3月もそろそろ中盤、いよいよ本格的に春、到来。
工場の防虫対策も、冬を終えたこれからが本番となることでしょう。
ではこの時期、工場での防虫管理は何を行えばいいでしょうか。
この時期、本当は何をすべきなのか。プロの防虫管理屋が、真実を教えます。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 3月になると、昆虫は越冬を終えて活動を再開する
  • まずは現状把握。昨年にどんな問題が起こったのか、その実状や要因、対策や効果などを見直すことから始めよう
  • 自分の工場の「特性」を改めて再確認しよう。自分の工場の環境特性は?状況特性は?
  • 春はアブラムシなどの緑地由来の飛翔性昆虫の飛来が急激に増える時期である
  • すでにクモやアリ、トビムシ、ダンゴムシ、ハサミムシといった土壌由来の昆虫は活動を始めている
  • シバンムシ対策はいまのうちから始めたほうがいい

 

 

春、到来!

いよいよ春ですね。
今日なんかは、ほんとこれでもかとくらいによく晴れて、まさに春うららか。
おかげでぼかあ、鼻と目が超ぐしゃぐしゃなんですけど…。(泣)

さてこの三月。
旧暦で三月は、「弥生(やよい)」と呼んでいました。
これは、
「草木がいよいよ生い茂る月」という意味の「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」
が詰まって「やよひ」となったという説が有力だそうです。
さっき初めてWikipediaで知りました(笑)。

ところで、「啓蟄」というのをご存じですか?
今度は太赤字ですよ?(笑)

これは、「けいちつ」と読むのですが、「冬ごもりの虫が再び活動する」ことを意味する、3月上旬の春の訪れを示す言葉であり、春の季語でもあります。

「啓」とは「開く」を意味し、「蟄」とは「土中にもぐっている虫」の意です。つまり「啓蟄」とは「冬籠りをしていた虫が、春になって温かくなり土中から這い出る」という意を示す言葉です。
この「啓蟄」は、毎年若干ながら日が変わるのですが、大体3月の5日前後であることが多くなります。
ちなみにこの2020年もまた3月5日が、それにあたります。

さて、このように春の到来とともに昆虫は、冬籠りを終えて活動期に入ります。
この虫の冬籠りのことを「越冬」というのですが、虫の越冬、つまりは虫が冬を乗り越える方法は、虫によってそれぞれまちまちです。

例えば、卵や蛹などといった、比較的外界からの影響を受けない状態になることで活動を停止して過ごす虫もあれば、しかしそのまま成虫や幼虫の形態のまま、ほとんど活動をしないことでやり過ごす虫もいます。
また活動休止状態でも、休眠しているものもあれば、ただほとんど活動をしないだけ(必要に応じて多少は活動する)という虫もいます。

いずれにせよ、です。
これらの越冬中の昆虫が、気温の上昇と日照時間が長くなることで春の到来を察知し、再び活動することになるのです。

この越冬終了の時期差は昆虫によって様々あるのですが、しかし先にもあげたような成虫越冬の虫などは、2月下旬の早いころから活動を始めるものもあります。
尤も、多くの昆虫はこの「啓蟄」、つまりは3月の上旬くらいから次第に活動を再開することになります。
そして4月にもなると、多くの昆虫が越冬を終え、本格的に活動を再開させることになります。

これらのことから、三月というのは昆虫にとって、まさに越冬からの目覚めの時期、ということになります。

やみくもに対策をするのは意味がない?

