「5S」。食品関係の工場や店舗における衛生管理の基本中の基本、とされています。
ですが、これが実はシンプルそうで、なかなか奥深い。
というわけで、誰も教えてくれない本当の5Sの話、今日は前回に続いて5S活動の一番最初にすべきこと、5S活動で一番最初に「見せる」べき3つのことについてお話させていただきます。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 5Sで最初に行うことは、
    ①「5Sに「本気で取り組む」という会社の姿勢を、「見せる」
    ②5Sにおける「目的・目標」の重要性を、「見せる」
    ③従事者に対する「信頼」を、「見せる」
    の3つである
  • これらで重要なのは、「トップダウン」と「ボトムアップ」の線引でである
  • 方向性への本気に対する企業としての意思表示は「トップダウン」が有効であるが、その「5Sを行うという新しいルール」を現場に行わせるには、正当性としての「目的・目標」が欠かせない
  • 一方、実際に5Sを進めていけばいくほど、今度は現場が主体となるためボトムアップの環境が必要になっていくため、管理者側から現場への「信頼」が必要になっていく

 

 

いきなり5S活動を始めてはいけない、という話

さて、5Sについてこれまで基本的なお話をして参りました。

まず、「5S」というのはただ単にお片付けや掃除をすることではないよ、という話でした。
繰り返しますが、5Sというのは、世間一般で言われているような、あるいはネットでググればそこらじゅうに書かれているようなことでは全くありません。

5Sというのは、衛生管理におけるPDCAサイクルの「仕組み」をいかに作るか、そしてそれをいかに運用し、磨き上げ、現場に根付かせるのか、というものです。

これがまず、押さえるべき最初のポイントです。

 

本当の「5S」とは
  • 「整理」とは、「いるもの」「いらないもの」を区別し、「いらないもの」を処分する「仕組み」を作ることである
  • 「整頓」とは、「いるもの」の保管場所を定め、正しい箇所に保管する「仕組み」を作ることである
  • 「清掃」とは、現場を問題発生のリスクを軽減・回避できる衛生レベルまできれいにする「仕組み」を作ることである
  • 「清潔」とは、3S(整理・整頓・清掃)がルール通り遵守され、チェックされ、改善されるというPDCAサイクルの「仕組み」が運用されていることである
  • 「躾(習慣)」とは、その「清潔」=PDCAサイクルの「仕組み」の運用が、日常化していることである
  • こうした、衛生管理におけるPDCAサイクルの「仕組み」作りと運用が、本当の5Sである

 

 

そして、5S活動を行いたい、と思うならいきなり初めてはいけないよ、という話を前回にさせていただきました。
なぜなら、このように5Sを根付かせるのはそんな短期的なものではないし、それを急げばこのようになるよ、という話が前回のお話でしたね。

 

いきなり5Sを始めてはいけない三つの「ガチな」理由
  • 形骸化になりがち
  • ルールの押しつけになりがち
  • 現場のモチベーションが損なわれがち

 

 

どうしてこのようになるのか。
ひとはルールというものを前にすると、4つのステップを踏むことになります。
それが「認知」「理解」「容認」「共有」です。
なぜなら、ルールというものは例えどんなものであったっとしても、その本質として、「強制力」によってそのひとに迫るからです。

 

だから、そんな性質である「ルール」を押し付けや形骸化にさせないためには、「ルールへの積極的・自発的な共有」に現場を向かわせる必要があります。

さあ、では具体的にそのようにさせるためには、どのようにすればいいのでしょうか。
つまり、現場を「ルールへの積極的・自発的な共有」に向かわせる「仕組み」づくりをどう行うか。
今回はそんなお話です。

これ、別に5Sだけにとどまりません。
防虫管理だろうが、微生物対策だろうが、異物混入防止対策だろうが、安全管理やなんだろうが、基本的に「ルール」というものに関わることについてすべて応用できる話です。

5Sを始める前に「見せる」ということ

5S活動を行う前に、してはいけないことはわかった。
では一番最初に何をすればいいのか。
いや、「何を見せればいいのか」。
そんな話をしていきましょう。

そう、「見せる」のです。
「見せる」ことで、「ルール」がうまく進む「仕組み」を作っていくのです。

「見せる」だけでいいのか?
もしかしたら、そう思うかもしれません。
でも、実はそうじゃない。
この「見せる」というのが、重要なんです。
というかむしろ、「見せる」ことを怠ったり、さぼったり、軽んじては断じていけません。

大体、「ルール」がうまく機能するかどうかなんて、結局「モノ」ではなくて「ヒト」の要因のことが大きいんですよ。
なぜなら「強制力」を元来的に備えている「ルール」というものは、本質的に「ヒト」対「ヒト」の関係性によって生じる「政治」だからです。

ルールとは、ヒト対ヒトがおりなす生々しい関係性の生み出すナマモノだからこそ、マナで「見せる」のが一番、効くんです。
だから「ヒト」を動かすには、「ヒト」ができることをするのが一番なのです。
これを面倒だからと「モノ」に頼むと、まあ大概は失敗します。
もちろん、最終的に「モノ」(マニュアル、文書、などなど)という形にしていくこともそれはそれで重要なのですが、まずは「ヒト」です。

だってこれって、自分に置き換えてもそうではないですか?

