食品工場で使う「水」はどのように定められているか、ご存じですか?
実は様々な法律上の規格や項目があるのを知っていますか?
あのね、これ、判りやすく説明しているものがネット上に一っっっっつも!ありませんでした。
ほんと、一つもなかったよ!マジかよ!
だからウチが、ぼくが説明します。
題して、「サルでも判る、食品工場で使える水の話」、です。

うわー、オイシイなあ。
これめっちゃ、オイシイネタだわー。
なので、ここパクるときはちゃんと参照リンクはってくださいね!!

おっと。
改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 製造業で使用される水のことを、工業用水という
  • 水質の基準は、水道法、食品衛生法、建築物衛生法などで規定される
  • 食品工場で使用されることが許された水のことを、「食品製造用水」という
  • 「食品製造用水」は、水道法51項目に適合した「水道水」か、「食泳法26項目」に適合した水のことを言う

 

 

食品工場の使用水の説明がほとんどない問題

 

ねえのかよ!!!!!

いや、のっけから申し訳ないんですがね、ホントねーんすよ、マジで!
食品工場で使える「水」の解説が。
ネット上に、どこにもない。

いやいやいやいや。

それはないだろ。
ないのは、さすがに、ないだろ!

これはあかんだろ、ということでここでやることにします。
「サルでも判る、食品工場で使える水の話」

あ、この「食品工場で使える水」と「食品工場で使える話」は、ダブルミーニングね。
そこ、かかってますからね!←

工場で使う「水」の用途

というわけで、ハイここから真面目に始めますよー、
工場で使う水の話です。

 

食品工場では、そんな「水」を様々な用途で使っていますよね。
製造品目によっては原料そのものとして使うこともあるでしょうし、製造工程で何らかの目的で使うこともあるでしょう。
場合によっては製造上の洗浄や殺菌の目的として使われるかもしれませんし、冷却のために使うかもしれません。
またボイラーのために使うこともあるでしょうし、トイレの洗浄や飲用にも使われます。

食品製造業のみならず、工場での製造業を営む上で産業用として用いられる「水」のことを、「工業用水」と呼ぶのですが(他方、我々の生活で使う水のことを「生活用水」と呼びます)、このように「工業用水」の使用用途は様々です。
場合によっては、より清潔な水が求められることもあるでしょうし、そこまで求められない、ということもあるでしょう。

工業用水の種類
  • 原料用水
  • 製品処理用水
  • 洗浄用水
  • 冷却用水
  • ボイラー用水
  • 温調用水 など

 

今回は食品工場での使用水をメインにお話を進めますが、当然ながら「水」を使う工場は食品工場だけに限りません。
例えば、多くのパルプ・製紙工場などは河川付近に大規模の工場を構えて、河川から直接的に多量の淡水を汲み上げ、使用することが多いでしょう。
それ以外にも鉄鋼工場や化学工場だって「工業用水」は必要です。

ちなみに、こうした「工業用水」を必要とする製造業のうち、食品製造業は「生活関連型グループ」に含まれます。

なお、こうした工業用水は「工業用水道事業法」によって法的に規定されています。
しかしこの「工業用水道事業法」は、あくまで事業を行う上での工業用水の取扱いや届け出などを規定した法律であり、水質についての規定はそこにありません。

水質を規定する法律

それでは水質は、どのような法律で規定されているのでしょうか。
主に、上水の水質に関しては、これらが大きく関わってきます。

水質に関わる法律
  • 水道法
  • 食品衛生法
  • 建築物衛生法

 

これらはそれぞれ、求めている水質規定も違いますし、そのために必要な検査項目も変わってきます。

ではそれぞれ一つずつみていきましょう。

水道法

まず、そもそも「水道水」の規定として、「水道法」があります。
水道水はこの「水道法」が定める水質基準に適合することが不可欠です。
逆に言うのであれば、「水道水」というからにはこれを守らなければいけません。

つまりこれは、食品製造業云々というより、広く「水道水」としての安全を守るための水質基準を差し示したものです。
ですから水道水の水質基準は、この「水道法」第4条と、これに基づいて出されている「水質基準に関する省令」によって規定されています。

そして、この水道水としての水質の基準は今のところ51項目あります。(2020年3月現在)
いわゆる水質検査で言われるところの、「水道法51項目」ってやつですね。
なおこれらは、安全を損なわないための「健康に関する項目」(31項目)と、臭いや色など生活上の障害を防ぐための「性状に関する項目」(20項目)の二種に分けられています。

