梅雨に入り、いよいよ夏真っ盛りがすぐそこに見えてきました。
では夏に増える食品への異物混入とは、どんなものがあるのでしょうか。
食品衛生、異物混入対策のプロが教えましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

今日のお話の概要
  • 夏の季節的要因を受けやすいものは、次のようなものである
    ・温度・湿度
    ・空気、気流
    ・資材、製品
    ・施設、設備
    ・水
    ・生物(虫、微生物、人間、植物)
  • 本来、工場内や厨房内というのは、外部の自然環境の影響を受けない断絶された空間であることが理想であるのだが、現実的にそれが難しいため、結果的に季節的要因を受けることになる
  • 夏にリスクが高まる異物混入要因は、次のようなものである
    ・虫
    ・毛髪
    ・カビ
    ・結露水
    ・補修部材

 

夏に増える異物混入、教えます

この下書きを書いている、2020年6月11日。
関東地方では、いよいよ本日から梅雨入り、との発表がなされました。
未だに新型コロナウイルスが騒がれてはいますが、これから梅雨を迎え、それが開ければ晴れて夏真っ盛りに突入です。

さて、そんな夏の到来ですが、夏には様々な食品の異物混入事故が発生するシーズンでもあります。

勿論、異物混入は季節に関係なく、通年的に起こりうるものですので、原則的には「このシーズンが特に」といったものでもありません。
なので、夏だから気をつけろ、冬だから気を緩めていい、とかそういうものでは全くありません。

例えば、金属の異物混入などは、別に「この季節だから多い」なんてことはありません。
いつも常にリスクが存在しますし、そうした季節要因には左右されません。
だからそれが春だろうが夏だろうが、秋でも冬でも、起こるときは起きます。

ですが、異物混入は様々です。
あるものは全く季節要因には関係ないけれど、あるものは関係ある。
そういうものも確かに存在します。
結果、様々な季節要因に影響を受けて、「この時期には、どちらかといえばこういう問題が比較的起こりやすくなる」「この季節にはこうした問題のリスクが自ずと高まりやすい」ぐらいの意味での、「傾向」というものが存在するのも、また事実です。

実を言えば、これらを受けて、以前に「冬の異物混入」について書いたことがあります。

 

なので、今回はその夏バージョン、となります。
夏の異物混入、そのリスクにはどのようなものがあるのかを追っていきたいと思います。

夏の季節的要因を受けやすいものとは

夏に起こりやすい異物混入とは、どのようなものでしょうか。
それは夏の季節的要因を受けやすいものでしょう。

ではその「夏の季節的要因を受けやすいもの」には、どんなものがあるでしょうか。

異物対策上において、夏季の季節的要因を受けやすい要素
  • 温度・湿度
  • 空気、気流
  • 資材、製品
  • 施設、設備
  • 生物(虫、微生物、人間、植物)

 

ものすごく当たり前な話なのですが、全く夏季の影響を受けないなんてものは、存在しません。
そこにあるもの全てがその影響を少なからず受けるものです。

なのでここで重要なのは、その影響をどのように受けるのかを知る、予測する、把握する、ということです。

温度が上昇すれば、湿度が高まればどのような影響を受けるのか。どんなリスクが生じるのか。
空気は、気流はどうなるのか。
空調の多用が、どんな影響を及ぼすのか。
これらによって資材、製品はどんな影響を受けるのか。
温度上昇に耐えられるよう冷蔵保管をより強化した場合に、何が生じるのか。
夏の温度上昇で施設にどんな影響があるのか。
使用水、排水、あるいは空気中の水分はどうなるのか。
結露が発生すると、どこにどんなリスクが生じるのか。

これらを知ることが、リスクマネジメントに繋がります。

生物というファクターに注目せよ

それともうひとつ、ここで最も重要なファクター。
それが、「生物」です。
というのも、この「生物」こそが最も「夏」という季節要因の影響を受けるのです。

ここで少しだけ、基礎的な、そして重要なお話をしましょう。

工場内、厨房内というのは、基本的に外部の自然環境の影響を受けない断絶された空間であることが本来あるべき理想です。

冬の寒さや夏の暑さ、雨や晴れや雪や風に、いちいち左右されない。
都心だ田舎だ、立地に揺るがない。ムラを生じさせない。
外部の汚染要因の増減や種類に合わせて、場内の清浄度がいちいち上下しない。
決められた、求められる一定の清浄度を、どんな環境においても一定に維持できる。

