見ていても微笑ましい、小さな鳥たち。さらに可愛い、その雛たち。
でも、こうしたスズメなどの巣を工場の庇などに作られると厄介だって知っていますか?
それはどういう理由で、どんなことが起こるのでしょうか。
今日は、そんな鳥害の話をしようかと思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

今日のお話の概要
  • 鳥類由来で問題になるダニは、「トリサシダニ」、「スズメサシダニ」、「ワクモ」の三種である
  • これらの問題は、一般宅やマンション、オフィスビルなどでも発生する
  • 鳥害対策は大掛かりになりやすい

 

スズメの巣が食品工場の庇に出来るとどうなるか

もう10年くらい前の話です。

当時のぼくのお客様であった、とある郊外の洋菓子工場で、資材を納入する搬入室でのダニの捕獲が多量になされ始めました。
しかもこれが、何が原因がよくわからない。
確かにトラップを設置すると、ダニが結構な量で捕獲される。

最初ぼくは、隣接している、搬入物を保管するための冷蔵庫との温度差で結露が生じ、それがカビの要因となり、ダニの内部発生を促進しているのかと考えました。
ダニはカビなどの食菌性の虫でもあるからです。
ですが、どうも様子が違う。
何かピントを逃している、自分でもそんな感しかしませんでした。

そこでまずは殺虫剤での駆除施工を行ったり、アルコールを用いての清拭清掃を行ったりしたのですが、どうも効果がイマフタツくらいによろしくない。
余り減少しない。
少しするとまた多量に捕獲され出す。

しかも、終いにはそのエリアの作業員が、刺された、痒い、などと言い出してくる始末。
いやいや、と。

あのですね、
ダニに刺された、と一般の人が言い出す話については、その要因が何であるかに対して用心、というかおよそ疑ってかかるのがこの世界の常識です。
プロとして、無闇やたらにそんな素人判断を鵜呑みにしたって、事実が判ることはありえないのがこの世界なのです。
というのも、その「痒い」ということと、ダニがいることの因果関係として余りに不明確、あるいは無関係な場合が非常に多いからです。
全部、とまでは言いませんが、素人の憶測なんていっつもズレてます。

ちなみに医者だって、虫についてはただのド素人です。彼らと同レベルです。
医者がダニだって言った、なんてのは、高確率で間違ってます。
というか医者は多分、そう言ってません。
「(よく判らないけれど)もしかしたら虫さされじゃないですかねえ」→「ほらやっぱりダニだ!」というケースがこの場合、ほとんどです。

「痒い」のはダニのせいなのか、はたまたアトピーなど別の原因ではないのか。
大体、吸血性のダニに刺された、という状況は、そこまである話ではありません。
何かに刺されたのであれば、それは本当にダニなのか、そうじゃないのか。ノミなどの違う虫なのか。
或いは、ただの勘違い、思い込み、別の原因なのか。

ましてや普通に考えて、食品工場の中に入るような着衣着帽の重装備をして肌を隠しまくった状態で刺されるなんてことは、そうそうありません。ていうかありえません。
だって、食品工場の作業従事中の服装なんて、およそ目しか出ていないんですよ?
これで体の隠れた部位が刺されるなんて、まずありえません。

大体、通常吸血性のダニに刺されるといったら薄着や肌を出している家の中だったり、寝床だったり、そういうときに刺されることが多いものです。
またどこかの飲食店に行ったら、そこでネズミが出ていてイエダニを拾ってきてしまった、なんてケースだって考えられなくもないでしょう。
一般の素人は大概、思い込みでそうだと主張するものです。

しかもです。
大体、ダニというのは種類は多いですが、人を刺したり吸血するダニというのは、そんなに多くはないんです。
マダニなどが代表ですが、その他にも数種です。
しかもそうした場合、何か生物由来の問題があるケースが多いのです。
例えば工場にネズミがいたり、あとは鳥がいたり…

ん、鳥!?

待てよ…。
この工場はとんとネズミに縁がない。
だが、鳥…?

