「世界食品安全イニシアチブ(Global Food Safety Intiative)」こと「GFSI」をご存じですか?
この「GFSI」を知っていくと、制度化へと向かっている今の日本のHACCP事情が少なからず見えてくることでしょう。
前回、そして今回と、二部構成でこれらについてお話させていただきます。
(今回はその後編となります)

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 「GFSIベンチマークスキーム」にはFSSC22000やSQF、日本発のマネジメントシステムであるJFSなどがある
  • ISO22000は、PRP(前提条件プログラム)の曖昧さから、GFSI認証規格にはベンチマークされていない
  • 「JFS」は、日本の農林水産省が世界標準を目指して作った、日本発(初)のGFSI認証規格である
  • 「JFS-A/B」は、GFSIグローバル・マーケット・プログラムの初級レベル、中級レベルに、それぞれ対応している

 

 

「GFSI」とは

「GFSI」、を聞いたことがありますか?
「Global Food Safety Intiative」。
日本語でいうと、「世界食品安全イニシアチブ」です。
この「GFSI」を追っていくと、今制度化へと向かっている日本のHACCPが見えてくることでしょう。

なお、こちらは二部構成の「後編」になりますので、もし「前編」をお読みでなければそちらを最初に読んでください。

 

この前編では、まず「GFSI」とはどういう業界団体なのか、どんな活動をしているのか、その紹介、解説を行いました。
こちら後編では、更に「GFSI」を追っていくとともに、日本のHACCP事情についてもお話いたします。

GFSIベンチマーク規格

さて、「GFSI」の主な活動内容である、「食品安全マネジメントシステム」のベンチマーキングについては前回にお話しした通りです。
つまり、「これは国際標準規格だ」と呼ぶに値するか、そうでないかを承認する(ベンチマーキング)のを「GFSI」はやっているんですよ、ということです。

で、こうして「GFSI」様にお墨付きされた規格を、一般的に「GFSIベンチマークスキーム」、あるいは「GFSI認証規格」などと呼びます。
ではこのGFSI認証規格には、どんなものがあるのでしょうか。

ずらっと挙げてみましょう。

 

GFSIベンチマークスキーム
  • FSSC22000(オランダ)
  • SQF(level 2)(米)
  • IFS Food Standard(独)
  • GRMS(デンマーク)
  • BRC(英)
  • CanadaGAP(カナダ)
  • GLOBALG.A.P.(独)
  • Global Aquaculture Alliance(米)
  • PrimusGFS(米)
  • JFS(JFS-C)(日本)
  • ASIAGAP(日本)

 

まず代表的なところでは、「FSSC22000」ですかね。
「FSSC22000」は、オランダ発のマネジメントシステムです。
それから、アメリカの「SQF」。
ここらが有名なところでしょうか。

ISO22000はGFSIベンチマークスキームではない

さて、これらを見て、「あれ?」と思う方もいるのではないでしょうか。

そう、「ISO22000」は、GFSI認証規格ではないのです。
つまり、GFSIは「食品安全マネジメントシステム」として最もポピュラーな規格、といえるであろう「ISO22000」を国際標準規格だ、としていないのです。

これはどういうことでしょうか。

「ISO22000」は、「品質マネジメントシステム」である「ISO9001」をベースに、「HACCP」の手法を取り込むことで成り立っている「食品安全マネジメントシステム」です。

ISO 22000
ISO 9001+HACCP=ISO22000

 

ISO22000は、HACCPの手法を取り込んでいるので、勿論ながらHACCPの土台である、一般的な衛生管理に関しての「(PRP)前提条件プログラム」への対応もそこに含まれては、います。

ただし。
「ISO22000」は食品製造だけを対象としたものではありません。
例えば、農業や、あるいは小売り業など。
こうした製造前、製造後も含めた食品関連事業についても広く対象としているのです。
それがISO22000の特徴です。

ですから、ISO22000で求めている「(PRP)前提条件プログラム」はそれを反映し、汎用性が高い反面、抽象的な規定となっています。
例えばISO22000では、衛生管理ルールなどは組織が自分で決めることになっているので、当然ながらそこにはレベルの差が生じがちです。
そこがISO22000をGFSIが気に食わない理由です。
具体性に欠ける、と。

GFSIの要求事項
  1. 食品安全マネジメントシステム(FSMS)
  2. 適正製造規範(GMP)
  3. ハザード制御(HACCP)

 

 

GFSIが求める要求事項はこの3項目です。
このうち、ISO22000は、なるほど確かに「1、食品安全マネジメントシステム」であり、「3、HACCP」を組み込んではいる。
しかし、「2、適正製造規範(GMP)」において、その「PRP(前提条件プログラム)」では踏み込みが足りない、だから食品安全の国際標準規格(ベンチマークスキーム)としては認められない、と言っているわけです。

ISO側も、これに対し、対応策を行ってはいます。
「ISO/TS22002-1(あるいは4)」というものですね。
ですが、これは正確には規格ではないので、ISO22000の認証審査対象には含まれません。
ここが、実はFSSC22000とISO22000の最大の違いです。

一方、FSSC22000は、ISO22000とその性質故にやや具体性に欠ける「適正製造規範(GMP)」について、「ISO/TS22002-1(あるいは4)」を取り込んだ、より食品製造における食品安全を対象とした規格であり、そのため国際標準であるとGFSIからベンチマーキングされているのです。

まあ、どちらかといえば実のところ、ISO側もそこはそこで「ISO22000ってのはそういうものだよ」といった感じで、独自のスタンスと路線を毅然としており、そこまでGFSIベンチマークスキームに対してやっきになっているわけではないんですけどね。

HACCPは国際標準規格ではない?