このように外部環境の影響をいかに遮断するか、それが製造環境の、調理環境の重要なポイントです。
それが製品、商品の品質を一定に維持するための条件です。

暑かったから、雨が降ったから、風が吹いたから、田舎で作ったから、今月はユスリカがやたら多かったので、今月この工場で作った製品の品質はクソダメでした。
あなたはそう言われて、買った製品、商品を納得出来ますか?
こういうことがないよう一律、均一に品質を維持するのが品質管理であり、またこのように環境に影響されずに製造、商品が作れることが工場や厨房には求められています。
だからこそ、外部環境から遮断された空間が必要なのです。

そのため各工場、各店舗は極力、外部自然環境からの影響を遮断しようと努力します。
ですが、これはあくまで理想です。
そして、「程度問題」です。

そりゃあ、医薬品工場や人工細胞培養工場のように、頑丈な最新鋭の施設のなかで何重ものゾーニングがなされ、空気までHEPA管理され、奥部に行くまで幾つものを扉を経て、二次更衣、三次更衣まで行って到達するような無菌エリアだったら話は別かもしれません。
(ちなみに、それだって季節要因は受けますし、虫だって捕獲される場合が多々あります)

でも一般的な工場や店舗はそうではなりません。
実際問題、外部の温度の上下に合わせて、温湿度も上昇しますし、これに合わせて空調を使えば空気の動きが変わります。
暑くなればどこでも結露の問題が生じますし、夏のぎらつく太陽で施設が劣化することだってあるでしょう。

そして生物もその影響を受けるのです。
虫の活動、微生物の活動は活発化しますし、人は汗をかきます。
こうした要素が、自ずと異物混入事故にも影響を与えることになるのです。

夏に起こりやすい異物混入とは

では、これらによって夏はどのような異物混入リスクが高まるのでしょうか。
次のようなことが考えられるでしょう。

夏にリスクが高まる異物混入要因
  • 毛髪
  • カビ
  • 結露水
  • 補修部材

 

では一つ一つ見ていきましょう。

虫の異物混入

夏になると増加する異物要因のトップ、それが虫です。
これは昆虫の活動が活発化するからです。

当然ながら、外部自然環境で生息している虫の侵入リスクも高まりますし、また場内の温度が上昇すれば内部発生リスクも大きく高まります。
結果、夏は虫による汚染のリスクが高まる時期であり、結果的に異物混入リスクもリンクして高まります。

これを防ぐためには、防虫管理を強化していくしか他に方法がありません。
例えば、しっかりとモニタリングを行って外部侵入リスク、内部発生リスクについて問題が生じていないか監視を行い、問題があればそれに対応していく。
清掃、補修、駆除などを行い、リスクの軽減を進めていく。
これしか方法が存在しません。

毛髪の異物混入

毛髪の異物混入は、冬と夏では事情が少しばかり異なります。
勿論、人間の毛の脱落は別に夏でも冬でもそう大きくは変わらないのですが、ここに温度・湿度という要素が加わります。

そう、夏は発汗によって生じる毛髪の落下が増加するのです。
また夏は暑さのため、着衣着帽が緩みやすい時期でもあります。

何年か前、誰でも知っているような老舗の工場から毛髪混入が止まらないとの相談を受けて現場を見た時のこと。
加熱のエリアで作業員がタンクトップで作業をしていました。
聞けば、夏だけはこのような特別ルールを設けている、という話。

ここに問題があることなんて、ある程度、お客さん自身でも自覚しているわけです。
暑いのは、仕方ない。
だったらそれはそれで、リスクを下げる方法を考えなければいけません。
タンクトップはやめて、通気性のいい半袖にする。
半袖の襟と袖を締まるものにして、体毛の落下を極力減らすようにする。
このようにして、この工場では大幅に夏の毛髪混入が減少することになりました。

ちなみに、かたや冬は冬で、乾燥や静電気、着衣物などに由来する問題が生じやすくなります。
以前の記事で書いた通りです。

 

ですが、やはり結果的には夏のほうが毛髪の異物混入が比較的多くなります。

カビの異物混入

製品や商品にカビが発生している。
これは、包装工程上でのミスのことが多いものです。

よく誤解されていることですが、一般の人たちはこう考えています。
不衛生な環境で製造したから、製品がカビたのだ。
違います。
いや、勿論それもないわけではありません。
ですが多くの場合、一段の要因は包装が破れた(製品同士の接触だったり摩擦だったりで、ピンホールというほんの小さな穴が開くのです)ので、カビの進行を防げなかったのです。
包装を行うとき、あるいはその後の物流や販売などの過程で包装に異常が生じ、要は破れたり剥がれが生じたりしたのです。
結果、包装内に空気が入り込み、カビが発生しやすい状況になったのです。

