最新の食品業界ニュースから気になった話題を定期的にピックアップし、食品衛生管理のプロの目線からコメントさせていただきます。
今回は、このクリスマス時期~年末にかけて、立て続いて発生している大規模な異物混入事故についてお話をしていきたいと思います。

なおこの記事は、今回、そして次回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら①はその前編となります)

本日の時事食品ニュース

 


マルコメ

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

クリスマス~年末年始に起こる異物混入事故

(こちらは二部構成の「前編」になりますので、もし「後編」から来られた方は、まずはこちらを最初に読んでください。)

前回に書いたばかりの話ですが、クリスマスから年末年始というのは意外と、異物混入などの食品事故が起こりやすい時期でもあります。

 

…と、そんなことを書いている間に、それを証明、象徴…とまではいかないかもしれませんが、それに関わるような大規模な回収事案となった食品事故が立て続いたので、今回はそれらについてお話していくとしましょう。

ということで、まずは実際に発生した事故の報道紹介から。

まず先日12月25日、一般的にはクリスマスと言われる日に、マルコメのインスタント味噌汁の中に異物混入事故が発生し、28万個の製品回収が報じられました。

長野市に本社があるみそメーカー「マルコメ」は、即席みそ汁の一部にゴム片が混入していることがわかったとして、27万点あまりを自主回収すると発表しました。
これまでのところ健康被害は寄せられていないとしています。

そしてその後、同日12月25日、今度は湖池屋がスナック菓子「カラムーチョ」について、製造上のミスが生じたため、製品回収を発表しました。
こっちは異物混入ではなく、誤充填ですね。
こちらは5万袋以上の回収である、とのことです。

湖池屋は25日、スナック菓子「スティックカラムーチョホットチリ味」の計約5万個を自主回収すると発表した。
本来商品にはないアレルギー物質の小麦が含まれる別の味付けの商品が一部に混入したため。
現時点で健康被害の報告はないという。

それではこれらについて、少しばかり深掘りしながら追っていくとしましょう。


マルコメ

行政リコールではなく自主回収

まず、一番最初に断っておきます。
これらの2つの回収はいずれも規模が大きい回収事案ではあります。
ですが、行政リコール、つまり「行政から回収するよう命じられてやっている」というわけでは、全くありません。
つまり彼らは何も、法律を破っているわけでは全くない、ということです。

…というと、カラムーチョのほうはアレルギー問題があるので全く微塵も悪くないとも言えないところなんですが、しかし。
少なくとも食品衛生法を違反しての回収ではなく、企業自身が自主的に回収します、という話です。

今回はここが話のメインではないので、重要なポイントだけ触れることにします。
そのことをより詳細に書いた記事がありますので、詳しくはそちらを読んでみてください。
(以前に読んだ、という方はこの項は飛ばして頂いても結構です)

 

さて、ここではサラっと簡単に。
異物混入を起こしたらすぐに法律違反、ただちに回収しなくちゃいけない、と一般の人々は勘違いしていることが多いですが、そんなことは全くありません。
食品衛生法で定めらていることは、「健康被害を起こすような食品を製造・販売してはいけない、その場合は回収させるよ」ということです。

ここで重要なのは寧ろ、逆に言うなら、実は食品衛生法ではこのくらいしか定められていないってことです。
「え、異物混入?あ即回収ね。」なんてことは法律上は一言だって言っていない。
だからこれらを含め、世で毎日行われている製品回収は、あれは企業が自主的にやっている「自主回収」なのです。

では、何を基準にしてやっているのか。
実はそんな標準的な判断基準は存在しません。だって自主的にやっているんだから。
つまりは食品メイカー個々が、その自社判断によって行っているものなのです。
なのでその線引はもう各社それぞれなのですが、しかしそれらを具体的に見てみると、およそ次のような共通点が見られます。
それは、「社会への影響」「事故の拡散性」という二つの視点から、次のことを鑑みて判断されることが多いです。

食品企業の自主回収判断基準
  1. 健康危害
  2. 法令への抵触性
  3. 発生件数(拡散性)
  4. 社会的影響

 

1の「健康危害」や、2の「法令への抵触性」については、まあ理解が容易くできるところでしょう。
健康危害、例えば食中毒やアレルゲンなどの深刻な食品安全に関わる問題であれば、それは確かに回収判断となることでしょう。

更には、「健康被害」や「法令への抵触性」がないとしても、問題が拡散してしまっている可能性のある場合にも、企業の責任として実施することには、ある程度は頷けます。
今回のマルコメがそれですね。尤も、それでもここまでやるか、といったところもないわけではないですが。

しかし4つめの「社会的影響」。
これは、目に見えるかたちや数値がない分だけ、かなり微妙なところじゃないでしょうか。

企業側からすれば、「ブランドイメージの維持を目的に」、といったところかもしれませんが、しかしこの要素が実は回収件数を増している大きな要因となっていることは容易に想像できること。
やもすれば、世間の「けしからん」を恐れての「ごめんなさい」な反省回収、といったことになりかねない。

てゆーか、はっきりと言ってしまえば、「炎上と誹謗中傷が怖いから仕方なくやってる」、ということです。
実際、多くの食品メイカーはこの理由によって苦汁の判断で、「万が一のために」「万全を期すために」と口で言いながら、日々自主回収を行っているのではないでしょうか。

自主回収なんか当たり前だ、と思っている人も多いですが、ちょっと待ってください。
それ、全て消費者に周り回って値段という形で跳ね返ってきてますからね。
当たり前です、ただで回収業務なんて出来ません。
どころか、折角物流コストを払って原料を仕入れ、それを人件費や資材費を使って製品にし、仕入れた包材で包装して製品としてまた物流コストを払って出荷し、店舗に並べたものを、今度は業者や人件費などなど様々なコストを払ってそのロット分、また集めるのですよ?
勿論、回収された商品は廃棄処分です。そんなものを他に再利用するバカな企業は、普通いません。
これ以上のフードロスはないと言ってもいいんじゃないですかね。

