ピロー包装機。
食品工場なら何処にもあるこの普通の包装機械ですが、これに関わって製品への虫の混入事故が発生しうることが、稀ながら実はあるのです。
それでは、今回、次回と二回に分けて、実際に起こった事例を交えながらお話いたしましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 洋菓子工場で、シバンムシの混入が頻出した
  • シバンムシは穀粉をしようする工場ではどこでも問題になるような、貯穀害虫の代表である
  • 異物混入という現象が起こるには、昆虫の生息に加えて、それ以外の何らかの「因子」が潜んでいることが多い
  • 異物混入の要因を調べるには、「どこで混入したか」を特定することが重要である
  • 生息調査と異物分析の結果、シバンムシは包装工程で混入したことが判明した

 

 

今日のテーマ:ピロー包装機で虫の混入が!その原因は?

ケーススタディ・ザ衛生管理。
「工場の現場で起こりやすいこと」、「実際に起こったこと」を例題事例とし、現場に即した対処方法を、ここではお教えしてきます。

というわけで、今回のテーマは、こちら。

「ピロー包装機で虫の混入が!その原因は?」
です。
なお、こちらは二部構成の「前編」になりますので、もし「後編」から来られた方は、まずはこちらを最初に読んでください。

洋菓子工場でシバンムシ類の異物混入が頻出した

とある工場で実際にあったお話です。
洋菓子、特に焼き菓子をメインとした製造工場で、「シバンムシ」の混入がいきなり何度か続く、という事態が発生しました。

それも、ほぼ原型をとどめたまま、製品の表面にシバンムシが付着していたり、包装の中にシバンムシが入っていたり、といった状況が何度か続いたのです。

 

さて、「シバンムシ」とは、2~3mm程度の楕円形をした、いわゆる粉ものから発生する「貯穀害虫」の代表例です。

シバンムシは一般家庭でもしばしば発生し、乾果、乾パン、海苔、昆布、鰹節、乾麺といったきわめて多くの種類の乾物から、果ては畳、健在なども食害する…とウィキペディアにはあります(笑)。
が、要するに工場では粉モノが好きな昆虫だと思ってください
よって製パンや米飯、菓子類、調味料などなど、小麦粉や米やその他の粉を使う工場では大概問題になっているのが、このシバンムシ類です。
穀粉を使う工場=シバンムシが悩みの種、と捉えてもいいでしょう。
実際問題、このシバンムシの生息を全くゼロにするのは、一般的に考えられるほど簡単でも現実的でもありません。

異物混入が起こるにはワケがある

さて、こちらの工場も洋菓子工場なので、小麦粉はじめ穀粉を多用します。
ですから同様に、シバンムシの悩みとは切っても切れません。
よってシバンムシの生息が工場内で、これまでも少なからず見られていました。
このこと自体は、他の工場同様、仕方のない話でしょう。

ただし、だからといってそれがただちに異物混入するかどうかは、全くもって全然!別の話です。
時折勘違いされそうですが、内部発生=ただちに異物混入、ではありません。
だったら世の中はもっと虫の異物混入に溢れています。
工場での昆虫の内部発生を全て防ぐというのは、理想論(や世間のイメージ)はさておき現実的にかなり難しいことなんです。
しかし一方で、異物混入、製品への汚染を、つまり製品の安全性へのリスクをなくすことは、決してムリな話でもありません。

何故なら、そもそも工場で虫の異物混入が生じるには、その虫が生息しているという事実に加えて、更にそれなりの原因や危険性との因果関係があってこそ起こるものです。
つまり、工場自体に、その虫を混入異物としてしまう別の因子があるものなのです。

昆虫に限らずなのですが、異物混入事故について、一つ重要なお話をします。

あのですね、
「異物混入」という特殊な製品汚染の現象が起こるには、工場内の昆虫の生息といった前提的なリスクに加えて、それ以外の何らかの「因子」、言ってみればそのリスクを具現化させてしまうような「トリガー(引き金)」が潜んでいることが多いものなんです。

おっと、本題に戻りますね。
では、それを踏まえながら、この問題の要因を探っていきましょう。

まず最初に考えるべき、突き詰めるべきことはなにか。
それは、このシバンムシは製造工程のうちの、どこで入ったものか、ということです
何故ならそれによって、話は大きく変わってくるからです。

何故シバンムシは混入したのか?その混入要因を探る

それでは、シバンムシの混入ルートを探っていきましょう。

洋菓子の主な工程はこの通りです。
つまり、これらのいずれかの工程でシバンムシは混入したことになります。

 

