食いしん坊なプロの衛生管理屋が、食品衛生に無理くり絡めながら美味しいグルメや新商品を紹介&レビューするという企画モノ、「グルメ食品衛生」。
今回は、本日2021年2月15日に「一蘭」から発売された初のカップ麺「一蘭とんこつ」について、試食レビューをしながら、あわせて即席めんについてもお話していきたいと思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。


一蘭(アイキャッチ画含む)

「一蘭」が初のカップ麺を発売

突然ですけど、「一蘭」、美味いですよねえ。
ぼくの事務所の近所にもあるんですが、何だろ、飲んだらついふらっと寄っちゃう。
あーんまりよかあないんだけど、でもついね、ついついねえ。酔っちゃうと、寄っちゃう。

最近でこそ新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で営業時間が短くなって、行く機会が大きく減っているんですけど、でも白状すると、ちょっと前までは実はやってました「〆一蘭」。

で、そんな一蘭が、今回初めてのカップ麺を発売するというではないですか。

福岡に本店を置く人気とんこつラーメン専門店「一蘭」初のカップ麺「一蘭 とんこつ」が、2月15日から全国で順次発売される。一蘭店舗、一蘭公式通販、一部コンビニ・小売店などで取り扱う。
(略)

「一蘭 とんこつ」は、20年以上の歳月をかけ、カップ麺で一蘭の味を楽しめるよう開発した商品。
目安湯量は440ml、調理時間は熱湯4分。
「液体スープ」「粉スープ」「秘伝のたれ」の小袋計3袋入りで、価格は税込490円。
純粋にラーメンの味を楽しんでほしいという理由から具材は無し。
“麺・スープ・赤い秘伝のたれが作り出す美味しさに、ただひたすらに向き合える一杯”になっているという。

いやあ、もうこのこだわりようは、じっくりと上の解説ページで読んでいただきたいんですけどね。
折角なので、ちょっと引用しちゃいます。
マージーでっ!その本気が、ガチガチのガッチリな本気が、ですね。
ガツガツと伝わって来るんですよ。

まずは麺。一般的にとんこつラーメンのカップ麺では、歯応えが強調されがちです。
最初に出来上がった麺はバサバサしており粉感が非常に強いものでした。
福岡らしい麺ではあるが、決して一蘭らしくはない…。
「一蘭らしい麺とは…」と、改めて自社の麺の特長を見つめなおし、歯応えの中に潜むなめらかさ、しっとり感や麺の溶け方などを多角的に調整し、『一蘭らしい麺』の開発に成功いたしました。

次に、一蘭の真髄であるとんこつスープ。口当たりや豊かな風味の演出が重要です。
粉末だけならとんこつスープを舌で感じることができるが鼻腔に香りが残りにくい、液体だけではとんこつ特有の微細な舌触りやとろみの表現が難しい…。と、それぞれの研究を重ねた結果、最終的に「粉末も液体も、両方いれる」との決断にいたりました。
また、それらの麺やスープに絡む「秘伝のたれ」。カップ麺に合わせた秘伝のたれを開発。
一蘭では4人しかいない秘伝のたれ職人が試行錯誤を重ね、麺やスープとの相性を考慮し、このカップ麺のためだけの特別な「秘伝のたれ」の商品化に成功いたしました。

このように相当開発を重ね、ようやく満を持しての完成に至ったというこの商品。
何せ、「具、無し」、ですからね。
何その具のないカップ麺って!

いや、判ってますよ。
それこそが一蘭。
これぞ一蘭メソッド。
純粋に、ただ純粋にラーメンに向かって欲しい、向き合ってもらいたい。
そんな思いがヒシヒシと伝わってくるのが、あまりにも、一蘭らしい。

さあ、そんな一蘭初カップ麺を、今回は試食しながら「即席めん」に触れていくとしましょう。


一蘭

「一蘭とんこつ」を作ったのはエースコック

そんなわけで、発売当日の2月15日。
早速ながら近所の「一蘭」に行って、購入してきましたよ。


一蘭

カップ麺1杯、税込み490円。
うーん、さすがは価格に強気の一蘭。
あと数百円払えば普通に一蘭で食べられる、とはいえそれにはあともうワンコイン弱が必要、と考えるとこれは高いのかそれともお買い得なのか…。

