HACCP制度化に向けて、東京都の保健局が作成、発行している「食品衛生管理ファイル」。
無料でネットからDL出来るものなのですが、これが実によく出来ています。
別に全国どこの飲食店でも使える内容になっていますので、飲食店経営者の方はこれを使わない手はないでしょう。今回はその紹介をいたします。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 東京都福祉保健局が、2020年版の「食品衛生管理ファイル」を作成し、無料配布している(ネット上でもDL可)
  • 「食品衛生管理ファイル」は、飲食店の行うべきHACCPを簡易に出来るようになっており、非常に便利である
  • 「食品衛生管理ファイル」は、HACCPを推し進めている厚生労働省管轄の東京都保健局が作っている、オフィシャルツールである
  • 「食品衛生管理ファイル」は、東京都福祉保健局のサイトから無料でDL出来る
  • 「食品衛生管理ファイル」は飲食店が作成すべき「衛生管理計画」が、チェックするだけで作ることが出来る
  • 更に「食品衛生管理ファイル」はカレンダーに毎日記入することで、HACCPに必要なモニタリングの記録を行うことが出来る

 

 

「食品衛生管理ファイル」って知ってますか?

コロナショックで染められたこの2020年ですが、その一方でHACCP義務化がいよいよこの6月から始まります。

これに伴って、うちでも前回、前々回と、飲食店のHACCP対応に対してお話をしてきました。
結構大変だなあ、と思う飲食店の方もおられたことでしょう。

しかし。世には便利なツールが結構あるものです。
特にこれ。

 

東京都保健局が作って発行している「食品衛生管理ファイル」というものです。
無料でネットからDL出来るのですが、なかなかよく出来ています。
これを使わない手はないでしょう。
今回はその紹介をいたします。

「食品衛生管理ファイル」とは何か

そんなわけでぼくの手元に先日、東京都福祉保健局から、新たな2020年度版の「食品衛生管理ファイル」が届きました。

 

これは東京都の福祉保健局が発行し、その編集を先の「一般社団法人東京都食品衛生協会」が行っているもの。
ちなみにこの一般社団法人東京都食品衛生協会は、厚生労働省公認の手引書を作成している公益法人です。

そしてウチのように、この協会さんとビジネス上での関わりを持っているところや、会員として加入しているところ、都内の保健局とツテのあるところなどには、毎年この「食品衛生管理ファイル」が配布されます。
他はどうなってるんだろ、ぼくは都内の飲食店経営者ではないので、そこらへんはよくわかりません。
尤も、普通にネット上でも無料で誰でもDL出来ますからご安心ください。

なおこの「一般社団法人東京都食品衛生協会」では、講習会や実習、その他の様々な活動を行っているようなので、興味のあるかたは詳細を下のリンク先で確認してください。

 

で、本題。
この「食品衛生管理ファイル」ですが、昨年も実は発行されています。
というか昨年から発行されました。

で、二年目にあたる今年2020年版がこれなのですが、これまた昨年同様に非常に良く出来ている。
さすがは、日本で一番飲食店が多い東京都。
その数多の飲食店の衛生管理を束ねている保健局が、「おまえらこれをやれ」と言っているのだから、そりゃよく出来ていないわけがない。
ぼくが知る限り、飲食店でHACCPを進めるにあたってはこれを使うのが一番簡単で便利なんじゃないかな、というものとなっています。

あ、勿論ですが、別に東京都内の飲食店以外は使えないというものでも全くありません。
全国各地の飲食店でも、全然普通に使えます。
どうぞ、ご安心を。

とにかく「HACCP制度化で何をやればいいの?」という飲食店の方。
(食品工場でもいいですが)
まずはこれをダウンロードして印刷し、この記事を読んでそれに沿って進めれば大丈夫です。

そのくらいの出来になってます。

飲食店が食品衛生ファイルを使うべき唯一無比の理由

このファイルの対象は、飲食店、あるいは小規模な食品工場です。
つまり、HACCP制度化における、いわゆる(元)「基準B」、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」にあたる方々がその対象です。

