについて消費者庁は未だ明確な返答をしていません。
「していない」というか、これはもはや「んじゃ逆に聞くけど新型コロナウイルスの影響が食品市場に与えなくなるのはいつまでなんだ?」という話なので返答のしようがない話です。

またこれに対し、「コロナを理由にすれば国産だった原材料が輸入品になったとしても国産表示にされたら、消費者は返す言葉がないではないか」という声もあるようですが、いやそう言われても行政やメーカー側だって、返す言葉なんてないんじゃないの?とぼく自身は思います。
(ていうか、返してるやん笑)

消費者庁もこれらに関して、そもそもこの通知というのは、あくまで次のようなものである、としっかりと強調しています。

弾力的運用の通達概要
  1. 新型コロナウイルスによってあくまで即時対応ができない、という場合に限り
  2. 消費者に正しい情報を適時適切に伝達することを条件として
  3. 表示内容の齟齬について、当分取締りをしない

 

そのため、もしこの通知に便乗した悪質な違反について、あるいは2の情報伝達が適切になされていない、という場合については厳正に取り締まる、と明言しています。

このようによく見てみれば、至極まっとうな対応であるかと思います。

まとめ

今日は、消費者庁が昨年に出した「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について」についてお話しました。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

■□貴方の工場・店舗で悩んではいませんか■□
・どうやって防虫管理・衛生管理をすればいいか判らない
・今やっている防虫管理・衛生管理が正しいか判らない
・何か問題が発生したときの対応が判らない
・取引先や保健所の査察が不安だ
・でも余りコストもかけられない
だったら貴方が防虫・衛生管理のプロになればいいのです!

高薙食品衛生コンサルティング事務所にようこそ
  • 私達は、どんな工場、お店の方でも防虫管理・衛生管理のプロレベルに育成することが出来ます。
  • 何故なら、防虫管理・衛生管理のプロとは、基礎知識に加えて「正しい管理の仕組み」を作れる能力を持つ者のことだからです。
    この「管理の仕組み作り」を知るこそが、防虫管理・衛生管理のプロへの道なのです
  • そんな防虫管理・衛生管理のプロを育成し広めることで、日本の「食の安全安心」を、さらにより広く、より高くさせることが私たちの使命だと信じています
  • どうですか?
    そんな防虫管理・衛生管理のプロにあなたもなって、本当の「食の安全安心」を私達と一緒に広げていきませんか?