最新の食品業界ニュースから気になった話題を定期的にピックアップし、食品衛生管理のプロの目線からコメントさせていただきます。
今回は、茨城県で連続発生した給食への異物混入事故についてです。

本日の時事食品ニュース

 


FNNプライムオンライン

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

茨城県で給食への異物混入が連続発生

皆さん、こんにちは。
毎日、寒いですね。
いやそりゃ寒いよ、うん、さみーわ。
だって冬だもの。2月といったら真冬だもの。

しかし、
「いやまだ2月上旬だぞ」とね、たしかに思ってたんですけど、出会いの季節、春はもうすぐそこ。
そして出会いはある日、突然に。
やだ何このあたしの反応、あんなに嫌いだったアイツがこんなに身近に感じるなんて…。

これって、もしかして、これが……

花粉!?

いやねえ、もう既にぐしゅぐしゅに早くもなりかけているんですけど、何これ早くない!?
まだ冬じゃかなったっけ!?

そんなわけでここ数日はもう、新型コロナに加えてより一層マスクが手放せない今日このごろであります。

おっと、しょうもない身の上話はここらにして、とっとと本題いきましょう。

さて、
このところ、茨城県で給食への異物混入が頻発に発生しています。

鉾田市立鉾田南小(同市烟田)の給食に、3件の異物混入が19〜22日の間に連続して判明したことが25日、関係者への取材で分かった。
児童や教職員に健康被害は確認されていないという。
給食は市立鉾田学校給食センター(同市安塚)で調理し、市内の幼稚園と小中学校の計13カ所に配送している。


FNNプライムオンライン

別の報道をさらっと見ると、いかにもな素人記者による薄っぺらな「けしからん」で好き勝手な俗情煽りをしてたりするんですが、そんなものは放っておいて。
ちょっとこれを真面目に整理し、プロとして追ってみるとしましょう。

連続異物混入の経緯
  • 1月19日、肉じゃがに糸状の金属が混入
  • 1月20日、パンに樹脂片が混入
  • 1月22日、三色丼の炒り卵に樹脂片が混入

 

なお、これらの給食は、いずれも近隣の給食センターによって収められたものであるということのようです。

少しだけ、解説しておきます。
今の給食は、「給食センター」というセントラルキッチンでの調理がもはや主流となっています。
つまり自治体単位で給食センターを建てて、でそこで多量に調理したものを近隣にあるそれぞれの学校に、給食として配送するという方式ですね。
「共同調理場方式」、とも言われるときもあります。

ぼくらが子供の頃は、小学校や中学校自体に給食室があって、給食のおばちゃん達が給食を作ってくれていたものです。
勿論、今でもそうした学校は少なくはありません。

こうした自前で作れる「自校式」のメリットは、出来たての料理を提供出来るということ。
一方でデメリットは、給食室は学校施設となりますのでその維持管理を学校側がもち、またそのぶんだけ専属の職員を雇う必要が生じます。
それを考えると、一番多い調理人数とコストが高く必要になります。

これに対し、先の「センター方式」ではセンター一括なので、学校側に給食室を作ったり専属職員を雇う必要はなく、また多量生産できるのでコストが安くすむ、というメリットがあります。
加えて、栄養管理や異物対策などの衛生管理、アレルギー管理なども全て任せることが出来るのでラクで低コスト、つまり給食費も安くなるため、学校側にも人気があります。

かたやセンター方式のデメリットは、配送コストがかかり、また何よりも当然製造から提供まで時間がかかること(2時間以内とされている)。
その分、製造の時間を短縮させないといけないし、自ずと加工食品が増えることになります。

これとは別にどこかの民間企業に丸投げ依頼する「デリバリー方式」というのもありますが、今回の話ではないので割愛します。

異物混入した製パン業者の対応を見る

ただし、パンというのは当然ながら給食センターでは製造することはありません。
これは、どこか地元の製パン業者で焼かれたものを、給食センターが購入し、それを給食として提供しているものです。

ですから、2回目のこのパンへの異物混入というのは、別に給食センターに直接的な原因はありません。
これは、あくまで製パン業者の段階で発生したもの。
これを一緒にしてしまうのは、さすがにかわいそうです。

給食センターと違って…とまでは言いませんが、イチ民間企業である製パン業者にとって、給食の異物混入なんて死活問題になりかねません。
(コロナ下とはいえ)決められた個数が決められた日に収められる、つまり多量の固定した販売路となる給食は、いくら叩かれての薄利多売だとはいえ一般的には大口顧客です。
はっきり言って、それを起こした場合の必至さが違います。
そしてその対応の差が、その双方の立場を面白いようによく覗けています。

