「5S」。一見、どこでも聞くものだし、ましてや食品関係の工場や店舗で働く人なら一度は聞いたことがあることでしょう。
ですが、これがなかなか奥深い。
では一体どう奥深いのか。
これから5Sで一番重要だけど、でも誰も教えてくれない、本当の5Sについてお話させていただきます。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 「整理」とは、「いるもの」「いらないもの」を区別し、「いらないもの」を処分する「仕組み」を作ることである
  • 「整頓」とは、「いるもの」の保管場所を定め、正しい箇所に保管する「仕組み」を作ることである
  • 「清掃」とは、現場を問題発生のリスクを軽減・回避できる衛生レベルまできれいにする「仕組み」を作ることである
  • 「清潔」とは、3S(整理・整頓・清掃)がルール通り遵守され、チェックされ、改善されるというPDCAサイクルの「仕組み」が運用されていることである
  • 「躾(習慣)」とは、その「清潔」=PDCAサイクルの「仕組み」の運用が、日常化していることである
  • こうした、衛生管理におけるPDCAサイクルの「仕組み」作りと運用が、本当の5Sである

 

 

そうだ、自粛連休だから「5S」の話をしよう

いよいよGW。
大型連休に突入しました。

ですが、この新型コロナの影響で、外出自粛につきどこにもいけない。
そんな静かな連休となってしまっています。

この食品業界においても、この連休は工場・店舗を閉める、あるいは製造を減らす、などというような向きが大きくなっているところでしょう。
また、この際だから一斉清掃、重点清掃を行おう、なんていうところもあることでしょう。

しかも、まだ決定はされてはいないものの、どうやら緊急事態宣言は延長の方向に向かっています。(5月1日現在)
つまり、これからもまだまだ工場の稼働率が低い状況がしばらくは続きそうだ、ということになるでしょう。

さあ、そこで。
この比較的手の空いている間に、今すべき、あるいは今進めておくべきことがらについて、この間に引き続き、もう少しお話していくとしましょう。

 

今回は、「5S」について、もう少し深めて参りましょう。

衛生管理の基本「5S」が実は奥深い

皆さん、「5S」ってご存じですか。

…と講習会などでこうぼくらが聞くと、知っている、とさもバカにするなと言わんばかりのリアクションが返ってくるものです。

 

5Sとは
  • 整理
  • 整頓
  • 清掃
  • 清潔
  • 躾(習慣)

 

とまあ、社員さん、せめて品管さんならこのくらいはスラスラっと出てくることが多いです。

成る程、さすがです。
では次に、「それでは、整理ってなんですか。その定義を答えてください」と尋ねると、結構黙ってしまう方が急に増加するものです。

5Sはシンプルな環境改善ですが、シンプルな分だけ実は奥が深いです。
5S活動をしている、といってもなかなか効果が出せない工場や店舗が多いことでしょう。
それは何故か。

実は、5Sとは実はどういうものかを知り、そして現場への落とし込むことこそが、5Sの一番重要なキモだからです。
5Sの言葉や指し示している事柄自体は、ただの「言葉」や「情報」や「知識」です。
ですが、本当の意味での5Sとは、実はそうではありません。

今回はそうした、5Sを「言葉」や「情報」や「知識」ではなく、実際に現場で衛生管理活動として構築するための知識やポイントについて、お話いたしましょう。

まずは基礎を押さえよう:「5S」とは何なのか

まず、基礎知識です。
「5S」はその言葉と指し示す事柄だけ覚えても意味がありません。
まず第一に、それらが指し示している事柄について、知る必要があります。

これが「5S」の最初の一歩です。
まずは、これらをしっかりと踏まえてください。
全てはそこから始まります。

 

5Sとは:整理・整頓・清掃・清潔・躾
  • 整理:「いるもの」「いらないもの」を区別し、「いらないもの」を処分すること
  • 整頓:「いるもの」の保管場所を定め、正しい箇所に保管すること
  • 清掃:現場を問題発生のリスクを軽減・回避できる衛生レベルまできれいにすること
  • 清潔:整理・整頓・清掃が維持されている状況にすること
  • 躾(習慣):これらがルール化され、また日常的に習慣づけられていること

 

なお、これらはいずれも無関係に、ただバラバラで行うものではありません。
「整理」を行って、そのうえで「整頓」を行い、さらに「清掃」を行うことで「清潔」が保たれ、それらが現場に定着されることで「躾(=習慣)」が果たされます。

