防虫対策をしよう、とすると「捕虫器(ライトトラップ)」というものが必要になります。
ですがこれを設置するには、ポイントがあります。
そう、「捕虫器を設置してはいけない場所」というのがあるのです。
今回はその「捕虫器を付けてはいけない場所」について10ほど例を挙げてお話していきましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。


az one

ライトトラップ(捕虫器)って?

さて、今回のお話は、防虫管理をするにあたって必要な捕虫器(ライトトラップ)について、その設置方法についてのお話をしたく思います。

尤も、捕虫器(ライトトラップ)の基礎知識については、以前に何度かに渡って書いております。
よって詳細についてはそちらをお読みいただくのもよろしいかと思います。

 

では本題に入る前に、そもそも捕虫器(ライトトラップ)って何よということを、少しだけお話させていただきたく思います。

皆さん、食品工場のみならず、高所でスーパーや飲食店などでも青白い灯火を放つ防虫用機器を見たことがあるかと思います。
これらを総じて、「捕虫器」、もしくは「ライトトラップ」などと呼びます。


ベン・ハー

捕虫器とは、その名の通り「虫を捕える」ための「機器」という意味です。
一方で、ライトトラップとは、ライトのトラップの意。
しかし「ライトトラップ」とは光で虫を集めるトラップ全てを指す呼び方であり、この捕虫器だけとは限りません。
正式には「灯火誘因式粘着ライトトラップ」です。
つまりある種の灯火(ライト)によって周囲に生息している昆虫を誘因し、呼び込んだ虫を粘着トラップによって捕まえる機械を、捕虫器と呼びます。

実際、昆虫を捕獲するトラップには実に様々なものがあります。
例えば臭いやフェロモン、音、温度など昆虫を誘因して捕獲するトラップは、(その効果はさておき)様々世に見られます。
しかしその中でも最も効率的で、かつ手っ取り早く、汎用性の高いトラップ
それがこの「ライトトラップ」「捕虫器」です。


鵬図商事

押さえておくべき捕虫器の使用目的と特徴

さて、この捕虫器(ライトトラップ)は、工場や飲食店での防虫管理において欠かせないものです。
というのも、捕虫器(ライトトラップ)には、2つの目的があります。
その二つを同時に果たすため、このトラップが必要になるのです。

 

捕虫器(ライトトラップ)の使用目的
  • 生息昆虫の減数(捕殺)
  • 昆虫生息状況の把握(モニタリング)

 

そこにいる虫を捕まえたい。
こういうときに、捕虫器は便利です。
光を放って誘引し、効果的に捕まえるからです。

つまり、単純に、場内の虫の数を減らしたい。効果的に殺したい。
そういう場合に、捕虫器はまず便利です。

さらに、捕虫器の優れているところは、捕まった虫を見ることで場内がどのようになっているかを確認することができることです。
プロなら、それを見れば場内が安全なのかそうではないのか、何に問題があるのか、が判ります。
一般の人でも、ある程度知識と経験を積めば、なんとなくそういうものが見えてきます。
つまり、モニタリング機器として捕虫器は非常に有効だ、ということです。

これら二つが、まずは捕虫器(ライトトラップ)を使う目的です。

さて、これらの目的がわかれば、自ずと捕虫器というものの特徴が見えてくることでしょう。
捕虫器の特徴、それは次のことです。

 

捕虫器(ライトトラップ)の特徴
  • 光を放って虫を誘引する
  • 100V電源が必要である
  • 定期的なメンテナンスが必要である
  • 壁面や天井に設置する必要がある
  • 水や蒸気のかからない場所に設置する必要がある

 

まず捕虫器最大の特徴、それはこの器具は、「光を放つことで積極的に虫を誘引して捕まえる」機械である、ということです。
ということは、むやみやたらに設置してしまうと、あちらこちらからそこに虫が集まってしまう、ということになります。

 

これ、結構理解していない人が多い。
すごく極論を言うなら、例えば工場ならラインのすぐ横、飲食店ならお客さんの前にこれを置いたらどうなるでしょうか。
そこに虫が集まるのです。
こう言うと「そりゃそうだろう」となるのに、にも関わらずトンチキなところに設置している。
そんなケースは非常に多く見られます。

それと機械なので、消耗品もありますし、定期的なメンテナンスも必要です。
ランプの交換やトラップの交換なども必要です。
更には、ランプで光を放つので、100V電源が必要です。
つまりないところには付けられません。

プロが捕虫器の設置箇所を選ぶ際には、この100V電源箇所の「ある・なし」のせめぎあいです。
ここに付けたい。付けたほうがいい。付けるべきだ。
でも電源がない。
どこから引き回すか。あるいは、増設できるのか。
こんなことのやり取りが、設置箇所の選定です。

捕虫器を付けてはいけない10の場所

さあ、これらを踏まえて、捕虫器を設置してはいけない場所を教えましょう。
あなたの工場や厨房は、こんなところにまさかライトトラップを設置していませんよね!?

