もう間もなく6月。梅雨に突入します。
ではこの梅雨時期に、食品工場や飲食店の防虫対策は何をすればいいのでしょうか。
この道20年以上のプロが教えます。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 梅雨時期は、カビが発生しやすいため、それを餌にするチャタテムシやヒメマキムシなどの食菌性昆虫が発生しやすい
  • 梅雨の晴れた日の夜には、羽アリが多量飛来することがある
  • 6月はシロアリ(イエシロアリ)が出やすい時期でもある
  • 昆虫が活性化しやすい6月には、その工場や厨房の「特性」にあわせた虫が「内部発生」しやすくなる
  • 今年は早くからクロゴキブリの生息が見られたため、夏季にむけてこれから増加するものと推測される

 

 

6月の梅雨時期に何をすればいいのか?

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言も解除され、街も少しずつ人が戻り始るなか、そろそろ5月が終わろうとしています。

もう間もなく6月。
6月といえば、梅雨です。
これからジメジメと湿度が高くて鬱陶しい梅雨に、否応なく突入します。

そしてこの梅雨時期というのは、実は防虫管理からすると本格的なシーズンの幕開け、あるいはいきなりのピークを示すものだったりします。
ではこの時期、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
この道20年以上のプロが教えましょう。

結露とカビに気をつけろ!

まずこの時期、最初に気を付けるべき相手は、カビから発生する虫です。

梅雨に入ると湿度が高くなったり気温が高まることなどから、カビが繁殖しやすくなります。
これに伴って問題が浮上してくるのが、カビ由来の虫です。

いわゆる、「食菌性昆虫」というのですが(まあ厳密には一部、「昆虫」でははないものも含むのですけど)、カビの胞子を食べて生きている、非常に小さな昆虫類です。
例えば、チャタテムシやヒメマキムシ、トビムシ、ダニなど。
こうした虫は、カビが生える場所で、この時期急激に増加します。

 

カビから発生する虫の例
  • チャタテムシ
  • ヒメマキムシ
  • トビムシ
  • ダニ
  • ハネカクシ
  • ケシキスイ
  • ホソヒラタムシ

 

ほら、意外と多いでしょ、カビから出る虫って。

特に注意すべきは、「結露」
これが生じているところは、この時期要注意です。

そもそもどうして結露は起こるのでしょうか。
それは、暖かい空気と冷たいものが接するからです。

空気というのは、水分を含んでいます。
そして暖かい空気は冷たい空気に比べ、水分を多く含んでいます。
逆に言えば、空気は冷やされると水分を含むことの出来る量が減ってしまうものなのです。

さて、それでは暖かい空気が冷たいものに触れた場合、どうなるでしょうか。
空気は冷やされ、含んでいた水分を含みきれなくなります。
そして生じるのが、「結露」です。

夏にキンキンに冷えたビールを頼むと、グラスの廻りに水滴がついてますよね。
冬に暖房を付けた自宅にいると、窓に結露ができますよね。
これらはいずれも、暖かい空気が冷たいものに接触し、冷やされることでおきている現象なのです。

さて、工場や厨房でそうした場所はありますか。
そう言われて山程あるのが、食品製造現場です。

例えば、冷蔵室、冷凍室。その隣の壁面はどうですか?扉廻りはどうですか?
例えば、空調設定18度の部屋。その天井裏は大丈夫ですか?
例えば、急速冷却機、ブラストチラー。その周辺、下部、上部はどうなっていますか?
例えば、冷蔵庫、コールドテーブル。そのモーター部や開放部周辺などにカビは生じていませんか?
あるいは、加熱調理工程。隣の下処理室などとの温度差で結露が生じていることはないですか?

このように、加熱と冷却、温度設定が必至な食品の製造現場は、常に温度差に囲まれている、と思っていいでしょう。
すると結露がどうしても生じやすくなり、食菌性昆虫の生息箇所になります。

なお、ヒメマキムシの意外な発生要因について、以前記事を書いたことがあります。
こうした事例を参考にしながら、自分の工場や厨房での問題があるかどうか確認してみてください。

 

五月晴れに気をつけろ!

毎日雨がふるような梅雨時期にも。時々晴れ間が訪れる日がありますよね。
いわゆる、「梅雨晴間(つゆはれま)」。
これ、別名を「五月晴れ(さつきばれ)」というのを知っていますか?