マルコメのインスタント味噌汁で異物混入事故が発生

それでは、話を本題に戻りましょう。

というわけで、さて。
クリスマスも終えて、2020年もあとわずか。
もうすでに仕事納めを果たした、という方々もおられることでしょう。

尤も、食品業界というのは~ここをよく見られている方々はそんな業種の方も多いことでしょうが~年末というのは年間きっての繁忙期だというところも多いもの。
年末年始のお休みだって、そうそうたやすくは取れない…という事情を持つ方々が多いのも、よーく!本当によーく、存じています。

で、そんな中。
実はこのところ、立て続いてそこそこな規模の回収案件が出ているのをご存知でしょうか。
前回にあんな記事を書いたぼくですが、正直な話、実際にそうしたことが起きているのを、アップした後に知りました。
いや、何だかワザとら感もあるかもしれませんが、本当に本当なんです。(笑)

ていうか、本当だというかマジで本当にそういうもんなんですよ、食品業界の年末の繁忙期事情なんてものは。
そこで、このところ連発している回収事故、これらをちょっとクローズアップして見ていくとしましょう。

そんなわけで、まずはマルコメから。
先にも語ったように、12月25日、インスタント味噌汁の中にゴムの異物混入を起こし、約28万個を回収対象とすると発表しています。

 

マルコメと言ったら、坊主頭のマルコメ君が出てくる「マルコーメー味噌ー。」のCMで知られる「マルコメ君」ですよね?


マルコメ

マルコメは味噌の国内シェア率ダントツNO.1を誇る、味噌業界トップ企業です。
しかもマルコメはシェア率において続く2位のハナマルキをおよそ二倍ほど離しており、その次に3位にひかり味噌が続いています。
どうも味噌業界というのはこのハナマルキ、そしてハナマルキ、ひかり味噌の三社でおよその市場の50%以上をも寡占しているのが実情であったりします。

しかも、これら三社は皆、長野県に本社を置いているということ。
まさに長野は、知る人ぞ知る味噌王国なのです。

いずれにせよ、こうした味噌製造業は中小規模の製造業者が各地に散らばっており、そこにおいてマルコメは帝王の座に君臨している、ということがわかります。


マルコメ

で、今回の事件。
そのマルコメの作るインスト味噌汁の中に、製造設備の一部であるゴム片が混入していた、ということです。
製造は2020年の10月14日の午前10時半から10時59分までの間、ということ。
この30分足らずの間で製造したもの、というのだからかなりピンポイントです。その間に何らかの製造上のトラブルが生じたのでしょう。
しかもそれで同ラインで製造された3商品の計約28万点が回収対象だというのだから、味噌の製造中に起こったことになります。

にしても、この時期に回収発表ですからね、
少しばかり、マルコメの社内対応について、想像してみるとしましょうか。

恐らくは、このタイミングから逆算して、実際に消費者からクレームを受けたのは、12月中旬頃あたりでしょうかね。
本社はクレーム受理とともに、この事態の深刻さから(明らかに工場内の問題発生である、拡散性があるなどを踏まえ)、直ちに工場に一旦の製造中止と原因究明調査を命ずるとともに、消費者に謝罪と検体回収、すぐに検査分析に出します。
ここで大体2、3日の動きです。
尤も、この時期はどの検査屋も年末対応で手詰まりでしょう。
どこだってその事情は似たようなものなのです。
せいぜい特急でお願いしたって、4営業日程度はかかるでしょう。
この年末時期というのは、得てしてそういうものなのです。
で、マルコメとしては、それと同時進行で社内で大慌てで対策を策定していきます。
そうこうしている間に、検査機関から分析結果が到着。これが出ないとまともな話が出来ません。ていうか、出せません。
でこれに基づいて、社内調整を経て数日後、回収発表といったところか。
それが一般的な食品メーカーの動きというものです。

しかもこれから工場は、再発防止対策に追われ、それを年始が終わる頃までは終えて、本社報告しなければいけないでしょうね。
工場側、本社担当ともにこの年末年始休も吹っ飛ぶ大変さであることは間違いない。
いや、きっと心身ともに休んでいる場合じゃない、となっていることでしょう。
心中お察しいたします。

というのも、蒸し返すつもりもありませんが、マルコメは実は4年前の年末年始にもインスタント味噌汁への異物混入事故を起こしているのです。


マルコメ

尤も、このとき混入したのは外装の中。
商品自体に影響はありませんでした。
ただし、この時も混入したのは、ゴム片。
インスタント味噌汁は袋詰された味噌と具材を外装内に包装することで構成されている商品ですが、この外装の中に、袋詰の具材を吸着させて外装に詰める機械の吸盤が破損して混入した、というものでした。
通常、ここで一旦懲りるところでしょう。

しかし数年経って今回もまた劣化破損したゴム片混入だ、となった。
しかも今度は外装内では済んでおらず、味噌の中への混入です。
ということになれば、工場はこの事故で一体何を反省したんだ、再発してるじゃないかという話になるのが普通です。
やもすれば幾つか首が飛びかねない。
しかもこのコロナ期の年末に、です。

なんだか可哀想になってきてしまいますが、これが異物混入事故というものの現実の実態なのです。

まとめ:前編

いい加減、長くなってきてしまいました。
しかもマルコメだけで終わってしまいました…。

そこで後編はカラムーチョの食品事故をメインに、食品事故の本質についてにも触れていきたいと思います。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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