さて。
このように、この「春」という季節は、年間を通じての防虫対策の始まりの時期でもあります。

では具体的に工場では何をすればよいでしょうか。
この時期に、何をすればいいでしょうか。
当たり前ですが、ただやみくもに何かをしたって、当然効果は期待出来ません。

どんな場合にも、何かをするにあたって最初にすべきことがあります。
いいですか。
まずあなたが最初にすべきは「現状の把握」です。

ダイエットをしたかったら、体重計に乗り、また自身の食生活を振り返って、自分の現在の状況を見直すじゃないですか。
(ああ、耳が痛い!)
そんな悲しい現実に向き合って、そこで何が問題だったかを考えてから、ダイエットをするじゃないですか。

それと同じです。
何が問題だったのか、それをまずは知ることから、すべては始まります。
防虫管理も、それは同じです。

春、最初にすべきは「現状の見直し」である

まず、春に何をしなければならないか。
最初にやるべきこと、それは「昨年の防虫管理の総括」です。

昨年一年分のモニタリング報告書を、手元にもってきて、昨年分をペラペラとめくってみるといいでしょう。
月度でどんな問題が起きていたか、それを改めて追っていきます。
そうすることで、昨年どんな問題が発生したのかがわかることでしょう。

昨年、工場内でどのような虫が問題になったのか、それはどこのエリアだったのか、それはいつ頃に始まったのか、それはいつまで続いたのか、その要因はなんだったのか、それに対してどんな対策をとったのか、その効果はどうだったのか。
せめてこれくらいはチェックしておくべきことでしょう。

そうするだけでも、今年の防虫管理においての問題をいち早く見つけ、また解決させることができるはずです。

 

昨年のモニタリング報告書のチェック箇所
  • どんな虫が多かったのか
  • どんな問題が発生したのか
  • どんなエリアで問題が起きたのか
  • どんなエリアまで問題が拡散したのか
  • 問題が最初に発生したのはいつか
  • 問題が一番悪化したのはいつか
  • 問題が収束したのはいつか(いつまで問題が続いたのか)
  • その問題の原因は何だったのか
  • その問題は工場の外に要因があったのか、工場の中に要因があったのか
  • その要因に対する対策は効果があったのか
  • その問題は解決したのか、またその解決した決定打は何だったのか
  • その問題は再発する危険があるのか。するとすれば大体何時頃が予測されるのか

 

とまあ、このくらいまで詰められれば満点なのでしょうが、なかなか一般の方がそこまで総括、レビュー出来るかは難しいかもしれません。

そこで、以前に出したことのあるこちらをまずは試してみてください。
上の事柄を少し考慮しながら、まずは下の空欄を埋めてみましょう。
昨年の一番簡単な総括が出来るかと思います。

工場の「特性」を改めて再認識する

さて、このように一年を追っての問題を拾っていくと、自ずと自分の工場の「特性」というものがそれなりに見えてくることでしょう。
実はこの「特性」を押さえることこそが、この春の早い時期にすべきことなのです。

そう、前回お話したことです。
実はこれを知って欲しくて、前回あのように詳細に工場の「特性」についてのお話をしたわけです!

 

前回も言いました。工場はみな、それぞれ「特性」が違います。
各工場ともに強いところもあれば、弱いところもあります。
ですから工場が100あれば、「特性」は100あります。
あなたの工場の「特性」は、隣の工場のそれとは違います。
だから隣の工場が行う対策が、あなたの工場に重要、適正、必要かなんてことは判りません。

学校の教室で座っているあなたと、隣の席の生徒が、全く同じ算数の計算式と古文の勉強をしないと成績が上がらない、なんてことはないですよね?それと同じです。
そんな工場の「特性」をつかむことは、防虫管理において非常に重要なことなのです。

さて。(詳しくは前回を読んで欲しいのですが)
防虫管理上の工場の「特質」は、大きく二つに分けられます。

一つは、外的要因、つまり工場の立地環境や地域的特徴などによって生じる特性です。
例えば、河川に近い、敷地内に排水処理施設がある、などといった場合には水域に生息するユスリカなどの昆虫が多量に飛来するかもしれませんし、北国の工場なら冬季の到来は早く昆虫の問題の収束時期も早いかもしれません。
このように、工場の外的な環境によって生じる特性のことを、「環境特性」(外的特性)といいます。

