1月15日は「手洗いの日」、ってご存知ですか。
そこで、今日は「手洗い」について、その最新技術がどのようになっているかについて、少しばかり追ってみることにしましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

1月15日は「手洗いの日」

皆さん、1月15日が何の日だかご存知ですか。
え、「小正月」?
うん、まあ、まあそれもあります。
でもこの食品衛生に関わる日であったりもするのです。

そう、実はこの1月15日というのは、「手洗いの日」なのです。

手の指が5本であることから、「い(1)い(1)て(5)」の語呂合わせで「手洗いの日」となったようです。
これはP&Gが制定したようです。

実はこの1月15日以外にも「手洗いの日」があります。
10月15日。「世界手洗いの日」です。
こちらはもうちょっとグローバル。UNICEFや世界銀行などによる「せっけんを使った手洗いのための官民パートナーシップ」が2008年に制定しました。

まあ、とにかく本日1月15日は「手洗いの日」だということなので、今回は「手洗い」というものが今どのように進化を遂げているのか、その最先端について今回は見ていきたいと思います。

2020年から変わりつつあった「手洗い」ビジネス

2020年。
昨年1年で、世界は大きく変わりました。
言うまでもなく、新型コロナウイルスです。
これによって変わったのは、手洗いの持つ意味、です。

「皆さん、正しく手を洗いましょう」
なんてことはこれまでもしばしば言われてきたことです。
ですがそんなものが簡単に根付く、なんてことはこれまでありませんでした。
仕事柄、しょっちゅう食品工場の従事者さんの前で講習会を行うことが多い身なのですが、以前はよくそうした場などでもしばしば繰り返し話してきたものです。

しかし、今やどうか。
普通にみんな、家に帰ったら手を洗いますよね。
「正しい手の洗い方」なんてのも、あちこちで見るようになりました。
以前はそんな情報はスルーされていたのに、です。

そんなわけで今や「手洗い」というのは、これまでになく重要視されてきています。
ということは、そこにビジネスの臭いを嗅ぎつけた企業が次々と参入している、ということでもあります。

今、各業界分野で「DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)」が目まぐるしく進んでいることは皆さんもご存じのことでしょう。
特に製造業、なかんずく食品産業においてはそれが大きく注目されており、「フードテック」の一つとしてとらえられていることは以前ここでも触れた通りです。

そしてその流れは勿論ながら「食の安全」、つまり食品衛生においても例外ではありません。
このことも年初に話した通りです。

上の記事などでも不良品除去や異物混入対策としてAIを用いた検品を行う話を例に挙げました。
しかし、実を言うとそれのみならず「手洗い」においてもこうした最新技術によるイノベーションの波は近づいています。
しかもそれらのうち、すでに市場において商品やサービスとして発表されているものも出てきています。
昨年からこの2021年にかけて、「手洗い」のビジネスは大きな変革を迎える。
そんな可能性も少しずつ見えてきているのです。

「手洗い」ビジネスの最前線を覗いてみよう

では、そんな「手洗い」ビジネスの最前線を走る新商品を以下、いくつかピックアップしてみるとしましょう。

「富士通」が先駆けて手洗い確認用AIを開発

まずは、大手企業の試みからいきましょう。
昨年、「手洗いビジネス」の先陣を切ったのは、日本の総合エレクトロニクスメーカーであり総合ITベンダーである、あの「富士通」でした。
緊急事態宣言の真っ只中だった、昨年5月。
その富士通グループの研究開発の中核をなす富士通の主要子会社である「富士通研究所」が、他企業に先駆けて手洗い確認用AIの開発を発表したのです。

株式会社富士通研究所(以下、富士通研究所)と富士通研究開発中心有限公司(以下、FRDC)は、カメラで撮影した映像から、複雑な手洗い動作を認識するAI「行動分析技術 Actlyzer(アクトライザー) 手洗い動作認識」を開発しました。(略)

今回、映像から人の様々な行動を認識するAI「行動分析技術 Actlyzer」に手指動作の認識機能を拡張させ、手洗い時の複雑な手指の動作を両手の全体形状と手洗いの一連の動きから自動で認識するAI「行動分析技術 Actlyzer手洗い動作認識」を新たに開発しました。


