皆さん、「モリチャバネゴキブリ」というのを知っていますか?
本来は屋内でしか生きられないチャバネゴキブリのくせに、その名の通りに森で生きている。
しかも飛ぶのです。
そんなちょっと変わり者のチャバネゴキブリについてお話しましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

ルーフバルコニーにチャバネゴキブリが!

つい先日の、日曜日のことです。
こちら関東地方の片田舎では、午後から少しだけ天気が良くなった。
そこで、こりゃ梅雨の合間のチャンス到来とばかりに、家のルーフバルコニーを掃除しよう、ということになりましてね。
うちの子供らと水をまきながら、デッキブラシで床面をごしごしと洗っていたわけです。

何ならぼくはビールを片手に、ちょっと水遊びしたりなんかしてね。
ホースの水を浴びせ合いしながら、キャッキャキャッキャとね。
プールとか出しちゃう?夜とか、BBQかな、いや焼き肉?なんつって。
あーでもこの後、天気崩れて雨降るかなー、なんつって。
めっちゃええ、初夏の日曜昼下がりでしたわ。

 

そんなんでワキャワキャと皆で、晴れたルーフバルコニーで平和に楽しくやっていたら、いきなり。
うちの娘ちゃん小6が叫び出した。

「ぎゃあああー!ゴキブリー!」

いやいや、gなんてたまにゃいるから、なんて思っていたら次の言葉が出た。

「茶色いやつのゴキブリだー!」

ふーん。
クロゴキブリの幼虫でもいたのかな。
まずはそう思いました。

 

うちはそこそこなマンションの、最上階。まーず滅多にクロゴキブリなど出ることはない。
一軒家とはそこが大きく違う。
しかも、そもそもそれほどまでにクロゴキブリは飛べませんので、ここまでの高層に飛来することは余り考えられない。

尤も、それでも雨水管を通って登ってるようなツワモノについては、まあ全くいない、というわけでもない。
クロゴキブリも成虫に近くなれば、結構移動力高くなります。
実際去年も1回、家の中に紛れこんできましたからね。
そういや以前、記事にもしたっけ。

 

ところが、です。
娘の言い分は、そうじゃない。
茶色い別のゴキブリだ、という。

要は、「チャバネゴキブリ」だというわけです。

いやいや、さすがにそれはない。
ありえないでしょ。

ぼくらは防虫管理のプロなのでよく知っていますが、例えば飲食店や工場などで問題になるあのチャバネゴキブリは、一般的にとして屋外では生きられません。
何故なら、チャバネゴキブリ、というのはあくまで原則的に人間の住んでいる環境の中で生きているゴキブリだからです。
少なくとも、そりゃそこそこな都心とはいえ、こんなマンションの高層にまで自力で登ってこれるチャバネゴキブリは、いません。
しかもこんな真っ昼間に?
カラッカラのルーフバルコニーで?
で、掃除していたらチャバネゴキブリがいた?

こんなことは、絶対に!ありえません。

例えば、真夏8月の都内の真夜中に、居酒屋の裏にまわったら、ゴミ捨て場にチョロチョロとチャバネゴキブリがいた。
こういうことは、確かにありえます。
ですが、それはその居酒屋でバカみたいにチャバネゴキブリが発生していて、いつも捨てているゴミ捨て場に拡散し、夏なので外で生きれる環境にあるからこそ生じている例外的な現象です。
こんなことが、枯れ草や泥程度しかない一般的なマンションのルーフバルコニーで起きることは、まずありません。

少なくとも、ぼくはここに10年以上住んでますが、それまでこれがはじめてです。
つーかそもそも問題として、20年以上にもなるプロの防虫管理屋であるぼくが、そんな環境を自分自身の生活圏に許して設けるなんて、絶対ない。そんなおかしな自負もある。
だったらそれ以前に、何らかの対応をしてるって。

で、そう思って娘のところにかけつけてみたら、ですよ。

ええ!?
確かに、一見、チャバネゴキブリじゃないですか。

まじかよ!?

