2月14日は、皆さんご存知の通り、バレンタイデーです。
そこでバレンタインデーらしく、今回は「チョコレートの話」をしたいと思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

2月14日にするチョコレートの話

ハッピーバレンタイン!
てことで皆さん、本日2月14日といえば、バレンタインデーです。

そう、
シャラララー素直にキーッス、のバレンタインデーですよ。
ディスコ、ディスコ、ディスコ、コ、コ、のバレンタインデーですよ。

そんなわけで、今日はバレンタインデーということで食品衛生とチョコレートの話をしたいと思います。
チョコレートだけにチョコっとね!(チョコッと長文ですけど)

チョコレートは発酵食品!?

さて、「チョコレートと食品衛生の話」を始める前に。
今更改めて言うまでもないことですが、食品衛生と細菌は絶対に切れない関係です。
食中毒。そして腐敗変敗。
これらはいずれも、微生物によって生じる問題です。
つまりは食品内の細菌が、食品の栄養を得ることでそれを分解、変質させる。
あるいは、細胞分裂で増殖する。あるいは毒素を作り出す。
これら微生物の働きで起こるのが、先のような現象です。

しかし微生物は、それと同じような働きで、人間に恵みをも与えます。
それこそが「発酵」です。
だから、「食品と微生物」を知る上で、当然ながらぼくらも発酵を避けては通れません。

というわけで、本題です。

「皆さん、チョコレートが発酵食品だったって知ってますか?」

そうなんです、
意外なことに、チョコレートというのは微生物が作る、発酵食品なんです。
尤もこれ、前にも書いたことがあるので、熱心に読んでくださっている方ならご存知かもしれませんね。

チョコレートの歴史は実はかなり古く、その源流は紀元前2000年にも遡ると言われています。
チョコレートの原料であるカカオは元々中南米に生えており、すでにこの時代、メキシコでは栽培が行われ、カカオをすりつぶして飲料としていたということです。

そして15世紀から16世紀、世は大航海時代。
この時代、アステカ帝国では「チョコレート王」モクテスマ2世による独裁政治が行われていました。
ちなみに当時チョコレートは固形ではなく飲料であり、万能の薬剤にして高価な飲みものとして扱われ、また同時にそれゆえに貨幣の代わりもしていたといいます。

さてコロンブスから遅れること十数年、スペインから征服を目的に、フェルナン・コルテスがこの地にやってきます。
しかしモクテスマ王は、スペインからやってきた彼らを「遠方から来た神の使い」としてチョコレートをふるまうのです。

そんな彼らがこのアステカ王国を滅ぼすのに天然痘が深く関わっているのは、今回はちょっと置いておいて。
チョコレートはかくしてアステカからスペイン人によって母国に持ち込まれました。
当時はやはり薬として扱われていたようなのですが、これにはちみつや砂糖を加えられ、飲みやすくなるとまたたく間に広がることになります。
はい。以上、超ざっくりチョコ歴史でした。(黒歴史?)

で。
そんなチョコレートは、現在でも同様に、カカオの実(種子)から作られます。
カカオの実は、ちょっとしたラグビーボールくらいのもので(下画像参照)、ここにカカオ豆が20から30個ほど、果肉(パルプ)の中に入っています。

ではどうやって作るのか。
まずカカオの実を収穫し、1センチくらいの硬い外殻(カカオポッド)を割ります。
するとその中に、「パルプ」という果肉に包まれて水分を含んだカカオ豆がたくさん入っています。
この時点でのパルプの中は酸素がない、いわゆる嫌気状態です。
そのカカオ豆をパルプごとバナナの葉などにくるんで、サッカロマイセス属などの酵母によって発酵させます。(今では木箱などで発酵させているようです)
これがカカオ豆の最初の発酵です。

すると、まもなく酵母が果肉をペクチン分解酵素で分解し、果肉に含まれている糖をもとにエタノールを生成します。「アルコール発酵」、というやつですね。
大昔はこれを避けとして飲んでいた、とも言われています。

さて、パルプが分解されると、パルプの中にも酸素が入るようになります。つまりこれで好気状態となるわけです。
するとやがてそこに好気性の乳酸菌や酢酸菌が増え出します。
これがカカオ豆の発酵を更に促進させることになります。

しばらくすると乳酸菌が乳酸を、そしてエタノールをもとに酢酸菌が酢酸を生成します。
当然ながら、これらの中はpHが下がります。
同時にこうすることでカカオ豆の細胞が壊されるとともに、発熱が高まることでカカオ豆の発芽を抑制します。
加えて、この発熱で最初の酵母も死滅していきます。
さらに多くの微生物によって、糖やアミノ酸が生成。
この過程によってチョコレートは本来の渋みや苦味を軽くし、同時にまろやかさを得ていきます。
この発酵カカオ豆が、チョコレートの原料となります。

勿論ここから乾燥、ローストなどの過程を経ることによってチョコレートの美味しさというのは作られていくのですが、しかしチョコレートならではの独特の香りや味(プレアロマ)は、このカカオ豆の発酵工程が鍵を握っているのです。

チョコレートの規格基準は?