また、もう一つは内的要因、つまり工場の製品の特長や施設などに由来して生じる特性です。
例えば、製パン工場のように、粉を多量に使用する、ホイロなどで蒸す工程があり湿度が高まる、あるいは総菜工場のように水を多用する、24時間工場が止まらない、などで問題化する虫も大きく変わってくることでしょう。
こうした、工場の内的な特徴によって生じる特性のことを、「状況特性」(内的特性)といいます。

ではこれらを知るためにはどうすればいいのか。
大丈夫、前回の記事をよく読んでそのまま行ってください。
それであなたの工場の特性を知ることができます。

 

「特性」を知ることで対策や計画が立てやすくなる

このように、問題が本格化する前のこの春の時期は、そうした「特性」を改めて再認識するいい機会といえます。

外的要因で生じている「環境特性」は何なのか。
内的要因で生じている「状況特性」は何なのか。

このことを押さえてデータを見るだけでも、その後の対策や手段が見えてくるはずです。
そしてそれをもとに、今後起こりうる問題を予測し、今のうちから準備しておくのです。

特に「環境特性」は、「春」という大きな季節要因を受けることでしょう。
緑地帯が多い工場、河川の付近の工場、山の麓や中にある工場など、それぞれの環境特性の影響が今後夏にかけて次第に大きくなるであろうことはよもや言うまでもありません。
よって工場の防虫計画も、これらの「特性」を踏まえたものを立案しなければいけません。

また冬季と違って湿度が高まりやすく、室温も上がりやすいこれからは、「状況特性」においても考えるべきこと、すべきことがあるでしょう。
それらを改めてこの時期に再確認するためにも、このような「特性」を知ることには大きな意味があるのです。

その他の春の対策は?

ここから先は、一般論です。
当然ですが、各工場の「特性」に合わせて、参考にしてください。

ということで一般的に、この時期にすべき春の対策をお教えしておきましょう。

 緑地由来の飛翔性昆虫

この時期の温かい日中に河原などを歩いていると、すでにふわふわと昆虫が浮遊していることがままあります。
河原の緑地帯に生息しているアブラムシやタマバエ、コバエなどがそれらです。
工場の植栽などでもそれらの昆虫は見られます。
春は、こうした緑地由来の飛翔性昆虫が一斉に活動し出す時期です。
自ずと日に日に、緑地由来の昆虫の捕獲数が跳ね上がることになります。
植栽の伐採や殺虫剤散布なども、そろそろ視野に入れ始めていいでしょう。

また、開放厳禁のドアを従事者が開けっ放しにしてしまうから虫が入ってきてしまって困っている、という工場。
今が従事者への教育や指導のタイミングです。
特に日照時間が長くなるにつれ、また気温が上昇するにつれ、夕暮れ時の、入出荷室や前室などでの昆虫の光誘引、侵入率が増えていきます。
何故なら、冬季は気温が低くて日中しか活動出来なかった昆虫が、春になって気温が上昇し、夕方にも活動が可能になるからです。
寧ろ、夕方は工場灯火が灯されるため、それに誘引されて飛来することになります。
結果、昆虫の侵入時間帯は日中から次第に夜へと向かっていくのです。

なお、こうしたドアやシャッターの開閉管理に対し、工務店などに、ドア解放時にブザーが鳴ったりパトランプが点灯するような工事依頼をするのもいいでしょう。
実はこれ、そんなに費用をかけずに出来る、非常に効果的な外部侵入防止対策なんです。
はっきり言って誰もそのうち気にしなくなる「開放厳禁」なんて張り紙を貼る数百倍、いや数千倍は効果があります!
しかもホームセンターで手に入る部材ばかりな上に簡単な取付工事でしかないですから、器用な工務課のある工場ならさっくり自前で出来ることでしょう。
これまでぼくのお客さん数社は皆、実際に自分で自作し、非常に効果を上げていますよ。ご参考までに。
(ちなみにブザーのほうがぼくの経験上、効果が高いです。やっぱりけたましく鳴って周囲にそれをやっていることが丸わかりなブザーのほうが心理的に注意が働くのだと思います。)