思わず、持っていたホースで水をかけてしまった。
それがこいつです。

 

で。
そのホースの水圧の勢いでか、コイツが、たまたまなんですがそばにいた娘ちゃんの足もとに飛んだ。

「ぎゃp3@lz:Rふぁhzd7ーー!」

はい。
現場が、軽めなカオスになりました。
娘が踊り狂いました。
ついでに嫁さんも、狂い叫んでました。
大げさな。何の被害もないのに。

まあ、でもこいつ、飛ぶんですよ。
飛ぶと思われていないチャバネゴキブリのくせに、生意気にも、割と一丁前に。

んじゃ、こいつは一体何なのか。
それが、今回のお話です。

チャバネゴキブリとは

さて、そろそろネタバレしてしまいましょう。
実はこのゴキブリは、チャバネゴキブリの一種である、「モリチャバネゴキブリ」というものです。

チャバネゴキブリなのに、野外で生息している、屋内で営巣しない、つまり家の中はおろか、工場や厨房の中で住み着かない。
そんなチャバネゴキブリの一種が、この「モリチャバネゴキブリ」なのです。
特に人間のいる屋内で生息する意味がないので、内部発生の危険はほとんどない。
そういう、割と、というかほとんど無毒なんですが、でもこうして、ふと人間の生活のすぐそばに顔を見せる、そんなちょっと変わった「チャバネゴキブリ」の一種、いやむしろ「異種」が、こいつです。

おっと、
「チャバネゴキブリ」って何よ?とね、もしかしたら思うかもしれません。
なので、ここで先にちょっと「チャバネゴキブリ」について、お話しておきます。
なお、ここからは一般的な「チャバネゴキブリ」についての解説ですので、こんなこと知っているよ、という人は、以下を飛ばしてしまっても構いません。

で。
まず、すごくざっくりな話ですが、世間一般的に問題になる「ゴキブリ」とは大きく二種、あります。
それが、一般的なゴキブリのイメージとしての「クロゴキブリ」と、そして飲食店や、場合によっては食品工場などで問題になる「チャバネゴキブリ」です。

こういうのは、画像から見てもらったほうが、手っ取り早いでしょう。

で、いわゆる「クロゴキブリ」ってのは、まあ、こういうやつです。
今回は、その話とは違うのであまり触れません。
過去にも書いてますので、そちらをご参照に。

 

そして、もう一つ。

こういう薄茶色の小さいゴキブリが、いわゆる「チャバネゴキブリ」です。
時折都心の飲食店や居酒屋さんなどで見ることがあることでしょう。
この、胸の黒い二つの斑点があるのが特徴なので、よく覚えておいてください。


Wikipedia

で、今回のお話のメインは、こちらの「チャバネゴキブリ」です。
この「チャバネゴキブリ」には、いくつかの特徴があります。

チャバネゴキブリの特徴
  • 体長1.5㎝程度(クロゴキブリより小さい)
  • 黄褐色、背中に縦の黒スジあり
  • 温かい場所と水周りを好む(機械の熱源、温水パイプ周辺、冷蔵庫内モーター部、コンロ周辺など)
  • クロゴキブリよりも寒さに弱い(20度以下では繁殖不可)
  • 活動期は室内なら1年中
  • 工場内での内部発生がしやすい(室内でしか生きれないため)
  • クロゴキブリに比べて短命な分、繁殖力と繁殖期間が短い
  • 孵化するまで卵鞘(卵)を腹端に保持している
  • 夜行性である
  • 行動範囲が狭い
  • 人の多い、都心部に比較的多く生息

 

こうしてみるとクロゴキブリとの共通点もあるものの、違いがかなり目立ちます。
で、そういうところが実は重要だったりするんです。

まず成虫の体長は1.5㎝程度、ということはクロゴキブリのおよそ1/2ほど。
つまり、小さくて薄茶色です。

上の画像からも判るように、クロゴキブリよりいくぼか細めでシュっとしており、背中に2本の縦筋がある。それが特徴となっています。
うん、いかにも都会的。

そう、チャバネゴキブリは主に、人の多い都心部に多く生息しています。
都内の飲食店の厨房や食品工場の製造施設内などがそうですね。
具体的な生息場所については別項でお話しますが、しかし。
ここで最も重要なのは一部例外を除いてチャバネゴキブリは人間が住んでいる室内でしかほとんど生息していない、ということです。
気温の高い真夏にはそうではないかもしれませんが、チャバネゴキブリは基本的に屋外では生息できません。

つまりチャバネゴキブリは寒さにとかく弱いので、屋外では基本的に活動できないのです。
だから、チャバネゴキブリは、熱のある飲食店や工場の中の、加熱だったり機械内部とかの温度の高い箇所でしか生息しないのです。

