最新の食品業界ニュースから気になった話題を定期的にピックアップし、食品衛生管理のプロの目線からコメントさせていただきます。
今回の話題は、日本各地の給食で見られている給食の金属異物混入についてお話します。

本日の時事食品ニュース

 


NHK

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

甲府市の小学校給食に針金が混入

甲府市の小学校の給食に針金が混入していた、というニュースがあがっています。

NHK NEWS WEB
甲府市の小学校給食で異物混入|NHK 山梨県のニュース
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20201023/1040011307.html
23日正午すぎ、甲府市の池田小学校で児童1人の給食の中からはりがね1本が見つかりました。児童にけがはありませんでしたが、甲府市教育委員会…

 


NHK

23日正午すぎ、甲府市の池田小学校で児童1人の給食の中からはりがね1本が見つかりました。
児童にけがはありませんでしたが、甲府市教育委員会は原因を調べるとともに、24日、調理業者などを集めて再発防止に向けた研修会を開くことにしています

 

ではこれについて、プロの衛生管理屋として少しばかり考えてみたいと思います。

各地で発生している給食への金属異物混入

全国の小中学校や幼稚園、その他などで時折、というよりも割とポコポコ起こるのが、給食への異物混入。
とくに金属異物というのは、本来、口にして口内や体内を傷つけるなど健康被害に直結しやすいため、重特性の高い混入案件です。
にも関わらず、このようにポロポロと、給食では起こっている。

これらの原因の一つは、小規模の給食事業者や給食センターでは、高額の金属探知機を導入することが設備投資的に厳しいということ。

そもそも給食というのは、まあコロナウイルスで急遽長期休校、といったような特殊なケースを除けば、学校の稼働日数や生徒数など、ある一定の供給、つまりは売上を見込むことが出来ます。
しかしそのぶんだけ、えらい安く買い叩かれる、ともされています。
結果、ビジネスとしてそれほど旨味がないし、それを踏まえたら設備投資は現実的にムリ、というところも実際には多いようです。

現実問題、金属探知機なしに金属異物をなくせ、というのは確かに困難、ムリゲーな面もないわけではない。
しかし、原因のもう一つとして、それを言い訳に金属異物の対策をなまけている、ということもあるでしょう。

これね、
厳しい指摘に聞こえるかもしれませんが、しかし一般の食品工場からすれば、そんな言い訳は絶対に、100%絶対に、通用しません。
何だったら、どこの食品工場の品管さんにでも試しに聞いてみるといい。
製品に、ビスが入った、針金が入った、機器片が入った。
それらに言い訳が成立するのか、聞いてみるといい。
呆れて苦笑されますよ、彼らに。

だから食品工場では、金属異物混入対策として、様々なルールを設けて、それこそ毎日チェックし、問題を解決し、製造しているのです。
持ち込み制限品は何なのか。
機材の点検は、いつ誰がどうやって行い、どう記録し、最終的に誰が責任を持つのか。
仮補修に何を使うのか。
その確認は、いつ誰がどうやって行うのか。
こうした取り決めのもと、そのルールが日常的に遵守されるよう、従業員を教育し、管理していく。
そして実は、それらの日々の行いこそが金属(に限らずですが)異物混入対策の根幹なのです。
金属探知機というものは、その後に使用されるものです。
何故なら、そもそも金属探知機というのはあくまでそうした異物混入対策の検証であって、これに異物対策を頼るようなものでは本来ないからです。
そういう認識自体がないということ自体、甘いとしか言いようがない。

おっと、ではそんなことを踏まえながら、本題に入っていきましょう。

山梨県の小学校給食に針金が混入

そんなわけで、これから幾つかの給食への混入事故を見ていくわけですが。
尤も、給食への異物混入の全てが報道に取り上げられるわけではありません。
というのも、教育委員会による異物混入発生時の対応マニュアルというのは自治体単位で設けられているため、管轄の保健所への報告はなされるものの、それ以外は個々に違っているからです。
よってこれ以上も異物混入事故が発生している可能性も多分に考えられる、というかされています。

