暮れも押し迫った師走の今日この頃、皆さんの工場でも大掃除(重点清掃)を行う計画があるかと思います。
そこで今回は、日々現場の衛生状況をチェックしているプロの身から、食品工場においてチェックすべきポイントを10点ほどご紹介いたします。
いずれも意外と見落としがちだったり、やもすると大きな問題へとつながるものだったりすることばかりです。
なおこの記事は、前回、そして今回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら②はその後編となります)

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

いよいよ年末!大掃除のシーズンです

(こちらは二部構成の「後編」になりますので、もし「前編」から来られた方は、まずはこちらを最初に読んでください。)

 

さあ、それでは工場や厨房での年末の大掃除、後編です。
前回の前編では、年末がいかに工場や厨房の大掃除に向いているか、またどんなところをチェックし、清掃すればいいかについてお話し、そして年末の大掃除でチェックすべきポイントを10個ほどピックアップさせていただきました。

年末の大掃除で絶対チェックすべき10のポイント
  1. プロダクトゾーン周辺
  2. 什器、設備の下
  3. 什器、設備の内部
  4. 空調設備
  5. 還気設備
  6. 台車
  7. 照明設備
  8. 長期保管物
  9. 外周
  10. 以前問題になった箇所

 

そして、これらのうち1つ目の「プロダクトゾーン」、そして2つ目の「什器や設備の下」、3つ目「什器や設備の内部」については、すでに前回で解説いたしましたね。

では、次は4つ目の「空調設備」から、以下7つについて解説していくとしましょう。

④大掃除では「空調設備」をチェックすべし

では後半戦、行きますよ!

年末など、年数回程度のこうした重点清掃のときに、是非ともチェックしていただきたいところがあります。
それは、空調設備、エアコンです。

ここで少しばかり、空調設備とカビのお話をするとしましょう。
そもそも食品工場や厨房の空調施設というのは、家庭やオフィスのものとは環境や事情が完全に別モノです。
何故なら工場内や厨房の空調施設というのは、カビをはじめその他の問題においてそれらと比べて遥かに過酷な状況を求められるからです。

まず、工場や厨房では、家庭やオフィスと比べて遥かに水を多用します。
さらには高温調理も規模が違います。室温も当然高まります。
それらを前提として作られるため、風量も非常に大きいものが求められます。
となれば、当然空調内の結露水も多く出ることになりますし、まずはそれ自体がカビの要因になることは言うまでもないでしょう。

加えて、工場内や厨房内はそもそもカビの生きる条件にあふれています。
そして高温調理したものは大きな冷蔵庫や冷凍庫で冷却・凍結されることになり、そこに大きな温度差が生じます。温度差は自ずと結露を生じさせます。
しかも食品を作る環境というのは、それ自体がカビの格好の生きる条件に重なりがちです。
例えば穀粉を多用すればそれが舞い上がり、空調のフィルターに付着します。これが堆積すればカビはこれを栄養として増殖をすることになります。
空調のフィルターなんてたやすくカビの胞子は通過しますから、空調の送風によってカビの胞子はさらに遠く、室内にばらまかれることになります。

このように、家庭やオフィスの空調に比べて、工場や厨房の空調はカビをはじめとした問題をはるかに大きく潜在的に孕んでいるものです。
ですからこれらの空調は、少なくとも年に1回くらいは内部の分解洗浄をしないと、想像以上にカビや汚れが進んでいることが多いものです。
ましてや数年やっていない、いや前にいつやったか覚えてすらいない、なんて場合には結構な確率で問題が悪化していることが多いものです。

これらのことを含め、工場内のカビ対策、空気の清浄対策を進めるにあたって、空調設備というのは非常に重要な存在となります。
もっというなら、製造室内で最もカビを拡散している存在、それが実は空調だったりもするからです。
だから内部がカビだらけの空調というのは、カビの拡散機ですらあると思ったほうがいいでしょう。

尤も、そうはいっても予算というものがあるでしょう。
空調の内部清掃を外部業者に依頼したら、1台数万円はかかりますからね。
話は判るが、なかなか対応出来ない話も、よくわかります。
ならばせめて出来ることはしておきましょう。

フィルターは清掃されていますか。埃がたまったままになっていませんか。カビはそれを栄養に増殖しますよ。
吹き出し口はどうですか。
こうしたところを洗浄したり、極力アルコールを用いて拭き上げておくだけでも結構違うものです。

またその空調の冷風によって、夏の間、天井や壁面などに温度差でカビが生じていることがよくあります。
こういう場合、高確率でチャタテムシ類が発生します。
やもすれば、その天井裏で大発生することだって、珍しくはありません。
ですから空調のみならず、その周辺にも注目してみてください。

⑤大掃除では「換気設備」をチェックすべし

空調設備と一緒にチェックすべきもの、それが給排気の換気設備です。
こちらは空調に比べて、意外と忘れられやすく見落とされがちになるのですが、しかし空調同様に問題が起こりやすいものの一つです。

