プロに聞く、衛生管理&防虫管理Q&A。
今回はペットボトルへのゴキブリの混入なんてことがあり得るのか、そんな質問に答えます。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • ゴキブリがペットボトル飲料に混入することはあるのか?一般的にはないことだが、ごく稀にあり得る
  • ペットボトルに異物混入があった場合、まずはその異物の観察が重要である
  • 虫体に損傷がない場合、消費者由来の混入の可能性が高い
  • ペットボトル飲料は、その工程上異物混入リスクが限りなく低い
  • 更に一流の飲料メーカーの製品検品の制度はかなり高い
  • 飲料の製品検査精度は、かなり高い
  • それでも飲料へのゴキブリ混入は発生し得る

 

 

質問:ペットボトル飲料にゴキブリの異物混入はありえますか?

「ペットボトルの異物混入って一般的にありえるんでしょうか。
先日、コンビニで購入したペットボトルのジュースに、ゴキブリの幼虫の死骸が入っていました」

はい、お答えしましょう。

実はこれ、何年か前の「Yahoo!知恵袋」の質問にあったものです。
以下、引用してみましょう。

ペットボトルの異物混入って一般的にありえるんでしょうか。

先日、コンビニで購入したペットボトルのジュースに、ゴキブリの幼虫の死骸が入っていました。
十数年住んでいる家ですが、自室でゴキブリを見たことはありませんし、ボトルキャップもしっかり閉めていました。
しかし、調べてみるとボトルジュースを作る過程で何層ものフィルターを通るため、異物の混入はまずありえない、という記事を見ました。
異物混入は初めての経験ですので、安易にクレームをつけていいものなのか悩んでいます、メーカーに問い合わせるべきでしょうか。

 

成る程、
これはかなり興味深く、面白い質問ですねえ!
そしてこれにまともに答えられる人は、そうそういないことでしょう。
それでは、専門家として結論からお答えしましょう。

あり得なくはないですが、一般的ではありません。

逆に言えば、一般的ではありませんが、あり得ます。

ぼくはプロなので、「あり得ない」と言う人の、恐らくは飲料メーカーや一般的な食品工学を学んだ品管さんであろう方々の意見も、よく判っています。
ですがぼくはプロ中のプロなので、その上で、でもその「あり得なさ」には盲点がある場合があるからこそ、「一般的ではないがあり得る」のだ、と言いたいのです。

一体どういうことでしょうか。
追ってお話していきましょう。

まずは状況把握から

皆さんが、知っておくべきこと。
それは、異物混入に遭遇して最初にすべきは、状況の把握だということです。
つまり、第一に、混入した異物の観察です。

さて、ここでは質問者さんは、「ペットボトルにゴキブリの幼虫が」、とお話しています。

そもそもゴキブリの幼虫だと判定出来るくらいに虫体が維持されている、ということは「その異物は混入してそれほど加圧がされていない状況である」ということでもあります。

虫の体はもろいので、製造工程上くらいの加圧が加わると、ほんと簡単に虫体が破損します。
それがさほど壊れずに残っている、ということは結果的によっぽど加圧が加わらない状況であったことになります。

例えば、ペットボトルへの飲料の充填(注入すること)の勢いはそれなりに強いので、それだけでも虫体は破損しかねません。
ていうか、します普通に。

更にそこからやれラベリングだ印字だ箱詰めだ出荷だを経て、お店に並び、消費者の口に至るまで、一体どれだけの衝撃を受けているか判りません。
まあ、一般論として、こうなると虫なんてもうバラバラになってます。
で、それを経た後に、虫体の破損がほとんどないという場合、およそ高確率で消費者由来の異物混入と言われることになるでしょう。
「消費者由来の異物混入」というのは、要は自宅で開封しているときに入ったんですよ、ということです。

実際のところ、世で言われている飲料の異物混入のおよそ9割以上が、そんな消費者由来のものばかりです。
ですが、本人はそれを認めないので、或いは認めたくないので、製造工程上での異物混入だと訴えます。
気持ちは滅茶苦茶わかりますが、恐らくは自分に原因があります。

ただし、それはあくまで「確率」の話です。

では、判別出来るレベルながらで虫体が崩れながらも、まるっと1匹入っている。
この場合、可能性はもう少し広がります。
よって、場合によっては製造工程の段階で混入した可能性も先程よりは少しばかり高まります。

さあ、本題はこれからです。
それでは本当にペットボトル飲料の工場で、ゴキブリは入るものなのでしょうか。

ペットボトル飲料はこう作られる

ではここで、簡単にペットボトル飲料はどのように製造されるかを、簡単に解説しておきたいと思います。

そもそも、ペットボトル飲料は、「飲料」と「ペットボトル」と「キャップ」が一体となることで製造されます。
その充填工程だけをクローズアップしたのが、このフローです。