5S活動で最初に管理者が「見せる」べき、3つのこと

それでは5S活動で最初にすべき、3つのことについてお話します。

 

5S活動で最初に管理者が「見せる」3つのこと
  • 5Sに「本気で取り組む」という会社の姿勢を、「見せる」
  • 5Sにおける「目的・目標」の重要性を、「見せる」
  • 従事者に対する「信頼」を、「見せる」

 

それでは一つずつ解説していきましょう。

5Sに「本気で取り組む」という会社の姿勢を、「見せる」

工場や店舗で5S活動を始めるにあたり、まず最初にすべきこと。
それは、基本的にHACCPやISOでの取り組みと同じです。

つまり、5S活動を本気で行うのだという「トップの本気を示すこと」と、従事者一人一人に5S活動を進めることは「食(製品)の安全・安心」において最も重要なことだという「目的を理解してもらうこと」です。

つまり、「5Sの目的・目標に対する会社としての本気を示す」ということと、「目的・目標における5Sの重要性を知ってもらう」ことが重要になるわけです。
後に話しますが、これらは両方、ともにつながっていることです。
それについては次項で書くとします。

ただし前者については、注意が必要です。
それは、だからといって「お前らは何もかも言うことを聞き従え」という「ルールの押し付け」をすることではない、ということです。

つまり、トップダウンで向かうべきことと、ボトムアップですべきことをしっかりと分けること。
これが重要です。

トップダウンが優れているのか、ボトムアップが優れているのか。
そんな議論が時折ありますが、そんな単純な話など世にはありません。
世は常にケースバイケース、ここにはこれを、あそこにはそれを、というのが世の常です。

ですから。
「企業としてこれをやるんだ」という、「方針」に対する舵切り、旗振り。大枠の設計。
この場合は「トップダウン」で行うべきことでしょう。
だからこそ、ここで「本気の姿勢」をドン!と見せる必要があるわけです。

しかし一方で、具体的に5Sを進めていく段階においては、話は全く別になります。
なぜなら何度にもなりますが、5S活動とは、現場に衛生管理におけるPDCAサイクルの「仕組み」を現場にあうものとして作りあげ、運用することで磨き上げ、それを現場に根付かせていくことです。
(重要だから何度でも言います!)
ですから、自分たちの現場で、自分たちの手で作ったルールを回していくことでこそ、「ルールの共有」がなされ、根付いていくことが求められるわけです。
「これをやれ」という、強制力だけで作ったルールでは、それがなかなかうまくいかないことが多いものです。

この、「トップダウンとボトムアップの線引」をしっかりと行う。
これが重要なポイントになります。

5Sにおける「目的・目標」の重要性を、「見せる」

他業種の取り組む5Sと違って、食品業界における5Sには「食(製品)の安全安心」という明確な目的があります。
もちろんそのことはどこだって日々しっかりと教育され、培われていることでしょう。

ですが、今一度、5Sとはこうしたために行うものなのだ。
その目標として、5Sを行うことでこんなふうに達成できるのだ、という「目的」と「目標」を改めてここで示すことが重要になります。

そもそもですが。
考えてみれば、「5S活動をこれから本格的に行え」と強いるのも、現場従事者にとっては新しい大きな「ルール」の一つです
つまりここで現場従事者は、今まさにその「5S活動という新たなルール」に対する「認知」と「理解」を進め、「容認」していく必要に迫られているわけです。

 

だからこそ、ここでその「5S活動を行うというルール」においての正当性となる「目的・目標」の重要性を伝えないと、その「容認」まで進めなくなるわけです。
「いいから5Sをやれ」では、ルールに対する「理解」ができません。
何故やるのかというルールへの「理解」が進めば、「容認」もしやすくなります。
「容認」が進めば、それはやがて「ルールの共用」へと向かいます。

よってこの最初の段階である今は、まず「5S活動を行うというルール」を従事者に「認知」「理解」してもらうことが必要であり、そのために「何故やるか」の根拠としての「目的・目標」を見せる、というわけです。

