皆さん、「レプトスピラ症」という感染症をご存じですか?
マイナーで余り知られてはいませんが、でもこういう秋の台風時期での洪水や水害、住宅浸水などが発生した際に、実は結構怖い感染症だったりするんです。
今日はそんな「レプトスピラ症」とはどういうものかについて、解説していくとしましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

台風の多い時期、秋の到来

すでにご存じのように、これを書いている今、超大型の台風10号(ハイシェン)が九州北部へと最接近している最中です。
(注:2020年9月6日現在)


ウェザーニュース

しかもこの強力巨大な台風によって、九州地方全域はおろか、四国、そして東海にいたる広い範囲で今後、記録的な大雨にとなるおそれがある、と報じられています。
尤もこの記事をあげる頃には既に台風一過、無事に終わっていることを祈らずにいられませんが、しかしまずは今のところ、そちらにお住みの方々のご安全を、心から願ってやみません。

さて。
このように、秋というのは台風が一番多い季節です。
知っての通り、日本では、夏から秋にかけて毎年、幾つもの台風がやってきては、水害などをもたらしています。
事実、昨年2019年10月には、ぼくの住んでいる関東地方にも大きな災いをもたらしました。

更にはその結果、河川の決壊、洪水、氾濫、そして住宅への浸水などが起こると、家屋などへの被害もさることながら、人々の健康への害というのも見逃せません。
そこで。
今回はそうした感染症の中でも、余り知られていないながらも実は怖い「レプトスピラ症」について、お話していくとしましょう。

巨大台風の最中に起こったある病気

昨年の秋のこと。
そう、
今からまだ1年も経っていない、2019年10月12日のことです。

皆さん、記憶をたどってみてください。
あったでしょう、あったでしょう。

ハギビス。
「疾きもの」を意味する名が冠された、しかしそれとは似つかわしくないほどに巨大な、国内観測史上、
いやあのときには地球市場最大級とすら諸説あるなか呼ばれた、未だかつてない超大型台風が、この日本列島に上陸しました。

東日本蹂躙。

そう言いたくなるくらいにこの台風が、記録的な大雨や強風をもたらし、そして甚大な被害をもたらしたかについては、皆さんの記憶にもまだそれほど古くはないことでしょう。


BBS NEWS

結果、我が国では「令和元年東日本台風」(令和元年台風第19号)とつけられたその台風に対し、日本政府は台風初の「特定非常災害」適用を行うなどし、結果敵には東日本大震災以来の広域災害となりました。

そして。
そんな台風が残した傷跡の一つが、防風による被害もさることながら、何よりも大雨による各地への大きな住宅浸水でした。
関東、東北各地の都市で、住宅地が水没。
そんなニュースが、あちこちからあがっていました。
皆さんもよく覚えていることでしょう。

さて、そんな最中のことです。

福島県在住の40台男性。
彼の自宅は、この大雨によってなんと首までつかってしまうくらいの浸水が生じたという話でした。
しかも彼はその浸水の際、流されてきた瓦礫によって、手足を負傷してしまったのです。

そんな浸水から数日たった、ある日のこと。
すでに水ははけたものの、泥だらけとなってしまった自宅の復旧を行っていた彼は、その最中、急遽強力な気だるさと微熱を覚えた、と記録されています。
そしてしかしその翌日、彼を襲った体温の上昇は更に39度以上のも高熱までにも跳ね上がったというのです。

これはどうしたことか。
最初は全く、病因がわかりませんでした。
ひとまず近隣の病院にてそれに対する対処療法がなされたものの、一向に回復が見られない。
どこから、悪化していく一方です。

やがてまもなく彼を襲った、謎の全身の筋肉痛。
直ちに彼は入院、精密検査となりました。
ところが、その間にもどんどん、症状は悪化する一方。

みるみるうちに、彼の肌は黄色く染まり、眼球結膜は充血。
そう、これは明らかな肝機能異常です。
つい数日前まで健康そのものだった彼は、この記録的な台風の数日後、絵に書くような重病人になってしまったわけです。

