いよいよ夏本番!
しかし夏になると、色々といや~な虫も活動が本格化しますよね。
これから、そのいや~な夏の虫の一つである「蚊」について、虫のプロがお話していくとします。
2回目は、専門家が教える「蚊」の駆除方法についてのお話です。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

蚊は衛生害虫の一つである

さあ、夏が始まりました!
日本の夏といえば、蚊の季節。
そんなわけで、前回から今回、そして次回とかけて、「蚊」のお話をしていくことにしました。

前回の1回目は、「蚊と人間」、という大きな括りで見た「蚊」という存在について、書いたつもりです。
いつもの衛生管理とは少し離れるも、昆虫というものを知るのに結構面白い内容となっているかと思います。

 

ここで詳しく書いたように、実は「蚊」というのはただ刺して痒くなる、というだけではなく、実は人間にとってかなり古くから疫病を最も運ぶ虫、病王であり、ゆえにこと公衆衛生においては実は非常に重要な虫でもあるのです。

 

それもあって「蚊」というのは、法律上でも「衛生害虫」というものに区分されています。
て、え?「衛生害虫」?ナニソレ?と思うかもしれませんね。
「衛生害虫」とは何かというと、「医薬品医療機器等法」、俗にいう薬機法(旧薬事法)において特別に指定されている害虫のことです。
この蚊以外にもハエ、ゴキブリ、ノミ、シラミ、トコジラミ、イエダニその他がここにあげられています。

薬機法上に区分される「衛生害虫」
  • ハエ
  • ゴキブリ
  • ノミ
  • シラミ
  • トコジラミ
  • イエダニ
  • 屋内塵性ダニ
  • マダニ

 

なんでこれらが選ばれているかは、まあぶっちゃけ、公衆衛生上インパクトがある虫だからです。
それは例えば、健康被害だったり、衛生上での印象の悪さだったり、といったものも加算されています。

ちなみに、何で医薬品を法で律するための薬機法にわざわざ「衛生害虫」の規定があるのかといえば。
これらは皆、公衆衛生上において重要な虫なので、それらを駆除するための殺虫剤については医薬品(あるいは医薬部外品)として扱え、というわけです。
つまりこれは、殺虫剤に対しての害虫の区分だ、というわけです。

とはいえ。
先のように、このなかでも蚊は多くの疾病を媒介する存在として挙げられていることは、前回でのお話からお分かりかと思います。

さあ、蚊がヤバイ存在なのは、前回でよくわかった。
では、次にそんな蚊をどう駆除していくかを考えていきましょう。

蚊を駆除するためには、蚊のことを知ろう

よし、蚊をやっつけよう。
そう思って、ただやみくもに駆除施工を行っても、しかしさほど効果がなかったりします。
何故なら蚊というのは、その種類によってどこに住み、どこにいて、どう活動しているかが微妙に違うからです。

だから、蚊をやっつける、あるいは蚊から身を防ぐためには、その敵である蚊をある程度知っておく必要があります。

その蚊は、昼に活動しているのか、夜に血を吸いに活動しているのか。
その蚊は、屋外にいるのか、屋内にいるのか。
その蚊は、地下にいるのか、地上にいるのか。
その蚊は、近くにいるのか、遠くにいるのか。

駆除するにしたって、それらによって戦い方は全く異なってきます。
そのため、最低限の蚊の知識がここで必要になります。

蚊の区分とその特徴

蚊は全世界で3,000種以上、日本国内ですら100種近くが確認されています。
しかし特に問題となりやすい蚊としては、次の二種がツートップになります。
それが、アカイエカやチカイエカを含む「イエカ(属)」か、ヒトスジシマカを代表とした「ヤブカ(属)」です・

日本の代表的な蚊
  • イエカ(属):アカイエカ、チカイエカ、コガタアカイエカなど
  • ヤブカ(属):ヒトスジシマカなど

 

「イエカ」にせよ「ヤブカ」にせよ、それぞれ生態の特徴があるので、比べてみれば一目瞭然です。
イエカの代表種であるアカイエカ・チカイエカと、ヤブカの代表種であるヒトスジシマカの生態の特性を以下、比べてみました。
これでおおよそ、やっつけたい蚊がなんであるかが見えてくることでしょう。

以下、一つ一つさっくりと要点だけ簡単にまとめていきます。

アカイエカとは


目黒区

一般的に、一軒家で窓を開けていたら、ぷーん、と夜に入ってきて、人を刺す蚊。
それがこのアカイエカだと思ってください。
じゃなければその近い仲間です。(沖縄だったら、この仲間のネッタイイエカでしょう)

