時々ネットなどでも見かけますが、「細菌」と「ウイルス」を一緒くたにしている人がいます。
でも「細菌」と「ウイルス」は違う生物です。
更に言えば、カビもまたそれらのいずれとも違う生物です。
では、これらは何がどう違うのでしょうか。今日は細菌とウイルス、そしてカビとの違いについてお話していきましょう。

なおこの記事は、今回、そして次回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら①はその前編となります)

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

細菌とウイルス、カビは全く違う生物

(こちらは二部構成の「前編」になりますので、もし「後編」から来られた方は、まずはこちらを最初に読んでください。)

先日の1月7日、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づいてまたもや急事態宣言が出されてしまいました。

それにしても。
これほどまでにウイルスという言葉を人々が口にすることは、新型コロナウイルス以降ないことだったでしょう。

それもあってか、一般的な会話だったりネット上だったりで、細菌とウイルスを取り間違えて、あるいは混同して話していることを時折見かけるようになりました。
「いやそれって細菌だからこその話だよね」と。
あからさまな間違いだったり、呼称として間違っていたり、生態そのものが違っていたりなどそこはまちまちなんですが、ぼくらからすると「いやそれ細菌だから!」なんてツッコミたくなるような事が最近とんと増えていたりします。
(細菌だけに!)

ですが、「細菌」と「ウイルス」は全く違う生物です。
それはもう、生物として全くの別物です。
「え、細菌とウイルスなんて、同じ様なもんでしょ?」
違います。それはもう魚を植物と一緒にしているような話です。
「え、カビ?まあそれも同じなんじゃない?」
違います。それはもう人間も加えて、魚も植物もみんな同じでしょ、と言っているような話です。

そこで。
改めて「細菌」と「ウイルス」がどう違うのか、お話していくとしましょう。
ついでに、それらと「カビ」もまた別の生物です。これについても少しばかり触れていくとしましょう。

「微生物」とは小さな生物の総称

ではまず「微生物」というものの説明からしていきましょう。
カビも、細菌も、ウイルスも、広い意味でひとくくりに「微生物」と呼ばれることが多いです。

では、そもそも「微生物」とは何のことなのでしょうか。

微生物というのは、その名からもわかるように、まんま「微小な生物」の総称です。
顕微鏡でしか見えない生き物、それらを一緒くたにして一般的に指す用語です。
つまり、多くの微小な生物をひっくるめた呼び名であって、これには生物的にどうだという括りはありません。
あくまでサイズ、その生物の大きさの話であり、よって生物学的な分類ではありません。
小さいから、微生物。以上、です。
ここはもう、サクっと「そういうもんだ」として行きましょう!

カビと細菌とウイルスの違い

ではこの「微生物」の中に何が入るのか。
意外と色々なものが入ります。
では、微生物とはどんなものが入るのか。細菌やウイルスなどの教科書をめくると、おきまりでその1ページ目にこれが書かれていたりします。

ざっくりですが、これが「微生物」の分類です。
上でも触れたコロナウイルスのようなウイルス、食中毒を起こす食中毒菌、カビ、さらには酵母やキノコまで、みんな「微生物」としてくくられています。

でもちょっとこれだけはよく判らないですよね。
なので、もう少し整理していきましょう。

まずこの微生物を大きく分けると、「高等微生物」と「下等微生物」に分けられます。
これもまた便宜上の区分なのですが、ではここでは何をもって「高等」「下等」とするのか。
それはズバリ、「細胞構造の違い」です。
人間と同じように染色体に核があるものが「真核生物」であり、ないものは「原核生物」とされます。
これがあるとないとでは、生物として決定的に違うのです。
なので、まずはここを区別していきましょう。

カビなどの「真菌」は「真核生物」

まず、「真核生物」である微生物の代表が、「菌類」です。

え、「細菌」とは違うの?
って思いますよね。違います。類なのに、違うんですよ。ややこしいなあ!
ややこしいので、「真菌」とも言います。というか、ぼくら食品衛生の世界では、こっちの呼び名のほうが寧ろポピュラーですので、以降も「真菌」でいくとしましょう。

この「真菌」の代表格が、「カビ」です。
カビを「細菌」の一種だと思っている人は結構多いかもしれませんが、実は全く違います。
似たようなもんだろ、と思うかもしれませんが小さいだけで実は生物としては全く似ていません。
つまり生物として完全に別のものなんですが、一番の違いはまず大きさです。
「細菌」はカビより遥かに小さく、そしてそれは細胞自体が違っているからです。
大腸菌や乳酸菌などの「細菌」に比べて、カビはずっとずーっと遥かに人間に近い「真核生物」です。
先にも書いたように、カビの細胞は人間のそれに近く、しっかりとそこに「細胞核」があります。
これがあるとないでは違うのです。

ちなみにキノコや酵母もまた真菌の一種です。
そのほか、「真核微生物」には原虫や寄生虫なども含まれます。

(当然コウジカビも、真菌の仲間です)

「細菌」は「原核生物」

次に「細菌」を見てみましょう。
先にも挙げた大腸菌や乳酸菌など。
あるいは前回触れたサルモネラ(下画像)だったり、カンピロバクターやO157(腸管出血性大腸菌)といった食中毒菌。
これらが「細菌」です。
ノロウイルスやコロナウイルスなどは含まれません。あれらは、「ウイルス」であり、また完全に別の生き物です。

「細菌」は「下等微生物」。細胞に核を持たない「原核生物」です。
細菌などの原核生物の多くは、自分のまわりにある有機物を体内に取り込むことで生きています。
で、この「生きている」、つまり生物である、というのがちょっとしたポイントです。
「いや、そりゃ生物だろ」と思うかもしれませんが、いやいや。実はここが細菌と「ウイルス」との最大の違いなんですよ。