ぼくは知りませんでした(笑)。
さっき知りました。
「五月晴れ」というのは、現代の6月にあたる旧暦の5月の晴れことで、必ずしも現代の5月の晴れの日を指すわけではないみたいです。
6月の梅雨の合間に時折晴れる日、あれもまた「五月晴れ」と呼ぶみたいです。
そうなのか、知らなかった!

ってのは置いておくとして。

この「五月晴れ」も要注意です。
こういう日は、様々な虫が押し寄せます。

まず、羽アリ。
4~5月くらいから捕獲が見られ始める羽アリですが、梅雨時になると巣立ちが行われます。
クロヤマアリやアメイロアリなど、梅雨の合間に巣立ちが行われるアリは珍しくありません。

そうした場合、めっちゃ大量の羽アリが飛来してくることもあります。
夏場によくあることなのですが、種類によっては梅雨時期にそれが発生することもあります。
その場合は、雨の日ではなく、その翌日の晴れた日の夜というのが鉄板です。

 

一般的に、飛翔性昆虫は雨を嫌います。
雨の中は羽が濡れて上手く飛べません。すると外敵に狙われても逃げられない。
だから、葉の裏などの隠れ家でじーっとしています。
で、こうした梅雨の合間を狙って、一斉に活動したりするのです。

しかもこうしたことは、何の前触れもなく、いきなりとんでもない多量のアリが飛来してきたりします。
「ウチは今までそんなことがなかったから」とか関係ありません。
いきなり、起こるのです。
去年も、一昨年も、その前年も、10年前もなかったのに、いきなり起こるのです。
マジです。
それを熟知しているプロ中のプロであるぼくの、この15年住んでいるうちで去年それが起こったのだから激烈真実です。
(過去記事を参照下さい。これらに対する対策も書いています。)

 

その他、雨水から逃れるために多量で移動する土壌由来の虫もいます。
ゲジやヤスデなどの多足類がそうです。
雨が降った翌日など、工場や店舗の壁面などをこれらが登っていたりすることがあります。

木造じゃなくても気をつけろ!

先のアリは、いわゆる「クロアリ」というものですが、この6月に問題になりがちなアリといったら「シロアリ」です。
なかでも梅雨の時期には「イエシロアリ」がよく見られます。

「羽アリ」、つまり羽があり飛翔するアリは大きくわけて二種類あります。
それは、「クロアリ」と「シロアリ」です。
ちなみにこの「クロアリ」とは「シロアリ」と区別するための俗称であり、学樹的な名称ではありません。
所謂、アリのことです。
あのよく土壌で見られる、行列を作って群れなしているアリに羽が生えたものです。
実はアリは、形状も含めてハチにかなり近い昆虫です。

一方、シロアリは寸胴で腹部に「くびれ」がないのが特徴です。
また二枚の羽が同じ大きさであることもシロアリならでは。
更に、こうしたシロアリの突発的な出没の翌日には、アリの死骸が散乱しているものですが、その際に付近をよく見るようにしてください。
シロアリの場合、羽が散乱していることが多いもの。
方や、クロアリの羽はそう簡単に取れないので、羽がついたまま死んでいます。

 

クロアリの特徴
  • 前後の羽の大きさが違う
  • お腹に「くびれ」がある
  • 触覚が「く」の字状に曲がっている
  • 飛来時期は、6~8月が多い
  • 羽がついたまま死ぬ

 

一方、シロアリの画像がないのでわかりづらいですが、下の画の羽の生えたものが、シロアリです。

 

シロアリの特徴
  • 細長く、羽が長い
  • 前後の羽の大きさが同じ
  • 体が寸胴で「くびれ」がない
  • 触角が真っ直ぐ
  • 飛来時期は、4~6月が多い
  • 羽が散らばりやすい

 

「うちの工場は木造じゃないから大丈夫」
そう思うかもしれませんね。
ですが、様々な施設の土台に使っていたりといったことも多いもの。
特に冷蔵庫やエアコンの土台などに、木材を組んで使われていることがあります。
この場合、結露などが流れ腐敗していることがあります。

以前、工場の床面のクラックからシロアリが多量に侵入し、相談されたことがあります。
この工場では基礎に木材が一部使われており、そこが巣になっていました。

その他、倉庫内に放置していた木製パレットなどでも発生することがありますので、ご注意を。

内部発生に気をつけろ!