しかも今月初頭には、給食の牛乳にネズミの死骸の混入があったことも記憶に新しいこと。
うちでも以前、記事に取り上げて深堀りしてきましたね。

 

で、今回は山梨県の小学校の給食に、針金が混入していたという。
ひじきのカレー炒めに混入していた、児童は食べておらず健康被害は発生していない、という話です。


NHK

実際のところ、本当に工場由来の混入なのかは判らないですが、とりあえずニュースのまま受け止めるとするなら、この給食業者は先月には別の中学校の給食でトングの留め具の異物混入をやらかしたばかりだという話。

確かに冒頭の通り、給食施設などでは金属探知機が備えられていない環境が多く、またもしあったとしても全ての献立を金属探知機にかけられるわけではありません。
よって食品内に混入した金属の異物検出が出来るわけもなく、ある意味においては仕方がないという面もあるのですが、でもそれにしたって立て続けというのはタイミングが悪い。
言い分はあるでしょうが、しかし現実にこうやって再発するからには、それなりの要因が現場にあるのでしょう。
厨房内の持ち込み制限ルールはどうなっているのか、日々の作業前・作業後の点検は誰がどうしているのか、異常があった場合の対応はどうしているのか、云々。
それが地域の保健所の指導程度で本当に改善されるかは、うーん、難しいんじゃないですかね。

茨城県の小学校給食にネジが混入

そうかと思えば、そのたった数日前に茨城県の水戸市の小学校でも、給食の異物混入事故が発生しています。
ホンマ連日やな!

NHK NEWS WEB
小学校給食でパンに金属製破片|NHK 茨城県のニュース
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20201021/1070011095.html
20日、水戸市の小学校の給食で出されたパンにネジの一部とみられる金属製の破片が混入していたことがわかりました。口にした担任教諭にけがはな…

20日、水戸市の小学校の給食で出されたパンにネジの一部とみられる金属製の破片が混入していたことがわかりました。
口にした担任教諭にけがはなく、体調不良を訴える子どももいないということです。

 

こちらは、「ココア揚げパン」に、ネジの一部が混入という。
給食のパンは、給食センターでは当然作られません。
普通、地元の業者から納入するものです。

さて、パンに異物が練りこんでいたことから、言い訳も出来ず明らかにそちらの工場での原因ということになります。
恐らくは製造施設で使われていたものが外れたかして、落下混入したのでしょう。

さて、一つニュースを読んで「ん?」となったこと。
ちょっと引用してみます。

水戸市教育委員会によりますと、同じ業者で20日製造され、21日出荷されたパンについては、金属探知機で異常がないことを確認したうえで提供したということですが、22日以降は、保健所で安全が確認されるまでは代替のパン業者から調達して対応していくということです。

つまり、
「翌日分の給食のパンについては金探かけて問題ないと確認して提供したけれど、まだ原因が特定できておらず不明なままなので、一応その翌日からは違う業者のパンを使うよ」と書かれています。

ん…………?

……待て、待て。
いやおい、ちょっと待て。

てことは、問題があったパンも金属探知機で検品してるってことだよね!?
コッペパンだろ?
ネジだろ?
この大きさ、この形状だろ?

検出されなかったんかい!?

…あのー。
この工場、ちゃんと金探使って、ないよね…!?

 

ちなみに、このようなネジの混入は先月9月にも、佐賀県で起こったばかりです。
ですがこちらは、ご飯の上にあったということ、同様のネジが工場内に見つからないということ、要するに「教室で入ったんじゃないですかね」と。
給食の混入事故にはこのようなこともあるので、注意が必要です。


佐賀新聞Live

新潟の中学校給食に金属片が混入

もう一つ、最近の事例を挙げておきましょう。
これも先月起こったものですが、これがなかなか面白い。
新潟県燕市の中学校の給食に、こちらも針金なのかな、金属片が混入ということ。


kenoh.com

この給食は地域の給食センターで作っている、とのこと。
で、この混入が他のものと違うのは、その給食センターの言い分がしっかりとなされていることでしょう。
少し記事を引用してみるので、読んでみてください。
言っていること、判ります?