このように、アカイエカやチカイエカなどのイエカは夜行性で、夜に吸血することが多いです。
(尤も、木陰などの薄暗い場所では昼にも吸血することもあります)

赤茶色で、排水溝などの汚れた水で発生するほか、沼や湿地、水田、用水路などといった水がずっとたまっている水域で大量に発生することがよくあります。
その場合、ヒトスジシマカなどと違って長距離を移動することもあるため、近隣が発生源だとは限らなくなります。

さて、このアカイエカの仲間であるのが、次に紹介するチカイエカです。
しかもこいつら名前も頭の「ア」と「チ」しか変わらず、また外観もそっくりなので昆虫分析の専門家でないと識別はできません。
(ていうか正直、ぼくすらできません。そのくらいの差だと思っていいです)

ですが、生態は結構違っています。
次のチカイエカとの違いは、チカイエカは(どちらかとえいば)地下でひっそりと生息しているのに対し、アカイエカは地上が生息のメインであることです。

またこれらはともに冬を成虫で過ごすのですが、しかしアカイエカの場合はチカイエカと違って、冬はずっと休眠しています。
そのため、冬は人を刺すことはありません。

なお、アカイエカは有機リン剤への抵抗性が発達しやすいため、薬剤が効きづらいということも言われています。

チカイエカとは

]アカイエカに並ぶ、イエカ属の双璧であるのが、このチカイエカです。

チカイエカは、どちらかといえば都市型の蚊です。
というのも、例えばビルの地下水槽や浄化槽、地下街の水たまりなどといった地下水域での発生が多くみられるからです。
(ただし地上でも生息することも時々あります)

そのため、高度経済成長期以降、都市の発展につれてどんどん生息が都市部で増えてきたという背景もあります。

その性質のせいで、チカイエカには屋内で刺されることがままあります。
要するにビルなどの建物の中で刺されたら、まあほぼほぼチカイエカだということです。

またチカイエカもアカイエカ同様、冬を成虫で過ごしますが、チカイエカの場合休眠をしません。そのため、冬でも暖房がついて温かい場合には、冬にも関わらず刺されます。
真冬に蚊に刺された場合は、このチカイエカであることが多いです。

ヒトスジシマカとは


(ヒトスジシマカ)国立感染症研究所

対して、ヤブカ属の代表といえばヒトスジシマカでしょう。

チカイエカが都心の蚊であるのに対し、ヒトスジシマカは、どちらかといえば郊外、自然の蚊です。
墓地、竹藪などにてよく生息するほか、古タイヤや壺などに溜まった雨水など、人の生活に近い人口容器から発生することがよく言われています。

前回、アメリカで日本が輸出した古タイヤから蚊が発生し、アメリカ全土に大きく広がった、というお話をしましたが、それがこの「ヒトスジシマカ」です。

 

また「ヒトスジシマカ」は、デング熱などの感染症の媒介蚊としても知られています。
ですから(次ぐに詳しく書きますが)、今都内ではヒトスジシマカの生息調査が急がれているところです。

なお、ヒトスジシマカは日中にも活動し、人を刺します。
庭や公園の草むらなどで、昼から夕方にかけて蚊に刺された。この場合、ヒトスジシマカであることが多いです。

自宅や工場・店舗での蚊の駆除

では、これらの蚊の特質を踏まえ、これから蚊の駆除を行っていきます。

まず、蚊に刺されたら、それがどんな蚊であったかを考えてみます。
刺されたのは、屋外だったのか、建物の中だったのか。
ではどこだったのか。いつだったのか。
昼だったのか、夜だったのか。
これで、アカイエカかチカイエカか、あるいはヒトスジシマカだったか、あるいは違う蚊なのかが、少なからず見えてくることでしょう。

例えば外の敷地内や自宅の庭などで、昼に刺された。
この場合、ヒトスジシマカである可能性が高くなります。

もしヒトスジシマカであれば、活動範囲が狭いのでその近辺で発生していることが多い。
しかも先にも書いたように、小さな水たまりで発生します。
古タイヤ、雨水桝、空き缶、植物を植えている鉢や壺など。こうした人の生活に近い小さな水のたまるところ、人口容器などが発生源となっていることが多いものです。
だからこうしたものに薬剤を散布していけば、蚊の発生源をたたくことができます。