つまり、これらは順番が非常に重要です。
5Sは、(今回のアイキャッチ画像のように)それらを一つ一つ、段階ごとに着実に行うことによって、初めて効果を生み出すものなのです。

何故かって?
それは、記事のタイトルにもしてありますが、この後を読めばきっと見えてくるはずですよ。
そしてその時、成る程、本当の意味での5Sとはそういうものか!と、大きく頷き理解出来ることでしょう。

工場・店舗での「5S」の目的と目標とは

一般的な企業の取り組みとして、なぜ5Sを行うのか。
その目的は、例えば「効率化」、「生産性の向上」、あるいは「職場の快適性」などが挙げられるところでしょう。

ですが、こと食品製造や販売などの工場・店舗においては、目的が若干異なります。
それは、「食(製品)の安全・安心の維持」のためです。

ですから、その目的を果たすための「目標」として、「異物混入防止」や「品質の維持・安定化」などがあります。
そして、それらの目標を達成させるために(「方針」)、5S活動の推進がなされるわけです。

 

5Sという衛生管理を行う目的と目標
  • 目的:食(製品)の安全・安心
  • 目標:異物混入の防止、品質の維持・安定化、など

 

さあ、こうなるとまた少し見えてくることがあることでしょう。

そう、5S活動もまた「衛生管理」の一環です。
「管理」であるからには、目的、目標、方針に沿って「PDCAサイクル」を回す必要があります。
それが「管理」だからです。
防虫管理も、衛生管理も、この基本は変わりません。

 

つまり、5S活動もまた「PDCAサイクル」を踏まえて進めていく必要があります。
それはすべきことを決め(P:計画)、それを行い(D:実行)、その効果を評価・検証し(C:確認)、問題があれば直す(A:是正)。
それらを行うことこそが、「衛生管理」としての5S活動となるわけです。

実は「5S」活動とは、とどのつまり「仕組み」作りである

5S活動とは「衛生管理」、つまり「目的、目標、方針」に向けてPDCAサイクルを回すことである。
そう考えると、「5S」というものがこれまでとは全く違うものとして見えるはずです。

そう、
「5S」とは、整理整頓したり清掃したりする行為のこと自体ではありません。
工場や店舗での衛生管理の「仕組み」を作り、それを回すこと、なのです。

「5S」活動とは管理の「仕組み」作りとその運用だ。
これ、すごく重要です。

「整理」する「仕組み」を作る。
「整頓」する「仕組み」を作る。
「清掃」を行う「仕組み」を作る。
そして、それら「整理・整頓・清掃」の「3S」がルール通りに行われ、チェックされ、改善されるというPDCAサイクルの「仕組み」が効果的に運用されているのが、「清潔」。
その「清潔」=PDCAサイクルの「仕組み」の運用が、日常的になされていることが「習慣」です。

実はこれこそが、「5S」活動の神髄なのです。
以下、まとめますよ。

 

5Sとは管理の「仕組み」作りとその運用である:本当の「5S」
  • 整理:「いるもの」「いらないもの」を区別し、「いらないもの」を処分する「仕組み」を作ること
  • 整頓:「いるもの」の保管場所を定め、正しい箇所に保管する「仕組み」を作ること
  • 清掃:現場を問題発生のリスクを軽減・回避できる衛生レベルまできれいにする「仕組み」を作ること
  • 清潔:3S(整理・整頓・清掃)がルール通り遵守され、チェックされ、改善されるというPDCAサイクルの「仕組み」が運用されていること
  • 躾(習慣):その「清潔」=PDCAサイクルの「仕組み」の運用が、日常化していること

 

実は、これこそが5Sで押さえるべき一番重要なことなのです。

5Sはツールではなく、衛生管理の仕組み作りの本質である

さあ、このように考えると、5Sというものが実はかなり奥深いものであることがよくわかるでしょう。
何故なら、この通り5Sとは、衛生管理という「管理(マネジメント)」の仕組み作りであり、またその運用のことだからです。

にも関わらず、ただのお掃除や片付けなどと思われているのが実状です。

実際、ネット上でもどこでも、「5S」と検索してみてください。
やれ整理とは、整頓とは云々と、すぐにその内容が出てきます。
いや、勿論出てきてもいいのですが、そこで大概は終わりです。

