皆さん、ご存じでしょうか。
食品工場や厨房の、天井裏。実はここには、意外にも多くの虫が生息していることがあるんです。
そしてそれらの虫は、勿論ながら様々な隙間から、工場内や厨房内に入ってきています。
いや、やもすれば落ちてくることだってあるんです。
今回はそんな、「工場や厨房の天井裏で生息している虫」について、お話をしていきましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

食品工場や厨房の天井裏に虫がいる!?

どんなに工場内をきれいにしたとしても。
或いは、いくら厨房内を掃除したとしても。
一見きれいで何の問題もなさそうな天井のその向こう側、天井裏には、実は多くの虫がいるかもしれません。

「そんなわけがない」だって?
いやいや。
ぼくはこの道の現役ベテランですが、毎年必ずそんな問題を最低でも年に数回、見てきています。
はっきり言いますが、決して珍しいことではありません。
天井裏で虫が発生し、それが室内に入ってくる。実はこれ、かーなーり、よくある話です。

大体、室内というのは、頑張れば清掃などによる対応が可能です。
ですが、天井裏の清掃なんてそうそう簡単にできるものではありません。
だから、室内は一見して何の問題もないよう清掃や管理がなされているのに、しかし、手の届きづらい天井裏では問題がひっきりなく起きている。こんなことは全くもって珍しくない話です。

ではどんなケースがあり得るのか。
今回はそんな目の届きづらい天井裏での虫の生息について、お話していくとしましょう。

天井裏で虫が生息する理由

では、どうして工場や厨房の天井裏なんかに虫が生息しているのでしょうか。
当然それには相応の理由が幾つかあります。
ですがその前に、そもそも。
まず虫が生息する理由について、虫が生息するために必要な条件とは何なのか、その原則から考えていくとしましょう。

昆虫の生息条件
  • 酸素(空気)
  • 適切な温度
  • 生息場所(住処)

 

これらがないところでは、虫は生きていけません。
ですから、これを求めて虫は移動します。
そしてその上で、それぞれの虫には、個々の生息のために適した環境というものがあります。

多様な生態を備えている昆虫というのは、それぞれ生きる環境において個別の違った生息条件というものがあります。
なので、そもそも「虫がそこに生息している」ということは、とどのつまりその虫特有の生息条件がそこに整ってしまっている、ということでもあります。
つまり。
「食品工場や厨房の天井裏」という特殊な環境において、そこにはその環境条件に適した虫が生息しているのだ、ということです。

天井裏で虫が生息する理由
  • カビが発生しやすい
  • 適温である
  • 暗い
  • 天敵が少ない
  • 餌がある
  • そこに生息する他の生物(ネズミや鳥など)に由来している

 

では食品工場や厨房の天井裏とはどのような環境なのでしょうか。

まず、多くの工場や厨房は、資材や製品の品質のため、空調施設によって室温を低く維持させる必要があります。
基本的に20℃くらいに室温設定しているところも、多いことでしょう。

また天井から吊り下げ式のエアコンを使用しているときなどでは、エアコンの送風が天井にぶつかる、なんてことも起こります。
すると、そこだけ冷えてしまうのに、パネル一枚向こうの天井裏ではめちゃくちゃ暑い、なんてことも起こったりします。

するとどうなるか。
しっかりと断熱処理をしない場合、夏場などは室温と天井裏の室温に大きく差が開くことになります。
つまり、室内は涼しい。だが天井裏はめっちゃ暑い。
こうなると、どのような現象が起こるのか。
そう、結露、です。

結露が生じれば、カビも生じやすくなります。
すると、カビを餌とする虫がそこに生息するようになります。
このことはエアコン本体周辺でも、しばしば起こります。

 

また逆のことも起こりえます。
高温調理を行う場合、その蒸気を室外に逃がす必要があります。
そこで排気ダクトを設けて排気させ、蒸気を引っ張り上げて外に逃がすのですが、しかしその熱い蒸気が吸い上げられるため、天井をはい回されているそのダクト周辺は他にくらべて温度が高くなりがちです。
また、高温調理で発生する熱だって、天井にあがります。
すると、例えば冬などに暖を求めた虫がその周辺に居座ることになります。
ゴキブリなどはそうした、生きるのに適した箇所に卵(卵鞘)を産み落としたりします。

また、先にも話したとおり、天井裏というのはなかなか清掃が行き届きません。
すると、室内で使っているようなものがたとえ天井裏に散ってしまったとしても、それを清掃によって除去することがなかなかしずらくなります。

例えばパン工場やお菓子工場では、小麦粉などを多用します。
他にも粉ものを多用する食品工場は少なくないでしょう。
すると、その小麦粉がしばしば室内に舞い上がってしまうことが多々あります。
ましてや、製造室内なので差圧を陽圧管理しよう、となると室内の隙間という隙間から気流が外に向かって流れ出ることになります。
この場合、もし天井に隙間があれば、舞い上がった小麦粉は天井裏に入り込み、堆積していくことになるでしょう。
こうした見えなく清掃されることのない粉溜まりから発生する虫だって少なくありません。シバンムシなどはその代表です。