さて、この「細菌」というのは、食品衛生上における微生物のなかでも最も対象の頻度になりやすい微生物です。
というのも食品の栄養を体内に取り込む過程で、様々な問題を起こすことが多いからです。
「食べ物が腐る(腐敗変敗)」というのも「細菌」による仕業ですし、食べ物の中で増殖したり毒素を作ればそれが食中毒を起こします。


(サルモネラも細菌です)国立感染症研究所

「ウイルス」は「非生物」

さて、ではこれら細菌に対し、コロナウイルスやノロウイルスなどの「ウイルス」はどう違うのか。

ここでちょっと振り返ってみましょう。
カビなどは細胞に核がある「真核生物」でした。細菌は細胞に核がない「原核生物」でした。

では、「ウイルス」はどうか。
細胞すらないのが、「ウイルス」です。
細胞がないと生物ではありません。
そう、「非生物」という扱いが「ウイルス」なのです。

ウイルスは細胞がないので、自分だけで増殖が実は出来ません。
かろうじて生物が皆持っている「核酸」(DNAかRNA)とタンパク質で出来ているので、まあギリで生物…?みたいなところです。
存在としては、タンパク質で遺伝子をくるんで作ったコピーロボットのようなものです。

あ、コピーロボットって、若い人はわからないかな?(汗)
コピーロボットというのは、藤子不二雄の漫画「パーマン」に出てくる、鼻を押すと押した人をコピーしたかのようにその人と同じ姿・形・性格・能力になるぬいぐるみのようなロボットのことです。
って、そこの昭和ヘッドな諸君なら、勿論おなじみだよね!ね、ね!?

真菌と細菌、ウイルスとは増え方が違う

真菌と細菌・ウイルスは、増え方がそれぞれ違います。
先にも書きましたが、カビは「胞子」で増えます。これはキノコも同様です。
一方、細菌は自身の細胞を分裂させることによって増えます。
生物ならぬ非生物であるウイルスは、細胞を持っていないので自分をコピーさせるようにして増えます。

細菌とウイルスについては次の後編で詳しく解説するので置いておいて、ここで少しだけ真菌の増え方について触れておきます。

先の通り真菌といえば、その筆頭がカビです。
カビは「菌糸」という糸状につながった細胞で出来ていて、「胞子」をばらまいて増殖します。
この胞子が発芽すると、「菌糸」といって、さながら植物が根をはるかのようにそれを伸ばしていきます。
そしてこの菌糸の先からまた胞子をぼろぼろと出して、また増殖していきます。


文部科学省

カビのみならず、キノコも実はそうです。
というか、ぼくらが普通にキノコだと思っているのは、あれはキノコの胞子を作り貯めておく器官「子実体(しじったい)」」のことなのです。


札幌市

カビとキノコはほとんど生物的には変わりません。
せいぜいその違いといったら、その子実体が見てわかるかそうじゃないかくらいのものです。
肉眼で普通に「キノコだよね」と確認できるくらいに大きい子実体を持っているのがキノコで、見えなくくらいに小さいのがカビです。
事実、キノコが子実体をつくる前、通常はカビのような菌糸の状態でいます。
また非常に小さいキノコも中にはあって、それはもうカビとほとんど変わらないようなものだったりもします。
要は、その区別は割とアバウトだということです。

一方、パンやビールなどを作ってくれる酵母。
発酵には欠かせない酵母ですが、あれは確かに糸状ではないものの、これもカビの仲間です。
酵母は、「出芽」あるいは「分裂」によって増殖します。

ところで、ある食品を常温で放置していると、当然ながら腐敗します。
これは細菌がそこで繁殖したからです。
昨日の話ではないですが、ショートケーキを常温で置いておくと、カビは生えませんが、しかし乳酸菌が増えて異臭(酸臭)が発生します。

ではカビはどうして生えないんだ、と思うかもしれませんね。
これは、カビの繁殖は上のように胞子をばらまいて増やしていくので時間がかかるからです。

後編の論を先取りするようですが、細菌の繁殖は細胞分裂で行われるため、倍々ゲームで増えていきます。
1個の細菌が、早ければ30分後には2個に分裂し、それが1時間後にはさらに分裂して4個になります。
大腸菌などはもっと早いとも言われています。

よく、使った雑巾が夏場などは、翌朝にはもう匂っていたりしますよね。
あれも細菌の繁殖によるものです。
たった一晩で数千個にも細菌が増えるからです。

一方でカビはもう少し時間をかけてゆっくりと成長します。
このケーキだってあと数日放置すればカビが生えるでしょう。意外と生洋菓子はカビが生えやすい食品の筆頭でもあります。
実は食品というのは、多くの微生物にとっては生存競争にさらされた戦場です。
特に水分が多く栄養素の高い生鮮食品や生ものならなおのこと。
そこで先手必勝で増えていくのが細菌です。まず、増殖スピードの速い細菌が先にスタートダッシュで繁殖します。マリカーでいうとヨッシータイプですね。
一方で、生長の遅いカビは後手になりがちですが、やがてじりじりと勢力をあげていきます。
そのうちカビが広がっていくのですが、それに至る前に普通の人なら異臭に耐えられず処分します。

おっと、ちょっと逸れたかな。
つい食品の話に引っ張って話を進めてしまうのは職業病ですね(笑)。

まとめ

今回は、前編、後編と二部にわたって「細菌とウイルスとカビの違い」についてのお話をさせて頂いています。
そしてこちら前編では、微生物と呼ばれる生物の分類についてお話するとともに、カビなどの真菌とそれらの違いについて主にお話させていただきました。

次回の後編では、今度は細菌とウイルスについて、どのように違うのかをお話していきたいと思います。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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