まあ、何はともあれ、少しばかりチェックしてみましょう。

まず確認したいのは、「どこが製造しているか」です。
「一蘭」は飲食業であり、多量に製造できる工場を持っているわけでは当然ながらありません。
ということは、どこかの即席麺メーカーと共同開発している、ということです。

それはもう、側面の表示を見ればすぐにわかります。

「製造所:エースコック!」


エースコック

そうです、
「販売者」は勿論ながら一蘭なんですが、製造を請け負っているのは「エースコック」。
ここには「関西滝野工場」とあります。

いずれにせよこの「一蘭とんこつ」を製造したのは、「スーパーカップ」や「スーパーはるさめ」などで知られる、あのブタのマークのエースコックさんだというわけです。

少しばかり、ここで即席麺市場のお話をしておきましょう。
実を言うと、日本国内の即席麺市場を簡単に一言で言うなら、上位数社が圧倒的なシェアをほこる寡占状態です。
というか、日清と東洋水産がごっそりとシェアを握っています。

しかもそのうち、東洋水産は名前の通り、水産業などで売上をあげており、実際の即席麺事業においてはパイオニアである「日清食品」が圧倒的な一人勝ち、という状況です。
何せ2006年に、あの「明星チャルメラ」や「一平ちゃん」で知られる「明星食品」を子会社化し、今や国内シェア率は5割超えと、んまあエゲつない。

国内即席麺市場の売上シェア(2021年現在)
  1. 日清食品ホールディングス
  2. 東洋水産
  3. サンヨー食品
  4. エースコック

 

さて今回のお話は、「エースコック」。
エースコックは、確かに国内シェア4位と他の上位企業にはかなり目劣りするところがあるのも事実です。
ですが、だからこそというか、その目の付け所においてはちょっと他企業にはない面白さがあったりします。

まずは、独自のユニークな商品開発。
例えばカレー味の即席麺や、モチの入ったうどんを最初に作ったのは、実はこのエースコックだ、ともいわれています。
そして、何よりも独自の海外戦略。
これが強い。
実はエースコックはベトナムで圧倒的なシェアを誇っていたりするのです。

エースコックがベトナムに進出したのは、1995年。
ベトナム市場にあわせて味を変化させ、ベトナム語で「好き好き」という意味の「Hao Hao」という独自ブランドを主力化。
これによってベトナム市場では販売額トップの地位を確立し、その売上は日本国内をも上回る、と言われているくらいなのです。

さ、そんなエースコックさんが製造した一蘭初の即席麺を食べながら、少しばかり即席麺の世界を覗いていきましょう。


一蘭

2020年の即席麺市場は過去最高業績に

ところで実は先日、ちょっと興味深いニュースがあがっていました。
新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要の急増によって、昨2020年の即席麺市場の業績が、過去最高のものとなった、というのです。

(一社)日本即席食品工業協会(村岡寛理事長=エースコック(株)社長)はこのほど、2020年(1~12月)の即席麺総需要を取りまとめた。
出荷額ベースの総需要は前年比6.2%増の6,307億1,400万円、数量ベースでは6.1%増の59億7,434.8万食と、ともに過去最高を更新。
出荷額ベースで6,000億円台に到達した。

実はコロナ禍によって麺市場が大きく変化しました。
ここ数年、優位を占めていたのは冷凍麺だったのです。
寧ろ即席麺や、乾麺、生麺などはそれらに対し、やや低調でした。

しかし新型コロナウイルスによって、事情が大きく変わります。
象徴的だったのは、緊急事態宣言による不要不急の外出自粛によって、スーパーマーケットなどでの買い占め騒動が起こり、店頭の陳列棚から消えたことでしょう。
これらによって注目を浴びたのが、即席麺でした。

更には学校の休業やテレワークによる巣篭もり化が、家庭内での食事機会を増させた結果、さらに滑車をかけることになります。
もっとも、どちらかといえばこのようなカップ麺よりも、コストパフォーマンスの高い袋麺のほうがより注目が集まり、人気復活につながったことも触れておきます。