ここ、すごく重要。

モリチャバネゴキブリとの出会い

で、そんないわゆる「チャバネゴキブリ」とは一線を画するのが、この「モリチャバネゴキブリ」だ、というわけです。

たしかコレ、前も書いたことがありますが、ぼくが最初にこの「モリチャバネゴキブリ」を知ったのは、かれこれ20年以上も前のこと。
ぼくがまだ大手PCO会社に勤めており、関東近県で日々、食品工場の現場を回っていたときの時分の話です。

あれは、10月だか11月くらいだったかな。
秋が深まり、風も冷たくなり、初冬にもさしかかる頃のこと。
このくらいになるとその年の防虫管理も一段落、そろそろ外部自然環境の虫なんて随分と活動が減ってきたなあ、と大概は実感する時期ですよ。
当たり前ですが、もうゴキブリなんて問題になることは、まずなくなります。

とある惣菜工場の側溝に落葉が溜まっており、外周環境での虫の発生箇所となりかねない、という理由からそれらに殺虫剤を散布していたのです。

パシャー。
いつものように、殺虫剤をボンベで散布していました。

すると、なんと!
そこから多量のチャバネゴキブリが、わらわらと出てくるじゃないですか!
しかも、くっそ気も悪いくらいに。
うわ、何なんこいつら!?

完全に予想外です。
だって、この時期ですよ!?
11月ですよ!?
もう夏なんかとっくに終わり、そろそろシーズンも終わるかという時期ですよ!?
ゴキブリ?あー、もう今年は終わりだなー、なんて思ってる時期ですよ!?

それが、なんと雨風吹きっさらしの屋外で、わらわら出てきた。

マジで、何なんこれ!?

しかも、問題はそれだけに終わらない。

なんと、です。
殺虫剤から逃げようとこのチャバネゴキブリは、ぴゅんぴゅんと飛び始めたのです。

だって、
チャバネゴキブリが飛ぶんですよ!?

いや、ありえないだろ。
マジで、ありえないだろそれ!?

最初見たときは、二重の衝撃でした。
ダブル・インパクトですよ。

言うてみれば、
「二重の極み」ですわ!

 

一撃目。
まず第一に、こんな秋も深まってきたころ合いに、施設内ではなく外界の落葉の中にチャバネゴキブリが多量に生息していた、ということ。
だって寒さに非常に弱いチャバネゴキブリは、このような状況に耐えれない。
室内でしか生きれないチャバネゴキブリが、どうしてこんなに繁殖しているのか。

二撃目。
それから、二つ目は、それが薬剤から逃れようと飛ぼうとしている、ということ。
確かに殺虫剤をかけると、のたうちまわってピョコピョコ跳ね踊るようなことはあるのですが、でもせいぜいその程度です。
ところが、このチャバネゴキブリは違った。
きれいに滑空する、というわけでもないのですが、明らかに通常のチャバネゴキブリよりジャンプ力がある。

てか、マジで、飛んでたよ。
この目で見たけど、飛んでた。
この時分でぼく、若手ながらもそこそこレベルのプロ現場経験者でしたけど、チャバネ飛びまくるの、初めて見た。

このダブルインパクトを目前にしてすっかり衝撃を受けたぼくは、驚いてすぐに調べてみた。
そこで初めて知った。
それが、この「モリチャバネゴキブリ」だということに。

いやもうね、
こんなのがいるのか、と結構な衝撃を受けましたわ。

モリチャバネゴキブリとチャバネゴキブリの違い

実際、モリチャバネゴキブリはその姿が、普通のチャバネゴキブリとかなり似ており、外観だけでの区別がすごく難しいです。

大体、ぼくらプロでも、よーく見ないと判りません。

モリチャバネゴキブリは、体長約12mm。
薄茶色の体色に、胸に黒い斑点があり、どう見ても見てくれは普通のチャバネゴキブリそのものです。
これ、ぱっと見た瞬間では、正直、ぼくもそこまで区別がつきません。

例えば今回のルーフバルコニーでの発見では、たまたま外で見つけたので「これはありえない」とぼくはすぐに違うと判りました。
ですが、例えばこれが何らかの具合で家の中に入ってきてそれを見つけたら、まあ瞬間レベルでは、ほぼほぼチャバネゴキブリを飲食店などから持ち込んでしまったか、と勘違いするでしょうね。
尤も、向こうも向こうで好き好んで家の中に入ってくることはないでしょうが。