 土壌由来の歩行性昆虫

「啓蟄」というように、この頃から土壌由来の歩行性昆虫が動き出します。
ですから2月下旬、霜の降りるような時期の終わりあたりから、次第に土壌由来の昆虫が工場の外部隣接エリアなどで見られ始めます。

尤もこれらの問題が本格化するのは夏季ではあるのですが、しかし実際はすでに春季から活動を始めるものがほとんどです。
例えばクモやアリ、トビムシ、ダンゴムシ、ハサミムシなど。
場合によってはゴキブリも早くから活動することがあります。

また時折、乾いた側溝やその他の箇所に、冬の間の落葉の堆積を放置している工場がありますが、あれは昆虫に生息する場所をみすみす与え、敷地内に養殖させているようなものです。
くれぐれも清掃し、除去するようにしてください。
越冬を卵で行う昆虫は、そうした中で育つものです。

さらに。
これらの歩行性昆虫の侵入要因である工場内のクラック、隙間、コーキングのヌケや劣化などは今のうちにシーリング処理や隙間剤などで補修し、対処しておきましょう。
この作業は、遅くても4月半ばまでに行うことが重要です。
何故なら、5月の連休に入ってしまうとタカラダニという赤いダニの多量発生シーズンが待ち受けているからです。

工場の高さが土壌とフラットである工場や、土壌帯がすぐ付近に設けられている工場などは、そうした対策も早々に手をつけておくほうがいいでしょう。

粉体由来の貯穀害虫

これ、ぼくのお勧めです。
穀粉を扱う工場は、今のうちからシバンムシ対策を行いましょう!

小麦粉などの穀粉を多用する工場や、米サイロなどの施設のある工場では、粉だまりなどの中で越冬していた貯穀害虫が活動を始めることになります。
特にその代表種のシバンムシなどは、粉溜まりの中で卵あるいは小さな白い幼虫で越冬しています。ですから、この後成虫になって活動が活発になる前に、それらの除去清掃をすべきです。

試しに、あなたの工場に長年蓄積している粉を袋にでも入れて、温かい部屋に置いて数日放置した後によく見てください。
粉をごそごそしながらよーく見ると、白くて小さな幼虫がうごめいてませんか?
見つけた場合、赤信号。シバンムシ類の幼虫です、それ。
昨年の捕獲データと一緒に、直ちに上司に提出・提案すべきです。

そして。
ここで重要なポイントは、こうした問題が軽症で潜在的なうちに要因を叩く、ということです。
確かに3月の時点では、まだフェロモントラップなどへの捕獲はそれほど多くはないことでしょう。
ですがそれは現段階では卵や幼虫なので、捕獲が少ないのが当たり前なのです。
こうして油断して放置しておくと、毎年のようにゆっくりゆっくり問題が水面下(ならぬ粉の下)で進行し、やがて毎年のように増加してしまう、というわけです。

しかもシバンムシの成虫は、飛翔性です。
つまり、這うだけの幼虫とは違って、問題が拡散しやすいということです。
つまり、対策を行うなら今のうちがいい、ということです。

毎年毎年、夏になるとシバンムシが多量捕獲されて困っている工場は、決して少なくはないでしょう。
その問題が広がらないうちに、今のうちに重点清掃を行うほうがいいでしょう。
何せ、増えてからは遅いのが貯穀害虫というもの。
今やるだけでシバンムシ類の問題は1年縁切り出来る、なんてところも多いはずですよ。
それに今からだったら清掃業者さんもゴールデンウィークのタイミングに間に合うかもしれませんよ?

 

まとめ

春の始まった今からが防虫対策のシーシーズンです。
当然ながら今のうちから早くやったほうがいいことが色々あります。

今日はそんな、3月の防虫対策についてお話いたしました。

特にシバンムシ対策については、後日また詳しく書いていくことにしましょう。
どうぞお楽しみに。

以上、このように当ブログでは食品衛生の最新情報やPCO、防虫対策の知識は勿論、その世界で長年生きてきたプロだから知っているテクニックや業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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