梅雨時には、雨という要因に加えて気温上昇という要因を考えておく必要があります。
それに植物も育つ、ということはそれらに由来する昆虫も活発化する、ということです。

一般的に初夏、この6~7月が活動ピークだ、という昆虫はかなり多いもの。
結果、5月くらいまでそれほど問題にならなかった虫が、一気に増えだすのがこの時期です。
むしろ、夏真っ盛りの8月や残暑がギラつく9月上旬には、温度が上昇しすぎて逆に活動が衰える虫だっているくらいです。
ですから年間を通じて、この初夏は防虫対策の一つのピークだとすらも言えます。

 

特に工場内や厨房内の「内部発生要因昆虫」には注意が必要です。
これらは、まあ「生息条件」次第で通年的にも発生するのですが、それでも本格的に内部発生の問題が悪化、顕在化、拡散化するのが決まって梅雨時からというのが相場です。

場内にいる虫は、外から入ってきた「外部侵入要因昆虫」か、それが産んだ卵から孵化し、育った場内生まれ場内育ちの「内部発生要因昆虫」。これらのいずれかどっちかです。
何故、このような分けかたをするのか。
それは、原因に対する対策が違うからです。
詳しくは、「防虫対策の極意」を読んでみてください。

 

さて、ここでもう一つ。
全ての虫が工場の中で生息を定着させ、繁殖し、生き残れるわけではありません。
虫には、その虫独自の生態に合わせた生息条件、「発生要因」というものがあります。
この「発生要因」の条件が満たされないと、虫は生き残ることが出来ないのです。
ですから、実のところ「内部発生要因昆虫」、つまり内部発生が出来る昆虫というのはある程度種類が限られるのです。

 

例えば、このような発生の環境的条件、「発生要因」がないと、虫は内部発生が出来ません。

例えば、排水溝などではコバエが内部発生します。これらの「発生要因」は汚水です。
それがなければ、コバエは内部発生が出来ません。

先に出した「食菌性昆虫」はカビが「発生要因」です。
だからカビを除去するとこれらは発生しなくなります。

チャバネゴキブリの「発生要因」は餌と温度です。
だから、どちらかをなくすことで「内部発生」を抑えることが出来ます。

その他、小麦粉などの穀粉が「発生要因」という虫もいます。貯穀害虫、と呼ばれるものです。
これだって、粉溜まりなしでは条件が揃わず、内部発生が出来ません。

さあ、もうわかりますね、
だから清掃というのは、その発生要因を揃わなくさせるために重要なのです。

それともう一点。

それぞれの工場や厨房の環境によって、「発生要因」は異なります。
だから発生する虫が違ったりするのです。
勿論、似たようなこともあります。
ですが、例えば多量に水を使う惣菜工場と、ドライな環境でクッキーを焼いている工場では発生要因が変わるため、違う虫が内部発生します。

そのため、自分の工場や厨房の「特性」を把握しておくことが重要なのです。
とくに、「状況特性(内的特性)」が、昆虫の内部発生を決定づけます。
この「状況特性(内的特性)」については下の記事に詳しく書いてありますので、そちらを参考にしてみてください。

 

そろそろ出てくるアイツに気をつけろ!

さて、そろそろアイツも出てきます。
夏の虫といえば、アイツです。

そう、

クロゴキブリです。

 

 

 

ゴキブリが苦手だというのは、たまこ先生だけじゃないでしょう。
そんな夏の虫の嫌われ王、クロゴキブリ。

実は去年暖冬だったために、今年の諸島から真冬にも関わらずクロゴキブリの成虫の捕獲、目撃が各所であがっていました。
通常、越冬して卵や幼虫でじっとしている真冬にクロゴキブリの成虫が問題化することなんて、そうそうないものです。

 

先の通り、冬を卵か幼虫ですごしたクロゴキブリは、春に孵化し、あるいは活動を開始します。
それがかなり早まっていた、というか秋からずっと継続されていた。
それがこの2020年の上旬の状況です。

それもあってか、4月くらいからすでにあちこちでクロゴキブリの成虫の生息が早くからあがってきています。
この傾向は、6月に向かって、高まりはすれど減ることはないでしょう。
多分、この2020年の夏は、あちこちでクロゴキブリの問題が多いんじゃないかな、と思います。

まとめ

以上、梅雨時に対応すべき防虫対策について、お話してきました。

何度にもなりますが、ここからが工場や厨房での防虫管理のシーズン開幕です。
ここからが本番であり、場合によってはピーク時期にすらなり得ます。

自分の工場や厨房の「特性」を見定め、それらにあった対策を進めていくことが重要です。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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