この6月から施行された、改正食品衛生法。
それを受けて、食品工場や飲食店などの営業許可についても見直しがこれから行われていくことになります。
これらは一体どのように今後変わっていくのでしょうか。
前回、そして今回と、二部構成でこれらについてお話させていただきます。
(今回はその後編となります)

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

営業許可制度改正で誰がどう変わるのか

(こちらは二部構成の「後編」になりますので、もし以下の「前編」をお読みでなければそちらを最初に読んでいただくと理解がより深まります)

 

さて、前回で「何故、営業許可制度が変わるのか」「その目的は何なのか」というお話をさせていただきました。
世にあるものに比べて、かなり判りやすく書けたと思っています。

では、次にもう少し踏み込んで。
次に、「具体的に営業許可制度はどのように変わるのか」について、説明していきましょう。

これ、食品工場や飲食店はおろか、その周辺の事業の人でも結構関わること、多いかと思いますので、ご自身がどうなるかを少しばかり見てみてください。

「営業者」とはどういうものか

さて、今回のこの営業許可制度改正についてですが、そもそも、その対象となるのはどんな人たちでしょうか。
どこまでの範疇の話なのでしょうか。

これ、実はかなーり広く「食品というものに関わる人」について触れています。
ここまで、「食品」というものの周辺にまで関わる規制を、現実的に法的に規定したのは、今回の改正が初めてだと思います。

まず、この「食やその周辺に関わる事業のひと」というものを、食品衛生法では「営業者」と呼んで扱っています。
そして、この営業許可制度も、その「営業者」なるものを対象として扱っています。

では、「営業者」とは何なのか。
食品衛生法、第4条を見るとしてみましょう。

7、この法律で営業とは、業として、食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること又は器具若しくは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売することをいう。
ただし、農業及び水産業における食品の採取業は、これを含まない。

8、この法律で営業者とは、営業を営む人又は法人をいう。

 

はい、お決まりで何言ってるかわかんない。

えーと、意訳しますね。

これは、食品の「営業許可」の「営業」ってのは何か、という話です。
でその「営業」をしている人、会社とかを「営業者」だと言っているわけですが、いずれにせよその「営業」、意味的には「事業」などに近いものですけど、これはかなり範囲が広いものだ、と。
で、食品衛生法というのは、そういう食品における広義の「営業」(=”事業”的な意味ね)について取り締まる法律だよとまず言っています。

で、どんくらいまでを食品の「営業」=「事業」とするかというと。
食品の製造加工に関わる業種、勿論食品工場がまずあるよね、と。
あとこれらに加えて食品の輸入業者もあるね、と。
様々な調理業は当然そうよね、と。
冷蔵倉庫などの物流業者、これも入るよと。
そして、飲食店。販売店。
消費者に一番身近なここだって、勿論入るからね、と。

で、それに終わらんよ。
それらに用いられる器具。
或いは、製品をくるむための包材。
こういうものの、製造・販売業者だって入るからね、と。

ここまで大きく範疇を広げているわけです。
要するに、食品に少しでも関わるもの、触れるものを全て対象として扱い直したわけです。
その分、結構踏み込んでます。
それが今回の改正食品衛生法であり、この営業許可制度です。
そう、予想以上に意外と対象の範疇の大きな話なのです、これは。

営業届出制度の創設とは

さあ、それではそれらを踏まえて、いよいよ具体的な許可制度の内容に進んでみたいと思います。
まず、今回の許可制度改正には、大きく二つの柱があります。

 

営業許可制度改正の柱
  • 営業許可制度の見直し
  • 営業届出制度の創設

 

1つ目の、時代にそぐわなくなっている古い34の業種をなんかして、今にあった業種にするんだな、というのは前回までの話でなんとなくお分かりかと思います。

で、もう一つ。
むしろこっちのが大がかりかな。もう一つの柱が、「営業届出制度」の創設です。

要するに、食にかかわるありとあらゆる事業=「営業者」に対し。
その衛生管理レベルによって、高い衛生管理が求められる「要許可業種」。
次に、それほどでもないためにまあ、許可まではいらずともでも「届出」が必要だよという「要届出業種」
更にそもそも届出すらも必要のない「届出対象外」の三ランクに分けて区分する、ということです。

ちょおっと難しいですかね。

では、もう少し具体的にみてみましょう。
先の「営業者」を、求められる衛生管理レベルの高さから、3段階に区分します。

 

改正後の営業者の区分
  • 要許可業種
  • 要届出業種
  • 届出対象外

 

 

