「なぜなぜ分析」ってご存知ですか?
品質管理から製造管理、いや製造業のみならず今では幅広く様々な分野で使われることの多いこの「なぜなぜ分析」について、こと「食品衛生」に重心を置いてこれから3回に分けてお話していきます。
まず一回目の今日は、「なぜなぜ分析とは」ということと、「問題の真因はシステムにある」というお話をしていくとしましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

今日のお話の概要
  • キングコングの西野亮廣さんが言っていた、「ヒューマンエラーではなく、システムエラー」と。
    このことは衛生管理においても重要なカギとなる。
  • 衛生管理屋の仕事は、突き詰めると「評価」「問題」「要因」「対策」という4つの要素で構成されている
  • 「なぜなぜ分析」は、このうち「要因」の分析のために使われるツールである
  • 「なぜなぜ分析」とは、ある問題についての「要因」を、「なぜ?なぜ?」と突き詰めていくことで、真因を探ろうとする考え方である

 

あるのはヒューマンエラーではなくシステムエラー

唐突ですが、皆さんは「キングコング」の「西野亮廣」さんをご存じでしょうか。

 

 

西野亮廣さんは、お笑い芸人でありながら、絵本作家、さらには国内最大のオンラインサロンを運営していたりする敏腕ぶりで知られる方です。
その西野亮廣さんはYou Tubeでも、「西野亮廣エンタメ研究所ラジオ」という動画番組をアップしています。

実をいうとぼくは彼が運営するオンラインサロンについては知っていたものの、このYou Tubeのことを知りませんでした。
でもかなり話題になっているらしい。
そこでこの間、なんとなくですが、初めてこちらの動画を見たんですね。

 

 

興味を刺激されるタイトルにそそられながら、しばらく見て(聞いて)いたら、彼はネットでの誹謗中傷問題に沿いつつ、非常に興味をそそられる、こんな話をされていました。

氏の運営するオンラインサロンは、今や6万数千人。
そんなサロン内で勃発する問題について、運営者である彼はどのように対応しているのか。
なんとそれは、「問題の要因は人ではなく、そのシステムにあると考える」ということです。
以下、引用させていただきます。

(オンラインサロン内での人間関係で生じる問題について)
そこをどう防ぐかというのが、サロンオーナーの腕のみせどころなんですけれども。
ぼくがですね、6万2千人のコミュニティーを運営するうえで、一番気をつけていることは、責任を「人」に押し付けないということですね。
例えば、誰かが問題を起こしたときに、問題を起こしたやつが悪いみたいな、結論にもっていかないんです。
「なぜその人に問題を起こさせてしまったのか」という感じで、「問題を起こさせた環境に問題がある」という風に考えるんですね。
人に問題がある、としてしまうと、その瞬間にリスクが6万2千個になってしまうんで、とても対応できないです。
なので「人」に問題を起こさせてしまう環境に問題がある、として、環境の改善につとめるんです。
ヒューマンエラーはないと。あるのはシステムエラーだと。
まあ、そういう風に考えるんですね。

 

大規模な集団の「管理」において、もし問題があった場合。
あるのは、ヒューマンエラーではなく、システムエラーなのであると。
何故なら、もしヒューマンエラーに問題があるとすると、要因がその人数分になってしまう。
これは管理しきれない。
だからシステムに問題があるのだ、と考える。

実に興味深く、また非常に鋭い話です。
「そうなんだよ!」
思わず声に出してしまいました。

ちなみにこの動画では、ここをスタートにして、そもそもネット上の誹謗中傷問題というのは「ルールを知らない人間が参入してくるシステムそのものに問題がある」と非常に鋭いことを言っています。
彼の番組はこれ以外にも、彼の視点や考え方、あるいは生き方や表現の豊かさなどに至るまで、非常に鋭く面白い。
ほんの10分程度の動画だし、今回のお話にも関わることなので、出来たら是非見て欲しいのですが、まあそれはさておいて。

さて。
どうしてぼくは、ここでそんな話をしているのでしょうか。
それは、この話は全くもって「衛生管理」でも同様のことだからです。
つまり、今日の話の真髄がここにあるからこそ、わざわざ冒頭に引用しているんです。
これこそが今日の話の要訣なのです。

では、どういうことか。少しづつお話していきましょう。

「なぜなぜ分析」とは

さて、これから3回に分けて、「なぜなぜ分析」の話をしていきます。
まず初回に、「なぜなぜ分析」とはどういうものか、ということについて少しだけ触れておきますね。

食品衛生に限らず、品質管理おいて問題が生じた場合、どのように要因をみつけていくか。
そのよく知られている手法が、この「なぜなぜ分析」というものです。

「なぜなぜ分析」とは、ある問題に対してそれが「なぜ起こったのか」を「なぜ?」と繰り返すことで、真因に至るという考え方です。
これは「カイゼン」で世界に名を馳せたかのトヨタ社の改善手法であり、そこではある問題に対し「なぜ」を5回繰り返す、ということがなされたと言われています。