とくに還気設備のうち、排気のほうに注目してチェックしてみてください。
というのも、場内空気を排気する際に粉などを吸い上げてしまい、排気ダクト内で問題になるケースは非常に多いからです。
排気ダクトの中に、場内で使用している穀粉が堆積し、そしてそれによってカビが生じている。
こんなこともよくあります。
やもすれば、これらを発生源として昆虫が発生することすらあります。
シバンムシがどこに営巣しているかわからない、と調べてみたらこの排気ダクトの中だった。そんな事例は掃いて捨てるほどにありますし、腕利きのぼくならまず真っ先に疑うポイントですらあります。

といっても、こうした排気ダクトなどは奥まで手が届かないので結構厄介です。
まずは手の届くところまでの清掃をしておきましょう。
それから、こうした問題を防ぐために、出来るところにはフィルターを設置しておくのも有効です。
いい機会ですから穀粉を多用するエリアの排気口だけでも、細かいメッシュを取り付け、ダクト内に粉体や虫が入らないようにしておくといいでしょう。

一方で、給気のほうはといえば、こちらは空調同様、冷風による結露の問題が起きやすいものです。
これもまた放置すれば、素敵なカビ拡散設備となります。

⑥大掃除では「台車」をチェックすべし

複数人の作業員にお願いができるこの重点清掃だからこそ、したほうがいい清掃があります。
それは台車の洗浄です。

本体、内部、裏側、ホイール。
意外と、というか結構台車は汚れているものですし、それでも放置されているものです。
だって考えてみてください。
まず、台車というのは床面を移動しますよね。つまりそれは、床に落ちている様々なものがそこに付着しやすい、ということを意味します。
そしてそれがそのまま放置されがちになっているのが、台車という存在です。

さらに台車などを山積みにしている場合、その場所は場内の汚れや残渣、粉体、資材片などを集め、カビや虫をそこで育てている空間になりかねない、という自覚を持ったほうがいいでしょう。
え、その隣は冷蔵室だって?
長らく台車が空いたことがない?
今すぐそれをどかしてみてください。高確率でカビの温床になっているはずです。

そしてもうひとつ。
工場の問題の多くは、その台車によって媒介され、広がることが多いです。

番重洗浄室で発生していたチャバネゴキブリが、台車に付着し、それが製造現場に持ち運ばれていた。
台車に付着した小麦粉からシバンムシが発生し、それを原料もろとも倉庫から製造室内に持ち込んでいた。
台車に広がったカビが、他のエリアにもさらに拡散していた…。
こんなことは挙げればキリがない話です。

いい機会ですから、台車を全部清浄してしまいましょう。
「マジかよ、こんな数あんのに?」
マジです。大マジです。
だって、そんな機会はこの重点清掃以外に、いつあるというのですか?
どうせやらないのだったら、今この機会にこそやりましょう。それが出来る唯一のタイミング、それがこの年末の大掃除じゃないですか。


ワコーパレット

⑦大掃除では「照明設備」をチェックすべし

前回、最初に「プロダクトゾーン」について話させていただきました。
工場内の暴露ライン、資材や製品がむき出しになるエリアはどこか。それが「プロダクトゾーン」である。
そして、その頭上半径1メートル内は、最も異物混入の危険性が高まる重要なポイントである。
だからこのプロダクトゾーン上はしっかりと管理しなければいけない。
…というお話をしましたね。

では、一般的にその「プロダクトゾーン上周辺1メートル」に一番多くあるものは、一体何だと思いますか。
それが実はこの「照明設備」なのです。
実際に、ご自身の工場を見渡してみれば判るでしょう。

照明にカバーがついている、埋め込み式のLEDを使っている。
こういう場合にはリスクは大きく軽減するかもしれません。
ですが、普通に蛍光灯を使っている、なんてときには注意が必要です。
意外と蛍光灯って舞い上がった穀粉が付着していたりするものです。

それともうひとつ。
懐中電灯などと一緒に、できれば大掃除のチェック時に持ち歩きたい道具があります。
それは、照度計です。
蛍光灯が切れたままになっている、外れてしまって放置している。
そういう工場は結構多いです。
あなたの工場は切れっぱなしの蛍光灯はありませんか。
またそうした場合、照度はしっかりと保たれているでしょうか。
照度が不足していると、製品の異常発見に遅れたり、検品のし損ないが生じかねません。
こうしたことを防ぐため、照度計によって場内灯火の確認を行うことをお勧めします。

なお、どのくらいの照度があればいいのかについては、以前にこちら↓で解説していますので、あわせてお読みください。

 

⑧大掃除では「長期保管物」をチェックすべし

工場内で長らく、ずっと保管されているもの。
ありますよね、あることは知っているけれど誰も触らず、見えているけれど見えていないに近いもの。
そもそもそれ、「保管」じゃないですよね、「放置」ですよね、管理してないですよね…ってやつ。
こういうものってどこの工場にも結構あるものですが、それ本当に大丈夫ですか?