 

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(元基準B)」については、すでにお話した通りです。

 

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」(旧基準B)対象事業者
  • 小規模な製造・加工事業者
    (食品の製造又は加工を行う者のうち、一の事業所において、食品の製造及び加工に従事する者の総数が50人未満の者)
  • 併設された店舗で小売販売のみを目的とした菓子や豆腐などを製造・加工する事業者
    (菓子の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売、豆腐の製造販売等)
  • 提供する食品の種類が多く、変更が頻繁な飲食店等の業種
    (飲食店、給食施設、そうざい・弁当の調理等)
  • 低温保存が必要な包装食品の販売等一般衛生管理のみの対応で管理が可能な業種

 

製造従事者が50人以下の中小規模の食品工場、飲食店が、ここに含まれます。
こちらはガチHACCPな「HACCPに基づく衛生管理(元基準A)」に対し、もう少しゆるくそれっぽい「なんちゃってHACCP」をしましょう、と言われています。

もう少し具体的には、「CodexーHACCPの7原則12手順」ってのがあるのですが、これをもう少しカスタマイズして簡略にした「手引書」というのを各業界団体が作成しています。
なので、それに従った衛生管理をしなさい、ということです。

具体的には、次の3つのことを行います。

 

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」(旧基準B)の実施事項
  1. HACCPに沿った「衛生管理計画」の策定
  2. 衛生管理計画に沿ったモニタリングの実施
  3. その記録・確認

 

それらをどう具体的に行っていくかについては、前回お話した通りです。
そちらを参考にしてみてください。

 

で。
この「食品衛生管理ファイル」は、この1~3のすべきことについての具体的な文書化ツールとして使える、というところが優れているのです。

いや、そんなん他にもあるやん。
そう思うかもしれません。
ですが、「飲食店向けHACCPの具体的な文書化ツールとしてこれを使え」と、お上が、行政が、HACCP制度化を進めている他ならないお偉方が、直々に作っているオフィシャルツールがこれだということです。

要するに、飲食店に対して、お上である厚生労働省の窓口機関である保健局が「いいからこれに従って進めればHACCP対応はオーケーだよ」と言っているわけです。
しかも、日本でどこより飲食店がひしめいている東京都の保健局が、です。
保健所界を司る界王神さま、東京都保健局が「飲食店はこれをやっとけ」と言って出しているんです、そりゃあ見ておいて、使っておいていいに決まっているじゃないですか。

尤も、その割に全く!全くもって知られていません。
まあ、それは行政ならではの宣伝不足というもの。
しかもその窓口である都の発行物ですからね。仕方ありませんが、でもこんな使えるものを使わないのも勿体ない話でしょう。

食品衛生管理ファイルを手に入れよう

では実際に「食品衛生管理ファイル」を手に入れましょう。
入手方法は簡単。

以下の東京都福祉保健局のサイトからDLし、印刷するだけです。

www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp
HACCPの取組支援|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/haccp_shien/index.html

 

さすがゴリゴリ役人さまのサイト、メチャクチャそっけねー!
こんないいもの作ったんだから、もっと宣伝したりアピールすればいいのに。

なお、先のように保健所や協会のツテのあるひとはそこに訪ねてもいいでしょうし、確か送料だけ払えばもらえるんじゃなかったかな。
大体、送料分くらい安いものですよ、これ。
ぶっちゃけ、下手な講習会に金払って出るより、ウチのここ過去3回分の記事を読んで、でこれ手に入れれば飲食店向けHACCPは攻略できます。
いやマジで。だって、プロが言ってるんですから。

食品衛生管理ファイルは何が出来るのか

では実際にこの食品衛生管理ファイルはどのようになっているのでしょうか。
まずこれで何が出来るかをお伝えしましょう。
要は先の3つの実施事項がこれで事足ります。

 

