夏に、咳が止まらなくなり、やがて発熱する。
こんな症状の話を今聞いたら、「新型コロナウイルスでは!?」と思うかもしれません。
ですが、もしかしたらそれ、カビが原因かもしれませんよ?

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

それ、コロナじゃなくてカビが原因かも?

夏に、咳が止まらず、そしてやがて発熱した。
明らかな肺炎の症状です。
今だと、「新型コロナウイルスに感染した!」と真っ先に思われるところでしょう。
でもそれ、実はカビが原因かもしれませんよ?
具体的には、「夏型過敏性肺炎」というものです。

おっと、本題に入る前に。
ぼくの専門はあくまで食品衛生です。
だから医療、医学の専門ではありません。
なので、この後のお話におけるこれ以上の詳細についてはそちらのプロにおまかせします。

ですがその分、食中毒、微生物に関わる話については専門家です。
よって、あくまでその立場から、お話を進めていきたいと思います。

カビはどこにでも存在している

ぼくたちはカビに囲まれて生きている。
そう言っても過言ではありません。
カビはそれこそ、どこにでも生息しています。
自宅の部屋や寝室、お風呂、そしてあなたのオフィス、いたるところにカビの胞子が存在しています。
ありとあらゆる空間に、カビの胞子はふわふわと浮遊しています。

実際、あなたが今呼吸している空気の中にも、おそらくカビの胞子は存在しています。
ただ小さくて(3~10μm)見えていないだけの話です。
一般的に、人間(成人男性)は一日の普通の生活の中で1万個以上のカビの胞子を吸い込んでいる、とも言われています。
本当かどうかは不明ですが、空気中にあるカビの胞子数と呼吸量を換算するとそうなるという話です。

このカビの胞子の存在自体をなくす、というのは一般的には現実的ではありません。
HEPAフィルターで囲まれた無菌のクリーンルーム、くらいしかありません。
そのくらい、カビの胞子というのはどこにでもあるのです。

カビの胞子は、ある一定条件を満たすと発芽し、カビとして認識できる存在となります。
それが、「温度」「湿度」「栄養」です。
これらの条件がカビを発芽させ、そしてさらにカビの生息を広げるのです。

カビの発育条件
  • 温度
  • 湿度
  • 栄養

 

 

上の記事にも書きましたが、カビは温度25度以上、湿度80%以上でよく育ちます。
しかも空気が滞留していると、さらに増えやすくなります。
風通しが悪い、長らく閉めきりにしている。そんな環境です。

これらが揃うと、先のようにカビの胞子は「発芽」し、「菌糸」を作って張り巡らせます。
それがやがて増殖し、「コロニー」が作られます。
これがいわゆる、皆さんが言うところの「カビ」です。

これが更に胞子を吐き出して、空気中にどんどん増加していく。
先に人間(成人男性)は一日の普通の生活の中で1万個以上のカビの胞子を吸い込んでいる、と話しましたが、これはあくまで「普通の空間」で生きている、という話です。
これが引きこもって閉め切った部屋でずーっと生活していると、その数はそんなものではすまなくなります。
すると、人間の健康を害するようなことが引き起こされていくのです。

ホントは怖いカビの話

勿論、一般的にすぐにカビを吸い込んだから病気になるわけではありません。
ですが、免疫力が落ちたりするとアレルギーや感染症にかかってしまいます。

もう随分と前の話ですが、実はぼくも昔、カビのアレルギーになったことがあります。
まだこの仕事の知識が浅かった時分ですが、実家の押入れから古い服をもってきた。
それを紙袋に入れたまま、忙しさで少しの間、放置してしまったんです。

しかもあの当時、ぼくが住んでいた部屋は余り日当たりがよくなかった。
その服は数日後に洗濯したんですが、もう遅かった。
その部屋に入ると、咳が止まらなくなってしまったんです。
慌てて窓を開けて換気などをしたのですが、もう遅い。
カビというのはそうそう完全に死滅したり、追い出したりできないのです。
完全なアレルギーです。