FUJITSU JOURNAL

メーカーからの解説によれば、ディープラーニングを使ったハンドジェスチャ認識技術というのはこれまであったものの、両手が重なったり泡に隠れたりなどの複雑な動きを正しく認識できなかったという。
そこで富士通の「行動分析技術 Actlyzer 手洗い動作認識」は、その課題を克服して両手の全体形状と動きの反復パターンから、手洗いの際のこすり合わせの回数やそのステップが踏まれていることを判定制度95%にまで高めることに成功。
さらに実施時刻記録も自動で行われるため、工程の省略にもつながる、と言っています。

本技術により、衛生管理が必要な現場における手洗い実施確認を自動化し、目視確認と手作業による記録の工数をゼロにすることができます。
また、誤った手洗い方法では正しい手洗い動作として認識されないため、誰もが同じく正しい手洗いを確実に身につけられる教育効果や平準化効果も期待できます。

富士通としては、これらの商品をスマート工場化した食品工場の従事者前室などに設置し、適切な手洗いを行うしくみを導入してもらいたい、と考えているようです。


FUJITSU JOURNAL

「大日本印刷」による「手洗いAIサービス」

もうひとつ、大手の事例を紹介しましょう。

一方で大手総合印刷会社「大日本印刷」(以下DNP)もまた昨年7月、正しい手洗いができているかをAIで判定する「手洗いAIサービス」の開発を発表しています。

大日本印刷株式会社(本社:東京 代表取締役社長:北島義斉 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、新型コロナウイルスへの感染予防対策として、AIを活用した独自の画像解析技術によって、厚生労働省が提唱する“正しい手洗い”ができているかどうかを判定し、“正しい手洗い”を啓発する「手洗いAIサービス」を開発し、9月に提供を開始します。

DNPは、カメラや映像を活用した「DNPセキュア監視サービス」の一環として、映像データをAIで解析するサービスを展開しており、食品工場等に向けた総合衛生管理サービス等の開発を進めてきました。
この仕組みを活かして今回、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを受け、衛生の基本となる“正しい手洗い”の普及につながる「手洗いAIサービス」を開発しました。


DNP

「DNP」によるこの「手洗いAIサービス」は、自社の「DNPセキュア監視サービス」なるものをベースにしており、洗面台のカメラからマニュアルに沿っているかや洗浄時間などをAIによってチェックするというもの。

これらを洗面台に設置したモニターに表示し、手洗いの正しい手順をガイドするということです。

うーん、
ぼくには先の富士通のものとの違いがわかりません。


DNP

続々と開発に続く中小・ベンチャー企業

また、これら大手に次いで、中小企業、ベンチャー企業などもそうした動きに合わせて開発に動いています。

例えば、IT系企業「日本システムウェア」は、AIにより正しい手洗いを判定・記録するサービス「手洗いVision」を昨年6月と、割と早い段階に開発を発表しています。

手洗いVisionでは、複数のAIで動作判別・手順判別を行い、ルール通りの正しい手洗いかを判定する。
手洗い開始のタイミングを自動で検出し、画角や明るさなど、カメラ設置環境に特化したチューニングを実施する。
また、動作記録(動画)、過去の判別ログを記録する。
オプションで、人の自動判別も可能となっている。


日本システムウェア

ってほとんど違いがないように思うんですが、まあいいや。

で、これに次いでダイフク傘下の産業用電子機器メーカー、「コンテック」は、昨年7月、やはり同じようにAI技術を活用した3Dカメラによる手洗いの動作確認サービスを開発発表しています。


コンテック

さらには「Acculus(アキュラス)」もまあ、ほぼ同じようなカメラ画像による手洗い認識エンジン、「(HANDVISION)」を開発しているようです。

「どの手洗い行動を取ったか識別するだけでなく、3次元で両手の形状を復元し、洗い残し領域の判定を行うことが当社の独自技術です。」と言っていますが、ちょっとこれだけではわかりません。


Acculus

そのほか情報通信、IT企業の「NSD」の子会社「NSD先端技術研究所」は、AIを活用した画像解析によって正しい手洗いをサポートするアプリ「TeA-L/Right(テアライト)」を発表しました。

ただしこれは食品衛生というよりも、新型コロナウイルスの拡散に対して一般の人に日常生活における正しい手洗いの「教育・習慣づけ」を支援するためのものだという性質が強そうですね。