ここでピンときたぼくは、すぐにそれがどんなダニかを調べてみました。
で、そこでようやく原因がわかりました。
全てがつながった。
もっとこれを早くやるべきだった。

そう、このダニは「トリサシダニ」というダニだったのです。
確かに吸血性ですが、まあでも従業員さんは恐らく刺されたのではないんじゃないかとは思います。尤もその真偽は今となってはわかりませんが。
いずれにせよ、「トリサシダニ」だということは、これは野鳥に由来した問題だということになります。
というのも、この「トリサシダニ」というのは、スズメなどの野鳥に寄生するダニの代表例だからです。

そこで、すぐに搬入室の外にまわってみると、付近の屋根の庇を走っているX鋼にスズメの巣ができていました。
そして、すぐ付近には、放置された台車に番重が重ねて置かれており、その中には製品であるクッキーのくずが残っていました。
この作業を担当する従事者は、それをわかっていて、半ばかわいらしいスズメの餌付けの意味も含め、台車をそのままにしていました。

つまり、これを食べにスズメが寄ってきて、しばらくするうちに居座ってしまい、工場の庇に巣を作ったのです。
野鳥の多くはダニを体に寄生させています。
当然、巣の中はダニだらけになります。
こんなものが、半ば開放状態の搬入庫のシャッターのすぐ上にあったのです。
当然のように、風に吹かれて、ぽろぽろと場内に入ってきていた。
道理で駆除しても問題がなくらないわけです。
ここが供給源だったのです。つまりダニは外部侵入だったのです。

野鳥に寄生するダニ

このように、スズメやムクドリ、ツバメなどの小さな鳥類は確かにかわいらしいのですが、こと工場の食品衛生という面から考えると、すぐ付近への生息に対し歓迎できるものでもなかったりします。

さて、今回問題になったのは「トリサシダニ」というダニでした。
野鳥に寄生するダニのうち、人の血をも吸血するダニとして有名なのが、この「トリサシダニ」、そして「スズメサシダニ」、「ワクモ」の3種です。
つまりこの三種が野鳥がらみでよく問題になる、鳥類由来の三大吸血ダニです。


西宮市

また文献などには余り見ないのですが、ときとしてイエダニも問題化します。
通常、イエダニが問題になるのは、クマネズミが巣食うときです。
クマネズミに寄生するので、ネズミが住みだすとイエダニによる被害が生じます。
が、実際にぼくも鳥類由来でのイエダニの問題に、かなり昔に間接的にあたったことがあるので、まあ間違いないのではないのかな、と思ってます。

いずれにせよ、これらによる被害は、とくに雛が巣立つ5~7月、9月に多くみられます。
要するに、今この時期です。
雛がいなくなくなるため、餌である血を求めてダニの活動範囲が広がります。これらのダニは人間の血も吸血するため、高所からパラパラと落ちてくるわけです。
しかも、この時期は気温もダニにとって適温であるため、活動が活性化しやすい、という理由もあります。

ちなみにトリサシダニに刺されると、イエダニよりも激しいかゆみを覚えます。
結構、つらいです。
昔、駆除中に腕を刺された経験のあるぼくが言うのだから、間違いありません。

一般宅やマンション、オフィスなどでも普通に起こる

しかも実は、このような問題は工場のみならず、意外と普通に起こりやすかったりします。

場合によっては、いや場合とかじゃなくて全然普通に、一般宅やマンション、オフィスビルなどでも起こります。
事実、前にある大手PCO会社にいたときは、そうした方々から今時期になるとよく相談が入ったものです。

一般宅やマンション、オフィスビルなどでよくあるのが、換気口や換気扇、ビルのダクト内などに巣を作られてしまうパターンです。
鳩やスズメ、ムクドリ、ツバメ、その他の野鳥がこうしたところに巣を作ります。
こうなると換気扇やダクトなどから鳥の鳴き声や羽ばたく音がずっと聞こえ始めるから、すぐわかります。

するとどうなるか。
先の通り、これらの鳥には結構な割合でこうした吸血性のダニが寄生しています。
それが巣の中で多量に増えます。
やがてそのダニが、しばらくするとぽろぽろと、室内やオフィス内に落ちてくる。