まず、2日目のパンへの異物混入を見てみましょう。
どうも、配膳された児童がパンをちぎった中から、樹脂片が出てきたという話だ。
つまりパンに完全に練りこまれています。
これはもう、言い訳のできない明らかなパンの製造工程上の問題であるといえるでしょう。

一般体にパンは、「仕込み」から一次発酵を経て、分割・まるめ、そして二次発酵、成形などを経てから焼成します。
普通に考えればこの場合、中に練りこまれていたのですから、仕込み、あるいは分割、まるめに至る工程での問題が生じたことになります。
ここでもう大体の絞り込みが可能です。

さて。
これもあくまで一般論、程度問題ではあるんですが、給食センターに比べればイチ企業である製パン業者はもう少し品質管理体制がしっかりしています。
…と思いたいところです(笑)。

よって、こういう場合には直ちに原因究明調査が行われます。

まず最初に行われるのは、異物の分析検査です。
どこかの検査機関に、その異物の分析を依頼します。
「プラスチック片」だと報じられているのだから、恐らくは検査分析が行われたのでしょう。
尤も、プラスチック片と一言で言っても様々ありますから、そこでFTIRによる赤外分光分析スペクトル測定によって、それが何であるかを調べたのでしょう。

そもそもプラスチックと一言で言っても、多種多様です。
それだけでは、どんなものが全くわかりません。
これはこういうプラスチックなのだ、と判ってからようやく、ではこれではないか、などと当たりをつけていくのです。(まあ同時進行でやっていくもんですがね)

さて、これらの結果「こういう樹脂である」と判明する。
加えて、目星のついているものを比較検体として同時に分析にかけ、これで同じならビンゴ、となります。
その間、急ぎで中三日といったところかな。

で、ここではそれらの結果、どうやら仕込みの工程内で、パン生地をミキサーに投入する際、その記事を入れていた番重だか何だかのプラケースに接触し、破片が混入したということが判明した。

今回の異物の大きさは、30mmというから、かなり小さい。
普通、ケースの破損が生じたのがわかれば、その生地は当然ながら廃棄されます。
ですが、そのくらいのケースの欠けに気が付かなかった。
結果、その樹脂片を混入したまま、仕込みがおこなわれ、そして発酵、焼成、と進んでしまった。概ねそんなところでしょう。

そしてちょっと重要なのが、ここ。
これに対し、この製パン業者では今後、プラスチック容器ではなく、破損の生じづらいスチール製容器にする、と品質管理が答えています。
なるほど、この対応に何の問題もありません。

「注意する」では、異物混入を防ぐことはできません。
「注意」してても生じたから、このようなことが起こったわけです。
「注意」なんて属人に解決を求めても、違う人が入ってきて「注意」が足りなかったらまた再発します。

だから、破損しづらいものを使うことによって、「仕組み」で防ぐ。
ヒューマンエラーではなくシステムエラーとしてとらえ、対応する。
基本を押さえた対策です。
このあたりに、業者の本気度が垣間見えます。

給食センターの対応はどうか

一方で給食センターについてはどうか。

こちらについては、現状、給食センターでは原因が究明されていません。
引き続き混入経路の調査を行う、とありますが、んじゃ実際にどう行って、今後どうすべきなのか。
それすら、報道や報告からは伝わってこない。
こうなると、はっきり言って給食センターの対応不足を、ある程度は問われても仕方ないでしょう。
尤もこれは「ある程度は」、ですが。

尤も、先の製パン業者と違って、給食センター自体がそうした知識を持っているかはわかりません。ていうか、普通はないです。ないからこそ、こういう対応なんです。
多分、どうすべきかが全く判っていないんでしょう。だから、こうなる。
恐らくなんですが、一般の給食センターというのは現状、この程度です。

でも、現実を言うなら、そんなもんなのです。
そりゃあ、先のパン業者のように市場で売買されているものと一緒にしては可哀想だというものです。
大体、世の「給食」という格安行政システムを考えたら、そりゃそんなもんでしょうとしか言いようがありません。
じゃなければ、もっと高いコストを払えばいいんじゃないか、という話に、最終的には片付きます。