また同じころ、感染制御・院内感染対策企業「モレーンコーポレーション」は世界初(?)の手洗い測定・定量化用IoT技術「SCORE!(スコア)」の開発を発表しています。

これはどちらかといえば医療現場での使用を前提としたもののようですが、まあ基本的な狙いには大きくは変わりません。


モレーンコーポレーション

同社では医療施設での院内感染対策研修会で、新入職員などを対象にした手洗い講習会で「手洗い評価キット」を提供。
蛍光ローションを手指に塗り、手洗い後にブラックライトで洗い残し部分を目視で観察することで自身の手洗いの欠点を確認できる。

 本技術では手洗いの結果をスマホのカメラと専用アプリでスキャンし、AIで手の表裏を検知・分析して点数化。
現在の手洗いレベルを定量的に数値で本人や管理者が把握でき、手洗いの質を向上させるための目標やアクションプランの設定が可能になる。
施設内や他施設との比較で偏差値を出し、自施設のレベルを客観的に評価することもできる。

ええと、なんだかよくわからない人もいるでしょうから解説します。
手洗いの効果をビジュアルで伝えるために、特殊なローションを使うのはよくある話です。
ぼくらもノロウイルスの講習会などではよく使います。

例えばこんな感じです。
まず従業員さんの一人を皆の前に出てきてもらって、特殊なローションを手に塗ってもらいます。
それから、従業員さんに手を洗ってもらいます。
その洗浄後、手にブラックライトを当てます。
するとどうなるか。手洗いが不足していたところに、その塗料が残っているため、それがブラックライトに照らされて光るのです。
つまり、そこが従業員さんの手洗いで正しさが不足していた箇所、になります。
こうして、手洗いの効果を判定するのです。

こういう場合、当然ですがみんないつもより、よーく慎重に手洗いします。
なので手の平などには残りづらいものですが、しかし。それでも大概、指の間やしわの溝、手首や爪などに洗い残しがあって塗料が残っているものです。
こういうものを従業員さんに実際に体験、そして見てもらい、「へー!」と学ぶという、まあこの世界では別段珍しくもないお馴染みの手口です。
品管さんなどももしかしたら他業者の講習会などで見たこともあるかもしれませんね。

で、この会社はそれをAI化し、評点し、どこが不足しているかをアドバイスする、というようです。
ぼくには、そんなの別に部署でローションとブラックライトを揃えてやればいいんじゃないの、と思ってしまうわけですが。


モレーンコーポレーション

衛生管理屋が偉そうにアドバイスしてみる

さあ、そんなわけで「手洗い」ビジネスの最先端を見てきました。
AIなどによるDXの波が「手洗い」にまで迫っている、ということはこれらからよくおわかりになったと思います。

で、その上でなんですが。
どうでしょうか、食品工場の皆さん。
これらの技術、欲しいですか?
数十万円、数百万円とかで設備投資したいですか?

正直にぼくが感想を言うのであれば、たしかに優れた技術であり、そういう時代が迫っているのはよく判った。
でも、ちょっとまだまだじゃないのかなー、というのが本音です。

ぼくはAIもITも「ド」が3つくらいつく程のドドド素人なので、その点でのアドバイスなどとてもじゃないが出来ません、ていうか微塵のかけらもわかりません。
ですが、その代わりに食品衛生の専門家なので、彼らがやろうとしていること、開発しようとしている商品やサービスが食品衛生の現場でどう見られるかについては、よーく知っている身です。

そんなぼくが、敢えて言うのであれば。
多分、これらだけで食品工場が「この商品欲しい!」と思わせるにはちょっと弱いんじゃないですかね。
いや、全然弱いと思います。
せいぜい、「ふーん、そんなのもあるんだね」くらいの反応じゃないですかね。
何故なら、これらの開発メーカーは食品工場において「手洗い」というものが何であるかをよく理解していないからです。

いや、そりゃ重要なんですよ。重要なんです。
でも、食品工場の衛生管理というのはそれだけじゃないよってことです。
そこを判っていない。

そもそもこれらの商品は基本的に、食品工場の従事者の入場前室に設置するものでしょう。
食品工場の従事者衛生上、すべき入場意手順、というものがあります。
そしてそれは手洗いだけではありません。
こんなことは食品工場で一度でもバイトすれば、誰だって知っていることです。
主にざっくりと次の通りです。

