この6月から改正食品衛生法がいよいよ施行されることになりました。
勿論、その内容も重要なのですが、ではこの改正を行った目的は何だったのでしょうか。
実はここには隠された真の目的があるのです。
これについて今回はお話していきたいと思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 前回の改正は、行政、自治体などにおける食品安全への「あり方」「体制整備」に対するものであったが、今回の改正はそれに沿ったより現場的、具体的なものとなっている
  • 前回改正の直接的なトリガー(引き金)がBSE問題という「外からの影響」であったように、今回の改正のトリガーは「オリンピック」という「外からの影響」である
  • 今回の改正の最大の背景は、実は「社会の高度情報化」であり、それに対応出来るよう行政のリスク情報集約のための制度作りを行う必要があった

 

「食品衛生法」改正には真の目的がある?

前回にも書いた通り、2018年6月に改正された食品衛生法が、2年間の猶予期間を終えて、この2020年の6月1日より、いよいよ施行されることになりました。

食品衛生法とはどういう法律なのか、そしてこれまでどのような経緯で改正がなされたかについては、前回書いた通りです。

 

グローバル化、食の安全安心の揺らぎ、インターネットによる情報の高度化などといった、現代社会をめぐる情勢に、戦後作られた法律が実態として追い付かなくなった。
今からさかのぼること17年ほど、2003年になされた改正は、一言でいえばそれらが要因でした。

このように、食品衛生法が改正される背景には、いつも社会情勢や国際情勢に対する変化への適応というものがあります。
では、今回の改正にはどのような事情があるのでしょうか。

実はこれを探っていくことで、そしてそれらを結びつけて考えてみることで、この法律の改正によって行政が、厚生労働省が、お役人たちが、何をしたいか、何を狙っているのか、その本当の目的が見えてきます。

そう。

 

(心のキバヤシ)
「この食品衛生法改正には、恐るべき真の目的が隠されていたんだよ!!」

 

 

なんだってーーっ!!!!

どういうことだキバヤシーっ!
人類はやっぱり滅亡するのかっ!?(しません)

前改正は食品安全への行政のあり方、体制整備

すんません、冗談半分の煽りが過ぎました。
チョーシこきました。
嘘です。

いや、嘘っていうか、そういう意味じゃないんです。
陰謀論とかじゃないですし、別にその影にフリーメイソンやイルミナティがいるわけでもないです。

まあ、読み進んでいただけば、判っていただけるかと思います。
なので、一つ一つ、論を進めていきましょう。
まず最初に知るべきは、前回の改正との違いです。

前回も書いたように、先の改正から17年の年月を経て、2018年。
15年ぶりともなる再改正が、この年に行われることになりました。

前2003年の改正は、言ってみれば食品安全への「あり方」「体制」そのものに対する改正です。

戦後に制定された法律では、現実的に対応が出来ない社会に移り変わっていった。
法を作った時点で想定されていたような世界情勢や問題、人のありようと乖離し、また大きな問題が生じ始めた。
そこで行政のあり方を、根底から整備し直した。
行政自体を改めた。それが前回の法改正のメインでした。

だからこそ、法の目的が改正されたのです。
従来の「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」から「もって国民の健康の保護を図ること」に変えられたのです。

まあ、ここにはお役人の「タテマエ」も含まれています。
大体、こうしたニーズは前からずっとあったのです。
だってこれまでの制度が2000年の社会事情にいきなり合わなくなった、なんて昨日今日の話じゃないわけです。
ですが、んじゃ何でもっと早く改正しなかったのか。

日本の変化の直接的なトリガー(引き金)はいつだって大抵は「外からの影響」です。

BSE問題。
つまり、アメリカ様の、牛肉問題。
これがこのときのトリガーでした。
内外に対応できるよう、せざるを得なくてやったのです。

なので、メインとなったのは、主に行政、自治体でした。
例えば、「食品衛生基本法」を制定するなど。
そのため、実際においては食品業界自身が対応しなければいけない負担は、それほど大きくはありませんでした。

 

事業者への影響が大きい今回の食品衛生法改正

とまあ、このように、前回の改正は行政のあり方としての変革でした。
ですが、今回は違います。
前回に比べて、事業者負担の大きさ、影響の言い切差は比ではありません。

なかでも目玉となっているのは、なんといっても「HACCP制度化」でしょう。

誰でも名を知っているような超大手メーカーから、「HACCP?勿論知っているよ。あれだろ、麦わらの海賊団のソゲキn…」という町の定食屋のおっちゃんまで、みんなHACCPに対応しなければいけなくなります。
あとそれウソップな。

 

その他HACCP以外にも、事業者は業態や場合によって、営業届出を出しなおしたり、或いはポジティブリスト制に対応したりなどといった、新たな対応が求められることになるでしょう。

 

食品衛生法改正の概要
  • 広域的な食中毒事案への対策強化
  • HACCPに沿った衛生管理の精度化
  • 特別の注意を必要とする成分等を含む健康被害情報
  • 国際整合的な食品用器具、容器包装の衛生規制の整備
  • 営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
  • 食品リコール情報の報告制度の創設
  • 輸入食品の安全性確保・食品輸出事務の法定化