なお、即席めんの業界団体である「日本即席食品工業会」によると、2019年統計の段階で日本国内での「カップめん」の生産量は39億食以上、「袋めん」は15億食以上。
日本国内市場に流通している銘柄でいうと、「カップめん」の銘柄が1,315種、「袋めん」の銘柄が246種。
このように、断然「カップめん」のほうが多く生産されていることになります。


日本即席食品工業協会

即席めんとは

ちょっとここで「即席めん」について、簡単に解説しておきましょう。
あ、この「即席めん」というのは、1965年、日本農林規格(JAS規格)によって定められた呼称です。
ここでの表記は、「麺」ではなくて「めん」です。

このほかにも「インスタントラーメン」などとも呼ばれており、先の「日本即席食品工業会」ではその両方の呼称とも認めています。
というのも、2006年、CODEX (国際食品規格委員会) で「インスタントラーメン」の世界規格が成立したのです。
「CODEX STANDARD FOR INSTANT NOODELES」というものなのですが、ここでは「INSTANT NOODELES」と定められました。
ちなみにこのとき、日本のJAS規格もこのCODEXスタンダードにあわせて整合性をとり、油脂の酸価等を改訂しています。(別項参照)

さて、ちょっとその「即席めん」のJAS規格を見てるとしましょう。
ここでの規格基準は、次のように定義されています。

1 小麦粉又はそば粉を主原料とし、これに食塩又はかんすいその他めんの弾力性、粘性等を高めるもの等を加えて練り合わせた後、製めんしたもの(かんすいを用いて製めんしたもの以外のものにあっては、成分でん粉がアルファ化されているものに限る。)のうち、添付調味料を添付したもの又は調味料で味付けしたものであって、簡便な調理操作により食用に供するもの(凍結させたもの及びチルド温度帯で保存するものを除く。)

2 1にかやくを添付したもの

うーん。
この引用だけではなんだかよくわかるようでわからないですが、要は「簡単に調理できる、小麦粉(あるいはそば粉)製の麺類のこと」だということがわかります。

それと、
え、「アルファ化」?
「かんすい」?なにそれ?
…となるかもしれませんね。
これらもラーメン好きなら、ちょっと押さえておきたいポイントです。
一つ一つ解説していきましょう。

まず、「アルファ化(α化)」というのは、めっちゃ一言で言うなら、でんぷんを熱することで食べられるようにすることです。
「糊化」とも言います。
炊きたてのご飯を思い出してください。あれがアルファ化です。
生のお米は固くて、とても食べられませんよね。

だからご飯は、水と一緒に加熱します。
すると米のデンプンの分子が規則性を失ってほぐれ、糊状(α状)にネバネバとなり、消化しやすい状態となります。
これがアルファ化です。

同様に即席麺の麺の主成分もデンプンです。
だからこれを水と加熱、つまり蒸すことによって、蒸気の水分と熱でアルファ化させる、というわけです。


一蘭

「かんすい」とは?

一方、「かんすい」とは、即席めんのコシや風味を作るために使う化学的合成品のアルカリ剤、つまりは「食品添加物」です。

そもそも「かんすい」とは、古来中国で呼んでいた、ミネラルを多く含んだ井戸水のことです。
それらはアルカリ成分が小麦粉のグルテンに働くことで柔らかく弾力性のある食感を作ります。そのため2000年も前から中国では、めんやワンタン、まんじゅうの皮などの製造に使われてきました。
現在では炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムなどを原料に、その1種もしくは2種以上の混合物が「かんすい」と呼ばれ、使用されています。
またかんすいは、小麦粉のフラボノイド色素に作用することで卵黄色の色調に自然染色させる特徴があります。即席麺が若干ながら黄色みがかっているのは、そのためです。

…というこの解説の、「1種もしくは2種以上の混合物」ってあたりに、なんか堅苦しさを覚えますよね。
そう、「かんすい」は食品添加物なので、食品衛生法上においても規格基準が、そう定められてるんです。
厚生労働省の「食品、添加物等の規格基準」では、かんすいの製造基準に対し、このようにあります。

かんすい(化学的合成品に限る。)
かんすいを製造し、又は加工する場合には、それぞれの成分規格に適合する炭酸カリウム(無水)、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸類のカリウム塩又はナトリウム塩を原料とし、その1種若しくは2種以上を混合したもの又はこれらの水溶液若しくは小麦粉で希釈したものでなければならない。