この手法は当然ながら、様々な衛生管理の問題対応においても有効です。
ぼくも昔からこれを叩き込まれてきました。

では「なぜなぜ分析」とは何か。その本当の意味はどういうことなのか。
それを話す前に、まず「要因分析」という話から、順を追って説明していく必要があります。

衛生管理屋の仕事とは

ぼくら衛生管理屋の仕事の大きな柱は、「評価」「問題」「要因」「対策」の4つです。

 

ある問題に対し、いいのか悪いのかを「評価」し、ではどこがどう「問題」なのか探り、その「要因」を突き詰める。そしてそれを改善させるための「対策」を提案する。

最もシンプルなかたちにするなら、これがぼくらの仕事です。

例えば防虫対策だったら、工場や厨房の状況を「評価」する。
そこで、チョウバエが内部発生しているという「問題」を見つける。
そして、それはこの排水桝に原因がある、そこが発生源であると「要因」を特定する。
そして、その発生箇所への駆除や清掃という「対策」を提案する。

これは、どんなジャンルにおいても「問題解決」を仕事にするものにとっては共通した考え方だと言えるでしょう。

例えば、代表的なものはお医者さんです。
患者の体が健康なのか病気なのかを診察して「評価」し、胃潰瘍だと「問題」を見つけ、食生活だとその「要因」を突き止める。
そして手術をしたり、生活改善を勧めたり、薬を処方するなどして「対策」を与える。
この、「評価」「問題」「要因」「対策」という4つの要素の構造は、基本的に全く同じです。

「要因分析」のために「なぜなぜ」を行う

さて。
「評価」し、「問題」を見つける。
そして「要因」を探るわけですが、この「要因分析」というのが今回のお話の主となるところです。この「んんじゃ要因はなんだ」という「要因」の追求について、今回の「なぜなぜ分析」が出てくるのです。

 

「なぜなぜ分析」とは、先にも書いたように、ある問題について深堀をして「なぜ?」を突き詰めていくことです。

ある問題が発生する。
それはどうして発生したのか。
これが「なぜ?」その1、です。

でもその「なぜ?」を起こした原因はなんだろうか。
ここにも「なぜ?」を問いかける。
これが「なぜ?」その2、となります。

で、さらにこれを繰り返します。
「なぜ」を5回繰り返すと、その問題の表層の原因ではなく、真の要因、真因に至る。
これが「なぜなぜ分析」の基本的な考え方です。

 

例えばこの「なぜなぜ分析」を使って先のチョウバエの例で考えてみましょう。

チョウバエが発生した、という問題が生じた。
この要因はなぜなのか。

 

「なぜ」その1。
この排水桝の側面を清掃しなかったから、そこに残渣が付着して発生源となっていた。

「なぜ」その2。
では、この排水桝の側面を清掃しなかったのはなぜなのか。
日常の製造後の清掃で、排水桝を清掃することになっている。
だから現場スタッフも、残渣受けの清掃などはしっかり行っていた。
でも、排水桝の側面を清掃するようにとまでは、上長から指導されていなかった。

「なぜ」その3。
では、排水桝の側面を清掃するように指導されなかったのはなぜなのか。
現場に、排水桝の側面にチョウバエが発生しやすいという知識情報が共有されていなかった。

「なぜ」その4。
ではその知識情報が共有されなかったのはなぜなのか。
そもそもこの工場では、現場への防虫管理における基礎知識が伝えられていなかった。
だから、清掃も言われたことだけをなんとなくやらされていた。

「なぜ」その5。
では現場への防虫管理における基礎知識が伝えられていなかったのはなぜか。
防虫管理に対する基礎教育がこの工場では不足しているからだ。

なんと、チョウバエ発生にあった本当の要因が、現場ではなく、会社の組織、仕組みとしての教育不足であることが見えてくるのです。

と、このように表層の問題から「なぜ」を繰り返すことで、隠されている「真因」に向かうことを目的とするのが「なぜなぜ分析」です。

ヒューマンエラーはなくあるのはシステムエラーだ

ここで少し考えてみます。
どうして「なぜなぜ分析」が必要なのでしょうか。
それは、その問題に潜む「真因」を見つけるためです。
では。
そもそも「真因」とは一体何でしょうか。
それこそが冒頭、キングコングの西野さんの話に出てきた「システムエラー」です。