一番衛生管理レベルが高いのが、「要許可業種」です。
この業種はその名の通り、これまで通り所割の保健所の営業許可が必要な業種です。
普通に衛生管理が求められるような、多くの一般的な食品工場、そして飲食店。
さらには小売りの販売店までが、普通にここに含まれます。
最も「食の安全」にダイレクトに関わる、衛生管理の主役たる事業者(法律上では「営業者」)ですね。
ぼくのお客さん、ここで日々話している内容に触れるであろう多くの方が、ここに含まれます。

で。
ここに含まれる業種の方々、つまりウチの話に関わる方々の大半は、これまで同様、新たに設置された32の業種区分(後で紹介します)のいずれかを選んで許可を受けてもらう必要があります。

そして。
当然ながら、既に貴方自身もご存知の通り、これらは営業施設に対し行政が出す許可基準をクリアせんと、許可が受けられません。
例えば、やれ給排水設備はどうなっているのか、あるいはやれ冷蔵冷凍設備はどうなっているのか。
これらについて業種ごと細かく具体的に個別基準を必要に応じて設けていく、ということが今後なされていくことでしょう。

しかしただ一つ、違うこと。
それは、「これからその規定を出すのは自治体ではなく、国だ」ということです。

前回も話をしましたが、これまでの許可制度の大きな問題、
それは「自治体レベル」で施設基準を出すので、店を他展開するとあちらこちらの自治体で話が違う、ということが生じかねなかった、ということです。

そこでこれからは、国がそれらを「ならした」基準を設けることで、自治体差のないよううまくフラットにしていく、と言っています。

さて、次に衛生管理レベルが必要な事業者。それが、「要届出業種」です。

先に言った、今回の新しい制度である「届出制度」が、これです。
つまり、これまでの「営業許可業種」とそれ以外、みたいな「1か0」みたいなものではなく、その中間に「届出」の必要な業種を作る、というわけです。

そうですね、
例えば、食品を保管する冷蔵倉庫だとか、町のお肉屋さんとか、車で売ってるアイス屋さんみたいなの。
これらの業種は、「営業許可」までは必要ありませんが、でもそのかわり保健所に「営業届出」をこれからは出しなさいね、というわけです。

「届出」なので、別に施設基準とかはありません。
だから、先の「要許可業種」のように、その施設基準で「ダメ」「これならイイ」みたいなことにはなりません。
なりませんが、でもこういうところで問題が発生しても、行政は誰が何やってるかわからない、情報把握ができない。

そう、前回の復習です。
今回の改正法のテーマ、目的は何だったでしょうか。
前回も話しましたよね。
「情報の一元化」
「国の正確な現状把握」
そして
「多用化した食事業への法対応」
これです。

そもそもですが、どうして今回、営業許可改正に至ったのでしょうか。
それは、前回の「まとめ」に挙げた理由があったからですよね。

 

営業許可制度改正の背景
  • これまでの許可業種が、食品ビジネスの変化についていけず、非効率な状況を生じさせるようになった
  • 食品ビジネスの変化により、これまでの許可業種に存在しないものが出てくるようになった
  • 自治体ベースの施設基準ではビジネス展開に差し障る状況が目立ってきた
  • 食品の問題が大規模化、広域化し、自治体レベルでの対応が難しくなってきた
  • これらのことから、国で情報を一元化していく必要性が高まってきた

 

ね?
これを補うために、様々な対応をする必要があったからこそ、「届出制度」を作ったのです。

で、あと最後に、それ以下の「届出対象外」
例えば、駄菓子やさんのような、常温保管でいい食品の販売業。
常温保管もありなら、それほど衛生管理上の問題にもなりません。
なので、こういうのは別に、これまで同様、別に届け出も必要ないよ、というふうに区分されました。

HACCP義務化との関連

どうしてこのような「営業届出制度」を新たに創設したのか。
その理由の一つとなるものが、「HACCP制度化」です。

これからは原則、すべての食に関わる事業者がHACCPに沿った衛生管理を行わなくてはいけなくなります。
そのため、保健所は制度上、すべての事業所を把握していないといけなくなります。
それもあって、このような届出制度を作るに至ったわけです。

どんな業種が「要届出業種」となるのか

それではどんな業種が、新たに創立される「届出制度」の対象業種となるのでしょうか。

 

まず、「営業許可」が不用である食品工場がそれにあたります。
規模や状況にもよるでしょうが、例えば米粉、小麦粉、食酢、こんにゃく、寒天、干しいも、鶏卵選別包装、カレー粉、パン粉、麩、海藻加工品などはその対象となることがあります。