 

捕虫器(ライトトラップ)を設置してはいけない箇所
  • 窓から捕虫器の誘引光が漏れる場所
  • 作業台や保管場所のすぐ上
  • 虫に触れさせたくないものから1m以内の場所
  • 虫に触れさせたくないものを、虫がまたぐ場所
  • ドアの真上
  • 床から高さ2m以上の場所
  • 空調の吹き出し口の付近
  • 脚立を立てるのが困難な場所
  • 水や蒸気、油、飛散粉体を浴びる場所
  • 清掃がしづらい場所

 

どうでしょうか。
かなり現場に即した箇所になっていると思います。
特に後半は、実際に作業や運用をしてみて、初めて気付くようなものばかりです。

では簡単に、一つずつ説明していきます。

窓から捕虫器の誘引光が漏れる場所

先にも解説した通り、捕虫器というのは「光を放つことで積極的に虫を誘引して捕まえる」機械です。
なので、この捕虫器の光がダイレクトに外に漏れてしまうと、今度は外にいる虫まで不必要に誘引してしまいます。
結果、外にいた虫を招きこんでしまうわけです。

これは結構一般の人がやりがちなミスです。
ですから捕虫器というのは、原則的に光をダイレクトに外にもらさないような場所に設置することが必要です。

作業台や保管場所のすぐ上

灯火漏洩のことは気をつけていたとしても、これを忘れているケースもよくあります。
何度にもなりますが、この機械はあくまで「虫を誘引して捕まえる機械」です。
ですから、ラインの上や作業台の上に設置すると、それがそのまま虫の落下異物リスクに直結します。

それにこの機械は定期的なメンテナンスが必要です。
その際には、虫の付着したトラップを外したり、本体の清掃などが必要になります。
その場合、それらの作業によって生じる虫の死骸の落下なども考慮するべきです。

虫に触れさせたくないものから1m以内の場所

製品や資材、仕掛品。
あるいはお客さんや、商品。

そうした「虫に触れさせたくないもの」から半径1m以内のところに捕虫器を設置するのは、やめましょう。
何度にもなりますが、この機械は「虫を誘引させる機械」であることを認識することが重要です。

かといって思いっきり離れたような場所だと、今度はその効力を失ってしまいます。
ここらへんのバランスや加減がなかなか難しいところだったり、プロの知識だったりするものです。

虫に触れさせたくないものを、虫がまたぐ場所

これ、ちょっとテクニカルな話なんですが。

例えば、四角い部屋があったとする。
ドアがあります。
真ん中に製品がある。
その向こうに捕虫器がある。
虫はその捕虫器に誘引される。
こういう状態だと、ドアから入ってきた虫は、製品をまたいで捕虫器に向かいますよね。
すると、この虫は「一旦製品をまたいで」飛んで移動するわけです。
ここに、虫の混入リスクが生じます。
だって、途中に製品に触れたり落下したりする可能性もあるでしょ?

これ、意外と、いや相当見逃されがちです。
プロでも、つい見落としかねません。
ですから、ここらへんまでを考えられるようになったら、ワンランクアップです。

ドアの真上

これらはとどのつまり、人や製品の動線の上に捕虫器を設置するな、という話です。
で、これ結構やりがちなんですが、外に光をもらさないようにと、ついドアの真上にトラップを設置してしまう。

いや、全てダメなわけではありません。
ドアから入ってくる虫が中のほうにまで向かわせる前にいち早く捕まえたい、入ってきたものを直ちに捕まえる。この考え方は、完全に正解です。

でも、ちょっと待て、と。
そのトラップの真下って動線ですやん、と。
虫がポトリ落ちても、それで大丈夫ですか、と。

これ、プロでもときにやります。
ですが、本当は余りよろしくない。

百歩譲って、人の動線上ならば、まあまだよしとしましょう。
でもむき出しの暴露した製品や仕掛品などが通過するドアの真上に捕虫器を設置するのは、これはいただけない。
ドアの上に付けたい。それはよく分かる。
でももしそうしたいのであれば、少しだけ位置をズラすべきなのです。

床から高さ2m以上の場所

設置した捕虫器が高すぎる問題。
これもよくある話です。

微小な虫というのは、実はそれほど飛べません。飛翔能力が低いのです。
なので捕虫器の設置位置が高すぎると、虫の捕獲能力が大きく削がれます。

例えば、汚水で発生するチョウバエのような虫は、それほど飛ぶ能力がない。
この場合、それが捕獲されず、問題がいつまでも放置される結果になりかねません。

んじゃ、低ければいいのか、と足元のようなところにトラップを設置する。
何らかの目的があるなら、それも場合によりけりで、アリです。
この洗浄機の中で虫が発生しやすいから、それをモニタリングするんだ、みたいなピンポイントの目的があればそれはいいでしょう。

