最新の食品業界ニュースから気になった話題を定期的にピックアップし、食品衛生管理のプロの目線からコメントさせていただきます。
今回は、このクリスマス時期~年末にかけて、立て続いて発生している大規模な異物混入事故についてお話をしていきたいと思います。

なおこの記事は、前回、そして今回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら②はその後編となります)

本日の時事食品ニュース

 

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

カラムーチョの食品事故発生

(こちらは二部構成の「後編」になりますので、もしこちらから来られた方は、まずは「前編」を最初に読んでください。)

さて、このところ連発した大規模の食品製造業の製品回収について、まずはマルコメの異物混入について前回はお話いたしました。
では続いて、湖池屋のお菓子である「カラムーチョ」の製品回収についてのお話をしたいと思います。

湖池屋は25日、スナック菓子「スティックカラムーチョホットチリ味」の計約5万個を自主回収すると発表した。
本来商品にはないアレルギー物質の小麦が含まれる別の味付けの商品が一部に混入したため。
現時点で健康被害の報告はないという。

「カラムーチョ」は湖池屋が製造・販売しているスナック菓子です。
湖池屋というのは、日清食品ホールディングスの連結子会社で、スナック菓子を中心とした商品を製造・販売を行っているメーカーです。

湖池屋は、このカラムーチョの他、ドンタコスやポリンキー、スコーンなどのヒット商品をもっており、なかでもポテトチップスはカルビーと並んでトップのシェアを争うスナック菓子メーカーです。
まあ、カルビーの独走の次を万全にキープする、安定の万年2位メーカー、というイメージが強いですけど。

そしてこのカラムーチョの歴史は、思ったよりも古く、1975年に遡る。

実はポテトチップスを最初に開発した元祖ポテトチップスのオリジナル屋は、湖池屋でした。
しかし70年代、そこに巨額の資金力にモノを言わせて参入してきたモンスター企業がカルビー。
カルビーは、その資金力で次々に各地にポテトチップスの工場を設立。
あっという間に市場のシェアをかっさらっていった。

というのも、当時のスナック菓子はまだ現在ほどに商品研究が進んでおらず、スーパー付近の工場で出来たばかりのポテトチップスを販売しないと日持ちがしなかったのです。
そのため、湖池屋とのポテトチップス戦争は、巨大な設備投資が可能だったカルビーに軍配が上がります。

その結果、シェアトップの座を奪われた湖池屋は売上低迷によって経営が危うくなってしまいました。
ここで1975年。湖池屋は起死回生の挽回策として、これまで市場になかった「辛い味のスナック」に目を向けます。
そして開発された「辛さ狙いのスナック」が、この「カラムーチョ」だったのです。

今となってこそ、「辛いお菓子」というのは普通にありますが、しかし当時は社内でも大きな反発があったということ。
しかしこのカラムーチョは、話題になったCM効果もあって、見事にヒット。
見事に経営危うい湖池屋をすくい上げ、そして45年も経った今なおも、累計約21.5億個(2020年現在)をも売り上げる安定の鉄板商品として作られ続けています。


湖池屋

…というのがカラムーチョのお話。
ここまでは、まあネットでちょっと調べれば誰でもググれます。

さて今回の事故は、よくよく見れば、製造上のミス。
というのも、湖池屋の京都工場で製造した「スティックカラムーチョホットチリ味」に、誤って「スティック海苔カラムーチョスパイシーのり味」のフレーバーでの味付けをしてしまった、ということのようです。
しかもこの「スティック海苔カラムーチョスパイシーのり味」の味付けには小麦粉が使われている。
小麦粉はアレルゲンの一種でもあります。
そのため、場合によっては健康被害にも繋がりかねない。
まあ、そうではない人にとっては「なんか違う味付けが入ってるー!(笑)」とTwitterかインスタに画像を投稿して済む程度の話でもありますが、しかし企業対応としてそれで健康被害が起きたら大変だ。
そこで今回、5万1,900袋の回収に踏むきった、という流れのようですね。

ここで食品メーカーの人は、ちょっと置いておいて。
一般の人向けの話を一応しておきます。

スナック菓子は勿論ですが、多くの食品に多くの味付けのバージョンが出ていますよね。
同じ商品でも、これは何味、でこっちは何味、そっちはまた違う何とか味、みたいな感じで。
これらは元々同じように作った製品を、違う味付け、フレーバー、添加物などで作り変えるのが一般的です。
工場には製造の「切り替え」というのがあります。
ある時間でこの製品を製造し、時間が来たら別のものを製造する。そういう製造の切り替えです。
おっと、当然ながらこういう場合は、徹底したライン洗浄が必要です。
何故なら別の資材のコンタミネーションが起こってしまうことを防がねばならないからです。