それから、温度管理を行っている販売業。
街のお肉やさんや魚屋さん、牛乳やさんなどです。

それから前回軽く触れましたが、コップ式の自動販売機ってあるじゃないですか。
お金入れると、カップがポトンと出て、コーヒーとか出てくる自販機。
今はコンビニにもあるやつです。
あれって、「喫茶店」としての「営業許可」が法的にいるって知ってます?
ちょっとアホ臭くないですか?
なのでこういうのも、届出でいらなくなります。(屋内設置のみ)

あと包材屋さんも、届出で対応されることになるでしょう。

どんな業種が「届出対象外」となるのか

ついでに、どんな業種が「届出対象外」となるのかも簡単に見ておきましょうか。

まず、輸入関係です。
食品そのものを直接取り扱わない、例えば伝票のやり取りのみの業種。卸売業とかもそうですね。

それから常温での保管屋さんと、運送屋さん。
あ、要冷蔵とか冷凍倉庫は届出対象になります。
いずれにせよそのような、お客さんとの契約によって食品を取り扱う、という業種は、届出が必要ありません。
この場合、衛生管理の責任は客側にあり、その保管・運搬についても客側が計画を作成せよ、ということになっています。

それから、今回の食品衛生法にも絡む、樹脂関係を扱わない食品包装屋さん。
ここらへんは、別に届出もいらない事業者となります。

許可業種の整備

最後に少しだけ、「営業許可制度」の内容を掘り下げて見てみましょう。
改正後の「営業許可業種」はどうなるのか。

まず、従来的な34の許可業種に対し、次のような整備を行います。

 

営業許可業種の整備内容
  • 新たな業種の新設
  • 既存の業種の統合(対応食品の拡大)
  • 業種の再編
  • 許可業種から届出への移行(一部業態の移行も含む)
  • 許可業種の廃止

 

まず、時代の移ろいによって食品衛生法上での許可業種が不足していたため、これまで多くの自治体が既に条例によって補ってきたものを、新たに新設することにします。
結果、「漬物製造業」「水産製品製造業」「液卵製造業」「食品の小分け業」などが、現代の食品事業における新たな許可業種として加わりました。

それから、業種を統合し、1業種での対象食品を拡大させます。
いかにも行政ちっくな非合理を、なんとか改善するという考えです。
例えば「飲食店営業」に、旧来の「喫茶店営業」を加えて、一つにする。
まあ、飲食店も喫茶店も、その区分って曖昧ですものね。

これらの考え方は、業種再編にも使われます。
例えば「菓子製造業」に、「パン製造業」、「あん類製造業」を加えて、一つにする。
或いは「みそ又はしょうゆ製造業」に、「みそ加工品・醤油加工品」を加えて、一つにする。
更に「食用油脂製造業」に、「マーガリン・ショートニング製造業」を加えて、一つにするなどです。
これによる、あれもこれも許可が必要、みたいなお役所都合の煩雑をなんとか調整しようとしています。

その結果、次のような32業種が、「改正後の営業許可業種」として扱われるようになりました。
少し長いですが、全32業種、ざざっと記載しますね。

 

改正後の営業許可業種
  • 飲食店営業
  • 調理機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業
  • 食肉販売業
  • 魚介類販売業
  • 魚介類競り売り営業
  • 集乳業
  • 乳処理業
  • 特別牛乳搾取処理業
  • 食肉処理業
  • 食品の放射線照射業
  • 菓子製造業
  • アイスクリーム類製造業
  • 乳製品製造業
  • 清涼飲料水製造業
  • 食肉製品製造業
  • 水産製品製造業
  • 氷雪製造業
  • 液卵製造業
  • 食用油脂製造業
  • みそ又はしょうゆ製造業
  • 酒類製造業
  • 豆腐製造業
  • 納豆製造業
  • 麺類製造業
  • そうざい製造業
  • 複合型そうざい製造業
  • 冷凍食品製造業
  • 複合型冷凍食品製造業
  • 漬物製造業
  • 密封包装食品製造業
  • 食品の小分け業
  • 添加物製造業

 

まとめ

前回、今回の二回に分けて、ちょっと分かりづらい「営業許可制度」の改正内容について、かなり噛み砕いて、極力分かりやすく説明させていただいたつもりです。

この後編でのキモは、ズバリ「3段階の区分」です。
そのための「届出制度」の創立です。

 

改正後の営業者の区分
  • 要許可業種
  • 要届出業種
  • 届出対象外

 

なお、この今回の食品衛生法改正は、分かりづらいところも多いため、これからも一つ一つ、順を追ってわかりやすく解説していきたいと思ってます。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

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