何にせよ、工場でも(工業用水)我々の生活においても(生活用水)、水道事業体が提供している「水道水」、つまりごく一般的な意味での「水道の水」は、この51項目に適合した水質でなければ供給出来ないことになっています。
そしてこの「水道法51項目」は、水道事業体が「水道水」として広く提供するため、社会的影響も大きいので、後で出てくる「食衛法26項目」より詳細な項目をクリアしなければいけません。

ここ、後にも関わってくる大事なところですので、押さえておいて下さい。

食品衛生法

それから食品工場の衛生基準といったら、何はさておき「食品衛生法」ですよね。
食品工場における工業用水の具体的な水質基準は、特にこの「食品衛生法」に基づくことが多いでしょう。
後で詳しく説明しますが、先の「水道法51項目」に対する、「食衛法26項目」ってやつです。
あ、今はとりあえずそんなものがあるんだってことだけ知っておけば、おkです。

さて、
食品製造での工業用水のことを「食品製造用水」と呼びます。
つまり、一般的な意味で、食品工場で製造関係で使う水の総称を「食品製造用水」と呼ぶのです。
そしてこの世の中、法律的にそう呼ぶからには、得てしてそれを規定する法的な決まりが存在します。
当然ながらこの「食品製造用水」にも、そうした規定が存在します。
そして、これについて安全性を守るための規定があるのがこの「食品衛生法」なのです。

そんなわけで、食品工場ではここでの基準が最も重要になります。
なので、改めて扱うことにします。

建築物衛生法

興行場や百貨店、事務所その他、有る程度の規模の建物のことを「特定建築物」と呼びます。

「建築物衛生法」とは、その「特定建築物」における衛生管理について規定する法律です。
この「建築物衛生法」では、「特定建築物」における飲料水の水質基準を定めています。(年2回の水質検査や年1回の貯水槽清掃、とかね)

ですが、食品製造業をはじめとする工場は、この「特定建築物」には含まれないので、直接的には余り関係ないかなーと思います。

「食品製造用水」の規格基準

先にも書きましたが、食品の衛生基準となる「食品衛生法」において、食品工場で使う使用水、つまり工業用水のことを「食品製造用水」とし、この食品製造用水は規格基準を満たす安全なものしか使ってはいけませんよ、と定めています。

で、その規格基準はといえば、お馴染み厚生労働省「食品、添加物等の規格基準」に細かく示されている、というわけです。
ハイ、出ました食品衛生の掟のイロハ、「すべからく、食品の規格は、お上(厚労省)の出す規格基準に準ずるべし」
そしてこのことは「水」だって、いや「水」だからこそ変わらないということです。

で、この「水」に関わる規格基準。
これがね、ちょっと判りづらい。
で、ネット上でもほとんど、いや全くと言っていいくらいに解説されていない。

なのでぼくが解説します。

ええと、その厚生労働省告示「食品、添加物等の規格基準」に、こうあるんですね。

以下、重要な箇所を引用してみましょう。
(飲用だけに!)

B 食品一般の製造、加工及び調理基準
5 魚介類を生食用に調理する場合は、食品製造用水水道法(昭和 32 年法律第177 号)第3条第2項に規定する水道事業の用に供する水道、同条第6項に規定する専用水道若しくは同条第7項に規定する簡易専用水道により供給される水(以下「水道水」という。)又は次の表の第1欄に掲げる事項につき同表の第2欄に掲げる規格に適合する水をいう。以下同じ。)で十分に洗浄し、製品を汚染するおそれのあるものを除去しなければならない。

(太字、赤字、勝手にしました)

 

 

無茶苦茶、判りづれえーっ!
日本語として機能してるんかこれ!?

そんなわけで、ぼくが普通に通じる日本語に直しますね。

貴様は何を言っているのだ訳文
魚介類はちょっと置いておいて、ここで「水」の話しとこか。
頭よくて偉いおれら厚労省のお役人様は、食品工場で使う水である「食品製造用水」として、次の2種類しか認めねーから貴様らそう覚えておけよ!
1つは、水道水。
もう1つは、おれらが決めた26の基準を守ってる水。
以上だ、判ったな!

