この6月から施行された、改正食品衛生法。
それを受けて、食品工場や飲食店などの営業許可についても見直しが行われていきます。
これらは一体どのように今後変わっていくのでしょうか。
またその目的とは何なのでしょうか。
今回、そして次回と、二部構成でこれらについてお話させていただきます。
(今回はその前編となります)

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
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改正食衛法によって変わる営業許可

(こちらは二部構成の「前編」になりますので、もし「後編」から来られた方は、まずはこちらを最初に読んでください。)

2018年に改正された食品衛生法が、いよいよこの6月から施行されました。
これによってHACCPの制度化もスタートし、これから本格的に新たな制度が始まることになっていきます。

 

さて。
これにともない、食品工場や飲食店などの営業許可制度も実は変わっていくことになります。
ですから、現在営業許可を持っている工場や飲食店の中には、新たに許可や届出が必要になるところもあるでしょう。

これらはどのようになるのか。
そもそもなぜこのようなことをやるのか。
それについて、今回はお話していきたく思います。

これまでの飲食店の営業許可はどのようになっていたか

ではまず、これまで食品工場や飲食店などの事業を始める場合、どのようにしていたのか、からお話をするといたしましょう。

そもそも、食品工場や飲食店など食品の製造販売業を新たに始めるためには、その自治体、つまりは所管の保健所に営業許可を受ける必要があります。
ただし、どの工場もどのお店も営業許可を受けたら何でも食品を作ったり売ったり出来るのかといえば、そういうわけではありません。
営業許可というのは、その工場やお店で取り扱う食品によって、それぞれ違っているのです。

 

例えばアイスクリームにはアイスクリームの製造許可が必要だし、そしてあん類を使った和菓子工場にはあん類の製造許可が必要だ、といった具合にです。
だからアイス屋さんはあん類の和菓子を作れないし、逆もまた然りです。
んじゃ和洋折衷スイーツでソフトクリームとあんを合わせたお菓子を作りたい、となると両方の許可が2つ必要になるのです。
(同施設で複数許可を受けるのは可能です)

つまり、各工場や各店舗ともに、取り扱っている業種についての営業許可がそれぞれ必要になる、ということです。
まずこれが営業許可の基本です。

ちなみにこれまでの食品衛生法には、上の画にある34種の業種の営業許可がありました。
これらの中から各工場や飲食店は、自分の業種にあった営業許可を保健所から受けていたのです。

時代に合わなくなってきた許可制度

ですが、この34種を定めたのは昭和47年のこと。
この許可業種は、なんとそれから現在まで見直されることがありませんでした。
その結果、多様化した現状の食における事業スタイルに合わなくなってくるという事態が生じてきたのです。

てそりゃあそうですよね、
だって、1972年の食品業界と2020年の食品業界が同じわけがない。
法制度が時代に完全に置いてきぼりになっていたわけです。

するとどんなマイナスが起こってしまっていたのか。
まず、要許可業種においては、1施設で多数の営業許可が必要になり、煩雑な状況が生じてきてしまいました。

例えばコンビニエンスストアを出す場合、「食肉販売業」、「乳類販売業」、「魚介類販売業」など、いくつもの許可を取ることがあります。
さらには唐揚げやフライ系を店舗内で揚げるなら「菓子製造業」が、イートインなら「飲食店営業」が、今だとカップコーヒーの販売があるから、「喫茶店営業」も必要になるかもしれません。

またマクドナルドなどのファーストフード店を出すにも、「飲食店営業」、「アイスクリーム製造業」、「菓子製造業」、「乳類販売業」など4つの許可が必要な場合もあります。
これらは今の時代、余りに非効率としか言いようがありません。

このように比較的新しい食品事業の業態に許可制度の実態が合わない、そんなムリが生じていたのです。

また一方で、これら34の許可業種に当てはまらないような新しいビジネスにおいては、衛生管理上の必要性があるのにも関わらず許可が不要な場合というものすら出てくるようになりました。

自治体が決めていた施設基準

これまで食品工場や飲食店が営業許可を得るには、条例に定められた施設基準をクリアしなくてはいけませんでした。
そう、これまでの営業許可の施設基準は、各自治体が各々それら34業種について規定していたのです。

ですが、何せ自治体単位ですので、こっちの地域ではこんな決まりがあるのに、こっちの地域ではないよ、みたいなズレが当然発生します

お店や工場が1つしかない、というならそれでいいかもしれません。
ですが、多展開、地域を超えての事業展開、更に全国チェーン展開となると、それらがネックになってきます。
やもすれば都道府県によって、施設基準の解釈が異なる指導をされてしまうことになりかねません。

いや、実際にそうした自治体ごとのムラというのは、結構あるものです。
例えば、調理場の面積規定だったり、シンクの数の必要最低数だったり。
或いは、調理場と客席の区画条件だったり、便所の設置規定だったり、テラスの条件だったり云々。
これらがいちいち都道府県ごとに違うんですから、店の設計、めっちゃ厄介になるじゃないですか。その他、例えば移動販売車などの事業では、行く先々で搭載する使用水タンクの最低容量が違う、なんてこともあるのだとか。

グローバルスタンダードとか言っているのに、各都道府県で言ってることが違う。そりゃ全然ダメだろ、ということになり、この法改正にともなって業種ごとに一律の個別基準を規定していくことになりました。

許可制度見直しの目的は、情報把握だ

尤もこうしたことは、国の行政としても都合が悪いことです。
なぜならそれは「情報の把握、一元化ができていない」ということになるからです。

「営業許可」というのは、行政側の目線からすると、どんな店が、業種が、その地区のどこにあるかを把握している、という意味でもあります。
つまり、もし万が一何か問題が生じたときに、ここの工場はこういうものを作っていて、ここのお店はこんなものを扱っている、という情報を行政が握っている。それが「営業許可」に対する行政側のメリットです。
ましてや、今やこれだけの情報化社会です。
そうした情報を行政が把握し一元化して握るのは当然でしょう。

更に言うなら、昔と比べて物流やチェーン事業が発達した現代は、食の問題も地域を超えて広域化しています。
自治体では対応出来ないような問題、例えばO157やノロウイルスなどの集団食中毒に対しては、国が情報を元に対応しなければ後手後手にまわって、問題が広がる一方となってしまいます。
しかしそれが許可が煩雑だったり、あるいは許可のないまま行っていたり、地域ごとにズレがあるというのでは、情報把握ができなくなってしまいます。

さて、今回の食品衛生法改正の目的は、「時代にあわせた制度設計」と「国際標準化」がテーマです。
そこで営業許可制度も、時代にあったものにするとともに、情報を一元化できるようなそんな法制度にしよう、ということになったのです。

そう、
この今回の許可制度見直しの行政的な目的は、「適格な情報把握」という厚生労働省の目論見の一環なのです。

 

まとめ

少し長い話となってしまうので、まずはことの成り行きについて、この前編で語ることにしました。

まとめると、次のような事態が生じることによって、営業許可制度を変えざるを得なくなってきたわけです。

営業許可制度改正の背景
  • これまでの許可業種が、食品ビジネスの変化についていけず、非効率な状況を生じさせるようになった
  • 食品ビジネスの変化により、これまでの許可業種に存在しないものが出てくるようになった
  • 自治体ベースの施設基準ではビジネス展開に差し障る状況が目立ってきた
  • 食品の問題が大規模化、広域化し、自治体レベルでの対応が難しくなってきた
  • これらのことから、国で情報を一元化していく必要性が高まってきた

 

では、次回の後編は、より具体的に、営業許可制度がどのように変わるかについてお話していきたいと思います。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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