食品工場への入場手順
  • 健康、持ち込み物品などの帳票確認
  • 着衣着帽の適切性の目視確認
  • ローラーがけによる付着毛髪の除去
  • 手洗い、および乾燥
  • アルコールによる手指殺菌
  • エアシャワーによる毛髪や異物の除去
  • 靴底マットなどによる汚れの除去
  • 手袋、エプロンなどの着用

 

食品工場の中には、これらをやってようやく入場できるのです。
そのことは大手工場だろうが中小工場だろうが、少々の差こそあれほとんど変わりません。
「手洗い」というのは、そのなかの一つに過ぎません。
そりゃ重要なんです。重要なんですが、その一つだけだということです。
そこだけAIが担ってもあんまり意味がないよ、ということです。

例えばAIで正しい手洗いをしているか監視するから従業員の手間が減る、と天下の富士通さんですら上で言っているんですがね。
入場口で品管さんが入場手順の監視をするとしたら、別に彼は手洗いだけを見ているわけでは全くないです。
上の全てを見ているんです。手洗い確認の手間が減ったからといってそれがどうした、なんです。

わかりますかね、これ。
コロナウイルスで手洗いが注目された。
んじゃ手洗いのAI化だ、自動化だ、DXだ、スマート工場だ、食品工場の工場長さん、どうでしょう。
そんなものじゃない、ってことです。

例えば、各社が言ってる「手洗いの動作記録」をしたからどうだ、という話です。
手洗いしている人を自動認識したらどうだ、という話です。
ねえ、食品工場の品管さん。「ソコジャナイ」感、ありますよね?(笑)
ここにHACCPなんてどうせこないだ知ったばかりの単語並べても、薄っぺらさしか見えないですよ。

んじゃお前ならどうするんだ。
はい、出来る出来ないのテクニカルな技術面はさておいて、例えばこんなのはどうでしょう。
折角AIでそこまで高い技術ができるのだというなら、ぼくならローラーがけと着衣着帽の監視や指導をするAIを一緒に開発しようとするでしょうね。寧ろそっちのほうが需要が大きいかもしれません。
で、ここらへんを手洗い監視と一緒にできるようにする。
で、その逸脱カウントを自動記録するなら意味が出てきます。それだけ毛髪混入リスクが高まっていることになるからです。
このくらいまでAIで出来てくるなら、恐らく「だったらウチに欲しい」という工場が出てくるでしょう。

つまりね、彼らが食品工場市場において本当に視野として狙うべきは「手洗いのAI化」なんかじゃなくて、それをも含めた「入場前従事者衛生管理のAI化」なんですよ。
少なくとも、ニーズからすればその発想や観点が重要なんです。
(まあ上の一社たりとも、そこに達していませんが)

これはなぜなのか。
実は「工場への入場時」ほどランダム化・ムラ化しやすい、つまり管理が難しい極めて属人的で、個々に委ねるしかない「従事者衛生」が求められるタイミングが、食品工場内にはないからです。
だからこそ、そこにAIなどの最新技術が求められる需要が存在してる。

従事者入場時というのは、工場内の衛生管理上において非常に重要だ。
だから皆、どこでも「仕組み(システム)」化しようとしている。
でもPDCAのうち、そこでの「P(ルール化)」を決めて「D(教育・実行)」しているけれど、それをなかなか「C(監視・確認)」出来てない。ていうか現実に出来ない。だから「A(是正)」に向かわない。つまりシステムとしてまわらない。どこにでもよくある話です。
で、だからこその、ここ「C(監視・確認)」と「A(是正)」にAIじゃないですか。
あーもうなー、これぼくが監修させて頂きたいわ。
多分、めっちゃええもん作れるで!?(笑)

さらに言うのであれば、その手洗い監視の際にだねえ…おっと、ここらへんにしておきましょうか。
つい無料でここまで話してしまいましたが、それはまだ他にも商品アイデアなら全然あるよという意味です。(笑)
さあ、どうでしょ。ぼくと共同開発したいところがあればご連絡ください。

まとめ

今回は、1月15日の「手洗い」の日ということで、最新テクノロジーによる「手洗い」ビジネスの現在についてのお話をしてみました。
2020年~2021年は、フードテック元年。
いずれ、こうした技術が工場に取り入れられる日もくるのでしょう。

あ、技術開発コンサルがご希望であれば、ご連絡お待ちしています。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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