「5S」。食品関係の工場や店舗における衛生管理の基本中の基本、とされています。
ですが、これが実はシンプルそうで、なかなか奥深い。
というわけで、誰も教えてくれない本当の5Sの話、今日は一番最初の「整理」について、前回、そして今回と、二部構成でお話させていただきます。
(今回はその後編となります)

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 現場の全てのものに「生品・休品・死品」のシールを貼り、「休品、死品」に5W1Hを記入する
  • 全てが区分され、シールがはられたら、「休品」を撤去し、「死品」を処分する
  • 最後に、「整理」のルールが明確化され、「仕組み」として出来上がったかを確認する

 

 

現場で実際に「整理」を行おう

実際に5S活動を行っていくにはどうすればいいでしょうか。

前回で、まず現場のものを「生品」「休品」「死品」の3つに区分しましたね。

 

「整理」の区分
  • 生品:必要なもの(すぐに使う、必要なもの)
  • 休品:不用なもの(必要だがすぐには使わないもの、使う頻度が低いもの)
  • 死品:不必要なもの(必要のないもの、今後使わないもの)

 

 

そして、「生品」と「休品」を区分けする「すぐ」を明確に数値として基準に定めよ、というお話もいたしました。
具体的には、「2週間」。
これの期間内であれば「すぐに使う=生品」とし、この期間を超えるものであれば「すぐには使わない=休品」というルールを作りなさい、というお話でした。

 

生品・休品をわける「すぐ」を線引する
  • スパン:2週間内に使うかどうか
  • 頻度:その1ヶ月で3回使うかどうか など

 

 

では、これらを踏まえて、更に具体的に現場での実践法を教えていきましょう。
なお、前回を読んでおられない方はこちらから先にどうぞ。

 

「整理」の手順

では実際に「整理」を現場でやってみましょう。
主な流れは、次の通りです。

 

「整理」の手順
  1. 「生品」「休品」「死品」のルールを決める(2週間3回)
  2. 現場のすべての「休品」「死品」に対し、シールを貼って区分けしていく
  3. 「休品」「死品」のシールに「5W1H」を記入する
  4. シールに従い、全ての「休品」を撤去し、全ての「死品」を処分する
  5. 管理者がチェックし、残っているものがあればルールの通り対応を指示する

 

前回までで、すでに「1」は終えてますね?

ですから今回は、次の「2」から。
「現場にあるすべてのもの」を「生品」「休品」「死品」の3つに分けていきます。
そして、それぞれが目で見てわかるよう、シールを貼っていきます。

具体的には、「休品」「死品」の2つに区分けされたものについて、青の「休品」シール、赤の「死品」を貼っていくのです。
(色は例えですので、わかればなんでもいいです)

 

ここで用意するものは、ごく簡単なもの。
マジックと、それからマジックなどで書き込み出来る、このようなシール。
おっと、シールは赤・青の色違いで、これよりもう少し大きめのものがいいでしょう。

用意はこれだけで十分です。
あ、あとこれまでの5S活動に対する知識、かな。(笑)

そして、現場にある「休品:急がないもの」と「死品:いらないもの」に、現場で決めたルールに従ってそれらをペタペタと貼っていくのです。

さて、ここでのポイントは「現場にあるすべてのものを対象とする」ということです。
そして、例外を認めないこと。

勿論、棚の中にあるもの、棚の段にあるもの、箱に入っているものを一括にしても構いません。
この箱にあるものは全部「死品」だとしてもいいです。
ですが、その場合だとしても「この場所にあるものは整理をやらない」ということをしないことです。
「例外」はルールを形骸化させます。
なぜならルールに除外対象を作ると、ルールはそのぶんだけ強制力が緩むからです。

「整理」は何も一度に現場全域をすべてやらなくても構いません。
場合によっては、何回かに分けたっていいでしょう。

ですが、それでも必ず、全てのものに対して例外を作らずに「整理」を行う。
これが重要、原則ではなくて「鉄則」です!