彼らは絶対言えないでしょうからぼくが替わって言いますが、「安かろう悪かろう」にケチをつけるならしっかりと払うもの払え、という話です。
大体「真摯に再発防止に向かえ」(↓)と勝手に「思う」のは個々の思想なのでどうぞご自由にしなさいなんですけど、でそれを現実に行うんだったらそれを解決するためにコストを払うのは常識ですし、にも関わらずタダでそれをやれというのは無茶苦茶を超えたただの勝手な暴論でしかありません。

そりゃこの人らがいう通り、「真摯に再発防止のためのコストに向き合っていなかった結果」(↓)になって当然です。


FNNプライムオンライン

ほんと、こういう俗情刺激は勝手にすりゃあいいんですけどね、でもならばなおのこと、「安かろう」と「けしからん」は両立しない論理なんですよ。

大体、食の安全安心はお金がかかるもので、それをケチればそりゃ相応になるのは至極当然の話。
だから、そのコストを払わないで吐いてる「けしからん」には、悪いですけど1ミリの効力もありません。
大体、こんなことは話すまでもない「そもそも」の前提論なんですが、何か想定外の問題が起きることの対応までを想定して当初の予算を組むとしたら、「食」なんて元来そんな安くはなりません。
これはもう、「世の中安いものほど高いものはない」という話です。

勿論、違う可能性だってないわけではありませんからね。
そもそも、すべての異物混入が調理過程内だということは、全くありません。
例えば、5~6mmの樹脂片のほうはさておき、20mmの「糸状の金属」なんて、もし場内での混入だとすればメンテ用のワイヤーブラシなどくらいしかないでしょう。
これが違うなら、もう後はわかりません。
場合によっては、資材由来だったり、児童側の要因だって多分に考えられます。
なので、イコール直ちに「けしからん」は余りに早急です。
消費者クレームの多くが実はただの消費者由来でしかないことをよーく知っている食品メーカーさんなら、この話もきっと、よくご理解出来ることでしょう。

いずれにせよ、教育委員会は教育のプロであって、食品安全のプロでもなんでもないので、どうするかなんてのはせいぜいマニュアルに沿うくらいしかわからない、ぼくらからすれば言ってみれば素人です。
だからこのようなことが全国で繰り返されるわけです。
まあ、どこまで出来るかはわかりませんが、まずは先の製パン業者を見習って、しっかりとした原因究明調査と再発防止のための、「注意する」じゃない「仕組み」による改善は最低限不可欠でしょう。
それだけのコストがかけられているかは、わかりませんが。

まとめ

今回は、茨城県で連発している給食の異物混入についてのお話をさせていただきました。

で、こうしている間にも、全国でも同じように給食の異物混入が発生しています。
例えば、同じ茨城県でも、結城市でやはり金属異物の混入があったり。

あとこれを書いている本日2月10日には、新潟で金属片の異物混入があったりしています。

このように、給食の異物混入は後を絶ちませんし、ぼくらプロからすれば、そもそも絶たないような対応もそこまでされていません。
そしてそれは、ただ「けしからん」と安っぽく溜飲を下げればおさまる話でもありません。
このことはもう何度も話してきていますが、食品製造メーカーの日々の努力は並大抵のものではありません。
相談を受けているぼくらがリアルにそういうのだから、本当です。
その「本気」は、もっと知られてもいいのかなとぼくは思いますし、それ故にこのようなことを日々書いてもいるつもりです。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

■□貴方の工場・店舗で悩んではいませんか■□
・どうやって防虫管理・衛生管理をすればいいか判らない
・今やっている防虫管理・衛生管理が正しいか判らない
・何か問題が発生したときの対応が判らない
・取引先や保健所の査察が不安だ
・でも余りコストもかけられない
だったら貴方が防虫・衛生管理のプロになればいいのです!

高薙食品衛生コンサルティング事務所にようこそ
  • 私達は、どんな工場、お店の方でも防虫管理・衛生管理のプロレベルに育成することが出来ます。
  • 何故なら、防虫管理・衛生管理のプロとは、基礎知識に加えて「正しい管理の仕組み」を作れる能力を持つ者のことだからです。
    この「管理の仕組み作り」を知るこそが、防虫管理・衛生管理のプロへの道なのです
  • そんな防虫管理・衛生管理のプロを育成し広めることで、日本の「食の安全安心」を、さらにより広く、より高くさせることが私たちの使命だと信じています
  • どうですか?
    そんな防虫管理・衛生管理のプロにあなたもなって、本当の「食の安全安心」を私達と一緒に広げていきませんか?