さて、それではチョコレートの規格基準はどのようになっているのでしょうか。
これが結構複雑だったりして、ややこしい。
というのも、一言で「チョコレート」(「チョコレート製品」)といっても世には様々な種類のものがあるからです。

まず、日本国内では1971年規定の「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」が、その規格基準となっています。
ここで、チョコレートは、原材料であるカカオ、ココアバター、水の比率差によって、「チョコレート生地」「準チョコレート生地」の2つに大きく分類されています。

チョコレート生地による分類
  • チョコレート生地:カカオ分が35%以上、あるいはカカオ分21%以上でカカオ分と乳固形分の合計が35%以上
  • 準チョコレート生地:カカオ分が15%以上、あるいはカカオ分7%以上かつ乳固形分12.5%以上

 

すげー簡単にいうと、「準チョコレート生地」のほうがカカオが少なく、そのためチョコレート生地としての風味は弱くなります。
で、その「チョコレート生地」や「準チョコレート生地」の中にも幾つか分類がありますが、ここでは説明を省略しておきます。


チョコレート生地と準チョコレート生地の違い(Glicoより)

で、さらにややこしくなるのですが、これに基づいて「チョコレート製品」を「種類別名称」として、いくつかに分類しています。
その分類の基準は、先のチョコレート生地や準チョコレート生地を60%使うかどうか、というものです。
それによって、生地のみのものである「チョコレート」(あるいは「準チョコレート」)と、そうではない「チョコレート菓子」(あるいは「準チョコレート菓子」)などである「チョコレート加工品」かに分かれるのです。
て、ややこしいな!

チョコレート製品による分類
  • チョコレート:チョコレート生地を全重量中60%以上使用したもの(生地のみのもの)
  • 準チョコレート:準チョコレート生地を全重量中60%以上使用したもの(生地のみのもの)
  • チョコレート菓子:チョコレート生地を全重量中60%未満使用したもの(チョコレート加工品)
  • 準チョコレート菓子:準チョコレート生地を全重量中60%未満使用したもの(チョコレート加工品)

 

まあ要は、一般的な板チョコのような(それも色々あるでしょうが)純粋にチョコ生地だけに近いものか、そうではなくナッツやビスケット、キャンデーなどといった他の食材と組み合わせた「チョコレート加工品」のことか、という違いになります。
(注意:ここにも細かい規格あり)

さらに一応加えておくと、「カカオ原料」として、次の5つが含まれます。

カカオ原料の分類
  • カカオマス
  • カアオバター
  • ココアケーキ
  • ココアパウダー(ココア)
  • 調整ココアパウダー(調整ココア)

 

…わかりますかね…?

ちょっと複雑なので、わかりやすくまとめ直します。
一言でチョコレート(「チョコレート製品」)といっても、生地の原料比率によって「チョコレート生地」「準チョコレート生地」と異なります。
で、その加工によっても、チョコレート生地だけのものである「チョコレート」なのか、そうではない「チョコレート加工品」としての「チョコレート菓子」なのかが変わってくる、というわけです。

チョコレートの成分規格は存在しない?

少し複雑な話をしてしまいました。
では、次にチョコレートの規格基準についてお話します。

チョコレートが関わりそうなものといえば、「洋生菓子の衛生規範について」ですね。
ちなみに「衛生規範」というのは、食中毒の問題になりやすい食品のみを対象に、厚生労働省によって定められた食品製造上の目安です。
ただしこれらは重要ではあるものの、あくまで食品衛生法の枠外であるため、法的な強制力を持ちません。

そしてその「衛生規範」には「弁当・惣菜」、「漬物」、「生めん類」などがあるのですが、その一つが「洋生菓子」です。
で、この「洋生菓子の衛生規範について」を見てみると、その「洋生菓子」の定義についてこのように書かれています。

菓子類のうち、ショートケーキ、パウンドケーキ、シュークリーム等小麦粉、卵、牛乳、乳製品、チョコレート、果実等を主要原料としたものであつて出来上がり直後において水分を40%以上含むもの(ただし、あん、クリーム、ジャム、寒天又はこれに類するものを用いたものにあつては、出来上り直後において水分を30%以上含むもの。)をいう。

とまあ、このように「チョコレート」が触れられています。
ただし、「出来上がり直後において水分を40%以上含むもの」とあります。
これは加工によって変わってくるところでしょうが、一般的な「チョコレート生地」や「準チョコレート生地」である場合、ほとんど水分はありません。

さらに原材料規格において、チョコレートは書かれていません。
また食品衛生法上の成分規格についても、チョコレートは触れられていません。

つまり、食品衛生法上、チョコレートの微生物基準は存在しません。
というのも、チョコレートは水分も少なくて糖質が高いため細菌の被害を受けづらいからです。
何せ一般的な板チョコの水分活性(Aw)は0.2~0.5と言われているくらいです。これでは微生物変敗はほとんど起こりません。