 

厚生労働省は、今回の法改正にあたり、その概要をこの7つに定めています。
例によってお役人言葉でちょっと(ていうかメチャクチャ)分かりづらいので、各内容についてはまた次回解説する予定です。

ですが、それらの細かい内容は置いておくとして、まとめてしまうと。

今回の改正で行われていることは、先に作り直した「あり方」「体制」に沿って、つまりは法目的「国民の健康の保護」をはかりうる、より「具体的な実施項目の規定」です。
前回で作った枠組みのもと、今回は更に今の時代にあわせて、細かい制度を現場に浸透させていく。
食品事業者がすべきこと、影響や負担が増えるのは、それを狙っているのだから、当然です。

 

法改正の背景にあるもの

先にも書いたように、この背景にもやはり2003年のときと同様、社会情勢や国際情勢に対する変化への適応というのがあります。

 

食品衛生法改正の背景
  • ライフスタイルの変化にともなう食の多様化
  • 健康に対する関心の高まり
  • 食の安全安心に対する関心の高まり
  • 広域な食中毒対応の必要性
  • 国際標準への対応、など

 

主だったところでは、こんなものでしょう。
では一つ一つざっくりと見ていきましょう。

 

ライフスタイルの変化にともなう食の多様化

少子高齢化や働き方の変化、世帯構造の変化。
そうした生活の多様化、変化に対する食の多様化。

まずこれが前回の改正時から、大きく変わってきています。

特に外食、あるいは「中食」などといった食のニーズの高まりが大きく変わりました。
予想もしていなかったことですが、「コロナ禍」による「ステイホーム」でそれを嫌というほど我々は知ることになりましたよね。

さらには輸入食品の増加など、食のグローバル化も以前に比べて大きく進んでいます。
これらにおける、食品安全の対応が制度としても求められています。

健康に対する関心の高まり

さらには、健康志向が高まって、健康食品の注目が高まっています。
サプリメントなども多種にわたり、市場で販売されています。
ですが、その中には健康被害を引き起こしかねないものも含まれています。

例えば、2017年には女性ホルモンに近いため豊胸や美容の効果があると植物成分「プエラリア・ミリフィカ」を含んだ健康食品によって女性の間に健康被害が発生し、厚生労働省が注意を呼びかけました。
今回の食品衛生法改正も、これを受けてのものであることは明白です。

食の安全安心に対する関心の高まり

先のことにも関わりますが、国民の「食の安全安心」への関心自体も、前に増して大きく高まっています。

だってぼくがこの仕事についた20年以上前なんて、「食の安全」への興味なんて主婦団体くらいしか考えていなかったものですよ。
それが今、「食の安全」への興味って、みんな普通に持っていますよね。

結果、それに対応できるよう、制度を作り替えていく必要が高まってきたのです。

広域な食中毒対応の必要性

前回の改正後、大きく注目を集めるようになったもの。
それが、異物混入と、それからO-157とノロウイルスです。

これらへのさらなる広域的な対応が行政として求められるようになりました。
特に2017年のO-157食中毒事件で、行政の連携強化が望まれたことは改正に向かう大きな引き金となったことでしょう。

国際標準への対応

と、ここまで来て。
はい、前回同様のことですが上の背景は、まあ全部とは全く言いませんが、でも幾割かくらいはお役人の「タテマエ」が含まれています。

 

で、んじゃそこにあるお役人の「ホンネ」は何なのよというと、コレです。
グローバルスタンダード化。
国際標準化。

要するに、「オリンピック対応」です。
「オリンピック開催するならいい加減、制度を高めておかないと恥ずかしい」
これがお役人の「ホンネ」です。

ぼくは、日本の食品業界の衛生管理レベルは低いどころか、世界においてもトップクラスだと思っています。
しかしながら、制度面において少しばかり遅れているところがある。
HACCPの制度化などはその最たるものでしょう。
結果、これまで日本の食ビジネスの輸出を妨げてきた面すら否定できません。

それをグローバルスタンダードに合わせる。
国際標準にまで引き上げる。
世界の目が注がれるであろうオリンピック、あるいはパラリンピックの開催に向けて、制度を高めていこう、という目的や目論見がその背景にあります。

 

今も昔も、日本の変革のトリガーは「外からの影響」

このように、今回の食品衛生法改正のトリガーは、「オリンピック」です。
前回の改正のトリガーが、アメリカ様の牛肉問題だったことに似ています。
結果的に見れば、結局トリガーは、「外からの影響」。
つまり、良くも悪くも、内外に対応できるよう、せざるを得なくてやったのです。

まあ、別にぼくは社会批評をしたいわけでも、政治の話をしたいわけでもないので、ここから先は何も言うつもりはありません。

それに、前も今回もこれだけの制度改革ですから、そんな簡単ではありません。
政治的に進めていくためには、何らかのネタがどうしたって必要になります。
むしろ「BSE」や「オリンピック」という「ネタ」があったからこそ、可能だった。そういう見方だって十分に出来るでしょう。
つまり、これら最も日本の政治リソースにおいて使いやすい「外からの影響」というキーがあったからこそ、それを利用して、前より進めるべきだったがなかなか遅々として現実化出来なかった制度改革を、「せーの!」で実現する出来た。
そういう面だって、否定できないと思います。

 

食品衛生法改正には真の目的がある?