要するにこれは、「これの工程のどこかでゴキブリは混入することになる」、というものです。

ではどういうことなのか。一つ一つ追っていきましょう。

もう一度言いますが、ペットボトル飲料は、「飲料」と「ペットボトル」と「キャップ」の組み合わせなので、それぞれを見ていく必要があります。

最初はペットボトルから行きましょう。

まず、PET樹脂をブロー成型(加熱し膨らます)してペットボトルを成形します。
その後、作られたペットボトルは外面と内面を洗浄され、綺麗にすすがれます。
この際、ペットボトルは口が下向きになっていますので、異物があれば全て流されることになります。

さて、綺麗に洗浄されたペットボトルに、いよいよ飲料を注ぎ込み(充填し)ます。

この飲料は、フローを書くまでもなく、製造から殺菌、充填に至るまでパイプの中を通り、何度か「ストレーナー」という目の滅茶苦茶細かいフィルターを越されてろ過されます。
ですから、ここに異物が入れば必ずろ過されます。
ストレーナーを経て虫が入るなんてことは、絶対にあり得ません。

かくしてボトルに充填された飲料は、間を開けず直ちにキャッピングされます。
このキャップも当然洗浄されますが、キャップ保管の段階で、異物が付着している危険性は、まあ可能性として否めなくはありせん。
が、しかし高速で固着され密封されるキャップに虫などがずっと付着した状態であることはまずないでしょう。
少なくとも現実的ではありません。

つまり。
外面も内面も洗浄されたペットボトルに、ストレーナーでろ過されたパイプの中の飲料を充填し、すぐさまきれいなキャップを閉めることでペットボトル飲料は製造されているわけです。

この段階で、異物混入がなされる確立は、ほとんどなくなります。

高精度な飲料メーカーの製品検査の実状

更に言うなら、大手ペットボトル飲料メーカーにもなると、その可能性は更に大きく減少します。
というのも、充填以後に行う製品検査の精度が滅茶苦茶高いからです。

一般的な大手メーカーの製品検査は、目視検査のみならず、可視光線検査、X 線検査、超音波検査など、現在の先鋭テクノロジーを駆使、併用して実施しています。
ここら辺の細かい技術的な話はぼくは専門外なので余り触れませんが、これらによってペットボトル飲料の異物混入は大幅に減少しているのは紛れもない事実でしょう。

この飲料特有の制度の高さは製品の特性によるものです。
例えば固形だったらこうはいかない。
でも液体なら、そうした高い検査精度が可能になります。

ですから、普通に飲料メーカーはゴキブリの異物混入なんてまずありえないと考えています。
食品工学を学んだ人もこれを知っていますから、ゴキブリなんて入りようがない、と考えています。

ちなみにペットボトルだけでなく、他の缶入りの飲料、場合によっては缶詰などもほぼ似たような製造工程で作られています。

実際に飲料に異物は混入している

しかし、です。
それでも、実際にペットボトル飲料にも異物混入は起きています。

実際ぼくも過去に何度かお客様からのご相談を受けていますし、めっちゃ時折ですがリコール情報などでも目にします。

それに何より、ぼく自身、缶チューハイの金属異物混入の経験があります。(笑)

マジかよ!?起こるかこんなこと!?
金属だぞ!?
いや、ないない、絶対!ない。マジ断言するわ。
こんなん絶対入らないし、絶対除去されるに決まってる。
てゆーかこれマジだったら即ロットでリコール確定コースやで!?
これ原因、絶対に、ぼくやん。

そう僕自身を強く思いましたが、でも違ってた。
ここまでのことが書けるプロの身にだって、こうやって実際に起きているんです。
しかも自分ではあり得ないと、今でもマジに思ってます。
専門家ですが、これはぼくじゃない!

ええと、先に書いたことをもっかい書きますね。

【世で言われている飲料の異物混入のおよそ9割以上が、そんな消費者由来のものばかりです。
ですが、本人はそれを認めないので、或いは認めたくないので、製造工程上での異物混入だと訴えます。
気持ちは滅茶苦茶わかりますが、恐らくは自分に原因があります。】

これな!(笑)

そうなんだよ、
だってこの道20年のプロ中のプロがこうですよ!?(笑)

(メーカーへの悪意は全くないのでここにリンクはしませんが、過去記事に詳細を書いてますので、興味あればどうぞ)

…おっと、少し長くなってきましたね。前編はこの辺にしておきましょう。

後編では、何処にそんな「神すら見落とすポイントがあるのか」。
いよいよ具体的なそのポイントへと、ダイレクトに触れていきたいと思います。

 

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