なので、これは異物混入事故ではなく、包装不良事故です。
これはどんな一流のメーカーでも、ある一定レベルの割合で起こりうる話だったりします。
そもそもカビの胞子などはどこにもあるので、それを防ぐなんて無菌ルームで全工程(少なくとも加熱後から充填、包装まで)を行えと言っているような、ムチャクチャな非現実的論理です。

ですが、カビ自体が混入することもあります。
場内で発生したカビが落下し、付着する。
これは異物混入です。

カビなんか混入する?
そう思うなら、天井に埋め込んだパッケージエアコンの送風口に培地をダイレクトに当てて、真菌の検査を行ってみてください。
どのくらい送風が汚染されているかを知って驚くはずですよ。
それが毎日、製造ラインの上で送風し、室内にカビの胞子を撒き散らしていることに、驚きますよ。

またカビ自体は問題でなくとも、そこから発生する虫は少なくありません。
チャタテムシ、ヒメマキムシ、ダニ、トビムシ…。
いわゆる食菌性昆虫というやつですね。
これらが夏になるとエアコンやドレンパイプの周辺で発生する、なんてことはよくある話です。
衛生レベルが高い工場、一流の大手食品工場だってザラに、普通に、当たり前のようにあります。
全くもって珍しい話じゃ、全然ない。
ね、大手食品工場の品管さん。そちらの工場にもこんなケースありますよね?

なので、工場のライン周辺はカビを極力除去しなければいけません。
カビの除去には殺菌剤が必要です。
一般的には、次亜塩素酸ナトリウム液やアルコールなどが使われます。

ですが、このところアルコールの入手が難しくなっている、アルコールの値段が高騰している、あるいは新型コロナウイルスの影響で生産が著しく減っている、などの理由でアルコールの使用を控えている工場や店舗もあることでしょう。
別にアルコールにこだわることは全くありませんが、適切な薬剤を用いることはやはり重要です。

結露水の異物混入

これは、カビにも関する話です。
というか結露すればカビは生じやすくなりますので、同時に行われることもあるでしょう。

そもそも結露水だけ落下異物となっても、ただの水ですから、蒸発してしまえば問題はそれほどありません。
ですがカビのように、結露水には汚れや微生物を含んでいるケースが考えられます。
この場合、汚れやカビが異物として問題となります。

ただし、暑い空気と冷たい空気がぶつかればどうしたって結露は生じます。
これを防ぐことはかなり難しいものです。

空気というのは、水分を含んでいます。
そして暖かい空気は冷たい空気に比べ、水分を多く含んでいます。
逆に言えば、空気は冷やされると水分を含むことの出来る量が減ってしまうものなのです。

さて、それでは暖かい空気が冷たいものに触れた場合、どうなるでしょうか。
空気は冷やされ、含んでいた水分を含みきれなくなります。
そして生じるのが、「結露」です。

 

夏にキンキンに冷えたビールを頼むと、グラスの廻りに水滴がついてますよね。
冬に暖房を付けた自宅にいると、窓に結露ができますよね。
これらはいずれも、暖かい空気が冷たいものに接触し、冷やされることでおきている現象なのです。

ではこれを防ぐにはどうするか。
空気を撹拌させてあげる、というのも一つの方法でしょう。
サーキュレーターなどを使って、結露しやすい場所の空気を滞留させないようにする。
これはカビ対策にも有効です。

補修部材の異物混入

これも、夏にたまーにあります。

場内の補修に養生テープやビニルテープなどを使う。夏の暑さによってそれらが剥離し、落下する。
例えばこんなケースです。

高所やライン付近の補修には、そうしたものを使わない。
これがまずは最低限のルールです。

まとめ

今回は夏に増える異物混入の要因についてお話しました。
もう一度挙げると、夏には次のような異物混入リスクが高まることになります。

夏に高まる異物混入要因
  • 毛髪
  • カビ
  • 結露水
  • 補修部材

 

これらの要因が製造エリアや厨房の作業台の上にないか、まずは自身の現場を確認するとよいでしょう。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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