でも、一般的にいうのであれば、それは場内全体に誘引光を広げていないため、捕虫器としての機能を発揮していない、ということになります。
全体的に光を放ちながら、しかしそれでも高すぎない、大体1.8mから2m以内の場所に設置するのがベストです。

空調の吹き出し口の付近

送風がビュービュー吹いているところの真横。
こんなところに捕虫器が付いていることがあります。

前に、壁面に設置してある捕虫器の真横に大きな送風機を置いて、焼き上がったパンを冷却しているお客さんのところに行ったことがあります。
ぼくはすぐに言いました。

「この送風機、今すぐスイッチ切って移動した方が絶対いいですよ。
だってこれ、場内の虫を誘引してからパンに吹き付けてますからね。」

こういうこともあるので、注意しましょう。
壁付けのエアコンなども同様です。

脚立を立てるのが困難な場所

あるある。
捕虫器、超、あるある。
むっちゃメンテのしづらい箇所に設置してしまう。

なんでこんなところに設置すんねん、メンテ出来ひんやん、というところに設置する。
或いは、設置してからしばらくして、あーだこうだと設備をその下に置く。

ええと、ですね、
この捕虫器というのは定期的なメンテナンスが必要なのです。
ということは伸長が3mもない人類においては、高所作業が必要なのです。
高所作業というのは、脚立を立てて、そこに乗り、そして作業を行う、ということです。
つまりこれは、最初っから脚立が立てられんようなとこに捕虫器を設置すな、ということです。

水や蒸気、油、飛散粉体を浴びる場所

捕虫器の中には水に強い防滴タイプなども中にはあります。
ですが、基本的には水や蒸気に弱いものがほとんどです。

そもそも捕虫器の仕組みはめっちゃシンプルです。
要するに、照明器具です。
そこに粘着式のトラップが付いている。それだけの機械です。

つまりただの蛍光灯みたいなものだと思ってください。
そこに水掛けたらどうなりますか、という話です。

あと、飛散して穀粉が舞い上がるような場所に設置するのだけは、絶対に、やめましょう。

例をあげます。
昔、洋菓子工場に呼ばれて、シバンムシの発生箇所を教えてくれ、という依頼がありました。
いくつかあった生息箇所を指摘し、清掃したが、なかなか減らない。
うーん、と思って捕虫器をパカっと開けたら、その中に古い小麦粉が溜まっており、幼虫がうごめいていました。

そりゃそうですよね、
だって、虫を誘引して、そこにその虫の生息源である穀粉を貯めているんです。
その答えは、シバンムシを「養殖」していた、というものでした。

清掃がしづらい場所

これもたまに、てか結構ありますね。

基本的に捕虫器は清掃するものです。
そして、捕虫器が自分のものであり、また外部業者との清掃の委託をしていない限り、その清掃を行うのは自分です。
つまり、あなたのものは、あなたが清掃するしかないのです。
これ、理解していない食品工場や飲食店が、非常に多いです。

時々、防虫管理を専門業者に委託している工場の人が、「捕虫器を清掃してくれないんだ」と文句を言っていたことがありました。
そこで、その方に、ぼくは問いかけました。
「つかぬことをお聞きしますが、その捕虫器はレンタルですか?それともあなたの工場が買い上げた自分のものですか?」
すると、その多くは「購入品だ」と答えることでしょう。
レンタル契約なら別ですが、多くの場合は購入して使うことがほとんどです。
つまり、工場の自前のものだということになります。

次の問いはこうです。
「では、委託している専門業者とは、その清掃の契約を結んでいるのですか?」
大概の答えは、「消耗品の交換メンテナンスなだけのようだ」となります。
じゃあ、清掃してくれなくて当然です。
清掃してほしいなら、そういう契約を結ばないと、お金も払っていないのにボランティアじゃないのだから清掃してもらえるわけがありません。
代価を払っていないのに「してくれない」と文句を言うのは、コンビニでこの弁当を何故タダでくれないんだとケチつけるのと同じです。

まとめ

以上、捕虫器(ライトトラップ)を設置してはいけない10の場所がこれらです。

繰り返しになりますが、まさか!
あなたの工場や厨房は、こんなところにまさかライトトラップを設置していませんよね!?

 

捕虫器(ライトトラップ)を設置してはいけない箇所
  • 窓から捕虫器の誘引光が漏れる場所
  • 作業台や保管場所のすぐ上
  • 虫に触れさせたくないものから1m以内の場所
  • 虫に触れさせたくないものを、虫がまたぐ場所
  • ドアの真上
  • 床から高さ2m以上の場所
  • 空調の吹き出し口の付近
  • 脚立を立てるのが困難な場所
  • 水や蒸気、油、飛散粉体を浴びる場所
  • 清掃がしづらい場所

 

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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