さて。
ISO22000がGFSIベンチマークスキームではないことがお分かりになったかと思います。

で。
もう一度、先の表の下のほうを見てください。
日本の規格である「JFS(JFS-C)」と「ASIAGAP」が入ってますね。
ああ、日本の規格もちゃんとベンチマーキングされとるやん、と思うじゃないですか。

ですが。
これらがGFSIに認証規格として認められたのは、割と最近の話。
つまり、これらが認められるまで、「GFSI認証規格」はすべて欧米発のマネジメントシステムばかりだったのです。

だから、「JFS-C」以外の日本のHACCPシステムの認証を受けても、それは世界的な標準規格の認証を受けたわけではない、ということです。

え、それじゃHACCPって国際標準規格じゃないの?
そう思うかたもいるかもしれませんね。

そもそもHACCPというのは、ハザード制御のための手法、ガイドライン、仕組み、です。
それを用いてマネジメントシステムとしているのが、HACCPシステムです。

ですから、HACCPは各国や各業界団体などによって、それぞれバラつきが出てくる。
これでは国際標準規格としては不十分です。
(というか、そもそもそんなバラつきのあるHACCPを国際統一しようとして生まれたのがISO22000だったんですけどね)

日本でも、これまで各自治体や団体でバラバラなHACCPがたくさんありました。
さて、そこで!
その念願悲願の世界標準規格入りを目指して、農林水産省がガチ本気になって作り上げたのが今話題の「JFS」だったのです。

日本初のGFSIベンチマークスキーム「JFS」とは

ここで「JFS」の解説を始めると、それこそキリがなくなってしまうので、また別に記事を書くとしましょう。
ここではごく簡単に基礎的な解説だけをしておきます。

この「JFS」は、日本発にして日本初の、GFSI認証規格、つまりは国際標準規格です。

「JFS」は2016年に発足した「一般財団法人食品安全マネジメント協会(JFSM)」が定めた食品安全の認証スキームです。
日本国内では、お上お墨付きのHACCPシステムであるうえ、比較的中小企業が取り組みやすく、比較的安価で認証が可能なうえにわかりやすく、そのため今かなり人気のある認証規格です。
今、一般的に「HACCPを認証する」というと、およそこの「JFS-B」であるのが当然にすらなってきつつあります。

で、その「JFS-B」ってなんだよ、て話なんですが。

この「JFS」には3段階のレベルがあるんですね。
で、それぞれ「JFS-A」、「JFS-B」、「JFS-C」とレベルがあがっていきます。

JFS
  • JFS-C:国際取引に使われる、GFSIベンチマークスキーム
  • JFS-B:HACCPの実施を含む
  • JFS-A:一般的衛生管理中心

 

 

先の通り、一般的に「HACCP認証」というと、この「JFS-B」のことを指すことが、このところ急激に広がっています。
一方、「JFS-C」は、ISO22000と同格か、それを上回ります。
なんといってもGFSIベンチマークスキームですからね、国際規格レベルってことです。

またJFSの構造は、次の三層構造となっています。

JFSの三層構造
  1. 食品安全マネジメントシステム(FSMS)
  2. 適正製造規範(GMP)
  3. ハザード制御(HACCP)

 

 

そう、これはGFSIが求める要求事項そのままです。
つまり、「JFS」がいかに国際標準規格を意識し、目指しているかがよくわかるでしょう。

GFSIグローバル・マーケット・プログラムとは

GFSIは、それ以外にも「GFSIグローバル・マーケット・プログラム」を作成していたりします。
これは、主に中小企業向けに、HACCPシステムの構築を目指すのに有効なセルフチェックツールです。

で、この「グローバル・マーケット・プログラム」にはいくつか段階があるのですが、その中に「基礎レベル」と「中級レベル」というものがあります。
「基礎レベル」は、一般的衛生管理を中心とした要求事項が、「中級レベル」はそれに加えてHACCPの手法を取り込んだ要求事項となっています。

ここで「なるほど!」と思いませんか。
そう。
「JSF-A/B」は、それぞれGFSIグローバル・マーケット・プログラムの基礎レベル、中級レベルの要求事項をおよそ満たすものとなっているのです。
つまり、それだけ「JSF」はGFSIの国際基準に対し、濃厚に目配せしているわけです。
そこら辺、オリンピックを目前に控えて(延期になりましたが)食品安全の国際標準を必至に求める日本の諸事情が露骨に出ていますね。

 

しかも、です。
さらに言うのであれば、これは日本のHACCP制度化にも当然かかわってきています。

HACCP制度化
  • HACCPに基づく 衛生管理 (旧基準A)
  • HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(旧基準B)

 

そう、もうわかりますね。
およそ「HACCPに基づく 衛生管理 (基準A)」に該当するのが「JSF-B」であり、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(基準B)」に該当するのが「JSF-A」となっているわけです。

 

ね。
こうやって「GFSI」をつぶさに見ていくと、いかに「国際標準」という看板を目指して日本のHACCPがどう動こうとしているのか、それなりに見えてくるでしょ?

まとめ

前回、今回と二回にわたって、「GFSI」とそのベンチマークスキーム、そして日本発のマネジメントシステムである「JSF」などについてのお話をしてまいりました。

この「JSF」については、これだけでは語り切れていないことも多いので、また改めて記事を書くことにいたしましょう。
まずは、今日本のHACCP事情がこのように世界の国際標準に向けて動こうとしているのだ、ということを知るだけでもよろしいかと思います。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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