海外やアメリカにいるはずのゴキブリが、日本で見つかる。
一方で、日本にしかいないはずのゴキブリが、アメリカで見つかる。
こんなこと、あるのでしょうか。
それとも…
これって、もしかして、G達、住み替わってる~っ!?

はい、古くてベタなネタ失礼しました。
改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

チャオビゴキブリという衝撃

ちょっと、ぼくの昔話をさせてください。

誰もが、その名を知っている。
いやむしろ、超一流ホテルといったら、ここだろう。
そんな某超一流ホテルの一室で、ゴキブリが発生しているから何とかしてほしい、という相談を受けたことがあります。
ぼくが大手害虫駆除会社に勤めていたときの話ですから、かれこれ10年くらい前の話です。

「私の手には負えないので、高薙さん、なんとかお願い出来ないでしょうか。」
そう、かつての部下から泣きつかれ、現場に向かったのを覚えています。
ちなみにそのとき、とある理由で本社の開発研究部から一人、動向に加わりました。

 

さて、室内は一見して「豪華」。それ以外の言葉が出てこない。
何これ、ハリウッド映画のセットなの?
最初に現場についたとき、思わず出てきたのが、こんな感情です。
不潔?
冗談じゃない、いつ誰が来ても、最高のおもてなしができる。
そんな部屋でした。

我々一行は、そんな一流ホテルの一室に数日間ほどゴキブリ用の生息調査トラップを仕掛け、その部屋にゴキブリがいるかどうかを調べることになりました。

このようにゴキブリがいるかどうかを調べる場合、トラップを仕掛ける場所というのは、定番ともいうべきポイントがあります。
つまり、ゴキブリはどこにいつも生息しているのか、といったポイントです。
まずは、何はさておき、水回りです。
ホテルだったらお風呂やトイレ。
それから、もしあるなら餌の近いところ、キッチン回りや冷蔵庫回りです。
特に冷蔵庫裏やその下などは温かいうえにドレン水なども生じるため、恰好の住みかになります。
こういうのは現場経験ありきなので、んじゃここで、あとここに、それからここも、みたいな感じで、ぼくの指示に従い、部下達が生息確認トラップを置いていく。
そんな流れがしばらく続きました。

そうこうしていると、なんと。
同行していた、本社の研究スタッフがいきなりぼくに指示をしたのです。

「ベッド回りにもトラップを仕掛けてください。」

ええ!?

いやいや。
お前が、俺に、この俺に、言うのかよ…!?

はい、
そうですよね、説明不足ですよね。

ええとですね、この頃のぼくを説明させてください。
ぼくは当時15年以上、衛生管理の相談や虫駆除の現場をひたすら回っては、あらゆる難問を攻略し、あらゆる虫を駆逐してきた最高峰の精鋭技術屋でした。
そう。
さながら、ベトナム、そしてアフガン。
かの地で恐れられた歴戦の猛者であり、伝説ともいえるあのグリーンベレー。
ま、言うてみれば、ランボー、です。

 

で。
そんなランボーに、ですよ。
戦場の「せ」の字も知らないニワカ研究室の室内眼鏡キャラが、なんとランボーに意見したのです。
あの瞬間。
心の中のランボーが、かなり激しく突っ込みましたね。

「お前が言うのかよ!」

(ランボー怒りのツッコミ)

ありとあらゆる戦場を駆け抜け、百戦錬磨とも言える戦果をなしてきた、このランボーに対して、ですわ。
どんなミッションもこなし、戦場にもはや敵なしと恐れられてきた、このランボーに向かって、ですわ。
ウラナリ程度が、何指示出してんのか、と。

いや、一応名誉として言うなら、ぼくだけじゃないですわ、
部下数名、そこにいた彼ら皆が皆、そう思いました。…と思います、多分ですが。

さて。
そんな研究室しか知らないウラナリの指示に従って、ランボーは仕方なくトラップを設置したわけです。
数日後、どうなったのか。

驚くべきことに遭遇しました。
なんと、他のトラップには捕まらなかったゴキブリが、ウラナリの指示したベッドの照明近くにだけ捕獲されたのです。
こんなとこ普通は捕まることがないであろう、そんなところだけで、ゴキブリが捕まったんです…。

ええーっ!?

ランボー間違ってんのかよ!?