では、彼の病気は一体、何だったのでしょうか。
また、何が原因だったのでしょうか。

洪水や浸水は汚染された汚水である

結論から、言いましょう。
この男性の病気こそが、今回のお話である「レプトスピラ症」に他なりません。

いや、上における彼の症状は、もうすでにそこから更にワンランク重症化、悪化した、いわゆる「ワイル病」にまで至っていまっています。
尤もこの後、病因にて適切な治療を受けた彼は、やがて回復を見せていきます。
しかし、です。
もしこれを放っておいたら、あるいは適切な治療が受けられなかったら、命すら落としかねない、いや落としても何らおかしくなかった、そんな深刻な状況だったと言えるのではないでしょうか。

では彼は、どうして、そんな感染症にかかってしまったのでしょうか。

余り知られていないかもしれませんが、実は、洪水の水の汚染度というのは結構高いものです。
というか、あれはかなりの汚水です。
何故ならそこには、河川の水のみならず生活排水や下水、そして多くのゴミを押しあがした汚水、その他の化学物質をも含んだ濁流そのものだからです。

結果、洪水によって生じた汚水に触れることによって起こりうる感染症は、実は結構あったりします。

洪水や浸水によって起こる感染症
  • 経口感染症:腸チフス、コレラ、A型肝炎賞など
  • 汚染水からの感染症:レプトスピラ症、皮膚炎、結膜炎など
  • 傷口からの感染症:破傷風、レプトスピラ症など
  • 衛生害虫の増加を介しての感染:デング熱、マラリアなど

 

これらは、どちらかといえば複合的です。
汚染された汚水に、何らかに触れることで、何かの感染症になる。そういったほうが適切でしょう。

事実、彼が感染した「レプトスピラ症」。
これもまた、人体の傷口に汚水を触れることによって生じた感染症の一つでした。
しかしそれが結果的に、やもすれば命をも落としかけない事態を生じさせたわけです。
このように、ちょっと、いやかなりマニアックな感染症「レプトスピラ症」ですが、しかし実は重傷者や死亡者も出ている感染症だったりします。

では「レプトスピラ症」とは、どのような感染症なのでしょうか。

レプトスピラ症とは何か

少しだけ、専門的なお話になります。
まあ、この項は正直、流し読み程度で結構です。

よくあるように、レプトスピラ症というのは、「スピロヘータ」というらせん状のかたちの細菌の一種である病原体「レプトスピラ」によって起こされる感染症のことです。
で、このの「レプトスピラ」を、割と野生や屋外の動物は腎臓に持っていたりします。
特にねずみなどがよくかかってしており、その尿によって外に排出されます。

まあ、多くがその原因は、ネズミのおしっこにあるのだ思っていいです。

さて、尿に混ざって自然環境に出された「レプトスピラ」は、川の水の中や湿った土壌などに混ざって、数週間からやもすれば数か月は生きている、と言われています。
こうして出された糞尿に汚染されたものが、例えば汚染された水に入り、傷口に触れたり口から入るなどの何らかの形で人間の体内に取り込まれると、この「レプトスピラ症」を引き起こすのです。

レプトスピラ症の症状

レプトスピラ症の症状についても、一応、少しだけお話しておきましょう。
まあググればすぐ出る程度の軽い情報なので、さらっといきますね。

で。
レプトスピラ症の潜伏期間は3~14日と言われています。
やがて38度以上の発熱、悪寒、筋肉痛、結膜充血などといった症状が出始めます。
普通ならこのへんの軽症で終わり、その後は回復に向かうことが多いのですが、しかしです。

これがさらに悪化した場合、黄疸、出血、腎不全などを起こす「ワイル病」へと進み、最悪命を落としかねないほどの自体に至ることもあります。
冒頭の福島の40代男性を思い出してください。
つまり、無名で地味だけど、でもかかれば軽症だと見くびらないほうがいい、という感染症だということです。