しかしこれを原料として加工する場合、話は変わってくることがあります。
つまり、原料チョコレートを洋生菓子として加工する工程が含まれた場合、例えばショートケーキなどにチョコレートを使う場合、そのケーキ自体は「洋生菓子の衛生規範」の対象となり、関わってくることもあります。

生洋菓子の衛生基準例
  • 細菌数:100,000/g 以下
  • 大腸菌群:陰性 (生鮮果実部を除く)
  • 黄色ブドウ球菌:陰性

 

「チョコレート生地」は別に大腸菌群が仮に陽性だったとしても、問題はないかもしれません。
そもそもチョコレートで細菌が増殖するリスクも低いでしょう。
しかしこれを使って何らかの食品を作るとなると、食品衛生法をはじめ乳等省令などとの関わりが生じることがあるので、注意が必要だったりします。

チョコレートにカビは生えるのか

チョコレートは、このように水分も非常に少ないため、微生物の影響を受けづらい食品ではあります。
よって、チョコレートにカビが生えない、と思っている人も結構多いのではないでしょうか。

ですが、チョコレートも、ものによってはカビが生えることがあります。
例えば、生チョコを使用しているものは水分も高めであり、長期保存の間にカビが生えてしまうことがあります。
特に一見生チョコには見えないけれど、二重構造になっていてその中にドロッと生チョコが詰められているようなものが、比較的カビやすいと言われています。

チョコレートの場合、製造してから長期保存されていることもあるため、カビが生えてしまうこともあります。

ただし、一般的にはやはりカビの生えづらい食品です。
それに一見、カビに見えても実は「ブルーム現象」であることもあります。

チョコレートというのはある一定の高温域でココアバターが溶解して表面に浮き出します。
これが再度冷やされて固まるとき、カビにも見えるような白い粉状になるのです。
これはチョコレートの製造上の特質によって生じる現象です。
チョコにカビが生えた、という多くの場合、このブルーム現象であることがほとんどなのではないでしょうか。

チョコレートの異物混入

チョコレートにも時折、異物混入事故が生じたりします。

例えば、2017年にはセブンイレブンやローソンなどでのPB商品であるチョコレートの中に、ゴム製の部品の一部が混入した可能性があるとして212万個の回収を報じました。

また昨年末にはヤオコーの商品でも異物混入事故の危険性があげられていました。

またこうした工程上のリスクによって生じる異物混入に加え、チョコレート工場での異物混入要因の一つとして、昆虫の存在があったりします。
というのも、チョコレート工場というのは、ある特定の昆虫に悩まされているところが多いものです。

幾つか「常連」がいるのですが、なかでもそのトップバッターが、「ノシメマダラメイガ」でしょう。
チョコレート工場の悪者筆頭といったら、何はさておきこいつです。
しかも困ったことに、チョコレートは勿論のこと、カカオや小麦粉、その他チョコレートで使用する様々なものから発生するため、何かと問題になりがちです。
しかもノシメマダラメイガは一般のライトトラップでは捕獲がされづらいため、専用のトラップ(フェロモントラップ)が必要になります。


Wikipedia

ではノシメマダラメイガ以外に、どんな虫が問題になるか。
次の二番手は、やはりなんと言っても貯穀害虫の双璧、「シバンムシ」。
そして、三番目に続くのが「ヒラタムシ」でしょう。
およそチョコレートの異物混入といったら、ここらへんのトップ3で大半を占めています。

ノシメマダラメイガやシバンムシなどはカカオの粉体を使う工場では、それこそ問題にならないことがないくらい多発します。
これらはよく知られているので、指標にも目星にもなりやすい。

しかし意外にも見落としがちなのが、「ヒラタムシ」です。
「ヒラタムシ」の中では、下に画像のある「ノコギリヒラタムシ」というのが有名どころです。
胸部サイドにギザギザのスリットがついているおしゃれさん。
ですが、ぼくが以前相談を受けたチョコレートでは「ホソヒラタムシ」が大量に発生していました。

チョコレートというのは、工程上、ドロドロに熱したチョコレート生地を型に注ぎ込み、充填します。
そしてその際に振動を与えることで気泡を除去し、冷却し、また再度振動によって型から剥がします。
これらの工程の際に、チョコの破片が生じやすい。
そしてそれらが油脂も好むヒラタムシの餌となるのです。
メイガたちの裏で目立たないながらも実はチョコレート工場の隠れた迷惑客、それが実はヒラタムシだったりします。


名古屋市

まとめ

今回はバレンタインデーということで、チョコレートについて色々とお話させていただきました。

最後に、ですが。
えらく個人的な話なんですけど、この記事を書きながら、実はぼくもバレンタインデーということで最愛の娘ちゃんが手作りで焼いてくれたチョコブラウニーをいただいております。
ありがとう、めっちゃうまいよ娘ちゃん。

では皆さんも、どうぞ幸せな一日を。
改めて、ハッピーバレンタイン!

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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