暮れも押し迫った師走の今日この頃、皆さんの工場でも大掃除(重点清掃)を行う計画があるかと思います。
そこで今回は、日々現場の衛生状況をチェックしているプロの身から、食品工場においてチェックすべきポイントを10点ほどご紹介いたします。
いずれも意外と見落としがちだったり、やもすると大きな問題へとつながるものだったりすることばかりです。
なおこの記事は、今回、そして次回と、二部構成でお話させて頂いています。
(こちら①はその前編となります)

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

いよいよ年末!大掃除のシーズンです

(こちらは二部構成の「前編」になりますので、もし「後編」から来られた方は、まずはこちらを最初に読んでください。)

さあ、皆さん。2020年も、もう残すところあとわずか。
やり残していること、終わらせ切れていないこと等々、もしかするとあるかもしれませんね。
ていうか実をいうとぼく自体、まだ年内の仕事が山積みでして。いやマジでこれ本当に終わるのかといった状況だったりします。あー見たくない知りたくない!

さて。
年末といえば、大掃除。
皆さんの工場や厨房などでも、場内の大掃除(重点清掃)の計画を立てているところも多いことでしょう。
そこで今回は、衛生管理上、その大掃除においてどんなところをすればよいのかについてお話したいと思います。
意外とこれ、見えているようで見落としていることの多いポイントばかりです。

年末こそ工場・厨房の大掃除がベストタイミングである理由

おっとその前に一つ。
なぜ今このタイミングで大掃除をするのか、ということについて触れておきましょう。

ご家庭などはさておくとして(いやそっちも同じだったりもするんですが)、プロの視点からしてもこの年末というのは大掃除のベストタイミングだったりします。

理由は次の通りです。

年末こそ大掃除がベストタイミングである理由
  • 問題が悪化しづらい
  • 昆虫の発生、生息がしづらい
  • カビの進行が進みづらい
  • (業種によっては)繁忙期の問題が放置されがち
  • 徹底的に掃除しなくてはいけないイメージを従事者がいだきやすい(自発性を生じやすい)

 

まず多くの問題が、夏場に比べて比較的悪化しづらい、というのがあります。
つまり、今のうちに先手を打っておくことで、予防対策となり得る、要は「問題を未然で抑えられる」ということです。
これは非常に大きいメリットです。
なぜなら問題は起こってしまってからではなかなか改善が難しいからです。

特に顕著なのが、防虫対策の面でしょう。
冬季なので発生もしづらく、生息も少ない。
だから今のうちに春夏に向けての対策が打ちやすくなります。
今それをやっておくと、今後の春夏の問題のリスクを大きく回避出来るようになるでしょう。

さらには温度差による結露の問題なども、冬は比較的みられない。
だから今このうちに、カビ対策などを計画しておくのも有効です。

ただしここで重要なのは、「これらの問題はなくなったわけではなく潜伏しただけに過ぎない」、ということです。
人間、喉元すぎれば何とやら。
あの夏の苦労もすっかり忘れがちなもの。
ですが、はっきり言って、その問題は何も手を打たなければ来年、同じ時期にまた同じことが繰り返されます。
つまり「終わった、よかった」ではなく、次の春夏にまた同じことが繰り返される、それがただ穏やかになっただけに過ぎない、ということです。
問題が顕在化しない今だからこそ、先に手を打っておくのです。
この大掃除のチェックは、そのためのものだと知るべきです。

それと、もう一つ。
意外かもですが、実はめちゃくちゃ重要なのが、「大掃除というイメージ」です。
結局、やるのは人間です。
生身の従事者なのです。
ですから自発ではなく他発的に、ただ命令で動かすだけでは効果を出しづらいのが大掃除です。
その点、年の節目であるこの年末というのは、やはり大掃除、というイメージがあるかと思います。少なくともこの国で普通に生きているのであれば。
自発性のモードにさせる。これ、めちゃくちゃ重要です。
だって思い出してみてください。あれだけ手洗いをしっかりやれ、手洗い後のアルコール散布をしっかりやれ、と教育に難しかった去年までと比べて、このコロナ下の今はどうですか?
さあ、年末だから大掃除だ、とそう掛け声をかけるだけで清掃の効果は大きく違いますよ。
お試しあれ。

年末の大掃除ではどこをチェックするべきか

では具体的に、工場や厨房の大掃除をいするにあたって、どのようなところをチェックすればいいのか。
それらを挙げていく前に、まず前提として「年末の大掃除ではどんなところをチェックするべきなのか」について、少しばかりお話をしておきたいと思います。

ズバリ、年末の大掃除でチェックすべき箇所は、大きくこのようなところです。

年末の大掃除でチェックすべき箇所
  • 日頃の清掃で手や回らないところ
  • 日頃の清掃で目が回らないところ
  • 日頃の清掃人数や時間内ではできないところ