即席めんの種類

即席めんの種類には、どのようなものがあるのでしょうか。

実は即席めんの分類の方法は、幾つかあります。これもJAS規格です。
まずは、先からも触れているように、容器形態です。
これによって「カップ麺」であるか「袋麺」であるか、と区分されます。

さらに、麺の処理方法からも区分がなされます。
油であげる「フライ麺」(油揚げ麺)と、油であげない「ノンフライ麺」(熱風乾燥麺)です。

フライ麺というのは、麺を140℃~160℃で数分揚げて製造します。
一方、ノンフライ麺は油であげずに80℃前後で30分以上熱風乾燥させて作ります。
これらの製造方法の違いによって、フライ麺は水分が少なく脂質が高め(つまりはカロリーが高い)になり、また逆にノンフライ麺は水分がやや多く、またフライ麺に比べて1/4程度の脂質で抑えられるようになります。
これらフライ麺、ノンフライ麺は、その状態から、まとめて「ドライタイプ」ともされています。

またそれらに対し、他にも「生タイプ麺」というのもあります。
これは蒸した麺を乳酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸などといった有機酸溶液中で処理した後に加熱殺菌することで保存性を高めているものです。

なお農林水産省の統計資料によると、全生産中、フライ麺が約90%と圧倒的であり、続いて約10%がノンフライ麺、生タイプ麺は残り1%以下という状況だとされています。
しかし最近の傾向では健康志向などからどちらかといえば、フライ麺よりもヘルシーで、なおかつ生タイプ麺よりも生麺に近い触感が期待できるノンフライ麺の人気が高まっているようです。
今回の一蘭のこれも、ノンフライ麺です。

ところで、現在生産されている即席めんの75~80%がJAS規格のものとなっています。
これらについてはJAS規格において、調理前の性状、色沢を規定した「一般状態」、調理後の香味等を規定した「食味」等として定められている他、次のような品質指標が規定されています。

即席めんの品質指標
  • ノンフライめん:水分14.5%以下
  • フライめん:酸価1.5以下
  • 生タイプめん:水素イオン濃度pH3.8以上pH4.8以下

 

「一蘭とんこつ」を食べてみる

とまあこのように即席麺の話しをしていると色々とネタも尽きないのですが(他にも製造工程の話とかね)、いい加減、そろそろ実際にこの「一蘭とんこつ」を食べてみることにしましょう。

おっと、夜ということでビールも失礼しますね!
それでは、乾杯。

まず、開封すると、このように小袋が3つ。
「液体スープ」「粉スープ」「秘伝のたれ」というように、それらは皆スープのためのもの。
確かに具は入ってない。
個々らへんがなんとも潔い。

お湯を注いで、言われるがままに後入れスープを蓋の上で温める。

時間がったら、CとBを入れる。
そして、食べる直前にAを入れて、出来上がり。

それでは、一口…。

うん、美味い!
これは…カップラーメンなのか!?

特に、スープのレベルが高い。
思いの外にすっきりしていて、豚骨らしいクリーミーで豊かな奥行きのあるコクが感じられるのだが、しかし上品で、イヤなしつこさがまったくない。
それをこの粉末と液体で作ってしまうとは、この再現性の高さに、ちょっと驚いた。

そしてそのスープにからむ、細麺の弾力あるノンフライ麺が、またいい。
確かに即席麺としてはクオリティといい、十分だ。

具がないのは正直、ちょっと寂しいんじゃないかなと訝しんでいたのだけど、いやいやどうして、これもコレだ。
大体考えてみたら、所詮は即席麺の具。あんなのに誰も期待してなくないすか?
食べてみると、そんなの別になくてもいい。というか、寧ろ完成度で足を引っ張りかねない。と、そんな気がしてくる。

これは…
これは、この緊急事態宣言で飲みになかなか行けない夜の、晩酌のシメに…最高じゃないか!
(おいおい太るぞ!)


一蘭

まとめ

今回は一蘭初の即席麺「一蘭とんこつ」を試食しながら、即席麺についてのお話をさせていただきました。

いやあ、これは…
やもすれば、また買ってしまうかもしれないなあ…。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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