食品衛生管理ファイルで出来ること
  1. 飲食店での危害要因とその管理条件がサクサクわかる
  2. 一般衛生管理に対する「衛生管理計画」がサクサク作れる
  3. 重要管理に対する「衛生管理計画」がサクサク作れる
  4. それらに対するモニタリングの記録がサクサク出来る
  5. 要するに、HACCPシステムのPDCAサイクルがこれ一冊でサクサク回せるよう出来てる
  6. あと衛生管理マニュアルとしても使える
  7. 問題が発生したときには四の五の言わず保健所にこれを出せと、お上自身がゆうとる

 

なんすかこれ。
これでもうよくないすか。

とね、さすがにオフィシャルツールだけあって、よく出来ていますわ。
とにかくこれ一冊でHACCPシステムの構築がサクサク進むように、しかもそれほど難しく考えずに出来るように出来ていますわ。
それこそ街の中華屋のおばちゃん、「え、HACCP?勿論知ってるよ、ワンピースの麦わらの一味だろ?」というような焼き鳥屋のおっちゃんでも出来るように出来てます。
さすがだな、トキョシティ。
あとそれ、ウソップな。

食品衛生管理ファイルの中を見ていこう

それではこの食品衛生管理ファイルの中を見ていきましょう。
まず表紙。

 

さすがオフィシャル、こうあります。

この食品衛生管理ファイルは、厚生労働省ホームページに掲載されている「小規模な一般飲食店事業者向けHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」の内容に合致しています。

 

くどい!
要するに、これはお上の言っていることだと言ってます。
一般ピーポーの民間じゃねーぞ、と言ってます。
正当性のアピールです。

そして、飲食店を名指してます。
飲食店はこれに従えよ、と言っているわけです。

更に次に、こうあります。

 

食品衛生管理ファイルの表紙に書いてあること
  1. ファイルの保存期間は最後に記入してから1年以上です。
  2. 保健所から求められた場合は、このファイルを提示してください。

 

そう、保健所が「問題出たらこれ出してね」と言っているわけです。

そして基礎情報。
施設情報だったり、お、組合のチェック欄なんかもありますね。

ファイルの使い方はまさにPDCAサイクルそのもの

ページをめくると、このファイルの使い方が記載されています。

 

食品衛生管理ファイルの使い方
  1. リスクを知る
  2. 「衛生管理計画」を作る
  3. 「衛生管理計画」を実行する
  4. 「記録表」に記録する
  5. 見直す

 

最初に事前の重要なことを知る。
そしてあとはもう、2から5まではまさに「PDCAサイクル」。
計画し、実行し、確認・記録し、見直す。
まさにHACCPシステム自体が「管理」というPDCAサイクルを回すことであるかが、ここからもわかります。

ぼくが勝手に言っているんじゃないですよ?
どこぞの訳わからん衛生管理屋じゃなくて、お上がHACCPとは「管理」というPDCAサイクルを回すことだって言っているんですよ!?
(ここ重要)

面倒な危害分析もすでにまとめられている

さて、ページをめくります。
すると、どんな食材にどんなリスクが潜んでいるのか、それが一枚ものとしてまとまっています。
こりゃ便利だ。

 

あのね、
HACCPを進めるにあたって、一番専門知識が求められるのが、実はこの「危害要因分析」なんですよ。
まあ、言うてもそんな難しいわけではないのですが、ある程度の微生物や衛生に対する知識が必要になります。

その食品に関わる、やばそうな食中毒菌はこれだ、と絞り込めるだけの知識。
それから、それを死滅、無毒化させるため必要な措置はこれだと選定出来るだけの知識。
この2つは、どうしたって必要になります。

尤も食品衛生責任者になるにはこの程度の基礎知識は必要ですし、それに別段小難しい話でもありません。
このくらいは目を一応通し、自分の店で使われている食材にはどんなリスクが潜んでいて、それに対しどう対応すればいいか。この程度は目を透して当たり前です。

 