いや、いや待て、いや…。
こんなん、たまたまだろ…!?
そんなはずがない、断じて、そんなはずがない。

…いや、違う。
認めたくないが、これはランボーの敗北だ。
ウラナリが正しかった。
戦場では、ただそこに虫がいたこと、それが全てだ。
それだけが正義なのだ。

認めよう。
ランボーは、
ランボーは、戦いに負けたのだ…。

(ランボー怒りの降参)

「日常の現場に起きている現象というのは、実は、ある一定の限りなく限定的な条件の中でのみ起こりうることなのだ」
BY 高薙。

そんな事実と、この不思議なゴキブリの存在をランボーは10年前、この豪華すぎるホテルの一室で初めて知らされました。

「チャオビゴキブリ」。
そのゴキブリは、普通は海外にのみ生息していて、そして海の向こうではキッチンや水回りよりも、むしろ水のないテレビなどの機械回りやベッド、本棚や照明、ソファーの下などの乾いたところに住んでいる、ちょっと変わったゴキブリだったのです。

海外にしかいないはずのゴキブリが日本にいる?

あとから話を聞いてみると、その部屋はしばらくの間、アメリカから来た外国人が長期滞在のために借りていた部屋であったことがわかりました。
つまり恐らく、この「チャオビゴキブリ」は、そのアメリカ人が荷物などと一緒に日本に持ち込んでしまったものだった。
それがこの一室で生息を移した。
飢餓に強いこのゴキブリは、少ない水と餌だけでこの部屋で生きながらえていた…。

アメリカにいるはずのゴキブリが、何等かの理由で日本にも生息している。
そのことを知ったのは、あの時のこの体験がぼくにとっては初めてでした。

ですが、今もなお、このことはそれほど知られているわけではありません。
例えば、アジアや欧米などの海外からきた人が泊まるホテルや、外国人が引っ越しして住んでいるマンションやアパートなど。
そんなところで、チャオビゴキブリは生息拠点を僅かながらも、しかし密かに、作り始めているのです…。


Bugguide

「チャオビゴキブリ」とは

さあ、ここでようやく、チャオビゴキブリの説明ができるに至りました。

実は「チャオビゴキブリ」とは、世界の熱帯や亜熱帯に普通に広く生息している、屋内性のゴキブリです。
とくにアメリカでは、第二次世界対戦以降に海外から持ち込まれ、今や全米に渡って問題となっているゴキブリだったりします。
学名を「Supella Longipalpa」と言いますが、寧ろ「ブラウン・バンデッド・コックローチ」の名で知られています。
その名の通り、「チャオビ」の「ゴキブリ」、というわけです。


Featured Creatures

このように外観としては日本のチャバネゴキブリと、かなり似ているといっていいと思います。
ていうか、いいも似てるも何も、普通に捕まったそれを見て、「いやこれはチャバネじゃない、チャオビだ」と判明できる人はほとんどいません。

ただし、その生態には大きな違い、というか非常にユニークな特徴があります。
というのもこのチャオビゴキブリは、普通、キッチンなどにいないのです。
そう、チャバネゴキブリと違ってキッチンや風呂、トイレなどの湿った場所に住まず、寧ろ、テレビの裏や照明、寝室や戸棚など、乾燥していて温かいところを好む、というのです。
とにかくこいつは、湿度が苦手。
なので、餌を食べるときにだけ、キッチンなどに向かう。
そして普段は、乾いたところに潜んでいる。
そんなキッチンなどで固まって寄せ合い生きているようなチャバネゴキブリに慣れた身からすれば、一風変わったゴキブリです。

そう!
もうわかりましたね。
先のウラナリが、どうしてベッド付近にトラップを置くようにランボーに言ったのか、が。

そう、非常に優秀な彼は、このホテルが外国人によく利用されており、またその場合、もしかするとチャオビゴキブリである可能性があると踏んで指摘したのです。
チャオビゴキブリだったら、チャバネゴキブリみたいにバストイレなどにはいない。
いるならベッドまわりや棚まわりに違いない。
にも関わらず、この脳筋バカは、それを考えることすらない。
百戦錬磨じゃーwwwと思いこんでるアホなので、それがわからない。
そう思ったのでしょう。
ぐぬぬ、
や、やるやないか、ウラナリ…!