このように、結構カビのアレルギーというのは起こりやすかったりします。
それどころか、治療が結構難しいらしい。
これが死につながることだって、実は少なくありません。
ゴミ屋敷のようなところに住んでいる人が、短命で亡くなってしまう。こういう場合、内蔵への真菌症、要はカビによる感染症を抱えていることが少なくないです。
(実際にそういう例を、ぼくも身近に知っています)

では、どうしてカビによる病気に薬の効果がききづらいのでしょうか。

同じように括られがちですが、カビ(真菌)は食中毒菌などの細菌とは違います。
なぜならカビは、人間と同じ「真核生物」だからです。
つまり、DNAが核膜で包まれていて、細胞の中に細胞核(真核)があるのです。
(一方、食中毒菌などの細菌、つまり「原核生物」は細胞壁はあるものの、DNAは核膜で包まれておらず、細胞核もありません)
こうなると、ヒトとは違うものをターゲットとしてやっつける抗菌薬がなかなか効かなくなります。
しかも副作用が強くなってしまいます。

夏型過敏症肺炎とは

さて、冒頭に触れた「夏なのに、咳が止まらず発熱した」。
カビによってこうした症状が起こるのが、「夏型過敏症肺炎」です。
これは「トリコスポロン」というカビの仲間によって起こされる、アレルギー性の過敏症肺炎です。
症状は主に、タンの出ない乾いた咳、微熱、息切れ、だるさ、などです。

この「夏型過敏症肺炎」は、日本などの高温多湿な東アジアの家屋でよく見られるカビ由来の病気です。
日本の過敏性肺炎のうち、約7割程度がこのトリコスポロンによる夏型過敏症肺炎だとされています。
年間500人くらいが発症している、というデータもあります。
夏、特に梅雨に入ってカビが増えていく頃合いから9月くらいにかけて、発症が見られるのでその名がついたようです。

この肺炎の厄介なところは、家屋自体に原因があることでしょう。
そのため対策がなかなか難しく、家族で発症する、家庭によくいる主婦や子供が多く発症する、などという特徴があります。
また家屋由来なので、入院して治っても、うちに戻ればまた発症することもありますし、毎年夏になると発症が繰り返し再発する、なんてこともあります。
これを何年か繰り返していくと、やがて慢性化して肺が固くなる肺線維症に進行していく危険があります。
すると息切れ、最悪の結果では呼吸困難まで引き起こしかねません。
うーん。実に厄介ですな。

いずれにせよ、夏になると咳が止まらなくなる、そんな人は一度これを疑ってみるといいかもしれません。

カビが原因で発症する病気

「夏型過敏症肺炎」以外にも、カビで生じる病気は結構あります。
幾つか紹介していきましょう。

アスペルギルス症

「夏型過敏症肺炎」にせよ、カビを吸い込むことによって生じるアレルギー性の病気を「深在性真菌症」(肺真菌症)といいます。
この「肺真菌症」の中でも世界的に最も患者数が多いのが、「アスペルギルス症」です。

「アスペルギルス」というのは、カビです。
そこらへんにいくらでも普通に存在している、全くもって珍しくもないカビ(真菌)の一種です。
普通の健康な人なら、何ともなりません。
ですが免疫が落ちていたり、肺機能が弱っている人や高齢者などはこの感染症を引き起こしかねません。


Wikipedia

クリプトコッカス症

「肺真菌症」の中でも最も怖いものの一つが、この「クリプトコッカス症」です。
これはハトなどの鳥類の糞に含まれるカビ、「クリプトコックス・ネオフォルマンス」を吸い込むことで発症します。
しかもアスペルギルスとは違って、肺に問題がなくても感染する可能性があります。

さらには、免疫力の低い老人や幼児などが発症し、重症になると致死率が高まることで知られています。
というのも「クリプトコッカス」は肺炎から髄膜炎を引き起こさせ、他の臓器にも広がることがあるからです。