さて。この工場は、日々シバンムシの生息モニタリングを行っていました。
だとすれば、そのシバンムシの捕獲データから混入ルートの目星を付けられるんじゃないだろうか。
そう考えた方、なかなか鋭いですね。
成る程、シバンムシの生息が多いエリアならば、その分混入リスクだって高まるかもしれません。
ならば、各工程のシバンムシの捕獲数を比較してはどうだろうか、というワケですね。

では、その比較の結果、シバンムシは工場のどこに多く生息していたのでしょうか。
上の工程のうち、一番多くシバンムシが捕獲されていたのは、「仕込み」のエリアでした。

確かに洋菓子ですから、資材保管庫には穀粉が保管されていますし、計量室や仕込み室では当然それらの開封や使用もある。
ですから、そのエリアでのシバンムシの生息は、自ずと数多く捕獲さえるものです。
まあ、一般的にシバンムシが発生、問題化しやすい箇所といったら、まずは保管倉庫か、あるいは上の工程でいえば仕込み室というのが定番でしょう
尤も、こんな工場はザラにあります。
先にも書きましたが、穀粉を使用する工場で、シバンムシの生息が全くない工場なんてそうあるものでもありません。

ということは。
シバンムシの混入は、捕獲数が一番高かった「仕込み」の工程だったのでしょうか。

異物の状況を観察・分析して混入経路を確定する

ですが、ここで混入異物の状況を、もう一度見てください。
そう、前回もお話しましたが、異物混入が起きた場合には現状の把握、つまり「異物の観察」が重要です。

それも、ほぼ原型をとどめたまま、製品の表面にシバンムシが付着していたり、包装の中にシバンムシが入っていたり、といった状況が何度か続いたのです。

 

いいですか?
シバンムシは、ほぼ原型のまま「製品の表面に付着」するように混入したか、さもなければ「一緒に包装」されたように混入している、ということです。

「仕込み」や「成形」の工程でシバンムシが混入したらどうなるか。
これだと間違いなく、製品の内部に練り込まれます。
そうなれば、当然ながら虫体はバラバラになります。

しかもその後に製品は「焼成」、つまり焼き上げられることになります。
もしこの段階で表面に付着していたら、こんがりと焼かれてしまうことでしょう。
そうなれば小さな虫なんて、焦げの一つにしかなりません。

ですが、発見された混入製品はいずれも原型そのままで、製品に付着、或いは包装内に混入、というような状態でした。

つまり!
このことは、明らかに焼き上げられた焼成工程以降に混入した、という事実の証左に他なりません!

「なんだってーっ!?」

注:しません。

まさかの包装工程で混入要因が!

焼成工程以降での混入、ということは混入経路がかなり絞られることになります。
包装されてしまったらもう、当然ですがそれ以降の工程上の混入はあり得ません。

となるとこの場合、「焼成」から「包装」までの工程のいずれかに問題があることになります。

 

でもここで、また一つ考えるべきことがあります。

冷却や仕上げの工程で混入したら、やはり製品に埋まるように混入するはずです。
(製品にも勿論よるでしょうが)
少なくとも一緒に包装されるような混入状況は生じません。

こうなると、いよいよ混入経路が限られてきます。
では、唯一そのような異物混入が発生しうる箇所、それはどこでしょうか。

 

そう、今回の混入経路は、まさかの包装工程でした。

「なんだってー!」

注:リアクション大きすぎです

 

でも、確かに。
食品製造に携わっている方なら、ほんと、この結果には「なんだってー!?」と驚くことでしょう。
「どういうことだキバヤシ!」と詰め寄りたくなることでしょう。

だって、包装工程ってドライ環境だし、粉体を使うわけでも、熱を使うわけでもない。
それほど汚れる工程じゃないんです。
少なくとも最初のほうの、計量やら仕込みやらのほうが遙かに粉体が舞い上がりますし、シバンムシの発生リスクは桁違いに高いです。
或いは、焼成工程などのように、熱を使って温かくなるため生育しやすくなる環境でもない。

つまり本来、完成した製品と包材以外何にもないはずなのが、包装工程なのです。
これがどうして虫の混入の混入経路になっていたのでしょうか?

前編まとめ

はい、今回ネタ画多すぎですね。
失礼しました。

大体、タイトルから混入経路が見え見えでしたからね。
出オチやんと。

さあ、それでは何故包装工程でそんな問題が発生したのか、後編で詳しくお話していこうかと思います。

以上、このように当ブログでは食品衛生の最新情報やPCO、防虫対策の知識は勿論、その世界で長年生きてきたプロだから知っているテクニックや業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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