このように、工場や厨房の天井裏というのは、目が届きづらいうえに独特の環境となってしまいがちなため、その生息条件にあった虫がそこに生息することになるのです。

食品工場や厨房の天井裏にはどんな虫が生息しているのか

では、食品工場や厨房の天井裏では、一体どんな虫が生息しているのでしょうか。
まずはざざっと挙げてから、一つずつ解説していこうかと思います。

食品工場や厨房の天井裏で生息している虫
  • クロゴキブリ
  • チャバネゴキブリ
  • チャタテムシ
  • ヒメマキムシ
  • シバンムシ
  • ダニ
  • クモ
  • シミ
  • クロバネキノコバエ

 

クロゴキブリ

クロゴキブリ、いわゆる一般的なあのツヤッツヤの、俗に言われるところのゴキブリです。

食品工場や厨房の天井裏にクロゴキブリが生息している、これ、実は結構あります。
何せ、天井裏は暗くて温かい。

特に調理窯や洗浄機など高温になったり温水を使ったりするエリアの上は、いつも温かい。
モクモク立ち上がる蒸気を引っ張り上げているダクト周りも、やはりいつも温かい。
そのため、クロゴキブリなどの恰好の生息場所となりがちです。

そこで晩夏や秋に天井裏へと侵入したクロゴキブリは、それらの周辺に生息し、やがて卵の塊(卵鞘といいます)をそこに産み落とします。
そして翌年の春、その卵から無数のクロゴキブリが生まれることになります。
そう、あなたの工場や厨房の、その真上で。
ちなみにクロゴキブリの卵(卵鞘)からは20~30匹の幼虫が生まれる(孵化する)といわれています。

しかしクロゴキブリがそこで生きていくためには、もう一つ条件が必要です。
それは、水、です。
実はクロゴキブリというのは、多少餌がなくても大概なんとかなりますが、しかし水がないとあっという間に死んでしまうのです。
だからクロゴキブリにとって、水場を得るというのは死活問題です。
しかし天井裏には、水が豊富にはない。
そこで天井裏で生息しているクロゴキブリは、水を求めて室内に入ってきます。
つまり天井からわらわらと、ゴキブリが入ってくるのです。
(この話、もっと細かく次回お話する予定です)

チャバネゴキブリ

チャバネゴキブリとは、飲食店などで時折ちろっと見かける、あの薄茶色でちょっと小さめのゴキブリのことです。

クロゴキブリ同様に、チャバネゴキブリも天井裏に生息していることもあります。
この場合、やはりポイントは「温度」です。
例えば、温水管カバー内部などはしばしばチャバネゴキブリの生息箇所となりやすいとことです。
そしてこの温水管は、よく天井部を抜けて貫通しています。
チャバネゴキブリはここを使って、室内に入りこむことが多いです。

チャタテムシ、ヒメマキムシ

カビを餌にしている非常に小さな虫、それがチャタテムシやヒメマキムシです。
これらも、よく天井裏で発生していることの多い虫です。

天井裏の結露やカビなどから多量に発生し、時として場内にぽろぽろと落ちてきます。

ぼくは昔、サンドイッチを作っている工場で、天井の埋め込み型エアコンの周辺からヒメマキムシがぽろぽろととめどなく落ちてくる、止まらない、と半泣きのお客さんから相談されたことがあります。
成程、現場に行ってみると、エアコンの横からヒメマキムシが作業台にポツポツと落下していました。
この原因は、エアコンの冷風によって生じるカビでした。

シバンムシ


Wikipedia

小麦粉や米粉などからよく発生するのが、このシバンムシです。

天井裏でシバンムシが発生した。
こういう場合、次の二つのケースが原因であることがよく見られます。

まず一つ目は、先にも触れたように、場内で使用している小麦粉などの穀粉が舞い上がり、天井裏で長期にわたって堆積し、それが発生要因となっているようなケースです。
パン工場や焼き菓子工場などでよくあるのが、このケースです。
この場合、天井裏の粉を取り除かないと、毎年夏場が近づくたびにシバンムシの問題が恒例行事として繰り返されることになります。

そしてもう一つ。
これは事例を出してお話ししましょうか。

十数年昔、ぼくがまだ大手PCO会社で現場作業員をしていた時分の話です。
当時のぼくの先輩が、ネズミの駆除をするため、天井裏に多量のネズミ用の毒餌を撒いたのです。

すると、そのせいなのか、成程ネズミは確かにいなくなった。
しかし夏になって、今度はこの工場ではシバンムシが多量に出ることになった。
しかも発生要因がわからない。
だってその工場は、シバンムシの餌になるような穀粉をほとんど使っていなかったのです。