またそれとは違って、夜に窓を開けていたら、蚊が入ってきて、ブーンと刺された。
この場合は、まずアカイエカの可能性を疑いましょう。

なので、これがしばしば続く場合、付近の排水溝などでの発生が行われているかもしれません。
であれば、それらの箇所にじょうろなどで有機りん系薬剤を流し込んだり、あるいは葉に隠れている成虫にピレスロイド系薬剤を散布したり、雨水桝の中に脱皮阻害剤を投薬すれば、効果が期待できるでしょう。
ちなみにこの雨水枡というのは、ヒトスジシマカ、アカイエカの両方が発生しやすいので注意が必要です。

冬なのに、蚊に刺された。
これはチカイエカである可能性が考えられます。
チカイエカは成虫で冬を越し、また冬でも休眠しないため、暖房などで温度が高まれば吸血するからです。

蚊の駆除としては、一般の人であれば、成虫には殺虫スプレー(エアゾール剤)を、幼虫に対しては成長抑制剤(IGR)が簡単でしょう。
蚊は普段、発生源の近辺や草むらの草の裏などに潜んでいます。
そこでそれらに殺虫スプレーを散布するとともに、発生源となりそうな排水溝や雨水桝に成長抑制剤(IGR)を投薬します。

蚊取線香は効果があるのか

昔から日本の蚊対策として馴染みのある、蚊取線香。
あるいは、昨今よくホームセンターやドラッグストアなどで販売されている、電気式の蚊取マット。
これらは効果があるか、プロと一緒に考えていきましょう。

まず、これらによって蚊を致死さえる、あるいはノックダウン効果を発揮させるためには、薬剤を必要量、つまり蚊の致死量だけその室内に充満させていなければいけません。
だから、室内は密閉しておく必要があります。
これはどんな薬剤においても同様のことです。

しかしこうした簡易的な駆除ツールは、そこまで効果を維持することはなかなか難しくなります。
つまり、蚊を死滅するほどに薬剤を室内に維持することは、現実的に結構大変なんじゃないかなあってぼくは思います。

ただし、だからといって効果が全くない、とは言いません。

まず第一に、蚊を弱らせることで吸血をさせなくさせる、という効果が期待できます。
つまりそんな薬剤を含んだ空間では、蚊が人を刺すことはしなくなりやすい、ということです。

それから、忌避効果。
つまり、屋内や室内への侵入を嫌がらせる、という効果があります。
確かに室内に充満している殺虫剤では、蚊を致死に至らせるほどのものではない。
しかし、そこに入らない、入りたくない、と蚊を刺激するような、蚊の侵入防止にはなりうるかもしれません。

というかむしろ、多くの蚊取線香や蚊取マットは、この忌避効果、つまり吸血の予防手段であって殺虫効果ではない、と思っておいたほうがいいでしょう。

家や店舗に蚊を入れない対策を考えよう

蚊を屋内に、「入れさせない」。
つまり蚊への侵入防止対策も、実は蚊対策として非常に有効です。

ある蚊対策に触れた著書に従えば、「蚊の侵入防止メッシュの細かさは16以上」と書かれていました。
しかしぼくは昔、とある大手PCOに所属していたとき、フィールド実験結果データをもとにして、アカイエカの侵入を防ぐには30メッシュ以上が必要だということを聞いたことがあります。
個人的な経験則からも、大体このくらいでないと侵入が可能な実感がします。

尤も、工場でのメッシュ対策はこんなものでは無意味ですので、より目の細かいメッシュが必要になりますが(過去記事参照)、ご家庭での蚊対策として参考にしてみてください。

 

いずれにせよ、先の話と同様、ピレスロイド系のスプレー剤を網戸に散布することによって、蚊の侵入を嫌がらせる、つまり忌避効果を起こさせることが可能になります。
蚊を含め、多くの虫は一旦網戸の上に止まり、それからその隙間から侵入する、というケースが非常に多い。
そこで忌避効果を発揮できれば、蚊の侵入をそれなりに減らすことは可能になるかと思います。

また侵入した蚊を捕獲しようと、捕虫器(ライトトラップ)を使うときもあります。
まあ、たしかにある程度の捕獲は可能です。
ですが、一部の蚊はそれほど光には集まりません。
例えばイエカやハマダラカは捕まることもあるものの、しかしヒトスジシマカなどのヤブカはそれほどに捕獲されることはないものです。

まとめ

夏にいや~な、蚊の話。
第2弾は、その種類の区分と、それらに対しての効果的な駆除方法についてお話しました。

前回も出しましたが、蚊の区分は結構重要です。
少なくとも、「アカイエカ」らの「イエカ」と、「ヒトスジシマカ」などの「ヤブカ」の区別くらいはしておきましょう。
何故なら、その生態が全く異なるからです。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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