では、「モリチャバネゴキブリ」と「チャバネゴキブリ」は、どこが違うのか。
実は、この胸の斑点です。
これがビミョーに、違う。

 

モリチャバネゴキブリのほうが、ちょっとだけ斑点が太目で、腹のほうに向かってカーブを描いています。
これ、判りますかね。

しかし、言うてみればそれくらいしか違いがない。

で、あとは慣れと「なんとなく」です。
ちなみにこれ、「なんとなく」ですが、メスだと思います。
オスのほうが「なんとなく」スッとしていて、メスのほうが「なんとなく」ぷっくらまるっとしているんです。
それと、幼虫だともう少しだけチャバネゴキブリとの区別がつきやすいかもしれません。
というのもモリチャバネゴキブリの幼虫は真っ黒に近いので、チャバネゴキブリの幼虫特有の腹の白色がみられないからです。

 

モリチャバネゴキブリの特徴
  • 体長1.2~1.5㎝程度(ほぼチャバネゴキブリと同じ)
  • 黄褐色、背中に縦の黒スジあり(ほぼチャバネゴキブリと同じだが、形状が若干異なる)
  • 幼虫は黒めである
  • 活動期は真冬以外
  • 基本的には雑食性で、腐敗物や死骸、その他を食べて生きている
  • 飛翔が可能である
  • 屋内(工場内、厨房内を含む)では、ほぼ営巣をしない
  • 幼虫で越冬する

 

モリチャバネゴキブリの生態

モリチャバネゴキブリは、一般的には、もっと樹木の多いところや緑地帯に棲息しています。
そこで腐葉土や昆虫の死骸などを餌として生きている、という話です。

例えば、先に挙げた、ぼくのモリチャバネゴキブリとの出会いを思い出してください。
やつらは、工場の側溝の落葉の中にいた。
つまり、側溝に落下して溜まっていた落葉が、雨などを吸って腐敗した状況となっていた。
温度も程よく高まり、格好の住みかとなっていたわけです。

いずれにせよモリチャバネゴキブリは雑食ということですが、一般的の飲食店のチャバネゴキブリやクロゴキブリのような雑食性とは全く違う。
森や山の自然のものを何でも食べていきている。
つまり屋内で繁殖しているチャバネゴキブリとは、まったく異質の存在、といっていいかもしれません。

え、だって、ゴキブリでしょ?と思うかもしれませんが、本当に異質なんです。

モリチャバネゴキブリの対策

そもそも、モリチャバネゴキブリは、屋内や工場内、厨房内に積極的に侵入することは余りありません。
なぜなら、屋内に侵入してくるメリットがないからです。

大体、「モリチャバネゴキブリ」は、屋内や工場内、厨房内で内部発生することがあまり、というかほとんどありません。
餌も生息条件も、そことは違うからです、

なので、対策といっても、屋内で行うようなことはほとんどありません。
せいぜい、いたら殺すくらい。
放っておいても、死ぬか出ていきます。
しかも基本的には人間に害をなすこともないので、それほど神経質になることはないかとも思います。

ですが、もしそれでもというのであれば、敷地内の植物や樹木がその生息源となるので、その管理を徹底することでしょう。
尤も、一般的な緑地由来の昆虫とやることはそれほど変わりません。
落葉は丁寧に清掃除去する、上のように側溝への落葉をさせないようにする、など。
それと、基本的にそれほど殺虫剤に強い虫ではないので、一般的なピレスロイド系殺虫剤での駆除が可能です。

まとめ

そんなわけで、ルーフバルコニーで見たチャバネゴキブリについて、お話しました。

今回、発見されたのは「モリチャバネゴキブリ」という、ちょっと変わった野生のチャバネゴキブリでした。
意外と、都内でも外部に近いところで捕まりますし、それがチャバネゴキブリと混同されていることもありますので、注意が必要です。

最後に改めて、その性質についてまとめておきましょう。

 

モリチャバネゴキブリの特徴
  • 体長1.2~1.5㎝程度(ほぼチャバネゴキブリと同じ)
  • 黄褐色、背中に縦の黒スジあり(ほぼチャバネゴキブリと同じだが、形状が若干異なる)
  • 幼虫は黒めである
  • 活動期は真冬以外
  • 基本的には雑食性で、腐敗物や死骸、その他を食べて生きている
  • 飛翔が可能である
  • 屋内(工場内、厨房内を含む)では、ほぼ営巣をしない
  • 幼虫で越冬する

 

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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