タイトルにも関わることですが、この「レプトスピラ症」というのは、今や感染症法に基づくなら全数把握対象の四類感染症です。
これは、感染症のレベルにおいては、マラリアやA型肝炎と同等です。
かの新型コロナは、今のところSARSやMERSなどと同等に一応しておこう、という「二類相当」に当てられていますが、やがては五類相応に行くだろうと(諸説ありますが一応)言われています。
つまり、感染症のレベルとしては、この「レプトスピラ症」は、そのくらいにあるのだ、ということです。

レプトスピラ症はどうして起こるのか

先の話からもわかるように。
そもそも、レプトスピラは鼠などの動物の尿が混ざった汚水などに入ることで人間の体に入りこみ、レプトスピラ症を引き起こします。

ですが、これは別に洪水で生じる汚水だけではありません。
一般的には、川の水などで起こることが多いです。
川の水に触れた、それで病気になった、てやつです。

具体的には、汚れた川で、レジャーで川遊びをしたり泳いだり、カヌーやウィンドサーフィン、水上スキーなどの水上スポーツを行ったり、といったことでよく起こるとされています。
先進国でも見られます。
日本でも見られます。
まあ、大体年間数十件レベルで、彼らが報じられています。

レプトスピラ症の流行地域

このように、このレプトスピラ症は、日本を含めた世界中で発生が見られていますが、しかし。
なかでもフィリピンやタイ、スリランカなどの東南アジアや、ブラジルなどの中南米といった熱帯、亜熱帯が最もよく見られています。
とくにタイでは年間数千人規模の大流行が続いているとのこと。

では、日本国内ではどうか。
確かにかつて1970年代くらいまでは、このレプトスピラ症というのは年間50名以上の死亡がみられる病気でした。
しかし、その後公衆衛生が発展した結果。
今では大きくその数を減らしています。

とはいえ、です。
しかしながらそれでも現在でも年間数十例くらいの症例は報告されており、決してあなどることのできない感染症と言ってもよいでしょう。

ちなみに2019年の発症数は、26件でした。

現在において、日本国内でのレプトスピラ症は、沖縄での発生頻度が多いのが実情です。
しかし実は報告数は沖縄ほど多くはないものの、本州や九州などでの事例もみられており、つまり病原体は日本国内に広く分布している、ということがわかります。
事実、2005 年に宮崎県で、2011 年に三重県で、台風とそれに伴う洪水の後に発生が確認されています。

まとめ:洪水によるレプトスピラ症の流行

いかがだったでしょうか。
以上のことからもわかるように、この「レプトスピラ症」は、汚水によって感染する感染症です。
つまり、そこでタイトルや冒頭の話と関わってくるわけです。

実際、海外の発展途上国では、河川の氾濫や大雨などによる水害、住宅浸水などの後に大規模な流行が発生していることが報告されています。
そして、実を言うなら、このことは日本でも決して起こらない話ではありません。
この時期の台風や大雨などでの被害においては、くれぐれも注意するようにしてください。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

■□貴方の工場・店舗で悩んではいませんか■□
・どうやって防虫管理・衛生管理をすればいいか判らない
・今やっている防虫管理・衛生管理が正しいか判らない
・何か問題が発生したときの対応が判らない
・取引先や保健所の査察が不安だ
・でも余りコストもかけられない
だったら貴方が防虫・衛生管理のプロになればいいのです!

高薙食品衛生コンサルティング事務所にようこそ
  • 私達は、どんな工場、お店の方でも防虫管理・衛生管理のプロレベルに育成することが出来ます。
  • 何故なら、防虫管理・衛生管理のプロとは、基礎知識に加えて「正しい管理の仕組み」を作れる能力を持つ者のことだからです。
    この「管理の仕組み作り」を知るこそが、防虫管理・衛生管理のプロへの道なのです
  • そんな防虫管理・衛生管理のプロを育成し広めることで、日本の「食の安全安心」を、さらにより広く、より高くさせることが私たちの使命だと信じています
  • どうですか?
    そんな防虫管理・衛生管理のプロにあなたもなって、本当の「食の安全安心」を私達と一緒に広げていきませんか?