従事者に対する「信頼」を、「見せる」

先にも書いたように、最初の方針に対する企業の意思決定としての「トップダウン」に対し、具体的な現場改善とそのルールづくりには「ボトムアップ」が重要になってきます。

だから管理者は、自身の現場に対する「ボトムアップへの信頼」が必要になります。

その際、管理者に現場への信頼がなければどうでしょうか。
「どうせ判らないのだからお前達はこれをやれ、これに従え」になるのではないでしょうか。
結局はヒトとヒトの関係性ですから、そんなことは、現場からも簡単に見抜かれます。
そんな現場が、なかなかうまくボトムアップできるわけがありません。
そして、その責任は現場ではなく、それができない管理者にあります。

方向性に対する会社としての本気の姿勢を示しながら、しかし他方で、現場で積み上げられ、磨かれていくことへの信頼を示すこと。
信頼を示すことで、良質のボトムアップが育みやすい環境を作ること。
これがこの後、より一層重要性を増していくこととなるでしょう。

トップ自身がこれをやるべき2つの理由

さて、ここで一つ重要なことがあります。
それは、これら3つは「トップが自らそれを見せる」ということです。

この理由は2つあります。
まず一つ目は、その重要性を伝えるのはトップの責任であり、またトップの生々しい生身こそがヒトを、ルールを動かすからです。

例え日々どんなに言われようが(まあそんな人達ばかりではないでしょうが笑)、トップはトップです。
そのトップのコミットなくして、下は動きません。
管理者だって当然、それを帯びます。
下の現場は、もっと露骨にそれを帯びます。
それは結果として大きく現れます。

もう一つの理由。
こっちはもっと重要です。
それは、ルールが強制力をもたせるためにトップをルールの枠外にさせないためです。
だから自分で言わせることで、「ルール」の縛りをトップにも与えるのです。

トップを例外にさせると、その下もそこから逃れようとします。
管理者が逃れようとしているなかで、現場にルールを与えて果たして機能するでしょうか。
結果、ルールはぐずぐずになります。
得てして「規律」というものはそういうものです。
皆を一人も漏らさずに縛るからこそ、規律たりえるのです。

法律もルールも同じ「規律」です。
官僚の横領が跋扈しているような国で、積極的に法を守ろうとなりますか?

ルールをより強くするためには「例外を漏らさない」のが必然なのです。

 

これら3つを、トップ自身が自ら見せる2つの理由
  • トップの生々しい生身こそがヒトを、ルールを動かすから
  • トップをルールの枠外にさせないため

 

まとめ

今回は、5S活動において最初にすべき「見せる」ことについてお話させていただきました。
まず最初に「見せる」べき3つは、これらです。

 

5S活動で最初に管理者が「見せる」3つのこと
  • 5Sに「本気で取り組む」という会社の姿勢を、「見せる」
  • 5Sにおける「目的・目標」の重要性を、「見せる」
  • 従事者に対する「信頼」を、「見せる」

 

重ねてですが、ここで重要なのは「トップダウン」と「ボトムアップ」の線引です。

絶対に5Sをやるのだ、という方向性への本気に対する企業としての意思表示。これは「トップダウン」が有効です。
だから1つ目、5Sに「本気で取り組む」という会社の姿勢を、「見せる」のです。

では、その「5Sを行うという新しいルール」を行う理由は何なのか。
トップダウンという強制力を行使する以上、その正当性としての「目的・目標」の提示が必要です。
でないと「5Sを行うという新しいルール」は、従業員にとってただやらせられるものになってしまうため、「認知」「理解」「容認」「共有」へとスムーズに進みづらくなるからです。
そのために2つ目、5Sにおける「目的・目標」の重要性を、「見せる」のです。

しかし一方で、実際に5Sを進めていけばいくほど、今度は現場が主体となるためボトムアップの環境が必要になっていきます。
その際に、管理者側からの信頼がなかったら、うまく仕組みが作られ、運用され、磨かれ、根付かなくなります。
そこで3つ目、予めに従事者に対する「信頼」を、「見せる」のです。

こうしてトップダウンとボトムアップを線引し、また組み合わせることによって、現場従事者のすべきことや向かうべき方向性を明確にするとともに、現場にルールが共有されやすくなる下地を、ここで整えていくのです。
これもまた、5S活動というPDCAサイクルに基づいた衛生管理を行うための下地に向けた「仕組み」づくりの一つです。

さて、それでは具体的にどのようなことを初めていけばいいのでしょうか。
次からさらに具体的な5Sの内容について、お話していきたく思います。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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