 

そもそも「清掃」というのは、その実施する頻度や内容によって大きく幾つかに区分出来ます。

まずは毎日行う、「日常清掃」。
それから週に一回行う、「ウィークリー清掃」。
あるいは月に一回、日を決めて行う「マンスリー清掃」。
さらには何か問題を発見したときに行う、「臨時清掃」。
そして、年に数回行うこの「重点清掃(一斉清掃・リセット清掃)」

まずは、このくらいに区分して考えてみるといいでしょう。
さて、その中でこの年末の清掃というのは、いわゆる「重点清掃」という区分です。

これはどのような目的で行うのかというと、日常清掃や週度、月度で行う清掃でもこぼれがちなところを「せーの!」で行う、リセットのための清掃です。
そのため、なかなか手が回らない場所、あるいは目が回りづらいところを行う清掃だととらえるべきです。
また日頃の清掃では手が足りず、判ってはいるけれど出来ていない、なんてところも多いかと思います。それをするための清掃が、この重点清掃です。

各工場によって事情や状況は全く違うかとも思いますが、しかしこれらについてはどの工場においても皆共通していることが多いことでしょう。
よって、これらを踏まえた上で、次のような箇所についてチェックしてみてください。

年末の大掃除で絶対チェックすべき10のポイントはこれだ

さあ、それではこれから具体的に、10のポイントを挙げていきます。
まずは一通り、ざざっとその10のポイントを先にお伝えし、そして一つずつそれらを解説していこうかと思います。
年末の工場や厨房の大掃除で絶対チェックすべき10のポイントとは、こちらです。

年末の大掃除で絶対チェックすべき10のポイント
  1. プロダクトゾーン周辺
  2. 什器、設備の下
  3. 什器、設備の内部
  4. 空調設備
  5. 還気設備
  6. 台車
  7. 照明設備
  8. 長期保管物
  9. 外周
  10. 以前問題になった箇所

 

さあ、どうでしょうか。
これだけでは「ん?」となるかもしれませんね。
でも大丈夫、
これから一つずつ、これらのどこをどのようにチェックすればいいのか、どこに注意すればいいのかについてまで、詳しくお伝えいたします。

①大掃除では「プロダクトゾーン周辺」を真っ先にチェックすべし

さあ、最初の1つ目からいきましょう。

最初に、年末の大掃除ではどこをチェックすべきか。
それは一にも二にも、「プロダクトゾーン」です。
まず真っ先に、何よりも優占して、いの一番でチェックすべき箇所。それが「プロダクトゾーン」です。
あなたが管理職だったり、品管さんだったりしたらなおのこと、まずは現場や部下にその清掃を指示すべきです。

「プロダクトゾーン?何それ美味しいの?」
そういう方もいるかもしれませんね。
ですが、食品工場の品質管理さんでもし「そんな言葉、初めて聞いた」なんて人がいたら、それはちょっとだけ勉強不足ですね。
なかでもパンやお菓子の製造に関わっている人、それは結構ヤバいっす。しっかり覚えていきましょう。

「プロダクトゾーン」というのは、「AIB」で使われる用語です。

A…えー、あ、あ…
「愛撫」?

ちげーよ!!

「AIB(エーアイビー)」とは、「全米パン協会」(American Institute of Banking)のことで、食品工場の衛生管理についての監査を行っている団体でもあります。
この「AIB監査」は、一般的衛生管理に比重を置いている、実践的な監査であることが特徴です。
ぼくも監査に立ち会ったことが何度かありますが、あくまで現場が第一、徹底した現場主義の監査なのです。

おっと、AIBの話はまた別にするとして、とにかく製造現場ありきのこのAIB。それを象徴している一つが、この「プロダクトゾーン」という独特の考え方でしょう。

結論から言えば、「プロダクトゾーン」というのは、資材や製品がそのままむき出しになる場所や工程であり、さらにはこの「暴露工程」に対して半径1メートル内の頭上のことを言います。

この考え方は、異物混入対策上、極めて重要です。
なぜなら、そのプロダクトゾーンにある問題こそが、異物混入事故に進展する要因に直結するからです。

例えば、お弁当工場での盛付工程など。
製品、食材がむき出しになっているその工程がプロダクトゾーンとなります。

ではもしその工程の頭上、作業員が食材を盛り付けている真上の天井近くにケーブルラックが通っているとしましょう。
そのケーブルラック上にもし、インシュロックが割れて外れていたら、どうなるでしょう。
風でポロっと落ちたらどうなるでしょう。
異物混入リスクへと直ちに直結しはしませんか。
このリスクは、例えば倉庫のケーブルラックなどプロダクトゾーン以外で見られた同じ状況に比べると、より重特性が高くなると思いませんか。