さて以上が、一般的に言われている、今回の食品衛生法の要因です。

まあ、普通にそうなんだと思います。
これらは言ってみれば、表向きの目的です。
そりゃ確かに「広域的な対応」や「食の多様化に対する対応」の必要性があるに決まっています。
政治家には「オリンピックが開催されるんですよ!?」とご説明するのもわかります。

でも、「表向きの目的」ということは、「表向きではない目的」がある、という意味にとられるかもしれませんね。

え、「表向きではない目的」だって?
んじゃやっぱり…

 

 

(心のキバヤシ)
「やっぱりこの食品衛生法改正には、恐るべき真の目的が隠されていたんだよ!!」

 

 

「なんだってーー!?」

じゃなくて。

うーん、
裏の目的、というといささか違ってきますが、少なくとも。
この法律の改正内容をよく見てみると、「厚生労働省がしたいこと」があるのがわかります。

それは、「情報の掌握」です。

 

食品衛生法改正の目的は行政による「情報の掌握」

恐らく、今回の改正で厚生労働省がしたいこと。
それは、「情報の掌握」なのではないでしょうか。

なんだ、そんなことか。
そう、そんなことです。
でも、余りそれは言われていません。

勿論、国際標準に向かう、という目的だってそりゃあるんです。
でもお役人がここで最も考えていることは、「情報を一括し掌握する」ことだと思います。

ちょっと一応断っておきますが、さっきから言うように、ぼくは別にここで社会批判したいわけでも、権力批判したいわけではありません。
サヨっぽく「統治権力ガー!」という話ではありません。

そうではなく、「食品安全」においても、前の改正時からさらに「情報」というものの重要性が高まっている、ということです。

むしろ、社会的背景としてはこれが一番大きい、とすら言えるでしょう。
グローバル化が進んだ、多様化が進んだ、広域での食中毒の危険性も進んだ、そして情報化社会も大きく進んでいる。
こうしたなかで、より「情報」というものの必要性が、重要性が、高まっている。
そういう意味で、行政としてもより情報を広く、細かく、掌握する必要が出てきたわけです。

つまり今回の改正における最大の社会的背景、それは「社会の高度情報化」であり、これにあわせた具体的な情報集約の制度を作ろうとしている、ということです。

だって、考えてみれば、この改正の目玉である「HACCP制度化」だって、まさにそうでしょう。
HACCPとは科学的にリスクを管理する手法です。そのためリスクを情報として記録します。
つまり、リスクの情報化が食品事業者に義務付けられる、ということです。
このように少し見方を変えれば、HACC制度化というのは、行政がリスク情報を集約可能にさせる仕組みづくりです。

例えば何らかの問題が発生した場合、リスクマネジメントのための「情報」が一番重要になります。
それがもしHACCPを何もリスクの情報がなければ、当然ながら対応が遅れます。
だから、こうした「情報」をいつでも吸い上げ、対応ができる制度を作る。
それが今回のHACCP制度化における、厚生労働省の本当の目的なのではないか、ぼくは思います。

勿論、HACCPだけだけではありません。
それだけではなく、先の改正点の7つの概要だって、そうした観点からよくよく見れば行政が、リスク情報を集約出来る制度を作ろうとしていることが判るはずです。
(というか正直、このことが書きたくて今回ここまでつらつらと書いてきたといっても過言ではありません)

 

食品衛生法改正の概要
  • 広域的な食中毒事案への対策強化
  • HACCPに沿った衛生管理の精度化
  • 特別の注意を必要とする成分等を含む健康被害情報
  • 国際整合的な食品用器具、容器包装の衛生規制の整備
  • 営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
  • 食品リコール情報の報告制度の創設
  • 輸入食品の安全性確保・食品輸出事務の法定化

 

まとめ

今回は食品衛生法改正におけるその背景と、本当の目的についてお話いたしました。

煽ったせいでなんだか陰謀論、社会批判論っぽく聞こえたかもしれませんが、よくよく考えれば極めて当たり前の話です。

「オリンピック」に合わせて、丁度いい機会だからそれを政治的に利用し、古い制度を国際標準に引き上げる。
それとともに、高度情報化社会に向けて、行政が情報を掌握しリスクマネジメント可能な社会システムを法的に整えていこう。

これだけの話です。

では、次は具体的にどんな制度となっているのか。
それを見ていくとしましょう。
でも、この目線を使うと、ナルホドこういうことがしたいのか、と見えてくると思いますよ。
お楽しみに。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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