さて。今回のカラムーチョの事故は、この切替時に誤って違うフレーバーを使ってしまった。
つまり、フライヤーで揚がってきたスナックにフレーバーをまぶす工程ラインに、本来なら「スティックカラムーチョホットチリ味」用のフレーバーを用いるはずだったのだけど、何を誤ったのか、「スティック海苔カラムーチョスパイシーのり味」のものを用いてしまった。
そのため、そこで作られたあるロット分が出回り、それを回収する、という。
そういう、言うてみれば割とシンプルなヒューマンエラーです。


湖池屋

あるのはヒューマンエラーではなくシステムエラーだ

そう、先にぼくは「ヒューマンエラー」と言いました。
ですが、製造管理、品質管理、ここに「管理」という言葉がつくとき、一番考えなければいけないポイントがあります。
それは、「問題の要因を属人にしない」ということです。
何故なら、それをこいつのせいだ、と属人化してしまうと、またそういう人が来れば問題が再発するからです。

これは別に製造管理、品質管理のみならず、衛生管理においても全く同じ話です。
だって、そこには「管理」があるからです。
すべからく「管理」というのは、システムによって回る「仕組み」にコミットするから「管理」なのです。

「そこにあるのはヒューマンエラーではなく、システムエラーだ」

これは、とある優れた技能を持つ名衛生管理屋による名言…では全くなく、実は今や映画「えんとつ町のプペル」で飛ぶ鳥を落とす勢いの、あの「キングコング」の西野さんが、自身のYoutubeでオンラインサロンでのトラブルに対し、「こう考えて対応している」として語った言葉なのですが、まさに然り、我が意を得たり。
さすがの超天才、これこそ管理の本質を付くものです。

そう、問題が発生したときに、そこにあるのはヒューマンエラーではなく、それを防げなかった管理、構造、仕組みの問題、システムエラーがあるはずなのです。
(その詳細は以下記事を参照ください)

あと全然関係ないですけど、三日前の12月25日から公開が始まった、そのキンコン西野さんが制作・監督・脚本を行った映画作品「えんとつ町のプペル」。
実は昨日うちの子供たちと一緒に見てきましたが、一言で言うと、めっちゃあかんやつです。

こりゃあかん、マジであかんやつや。
こんなん見せられたら、娘と親子揃ってボロ泣きしてまうやんけ…。

システムのどこに問題があるのか

おっといけない、話を戻します。

フレーバーを間違えた。これはシンプルな人為的なミスでもあるのですが、ここで一番考えるべきは、「ではどうしてそれを防げなかったのか」ということです。

保管時の記載の問題なのか(P)、あるいは作業の仕方や従事者の教育の問題なのか(D)、ではなくその異常を見つけられない確認の仕方の問題なのか(C)、それともその問題が管理者に報告されないからなのか(A)。
それらは全くわかりませんが、いずれにせよこういう取り扱いのミスが起こるにはなにかのPDCAサイクルのシステム上の問題がある、と考えなくてはいけません。
何故ならこの問題は、ただ「味が違うね」で済まない問題を今後、やもすれば起こしかねないからです。

では工程上の取り扱いミスというシンプルなミスが、何を起こすのか。
お菓子なら、アレルギー以外なら「中身違う!www」のTwitterネタでしかないでしょう。
では、これが薬品ならどうですか。
それで騒がれているのが、死者すら出した先日の小林化成でのこの異物混入事故です。

 

やれダブルチェックしていなかった、そもそも工程が厚労省認可のものではない、云々と様々言われていますが、いずれにしたってシステムエラーがそこにあったことは間違いない。
報道はどうぞご自由にすれば構いませんが、一つ一つあがる事象や事例に「けしからん」と眉をひそめて俗情の溜飲を下げることはメディア消費にふける一般の人たちに任せるとして、食品衛生を、衛生管理、品質管理を目指すぼくらはそこから「システムエラーはどこにあるのか」という学びを、くれぐれも忘れないようにしましょう。
勿論、これはぼく自身にも向けた警鐘でもあります。

まとめ(重要なお話)

今回は、二部にわたってこのところ連発した大規模の回収事案についてのお話をさせていただきました。
まあ、各事例については「そういうことが起こった」というだけに過ぎません。

ではここで一番重要なことはなにか。
それは、いずれにしたって、こうした問題が起こるにはそこにシステムのエラーがある、ということです。
少なくとも、そう捉えるのが衛生管理であり、品質管理というものです。
何故ならそれが「管理」というものだからです。

そして「システム」とは、PDCAサイクルそのものです。
ISOやHACCPシステムなどの「マネジメントシステム」、つまり日本語すれば「管理の仕組み」。
それらはまさに、PDCAサイクルをどう管理するのか、ということです。

「PDCAサイクルはオワコンだ」
そういう者のオツムこそ、完全に終わりきっています。
何故なら、本質を判っていない、理解出来ないということを自らドヤ顔で晒しているからです。
IT世界の事情は全く知りませんが、少なくともこの食品衛生の世界での本質は、ここにこそあります。

これ、マジで有料級の考え方です。
よく噛み締めてみてください。
なお、それらに関わる有料級のお話を以前書いていますので↓、どうぞこの年末年始のお時間のあるタイミングにでも読んでみてください。

 

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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