なおハトの糞にはかなりの確率で、このクリプトコッカスが存在しています。
しかもハトは集団で一斉に飛び立つため、その際にクリプトコッカスが舞い上がります。
幼児をハトの群れに近づけるのは危険なのはそのためです。

カンジダ症

性病の一つともいわれる「カンジダ症」もまた、カビの一種であるカンジダによって引き起こされます。
特に女性に多いとされている病気です。

カンジダは口や消化管、性器などに常に存在しており、普段は何も害を及ぼしません。
ですが、ある特定条件で増殖し、様々な被害を及ぼします。

膣や皮膚、食道などの「表在性真菌症」に加え、肺などに進行していまう「深在性真菌症」としてのカンジダ症もあります。
そしてこのカンジダ症にこれまで挙げたアスペルギルス症、クリプトコックス症、そして「ムーコル症」を加えた4つが、日本における主な深在性真菌症となります。

水虫(足白癬)

呼吸のみならず、皮膚からカビが侵入することで発症する病気もあります。
そのような、皮膚や粘膜などといった体の表面に感染を起こすものを。「表在性真菌症」といいます。
その代表であり、最も身近なものが「足白癬」、いわゆる「水虫」です。
そう、水虫もまたカビの仲間(トリコフィートン)によって起こる病気なのです。

水虫の場合、カビは皮膚表面のケラチンを餌としているため、体内奥部には入り込みません。
しかし反面、誰もが感染する危険性を持っており、しかも治りづらく、感染することも特徴です。
ちなみに、これが「爪白癬」となると、さらに治療が難しくなります。

長谷川パイセン…。

スポロトリクム症

ミズゴケ、あるいはバラ、敷きわらなどに付着しているカビの仲間、「スポロトリクス・シェンキィ」によって起こされるのが、この「スポロトリクス症」です。
皮膚から侵入して炎症を起こすのみならず、更に悪化することもあるようです。
植物由来のことから、農家や植木屋さん、園芸家などがよく感染する、と言われています。
早期に見つけて治療すればいいのですが、悪化すると腕や足が腫れ上がり、やもすれば死に至る危険すらある、とのこと。

なお、これら以外にも、耳かきなどによって耳を傷付けることによって起こされる「外耳道真菌症」や、赤ちゃんや老人などの「おむつかぶれ」、場合によっては「歯周病」などもカビによる病気だったりします。

カビ毒による食中毒

実を言えばこれまでのお話は、どちらかといえば医学的な話なので、ぼくの専門からは少しだけ外れています。
どちらかというと、ぼくの専門はこっち、食中毒です。
ですが今日のテーマとしてはメインのお話ではないので、少しだけ触れておきます。

カビは吸い込んだり、あるいは皮膚に付着して病気を起こすのみならず、カビの生えた食品を食べることで食中毒を起こさせることがあります。

このようなカビが産生する有毒物を総じて「カビ毒」、「マイコトキシン」と言います。
カビが作り出すマイコトキシンは300種以上あるともされており、中には強い毒性をもつもの、発がん性をもつものまであります。
そのなかでも強力なものを「アフラトキシン」と言います。
このアフラトキシンには、関連化合物まで含めて20種類が含まれています。

アフラトキシンは時折、落花生、ナッツ類や穀物などからも発見されたりします。
そのため日本国内においても規制対象となっており、輸入品についての検査が行われています。

まとめ

今日はカビによる病気の話をさせていただきました。

いや「させていただきました」というよりも、勉強させていただいた、といったほうが正しいかもしれません。

というのも、たしかにカビや食中毒については、間違いなくぼくの専門領域でもあります。
しかしながらやや医学に傾いているような話についてはいささか専門から外れるところだったりするのです。
つまり、ほとんど境界線上ギリギリなお話でもあったのです。
よって実を言うと今回は、ぼく自身の勉強も含めてまとめてみました。
「勉強させていただいた」というのは、そういう意味においてです。

(逆に、しばしば目にするお医者さんの語る食中毒話、なかでも原因や対策などについては彼らの専門ではなく、こちら側の領域の話だったりします)

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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