で、それを分かりやすくまとめているのが、このファイルのいいところです。
こういう各法令基準をまとめたやつって意外となかったりしますからね。
かゆいところにしっかり手が届いている感じ、っていうのかな。
使い手のことをちゃんと考えてつくられてますね。

衛生管理計画が簡単に作れるのがこのファイル最大の利点

さあ、いよいよここからが「衛生管理計画」の作成です。
前回お話した通り、「衛生管理計画」というのは二段構造になっています。

一般衛生管理の計画書を作成しよう

では、まずその土台となる一段目、「一般衛生管理」について作成していきます。

「一般衛生管理」のポイントは7項目(プラス3項目)。
前回お話しましたね。
これらについてのルールを決めていくのです。

 

え、何を決めればいいか判らない?
大丈夫、3ページ、4ページの見開きを見て下さい。
ある程度のことがフォーマットとして書かれています。
ですから、それらのチェック欄を埋めていくだけで計画書が出来るようになっているのです。

こいつは便利だ。

重要管理の計画書を作成しよう

次の二段目、「重要管理」。
これも前回お話しましたね。

お店のメニューを、加熱する、しない、冷却と加熱を繰り返す、の3つに分類し、それぞれの管理方法を決めていく。

 

え、何を決めればいいか判らない?
大丈夫、5ページ、6ページの見開きを見て下さい。
これについても、すでに出来ているフォーマットに沿ってお店のメニューを区分し、管理すべきところにチェックを入れていくだけです。

これでHACCPの基礎となる「衛生管理計画」、つまりHACCPという衛生管理のPDCAサイクルにおける「P:計画」の完成です。
あとはそれに沿って実行していくだけです。

記録表を使ってモニタリング記録をしていこう

さあ、「衛生管理計画」、PDCAサイクルの「P:計画」が出来上がったら、次は実行(D)、そして確認(C)、改善(A)です。

HACCPにおいては、実施した内容を記録していくことが求められています。
そこで次のページからは、カレンダーになっています。

 

毎日、「一般衛生管理」の点検項目に行ったことについて○を記入し、また出来なかったら×を記入する。
そして「重要管理」についても同様に、行っていく。
問題があれば、特記事項に書いていく。

これが月度に1枚、一枚物で出来ています。
こりゃ便利だ。

最後には各衛生マニュアルが

最後のページ、背表紙にあたるところには、最低限の衛生マニュアルが記載されています。

例えば、手洗いはこのように、いつ行うのか。
これをコピー、あるいは印刷して、貼り出しておけば、それが手洗いのマニュアルとして機能する、というわけです。

その他、従事者に対する個人衛生やトイレなどの殺菌などについても記載されています。
これも同様ですね。

こんな便利で無料!

このように、危害分析がまとまっていて、「一般衛生管理」と「重要管理」の計画がチェック式で作ることが出来て、毎日の記録にもなる。
おまけで衛生マニュアルがついてくるし、もし万が一問題が発生した場合には、これを保健所に提出すればいい。
「うちは、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行っていました、ホラ」とこれがその証になる。
何せこれを作ったのは、他ならない行政です。

ね、
これがタダで手に入るって、めっちゃよくないですか?

そんなわけで、ぼくは東京都の保健局の回し者でも何でも全くないですけど(笑)、全国の飲食店の方はぜひ、ダウンロードするか、あるいはお問い合わせすることをお勧めします。
なお印刷物だと、割と良質な厚めの紙に綴じ込まれ、ぶら下げやすいようすでに2つの穴が空いた状態となっています。

ぼくから見たって、送料くらい払っても十分なくらい使えるんじゃないかなって思いますよ。

まとめ

今回は、東京都の保健局が作成し、発行している「食品衛生管理ファイル」についてお話いたしました。
ほんと便利でよく出来ています。
都内のみならず、全国の飲食店で普通に使える内容になっていますので、もしよければ一度ダウンロードして目をとおしてみてください。
それだけでも、「具体的にどんなことをやらなければいけないか」が判るかと思います。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです

 

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