シールに5W1Hを記入する

さて、ここで「生品」「休品」「死品」シールを貼る際に、もう一つすべきことがあります。
それは、そのシールに次のことを書いていくのです。

 

シールに記入するもの
  • 「生品」「休品」「死品」の区分け
  • 5W1H

 

「5W1H」とは、When(いつ) Where(どこで) Who(誰が) What(何を) Why(なぜ)How(どのように)」の頭文字をとったものです。

まあシールが貼ってあるので「What(何を)」は必要ありませんが、それ以外を簡単に書いていきます。
そう、だからシールは大きめがいいというわけです。

5W1Hの記入の対象は、「休品」「死品」の2つです。
「生品」についてはこれから、整頓に向かいます。

なおこの場合、最低でも「いつまで」「どこに片付けるのか」「誰がやるのか」の3つは記入するようにしてください。
そして、すべての対象にそれがなされているかを、現場責任者が必ずチェックすることが大事です。

 

5W1Hを書いていこう
  • When:いつまでに
  • Where:どこに
  • Who:誰がそれをやるのか
  • Why:何故か(必要があれば記入)
  • How:どのようにするのか(必要があれば記入)

 

 

例えば、こんなふうにです。

実を言うと、これは一般的な5S活動においては、「赤札」と呼ばれるよく知られた手法です。
「いらないもの」にこうしたことを記載し、ペタペタ貼っていくのです。

食品以外の工場やオフィスなどで5Sを効率化や社員育成でやるのであれば、それでいいかと思います。
ですがここは食品を取り扱う工場。
目的と、その目指すべきレベルや事情が全く違います。

つまり、処分すべき「死品」のみならず、「休品」の撤去というのが実は重要性を増します。

そうやって現場を「死品」のみならず徹底的に「休品」を撤去し、「生品」のみにすることが求められるわけです。
そこでこうした二段階の対応を行うのです。

ルールの「見える化」とは

どうしてこのようなことを行うのでしょうか。
それは、ルールを「見える化」するためです。

ルールの「見える化」とは何か。
それは、ルールを「認知」「理解」しやすい状況にする、ということです。

 

ルールの「見える化」とは、ひとがそれを見てルールがそこに存在することを認識出来るようにしておくことです。

明文化。
標識化。

いずれにしても、そこにルールがあることがひとに解るようになっていることを言います。
そうすることで、誰が、今日入った新人さんでもそれを見れば解るようにする。
外部のぼくがそこにいっても、解るようにしておく。

これが「見える化」です。

実際に休品を「撤去」し、死品を「処分」する

さあ、全てのものが「生品」「休品」「死品」と区分できましたか?
出来たら、次はそれらを実際に「撤去」「処分」します。

つまり、休品を「撤去」し、死品を「処分」し、生品は次に「整頓」します。

 

「整理」の区分
  • 生品:「整頓」へ
  • 休品:「撤去」へ
  • 死品:「処分」へ

 

 

ここでもそうですが、例外を作ってはいけません。
決めたルールは徹底すること。それが重要です。

そして、実際に死品を徹底的に撤去し、休品を処分する。
これをやってこそが「整理」です。

ただ貼っただけでは、またそのまま放置されることでしょう。

さあ、これで現場は「いるもの」だけになるはずです。
「いらないもの」、「急がないもの」はもう現場にはないですね?
現場責任者はそのすべてをチェックし、もし残っていればそれを撤去・処分させるよう指示を出します。

ここまですべてやって「整理」なのです。
「いらないもの」「急がないもの」が一つでもまだあったら、それは「整理」が出来ていないことになります。

実は「5S」を如何に成し遂げるかは、実はこの「整理」がカギを握っていることが多いものです。

「整理」の「仕組み」が出来たか最後に確認する

さあ、ここまでやってみて、そして最後に絶対確認しなければいけないことがあります。
それは、「整理」の「仕組み」が出来たか、どうか、です。

「整理」とはなんでしょうか。
それは、「いるもの」「いらないもの」を区別し、「いらないもの」を処分する「仕組み」を作ることです。

「仕組み」とは、誰がどうやっても同じ結果が出せるように、約束事や構造を組んでおくことです。
つまり、「ルール」を作り(P)、それが誰にも認知・理解・容認できるように「見える化」し、それが果たされている状況にし、つまりはルールが共有される(D)ようにすることです。

道路標識のように、車の運転手=現場従事者が、それに従って左右に曲がったり出来ている状況になりましたか?
つまりは、道路標識のように表示されて誰からも一目で判るようになされており、それに従って誰もが「整理」=「いるもの・いらないものを区別し、いらないものを処分」できるようになりましたか?