この場合、そこに住んでいる住民や働いているひとがダニに刺される危険性が俄然高まります。めっちゃ高まります。
ちなみにこっちは、先の食品工場とは違って長くその場に肌を露出しているので、吸血されるリスクは段違いです。
先に挙げた工場の人は、多分勘違いの思い込みか違う原因だと99.9%思いますが、でもこっちは別です。大概刺されます。
だって、上に書いた通り、ぼくが前に勤めていた大手PCO時代には、そうやって刺された方からよく相談の依頼が入っていましたから。

それとこうしたケースでは、顔面や首を刺されることもあるらしいです。
というのも、ダニの場合、あまり顔面や首への吸血の被害は少ないのです。
でもこれは、上から落ちてくるので、刺されるみたいです。
「らしい」「みたい」というのは、ぼく自身は刺された経験がないけれど、でもそうしたお客さんが口々に被害をそう言っていたことが根拠です。

あ、あとよく一般家庭の家屋やマンションなどの換気扇に巣をつくられることがあります。
こうした場合、ダニはやはり換気扇などの上から落下するので、食べ物や料理の中に混入してしまう可能性だって否定できませんね。

鳥類由来のダニの対処方法

さて、これらの場合どうすればいいでしょうか。

冒頭のお菓子工場では、鳥の巣はすぐに撤去したものの、それでもまたすぐに戻ってきてしまう、といった状況がみられました。
仕方ないので、最終的にはその箇所に防鳥ネットを貼り、巣を作れない状況を作りました。

ただし、防鳥ネットを張る、というのは決して簡単にお安く出来るものではありません。
というのも、工場の庇全面を張るとなると、それなりの規模になることが多いからです。
当然ですが、局所的にそこだけを貼れば、今度は違う場所に巣を作ります。
結果、可能性のある場所を全面的にやらざるを得なくなります。

ちなみにちょっとした規模でこれらを行うだけで数十万円コースです。
事項で触れますが、鳩などが問題となって防鳥ネットを本格的に設置するとなると、更に結構いい額になります。
ましてや高所に張るのであればなおのことです。

さて、一般宅やマンションの場合も同様に、巣を除去する必要が生じます。
また換気口や換気扇などへの殺虫剤による駆除も必要になることが多いです。
この場合、一般の方はすぐにバルサンなどの燻煙剤に走ります。
まあそれでも効果が全くないわけでは、当然ありません。
ですが、空間に薬剤を満たした=全部虫が死んでくれる、というわけではありません。
普通にやっても、7割くらい殺せれば御の字だと思ったほうがいいです。燻煙剤なんて、そんなものです。
そして生き残っていたら、また被害が持続します。
専門業者に頼んだら、一般的に10万円かそれ以上は覚悟が必要です。
業者というのは、そんな安くはないのです。

それと、ビルなどの高所やダクトの中などに巣がある場合、巣の撤去が現実的に難しいことが多いです。
なぜなら、巣の撤去に足場の設置が必要になります。
ビルにもよるでしょうが、たかが巣の撤去のために数百万もかける人はいないでしょ?
それにこれは工場も、一般宅も、ビルもみんな同じですが、鳥は一度追い出しても、再び戻ってくることもあります。
結局、鳥が住み着いたり、入らないような構造にするしか方法がありません。
つまり、鳥類由来のダニ対策は、普通に考えるより大掛かりだったり、困難なケースが多いのです。

工場に鳥が住みつくことで起こる問題

さて、食品工場の衛生管理に話を戻します。
工場の周辺に鳥類が住み着くことのリスクは他にあるでしょうか。

ダニ以外にも、鳥の巣が付近にあることで問題になる虫がいます。
それは、シバンムシです。
これが結構な割合で、鳥の巣には生息していることがあります。

これが工場に入ってくるとどうなるか。
もしその工場で小麦粉や米類などを扱っていたら、工場の中で内部発生が起こります。
シバンムシは一度内部発生されるとメチャクチャしつこいです。
今年やっと問題が解決したー、と思っても、翌年また問題が生じます。

 