5Sの経営コンサル屋などもありますが、彼等のサイトに目を通すと、さももっともらしい話ややり方などの紹介がなされています。
そして、5Sはツールだと言っています。
また衛生用品のメーカーなどは、やれ5Sだ整理だ整頓だ、とそれを書き連ねながらその用品の販促をしています。

ですが、この「5S」活動とは管理の仕組み作りだということを明確に伝えているものは、ほとんど見られません。
だって、「5S」活動とは衛生管理の仕組み作りと運用である、なんて一体どこに書いてありますか?
いかにそれらが表層的だか判ることでしょう。

5Sは、ツールだって?
冗談じゃない。
そんな薄っぺらい理解だから、5S活動が根付かないのです。
ツールどころか、5Sは衛生管理の根幹です。
重要だから何度だって繰り返しますが、5Sの本質は、衛生管理の仕組みを作って、管理を回すことだからです。

では、その「仕組み」作りを具体的にどうすればいいのか。
それを次回から一つずつお話していきましょう。

食品工場は「7S」なの?

さて。
食品製造の世界では、「5S」ではなく「7S」だという考えがあります。

「7S」とは、先までの5Sに加えて、「洗浄」「殺菌」を合わせて7つのSにしたものです。

 

7Sとは:整理・整頓・清掃・清潔・躾・洗浄・殺菌
  • 整理:「いるもの」「いらないもの」を区別し、「いらないもの」を処分すること
  • 整頓:「いるもの」の保管場所を定め、正しい箇所に保管すること
  • 清掃:現場を問題発生のリスクを軽減・回避できる衛生レベルまできれいにすること
  • 清潔:整理・整頓・清掃が維持されている状況にすること
  • 躾(習慣):これらがルール化され、また日常的に習慣づけられていること
  • 洗浄:機械・設備などを、水を用いて洗い流し、きれいにすること
  • 殺菌:微生物汚染のない状態にさせること

 

ただし、「洗浄」や「殺菌」とは「清掃」に加わるものであり、それらを行った状況が「清潔」となります。
確かに食品業界においては「洗浄」「殺菌」は欠かせないものであることは当然ですが、まずは本来の5Sをしっかり行った上で、「清掃」と同様に「洗浄」「殺菌」を行うべきでしょう。

十年くらい前ではありますが、以前、5Sの基本的な取り組みすらろくになされていない工場の工場長が、したり顔で「うちは7Sだ」などと語ってみせていました。
これはうわべの知識しかない典型です。
それがどうした、と。
これでは全く意味がありません。
「うちは7Sだ」と言うのであれば、それ相応の取り組みをしてこそが「7S」です。
一番の基礎である「3S」すらも出来ていないのに、数が増えればいいってもんじゃ全くないんですよ(笑)。

いずれにせよ、「7S」だってその基本は5Sと同じです。
5Sに加えて「洗浄」「殺菌」がしっかり出来る「仕組み」を作ることであり、そのためのPDCAサイクルを回すことは何ら変わりません。
ですから、まずはその基礎である「整理」「整頓」「清掃」の「3S」という「仕組み」作りをしっかりと行うことから始めるべきでしょう。

話はそこからです。

まとめ

さあ、一番重要な5Sとは何か、が判りましたか?
タイトルにもありますが、5Sとは衛生管理の「仕組み」作りとそれを回して運用することです。
だからこそ、重要なのです。

最後にもう一回、どこにも書いていない本当の5Sを書いておきます、
もうね、今回はこれだけ覚えてくれればそれでいいです。
その代わり、じっくりと、これらを噛みしめてください。
必ず!
今までの工場や店舗での5S活動が違ったものに見えてくるはずです。

 

5Sとは管理の「仕組み」作りである:本当の「5S」
  • 「整理」とは、「いるもの」「いらないもの」を区別し、「いらないもの」を処分する「仕組み」を作ることである
  • 「整頓」とは、「いるもの」の保管場所を定め、正しい箇所に保管する「仕組み」を作ることである
  • 「清掃」とは、現場を問題発生のリスクを軽減・回避できる衛生レベルまできれいにする「仕組み」を作ることである
  • 「清潔」とは、3S(整理・整頓・清掃)がルール通り遵守され、チェックされ、改善されるというPDCAサイクルの「仕組み」が運用されていることである
  • 「躾(習慣)」とは、その「清潔」=PDCAサイクルの「仕組み」の運用が、日常化していることである
  • こうした、衛生管理におけるPDCAサイクルの「仕組み」作りと運用が、本当の5Sである

 

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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