それが「仕組み」を作る、というものです。

 

さあ、もう工場内、店舗内は、2週間内に使うものを「生品」とし、それ以外の「休品」「死品」は置いてありませんね。
では、それが明示されてますか?
なければここでルールを書いて貼り出しましょう。

では、
ここで最終チェックです。

 

「整理」の仕組みが出来たか?
  • 「生品」「休品」「死品」の区分けが出来たか
  • その基準が誰にも判るように明示されたか
  • そのチェックのルール(いつ、どこを、誰が、何を、どのように)が定められ、明示されているか
  • 問題があった場合、指示改善の責任と担当が明確になされているか

 

…と、ここで一点だけお話をしておきましょう。
実を言うと、この段階で「確認(C)」「改善(A」」に対して、余り触れていないのにも、当然ながら理由があります。

というのもこれは「清潔」の時に詳しくお話しすることなのですが、「整理・整頓・清掃」の「3S」は、実はPDCAサイクルの「P」と「D」にあたるからです。
ですから今はまだ初期段階の初期改善なので、その最初のルール作り(P)が重要なのです。

「仕組み」作りとは、PDCAサイクルでいうP:「設計」のことです。
つまり、まずはルールを策定し、整理ができる「仕組み」を作って(P)、で実際にやってみる(D)。
ここが現段階です。

当然この後、そのうちこの「3S」という「仕組み(P)」を定期的に実施し(D)、PDCAとして回していく必要が出てきます。
そして、先回りになってしまうのですが、実はそれこそが「清潔」「躾」の段階です。
結論を先に言うなら、「清潔」とは3Sという「P・D」に対する「評価C、改善A」のことであり、「躾」とはそのPDCAサイクルが回っている状態のことなのです。

よって今構築している「整理」という3Sの「仕組み」作りは、その後「C」とAを経ることで効果を果たすようになっていきます。
このことはどうぞ頭に入れて、覚えておいてください。

いいですか、くれぐれもこれは1回きりの作業ではないですよ?
1回きりではそれは「仕組み」が回っているとは言えませんからね。

まとめ

以上が「5S」のうちの、「整理」の手順です。
前回、そして今回をまとめてみましょう。

まずは、現場の全てのものを「生品」「休品」「死品」に区別します。

「整理」の区分
  • 生品:いるもの(すぐに使う、必要なもの)
  • 休品:急がないもの(必要だがすぐには使わないもの、使う頻度が低いもの)
  • 死品:いらないもの(必要のないもの、今後使わないもの)

 

これらに従い、「整理」を進めます。
主な手順は次の通りです。

「整理」の手順
  1. 「生品」「休品」「死品」のルールを決める(2週間3回)
  2. 現場のすべてのものに、「生品」「休品」「死品」のシールを貼って区分けしていく
  3. 「休品」「死品」シールに「5W1H」を記入する
  4. シールに従い、全ての「休品」を撤去し、全ての「死品」を処分する
  5. 管理者がチェックし、残っているものがあればルールの通り対応を指示する

 

さあ、初回の「整理」が終わりましたか?
ルールが明確になされ、明示され、誰にも判るようになっていますか?
そのチェック体制や取り決めも同様になされましたか?

では最後に最終確認です。

「整理」の仕組みが出来たか?
  • 「生品」「休品」「死品」の区分けが出来たか
  • その基準が誰にも判るように明示されたか
  • そのチェックのルール(いつ、どこを、誰が、何を、どのように)が定められ、明示されているか
  • 問題があった場合、指示改善の責任と担当が明確になされているか

 

これらが終えたら、次は「整頓」です。
これについては、次回またお話するとしましょう。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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