 

判りましたかね。
そう、ここで「食品製造用水」についての条件が規定されているのです。

 

 

いや、ヒヤシンスは関係ないんですけどね(笑)。

つまり、
「食品製造用水」とは、(水道法51項目に適合している)「水道水」か、「26項目の基準に適合する水」のことだ、と言っているわけです。

食品製造用水とは
  • 水道水(水道法51項目に適合)
  • 26項目の適合する水

 

さあ、復習です。
水道事業体が提供している水道水は、この51項目に適合した水質でなければ「水道水」として供給出来ないことになっている、と言いました。
ですから工場で使用している水道水は、水道事業体が検査し、51項目に適合しているから「水道水」として使えているわけです。

ただし、何らかの事情で、水道事業体が供給している「水道水」以外の水を使用することもありますよね。
例えば、井戸水とか。
あとは、水道水を使っていても貯水槽(タンク水)を使用している場合など。

この場合、「食品衛生法」の規格基準が定めるところの「26項目」を満たしていないと、使用してはいけないことになります。

で、この「26項目」てのは何かというと、これです。

 

つまり、これらを満たした水だけが食品工場内で使える水、「食品製造用水」として認められる、というわけです。

内容的には、「水道法51項目」の簡易版、といったところでしょうか。
あれほど詳細なことは求めていませんが、しかし食品として口に入る水であるため、基礎的な、また重篤性の高い内容はしっかりと踏まえられています。

食品製造用水の使用が義務づけられている対象

食品衛生法、「食品、添加物等の規格基準」には、食品製造用水の使用が義務づけられている対象があります。

例えば、以下がそれにあたります。

食品製造用水の使用義務対象例
  • アイスクリームの原水
  • 発酵乳の原水
  • 乳酸菌飲料の原液の製造に使用する原水
  • 清涼飲料水全自動調理機の調理に用いる水
  • 氷雪の原水
  • 氷菓の原水
  • 食肉製品製造における使用水
  • 魚肉ねり製品製造における使用水
  • 食用卵加工時における使用水
  • ゆでだこ・ゆでがにの加工時における使用水
  • 生食用鮮魚介類の加工時における使用水
  • 生食用かきの加工時における使用水
  • 豆腐の製造等にあける使用水
  • 冷凍食品加工時における使用水
  • 鯨肉製品の使用水
  • 容器包装詰加圧加熱殺菌食品の製造における使用水

 

実はこれらは代表例であり、実際にはこれ以外にも細かく規定されていたりします。

例えば、上の一番上にある通り、アイスクリームの原水は食品製造用水であることが義務づけられていますが、それだけでなく、「氷結管からアイスクリームを抜きとる場合に、その外部を温めるため使用する水は、流水、しかも食品製造用水に限る」とか、結構細かく規定されているのです。

水質検査はどうして行うのか

定期的に、工場の使用水を水質検査に出している工場も多いことでしょう。
これはどうして行っているのでしょうか。

取引先から、例えば年に1~2回、水質検査結果の提出を取引条件としているような工場もあるかと思います。
その場合、この食衛法26項目が検査対象となることが多いのではないでしょうか。
(でなければ、建築物衛生法で飲料水として認められる11項目とか)

また、条例などで定められている場合もあります。
例えば、食品製造用水が水道水ではない場合、年1~2回、この食衛法26項目の水質検査を行うよう条例として定められている場合もあります。

また新たに食品工場を出す場合、管轄の保健所から水質検査の結果を出すように言われる場合がしばしばあると聞きます。
その場合、一般的には食衛法26項目で出すよう求められることが多いようです。

「どうせなら水道法51項目、検査すればいーじゃん」
そう思うかもしれませんが、まともに検査機関にそれを委託すると検査代だけで20万円…まではいかないかもしれませんが、そのくらいは覚悟しないといけません。
毎年毎年、水質検査だけで20~40万円平気に出せる工場って、実際はそんなないもんですよ。
一方、食衛法26項目だと、まあ5万円前後が相場じゃないですかね。
普通に出せて、そんなもんじゃないですかね。

とどのつまり。
水道法51項目の検査というのは、大体が地方自治体の水道課や水道局のやること、となります。
一方、食衛法26項目の検査を行うのは、大体が食品工場や飲食店のリアルなすべき内容となります。

勿論、「ウチは水道法51項目まで検査してるんですよおおお!」というのも、別にアリだとは思いますが、だったらそんな差別化は別のところで出したほうがいいと、フツーに「衛生管理のプロ」のぼくが、そう思います。
(てことは、やらなくてもいいということです。検査企業さん、営業オツカレサマです…。)

まとめ

今回はややこしい食品工場の使用水である、「食品製造用水」についてのお話をさせていただきました。

多分、ネット上で結構判りやすい「食品工場での使用水」の解説だったと思います。
だって、マジでめっちゃ少ないんですよ、判りやすいところが本当に…。

以上、このように当ブログでは食品衛生の最新情報やPCO、防虫対策の知識は勿論、その世界で長年生きてきたプロだから知っているテクニックや業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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