一方で、肉体派のランボーはアホなのでいつもどおりに、チャバネゴキブリだとしか思わなかった。
だからいるはずのないところにばかり、トラップを置いてしまった。
明らかな判断ミスです。
致命的な戦場のミスです。

(ランボー怒りの誤射)

まあ、確かにランボーのしくじりもわからなくはありません。
(て自分のことなのに!)
だって、こんなゴキブリ、まず日本にいない、ていうか、いるわけがないんですから。

そもそも、日本の本州に元々このチャオビゴキブリはいませんでした。
ていうか、今だってそうそうはいません。「そうそう」というか、まず、いません。
例えば、飲食店やら一般宅やらで遭遇するようなことは、ほぼゼロ、まあありえない、といってもいいんじゃないでしょうか。
事実、日本では1972年、小笠原の民家で発見されましたが、それ以来はほとんど見つかっていません。
今では、沖縄にもちょろっといるかも。そんな程度かと思います。
いずれにせよこれらがもし、万が一見つかった場合、それは先のホテルの話のようにアメリカから持ち込まれたのがたまたま、居座ったものだと推測されます。

そりゃ確かに現在は、昔に比べて物流は遥かに発達しているし、海外からの観光客も比べ物にならないくらいに増えています。
(まあコロナ時代だから、とはいえですが)
結果、外国からのチャオビゴキブリの持ち込みが増加した。そういうことも、考えられなくもないでしょう。
事実、先の例のみならず、幾つかのホテルの客室や入港した船、航空機の中などでも発見が見られている、とは聞きます。
その意味では、昔よりも増えている。そうは言えるかもしれません。
ですが、だからといってそれじゃあポイポイとそこらで見つかるかというと、そういうわけではないでしょう。相当に限られたところでしか、それでも、たまたまでしか見つからない。
そんな幻ともいうべきゴキブリです。

ちなみにこのチャオビゴキブリを駆除する場合、一般的なチャバネゴキブリに対する駆除方法では効果が見られないと言われています。
というのも、先からの通り、このチャオビゴキブリはキッチン以外の箇所に営巣しているからです。
なので駆除する、となるとキッチンまわりの集中的な駆除では殲滅しきれません。
研究結果によれば、チャバネゴキブリ同様の駆除をした場合には、80%以上は生き残る、という説もあるくらいです。
少なくともこの件、ランボーにまかせていたら駆除できなかったでしょう。

「だから、そんなとこにチャオビはいねーんだよ!」

(ランボー怒りの説教)

アメリカに和産ゴキブリが進出!

さてそんな一方で。
これとは逆に、日本だけに生息していた、まさに純和製ゴキブリが、アジア各国に飛び火した結果、かのニューヨークはマンハッタンに現れた、なんてケースも実はあったります。


公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会

ヤマトゴキブリ。
その名の通り、我が国土着の数少ない土着種。
東北から近畿にかけて、普通に見られる野生の土着型ゴキブリです。
江戸時代までは、屋内で見るゴキブリといえばこれでした。

黒々としていて、家の中にいる普通のゴキブリ(クロゴキブリ)と違って屋外に生きており、よって日本の自然環境でも越冬ができる、寒さにも相当強いゴキブリです。
一説では、北海道の野外にでも生息している、とも言われています。
(一方で、九州にはいないとも言われている)

というのも基本的に、熱帯原産の昆虫であるゴキブリは、寒さには滅法弱いです。
なのでこのヤマトゴキブリは、世界中のゴキブリの中でもかなり寒さに強いゴキブリだ、ということになります。
事実、中国北部にでも発見されたことがあります。

そんなゴキブリが、2012年の春、ニューヨークはハイライン・パブリック・ガーデンに送られた動物の餌箱から、2匹が生きて出てきたのです。
しかもアメリカで普通に見られるようなワモンゴキブリとも形態が違う。
遺伝子検査の結果、これは日本のヤマトゴキブリだ、ということになりました。

ニューヨークの気温は低く、ゴキブリの生活にあまり向いてはいません。
しかしそんなところに、寒さに強い日本のゴキブリが生息していた。
しかもその公園内には他にもこのゴキブリが多数いたともいわれています。
このことは、ゴキブリ研究家や昆虫学者への大きな衝撃となりました。

まとめ

このように、実は日米限らず、現代では様々な虫が、海を渡って持ち込まれたり持ち出されたりされています。
その結果、思いも寄らない昆虫が日本のどこかで発見される、そんなことは意外と多いものです。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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