実は、この「なぜなぜ分析」でやってはいけないこと。
それは彼の話と同じです。
「ひと」の責任にすることです。
問題は「環境」、「システム」、「仕組み」にある。
そう考えることが重要です。

例えば、もう一度先のチョウバエの話をもう一度見てみるとしましょう。

 

ここで、少し見てほしいのですが。
この「なぜ」を繰り返しているうちに、二回目において、このようなことが出てきます。

「この排水桝の側面を清掃しなかったのはなぜなのか。
日常の製造後の清掃で、排水桝を清掃することになっている。
だから現場スタッフも、残渣受けの清掃などはしっかり行っていた。
でも、排水桝の側面を清掃するようにとまでは、上長から指導されていなかった。」

するとここで大概、現場の上長の指導不足、となってしまいます。
つまり、「現場の上長」という「ひと」が悪いんだ、となってしまうのです。

でもここでもう一度、「なぜ」を行うのが重要なのです。
そうすることで、「ひと」ではなく「環境」、「システム」、「仕組み」の問題へと向かうのです。

どうしてこう考えるのか。
じゃあ「ひと」が問題なら、上長を変えろ、と極論に向かうとしましょう。
その別の上長も、それを知らなかったらどうしますか?
じゃあそいつも変えろ、と。
そこでついた新しい上長も、それを知らなかったらどうしますか?
それがあと数回も繰り返されると、いい加減、こりゃあ組織的な問題があるんだな、自分たちが悪いんだなと、上層部が気づきます。
ここまでこないと問題の要因がお前らはわからないのか、となります。

「ひと」に問題があると考えるから、こうなるのです。
だから「管理」に問題がある、そこに向かうのが「なぜなぜ分析」の一番重要なポイントです。
こうすると、問題である「ひと」がいたとしても、それを極力問題化させない「仕組み」に向かうことが出来るからです。

これは「なぜなぜ分析」にとどまる話ではありません。
「管理」において問題が生じた場合の、解決策として最も重要な考え方です。

さあ、ここにきてようやく。

もう一度冒頭の西野さんの話を引用します。じっくりと今度は読んでみてください。
このことをしっかりと彼は捉えています。
これこそが「なぜなぜ分析」、というか「管理」における問題解決において一番重要だと、そのまんま使えるくらいです。

(オンラインサロン内での人間関係で生じる問題について)
そこをどう防ぐかというのが、サロンオーナーの腕のみせどころなんですけれども。
ぼくがですね、6万2千人のコミュニティーを運営するうえで、一番気をつけていることは、責任を「人」に押し付けないということですね。
例えば、誰かが問題を起こしたときに、問題を起こしたやつが悪いみたいな、結論にもっていかないんです。
「なぜその人に問題を起こさせてしまったのか」という感じで、「問題を起こさせた環境に問題がある」という風に考えるんですね。
人に問題がある、としてしまうと、その瞬間にリスクが6万2千個になってしまうんで、とても対応できないです。
なので「人」に問題を起こさせてしまう環境に問題がある、として、環境の改善につとめるんです。
ヒューマンエラーはないと。あるのはシステムエラーだと。
まあ、そういう風に考えるんですね。

 

彼は言っています。
オンラインサロンで生じた問題を6万人の誰かのせいにすると、この問題要因は6万倍になります。それは面倒みきれない。
だから、「ヒューマンエラーはなくあるのはシステムエラーだ」とするのです。

工場でも厨房でもこれは同様なのです。
「ひと」に要因をむけると、リスクが俄然高まります。
どういうひとか、が広がりすぎてわからないからです。
それどころか、今後これから入ってくる人もそのリスクを抱えていることになります。
だからこれを「ひと」によるヒューマンエラーではなくシステムエラー、つまりは「仕組み」に問題があるのだ、と考えるのです。
「管理」の「仕組み」のどこがうまくいってないか、それを見つけるのです。
「管理」の「仕組み」がどこかうまくいっていない。だからこういうトリガーで問題が発生する。その「真因」を見つけるのが、この「なぜなぜ分析」の目的です。

「仕組み」とはシステムです。
「管理」とはマネジメントです。
つまり、「管理の仕組み」とは「マネジメントシステム」です。
つまるところ、「マネジメントシステム」の問題がどこにあるか、それを見出すのが「要因分析」=「なぜなぜ分析」なのです。

おっと、ここからの話は次回に譲るとしましょう。

まとめ

今回は、「なぜなぜ分析」についての、基礎となるお話をさせていただきました。
この「なぜなぜ分析」は、様々な場所で使えるツールです。
衛生管理どころか、日常でも使えます。
そんな汎用性の非常に広いツールなのです。

ですが、ただ一つ。
あくまでその真因を「システム」に向けること、これが重要です。

次回からは、もう少しこの「システム」というものについて考えていくとしましょう。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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