こういうものを5S管理では「死品」と言います。
使われず、休んでいるわけでもなく、死んでいるもの。
一言で言えば、不要物。
いや、そうじゃないんだ、全く不要だというわけじゃないんだ、それいつか使うんだ…とされながら、ぶっちゃけここ数ヶ月以上、やもすれば年単位で使われない、いやいやそれやっぱり死んでるやん、というもの。
5S管理上ではこれらをまず、真っ先に「いらないもの」として除去します。
ここから5Sは始まります。
なぜなら5Sとは、「整理」から始まり、そしてその「整理」とは「いるもの」「いらないもの」を区別し、「いらないもの」を処分するところから始まるからです。
だからそれをしていないのは、その工場は5S管理が徹底されていない、と言われても全く言い訳が出来ない状況にある、と思ったほうがいいでしょう。

例えば、試作で少しだけ使用して中途半端に残った資材が長らく開放したまま、製造現場、あるいは資材保管室や計量室などに放置されていた。
ってこれ、割とあるあるじゃないですか。
いい機会なので、その有無もチェックするとともに、とっとと廃棄処分してしまいましょう。

とくに粉体は、長く保管していると昆虫も発生しやすくなります。
あちこち探したメイガの発生要因がここだった、そういえば気が付かず放置していたっけ。よくある話です。
ぶっちゃけ、もう使うことはないでしょ?
直ちに廃棄すべきです。

それから、問題になるのは長期保管の資材だけではありません。
比較的見過ごしがちなのは、しばらく使わないで場内に置いたままにしている機材や製造機械類です。
こうした機械類をすみずみまで清掃せずに、放置している。これ、結構あります。
結果、機械内部に粉体や資材片が付着したままになっていたり、いつの間にかそれらによってカビの温床になっている、なんてことは割と起こりがちな話だったりします。

あなたの工場の製造現場内に、しばらく使っていない機械類はありませんか。
この機会に一度、よく見てみることをおすすめします。

⑨大掃除では「外周」をチェックすべし

さあ、そろそろ大詰めになってきました。
でもまだ気を緩めてはいけませんよ。

場内もある程度チェックした。
しかしここでよく見落としがちなチェックの盲点、それが外周です。
敷地内の緑地帯、外部倉庫、側溝などなど。

とくにこの時期は側溝などに落葉がたまりやすく、ここが昆虫の越冬箇所になっている、なんてこともままあります。
寒い冬の外でも、落葉の中は温かいもの。みすみす生息場所を与えているようなものです。

また敷地内の緑地帯の土壌部などに、ネズミの住処などはありませんか。
ネズミは柔らかな土の中に「鼠穴」という小さな穴を掘って、冬の寒さから逃れようとします。
これらを放置していると、場内へのネズミの侵入リスクにつながりかねません。

さらには庇への鳥の巣などもチェックしてみましょう。
「まあ、かわいい」
判ります。よーく判ります。
でもそこは仕事と、割り切りましょう。
かわいい鳥の巣から、トリサシダニなどの吸血性のダニや食中毒菌を含んだフンなどが落下するからです。
これについても、以前記事を書いているのでそちらをご参照にどうぞ。

 

⑩大掃除では「以前問題になった箇所」をチェックすべし

さあ、最後にですが。
大掃除では、以前その工場で問題になった箇所を再度チェックしてみましょう。
今年、夏場に問題になった。昨年、一昨年、そういえばここで大きな問題が生じた。
それを思い出してみてください。

これ、めっちゃ大事です。
過去の経験こそ、何よりの問題要因の手がかりです。
というのも、多くの工場というのは大概、同じ問題を繰り返すからです。
何か問題を起こしては、いつの間にか解決し、そしてまた再発する。
ほら、耳の痛い話でしょ?
工場の数だけ、そういう問題があるものです。
まずは以前に発生した問題を思い出し、そしてそれが再発されていないかを、どうぞチェックしてみてください。

まとめ

前回、今回と二回にわたって、年末の大掃除でチェックすべき10のポイントについて解説させていただきました。

年末の大掃除で絶対チェックすべき10のポイント
  1. プロダクトゾーン周辺
  2. 什器、設備の下
  3. 什器、設備の内部
  4. 空調設備
  5. 還気設備
  6. 台車
  7. 照明設備
  8. 長期保管物
  9. 外周
  10. 以前問題になった箇所

 

このように、年末というのは場内の眠っている潜在的な問題を解決し、リセットさせるまたとない機会だったりします。
これらのポイントを踏まえながら、どうぞあなたの工場内や厨房内を見回ってみてください。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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