それからもうひとつ。
資材や包材、製品などへの異物混入、というのが考えられます。
羽毛や糞などによる外装汚染です。
もっとも外装だけなら、と場合によってはなるかもしれませんので、これはケースバイケースでしょう。
しかし多数の鳩などが住み着くことによって生じる糞害は、その実、かなり深刻です。
外装汚染云々の前に、周辺が糞まみれになってかなりひどいことになります。
これらによる虫の発生リスクだって、俄然高まっていきます。

ちなみにこれを書いている本日のこと(2020年6月23日)。
東京都内の湾岸のとある食品工場に呼ばれていたのですが、帰り際にウミネコが多量に鳴いていて旋回していました。
「随分と数が多いなあ」程度にしか気にせず、しばらくお客さんと談笑していたら、いきなり。
周辺で、
「ペシャっ!ペシャっ!ペシャっ!ペシャっ!」
と何かが飛んでぶつかるような、そんな音が多量に響き出しました。

え?っと思って周囲を見たら、なんと。
多量の糞の雨嵐が降り注ぎ始めたのです。
ウミネコの、無差別爆撃です。
慈悲無きウンコの、絨毯爆撃です。
慌てて、車に乗り込んだのですが、やられました。くらいました。車体に3、4発。
体にくらわなかったのがまだラッキーでした。いやラッキーじゃないな、全然。それに車にはやられているんですから。
これ、早く取らないと、鳥の糞はサビの元になります。
泣きたくなりました。
鳩が住み着くと、こんな素敵な鳥とのふれあいがしょっちゅう起こります。

なお今回の話は、どちらかというとスズメなどの小さな野鳥の話に主軸を起きました。
つまり、鳩などについては少しだけしか触れていません。
というのもぼくは防虫対策の専門家ではありますが、ドバトなどの鳥害対策の専門家ではあまりないからです。

なのでそうした場合、専門の鳥害対策屋さんの出番となるのですが、まあ一般的にドバト対策となるとやもすれば100万円超えレベルの大掛かりな対策が必要となるのが一般的な相場です。
これは別にぼったくっているなどではありません。普通にそのくらいかかるのです。

まず、鳩対策を行うには、行政に申請許可して捕獲を行うか、防鳥ネットを張るの2種しかありません。
捕獲の場合、鳩小屋を作ってそこで捕らえます。
業者は契約期間中、毎日その鳩を捕まえて処分します。
当然ですが、この業者はボランティアではないので、ただでは来てくれません。専門の人間が動くと数万かかるのが世の常識です。
契約期間内で10回も来ればそれだけで20万円以上がかかります。
捕獲対策を1ヶ月やるとなると、もろもろで50万円くらいがおよその予算じゃないでしょうか。
(状況や規模によっても大きく変わるでしょうが)

それと、人間の都合で鳩は鳩小屋に入ってくれるわけではありません。
全部捕獲しきれるのか、と言われても神様ではないので業者は判りません。やってみないと判らないのが、生き物相手の世界の通説です。
というか、高い確率で捕獲しきれないことが多いです。
というか、全部は無理です。
結局、50万円払って、減ったかもしれないけれど問題が完全解決しなかった、そういうときもあります。そのリスクは最初に話されますので、仕方がない、ということになります。

じゃあ防鳥ネットを張るしかない。大概、こうなります。
でも高所にネットを張るには高所作業車が必要です。レンタルするだけで5万円かかります。
勿論それだけではありません。
ネット代、作業台、もろもろ合わせると数十万は簡単に超えます。
規模にもよりますが、ちょっと広いところになると、100万円を簡単に超える見積が出てきます。
でもぼったくりではありません。そのくらい大変なのです。

まとめ

今回は、意外とバカに出来ない、工場周辺への野鳥の巣の被害についてお話しました。
また工場だけでなく、野鳥が巣を作ることで生じる問題は、一般宅やマンション、普通のオフィスビルなどでも起こりうることだということもお話いたしました。

こうした問題はちょうど今頃がピークとなるのが一般的です。
もし問題が生じた場合は早急な対応を行うことをお勧めいたします。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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