最終的に発生箇所は、天井裏でした。
そう、
先輩が多量にばらまいたネズミの毒餌が、シバンムシの発生要因となってしまっていたのです。

こうなるともう大変です。
だって天井裏の毒餌を除去しなくてはいけませんからね。
当然ながら、一大クレーム案件です。
やむなく天井裏の清掃をするはめになり、先輩は大目玉をくらい、そのお客さんとの管理契約を切られることになりました。

つまり、天井裏でのシバンムシ発生のもう一つの要因。
それが実は駆除業者さんが使ったネズミの毒餌だった、というケースです。

余り言いたくないのですが、ぶっちゃけこれ、結構あります。
なので、もしネズミ対策として天井裏で毒餌を使用しなければいけない、という場合にはこのリスクがあるということを、くれぐれも覚えておいてください。


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ダニ、ノミ

さて、ネズミの話が出てきたので、これもいっておきましょう。

ダニのなかには吸血性のものがいます。
そして高確率でネズミにとりついているダニというのもいます。
ノミも同様ですね。
で、こうしたネズミが工場内にいすわると、どのようなことが起きるか。
結論から言いましょう。
天井から、吸血性のダニやノミがぽろぽろ落ちてきます。

嘘じゃありません。実話です。マジです。ていうかシャレになりません。笑い事じゃなくなります。
そして都内には、そういう工場や店舗が、実はそれなりにあります。
だからぼくは、ネズミのいる飲食店(プロは匂いと生息の跡で、そこにネズミやゴキブリがいないか、大体わかります)では食事やお酒を飲みません。
ていうか、恐らくこの界隈の同業者は、皆そう思い、行っていることでしょう。
ぼく自身、同業者さんと飲みに行くとき、店に入った瞬間に「あ、やっぱりここやめよっか(笑)」なんてことは割とある話です。

天井裏の虫をどう駆除すればいいのか

天井裏には様々な虫がいる可能性がある、それはわかった。
ではどう駆除すればいいのでしょうか。

どこにおいてもそうなのですが、虫をいなくさせるのには、二つ方法があります。
それは、「殺虫剤などで殺す」「生息条件をなくすか」です。

実はこれらは、二つやってこそ初めて本当の効果を出すものです。
つまり、本来はどちらかではなく、両方が必要です。(やむなくどちらかを選ぶことはありますが)
例えば、いくら殺虫剤などで駆除したとしても、1匹たりともいなくする殲滅というのは難しいものです。
ぼくらは神様ではないのでプロだって不可能ですし、そもそも卵や蛹には基本的に薬剤は効果がありません(あっても限定的です)。
そしてそれらが生まれたり羽化すれば、また問題は再発します。

また清掃などによって生息条件をなくす、というのも限界というものがあります。
そもそも清掃自体は別に虫を殺す行為ではありませんので、それだけで虫をいなくさせるのには相応の時間がかかりますし、あまりに非効率です。

そんなわけで、殺虫剤と一緒に「生息条件をなくす」対策を一緒に考えていくのが、この場合は正解です。


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では殺虫剤は何を選べばいいのか。
より浸透させたい、プロに依頼したい、というのであれば上のような「炭酸ガス製剤」などといった手もありますが、これはちょっと専門的過ぎます。
やはり一般的に、手軽に天井裏で使える殺虫剤の代表といったら、「燻煙剤」でしょう。
バルサンなどがその代表です。(下画)
これらを使って、天井裏の虫を一斉に駆除します。

また虫用の毒餌(ベイト剤、と言います)を使うのも、時として効果があるかもしれませんね。
特にゴキブリなどは、天井裏にはそれほど餌は多くはありませんから、これらを使えば結構な効果が期待できることでしょう。

カビから虫が発生している場合。
うーん、結構、やっかいですねえ。
ですが、天井裏は空気が滞留しやすい、というのもその原因の一つだったりします。
そこで天井裏の空気を攪拌してあげればいい。

実際にぼくのお客様では、天井裏にサーキュレイターを数台設置し、電源を室内に引きこんでスイッチにつなげ、夏季になるとそれをオンにすることで天井裏のカビの発生を防いでいる方がいました。


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まとめ

今回は、食品工場や厨房などの天井裏には虫が生息しやすい、というお話をさせていただきました。

これらの天井裏には、次のような理由から虫の生息がなされることがあります。

天井裏で虫が生息する理由
  • カビが発生しやすい
  • 適温である
  • 暗い
  • 天敵が少ない
  • 餌がある
  • そこに生息する他の生物(ネズミや鳥など)に由来している

 

こうした環境であることから、食品工場や厨房の天井裏には、次のような虫が生息していることがあります。

 

食品工場や厨房の天井裏で生息している虫
  • クロゴキブリ
  • チャバネゴキブリ
  • チャタテムシ
  • ヒメマキムシ
  • シバンムシ
  • ダニ
  • クモ
  • シミ
  • クロバネキノコバエ

 

では、これらのことを踏まえて、次回はどのようなところから実際に虫が、天井裏から室内に侵入しているかを考えていきましょう。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
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