燕市教育委員会では、異物の特定、混入経路と混入に至った原因を調査している。西部学校給食センターの調理機器には金属が欠けた部分などは見つかっていない。
西部学校給食センターでは、肉などは調理前に金属探知機を通しており、業者が異物混入を検査してから納品されている材料もある。

野菜は下処理の段階で異物を発見できるので、金属探知機を通すことはあまりない。
また、配送中や学校での盛りつけ中に異物が混入する可能性もあり、必ずしも西部学校給食センターで混入したとは限らない。

 

まずここで混入した献立は、「沢煮汁」だとのこと。
…て何それ?
うーん、よく判らないけれど、汁物の様子です。
恐らくは大鍋で煮て作るのでしょう。

で、この給食センターは、要するに、こう言っているわけです。

給食センターの言い分
  • 肉などの資材に関しては金属探知機を通して調理しているから、それら由来の異物混入の可能性は低い
  • 野菜は下処理段階で目視確認をしているから、それら由来の異物混入の可能性は低い
  • その他原料資材に関してはその製造元で検品されて納品しているので、それ由来だったらウチの責任じゃない
  • となると後は調理工程時に生じた、調理器具や機器などの破損による混入しかウチには混入経路がない。しかしそれに関しては場内に欠損が見られていないから、それら由来の金属異物混入の可能性は低い
  • (心の声:だからウチで混入した可能性は高くはない。つーかぶっちゃけ学校側で入ったんじゃないの?)

 

どうでしょうか。
結構しっかりとした対応をしているように思えませんか。
少なくとも他の事例よりも、給食センター側の説得力があるように思えませんか。

まあそりゃ確かに突っ込もうと思ったらないわけではありませんが(下処理の目視確認だけで野菜の異物を検出するのって結構ムズくないすか?とかね)、それはあくまで想像の域。
とりあえず、これが給食センターに本来望むべき最低限のレベルだと思います。

茨城県阿見町の学校給食に金属探知機を導入

さて、上にある「ココア揚げパン」への混入を起こした茨城県。
ここでは、一方でこんな試みも行われています。


産経新聞

茨城県阿見町の給食センターでは、今年2回も連続しての異物混入を立て続きに起こしてしまったことから、金属探知機と野菜洗浄機を導入するとしたのです。
野菜洗浄機は、重い異物を沈ませたり、虫などを野菜から除去させるのに便利ですし、それのみならず生野菜の食中毒対策にもなるでしょう。

こういう野菜洗浄機を導入している給食センターは珍しいのだとか。
確かにぼくも目にしません。

また金属探知機なしで金属異物を防ぐのは、現実的に困難です。
その意味でも、金属探知機の導入も評価されるべきかとも思います。

ただし、すべての食材を金属探知機に通せるわけではありません。
そもそもこの給食センターがこれらを導入させることになったきっかけの異物混入というのは「クリップ」だとのこと。
一般的な食品工場では、ゼムクリップは場内への持ち込み制限対象であることでしょう。
何故なら、それらがいつどこで紛失したのか、定数管理ができないからです。
把握できなければ、異物混入したとしても現場は判りません。
だから、それが混入したという自体が、間違っている。
普通の食品工場なら「そんな危険なもの工場内へは持ち込んでないからウチではありません」となりますからね。

その意味では、金属探知機などの設備、つまりはハードに頼って「導入したからいいだろ」ではなく、ソフト、つまり場内のルール作りやチェック管理を変えていかないといけない、ということも進めていくべきです。


産経新聞

まとめ

今回は日本各地で頻発している、学校給食への金属異物の混入についてのお話をさせていただきました。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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