こうした考え方が、プロダクトゾーンです。
つまりプロダクトゾーンというのは、HACCPでいうところの「重要管理点(CCP)」だとも言えます。

なので、まずはあなたの工場で製品や資材の暴露工程、つまりプロダクトゾーンはどこなのか。
その上には何があるのか。それはどうなっているのか。
大掃除をするにあたっては、まずそれを考えてみてください。
なぜならそのプロダクトゾーンこそが、最優先に対応すべき場所だからです。

特にここでチェックすべきは、「プロダクトゾーンの上部周辺1メートル」です。
このプロダクトゾーンの頭上半径1メートル内は、最も異物混入の危険性が高まる重要なポイントです。
だからこのプロダクトゾーン上はしっかりと管理しなければいけない。

これがAIBでも重要な、そしてぼくも共感する非常に意味深い考え方です。

プロダクトゾーンの頭上半径1メートル内はどうなっているか。何があるのか。
天井部は、ケーブル類は、照明類は、パイプ類は、フード内外部はどうなっているか。
粉汚れや付着物やカビや落下の危険性のあるものはないのか。
つまりダイレクトに製品を害してしまうもの、その要因となりそうなものはないのか。
これをチェックすることは、異物混入防止上でも非常に重要な手段になります。

②大掃除では「什器、設備の下」をチェックすべし

おっと、のっけの1つ目から結構長文になってしまいました。
ここからはサクサク進めるとしましょう。

さあ、まずはプロダクトゾーンをチェックしました。
続いてチェックすべきは、「工場内の什器や設備の下」です。
これもしばしば問題が起こりやすい箇所、にも関わらず普段あまりチェックされたり清掃からこぼれやすい箇所だからです。

例えば、ミキサーやパッカーなどのライン機械、あるいは冷蔵庫、急速冷却機、コールドテーブル、コンベア、シンク、洗浄機など…。
こういうところって、普段あまり清掃が行き届かないですよね。
そうしたところを、懐中電灯を片手に、徹底的に覗き込んでみてください。
洗浄機の下や冷却機、シンク下などは汚水が溜まりやすいところですし、残渣などが入り込んでもそうそう除去清掃をしないでしょう。

しかも得てしてこういうことは現場サイドだって、ぶっちゃけそれを判っているけれど、知っているけれど、時間がない。手間がかかる。
ていうか、正直に言うと、面倒くさい。だから、やらない。放置している。
それがほとんどだと思います。
だからこそ、今がそれをやるいい機会なのです。
ていうかマジで今こういうときにやらんと、絶対やらんでしょ?

そもそも機械の下や冷蔵庫の下、急速冷却機の下なんてほとんど清掃していない、そういう工場も非常に多いものです。
しかし実はこれらの下は、結露水が垂れていたり、粉溜まりになっていたり、あるいは機械やモーターの熱で温かかったりなどで昆虫の発生要因、あるいは生息箇所になっていることも少なくありません。

例えば冷蔵庫、フリーザーなどの下には温度差によってカビが生えやすくチャタテムシ類やヒメマキムシ類などがよく発生していたりしますし、ミキサー下などは粉が飛散し、貯穀害虫の生息要因になっていることもあります。
洗浄機などは温水を使うことから、ゴキブリも営巣しかねません。

このように、什器や設備の下は多くの昆虫の生息を与えてしまいかねないため、この時期のうちに清掃し、要因をなくしておく必要があります。

③大掃除では「什器、設備の内部」をチェックすべし

またこれらの什器や設備の下だけではなく、内部にも目を向けてみてください。
例えばどこにでもある冷蔵庫のモーター部。このモーター周りというのは、常に問題の巣窟です。
冷媒管にカビが発生していたり、場内の穀粉が舞い上がって堆積していることも珍しくないものです。
コールドテーブルなどもそうです。

あるいはスライサーやミキサーのモーター部なども、資材片が散乱したりしていませんか。
洗浄機の中はどうでしょうか。
コンベアの内部はどうでしょうか。

また、意外とピローなどの包装機の下や内部で残渣が散乱していたり、最悪シバンムシなどの昆虫の発生源になっていることもあったりします。↓

このように、表面だけでなく、その下部、そしてその内部なども、こうした機会にチェックしてみるといいでしょう。

まとめ

半分くらいいけるか…と思っていたのですが、3つめにして早くも結構長くなってきてしまいました。
4つ目からの残る7つについては、次回の後編でお話することにします。

年末の大掃除で絶対チェックすべき10のポイント
  1. プロダクトゾーン周辺
  2. 什器、設備の下
  3. 什器、設備の内部
  4. 空調設備
  5. 還気設備
  6. 台車
  7. 照明設備
  8. 長期保管物
  9. 外周
  10. 以前問題になった箇所

 

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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