プロに聞く、衛生管理&防虫管理Q&A。
今回はペットボトルへのゴキブリの混入なんてことがあり得るのか、そんな質問に答えます。
今回は二部構成、「前編」「後編」のうちのこちらは「後編」になります。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • ペットボトル飲料のゴキブリ異物混入について、飲料本体やキャップからの異物混入はあり得ない
  • ペットボトルも口をしたにして洗浄、すすぎがなされるため、ペットボトル内への異物混入リスクは相当に低い
  • しかし、洗浄後ペットボトルの口が上を向くと、異物混入リスクが大きく跳ね上がるケースがある
  • 多くの異物混入の本質的問題は人間由来の問題であるケースがほとんである

 

 

質問:ペットボトル飲料にゴキブリの異物混入はありえますか?

「ペットボトルの異物混入って一般的にありえるんでしょうか。
先日、コンビニで購入したペットボトルのジュースに、ゴキブリの幼虫の死骸が入っていました」

はい、これに対する答えが今回のテーマになります。

なお、こちらは二部構成の「後編」になりますので、もし「前編」をお読みでなければそちらを最初に読んでください。

神すら見落とすゴキブリの混入経路はあるのか!?

さあ、後編ですから、いきなり本題に迫りましょうか。
それでは、前回の話の通り入るばずのないペットボトル飲料に、ではどうして実際にゴキブリの異物混入が起きてしまったのでしょうか。

先の通り、飲料本体は幾度ものストレーナーというクソ細かいフィルターを通って充填されます。
ですから異物がこの飲料の中に入っていたら粉々になり、原型をとどめませんし、そもそもそんな異物が入らないほどに細かいメッシュを高圧でろ過するので、そもそも異物などが混入しているわけがありません。
金属片だ、ゴキブリだ、なんて目でぱっと見えるものが通ることはまずありません。
つまり、飲料の中に異物が元々入っていた、という話はほとんど成立しないでしょう。

加えて、大概の飲料の充填は高速に回転しながら行われ、そのまますぐに高速でキャッピングします。
充填時に昆虫が混入する、ということは、その高速回転している機械の上をゴキブリが移動し、そのまま綺麗にペットボトル内に流しこまれ入る、という、これまたおよそありえない話となります。

となると、怪しいのは消去法でペットボトルとなります。

一方で、ペットボトルは口を下にして洗浄工程を通ります。
口を逆さに高圧でリンサーを流されてそれでもペットボトルに残っている異物などは、まず常識的にないでしょう。
ですから、成形したペットボトルに虫が、ゴキブリが入っていた、というのもちょっとムリのある話になります。

それじゃあ、何処にも混入要因なんかないじゃないか、
ホラ見ろ、やっぱりペットボトル飲料への混入なんて、あり得ないんだ。
まあ、普通ならそうなります。

でも、じゃあどうして時折そんな問題が実際に生じているのか。
その訳は、これらの何処かに破綻があるからです。
それは、どこにあるのか。

それこそが、「神すら見落とす混入経路」なのです。

神すら見落とす混入経路を探せ!

では、その「神すら見落とす混入経路」を探りにいきましょう。

さて、
洗浄工程にて口を逆さにして洗浄されたペットボトルは、飲料を充填されるべく充填機械へとコンベアを流れます。

で、その際。
これは工場によってなのですが、場合によってはここから充填機まで、それなりの距離がある場合があります。
そして。
その際、逆さにして洗浄をかけられたペットボトルが、充填のために口を上にして充填機へと向かってコンベアを流れていく箇所が、生じます。

いいですか?
ここですよ!?

つまり、上を向いた空のペットボトルがコンベアを流れていくわけです。
で、その際にだけ、ごく少しの異物混入リスクが生じるのです。
洗浄されて綺麗なペットボトルが、充填の前に、少しの時間だけ口を上にするのです。

 

勿論、多くの大手メーカーはこのリスクをなくすべく工夫しているものです。
このタイミングを充填間近にしたり、コンベアをアクリルカバーなどで覆うことで密閉構造にしていて落下異物リスクを生じなくさせている、といった対策が恐らくは一般的でしょう。
成る程、密閉されていれば異物混入のリスクは大幅に低減出来ます。

しかし、大概はここに様々な要因が加わります。
つまり、このリスク対策が弱まってしまうことが往々にして存在します。
そう、得てして問題というものは、人間に由来して起こるものです。

こんな例を、実際にぼくは何度か実際に見ています。
機械のメンテや調整、エラー時の対応がしやすいよう、本来は密閉構造にしておくべきコンベアカバーの一部を開放してあった。
密閉構造であるべきコンベアカバーの結合部が開閉式になっているため、メンテや作業でつい閉めきらず、隙間が生じていた。
或いは、コンベアカバーに生じていた劣化破損やズレなどを放置していたため、密閉がされない状況になっていた。
いや、あまつさえ、そのコンベアカバー上にメンテ器具や帳票などを置いて作業すらしていた。
等々。

そんなんあり得ない!と思うかも知れませんが、でもこれらは皆、ぼくが実際に現場を見て指導してきた事柄ばかりです。
こりゃ異物混入しても仕方ない、と思いませんか?

さあ、こうなると、異物混入リスクは急激に高まるものです。
少なくともゴキブリは、高速回転している充填機械の上よりも、コンベアカバーの上のほうが歩きやすいでしょうし、普通に考えても天井から回転している充填機にダイブしたというよりはカバーの隙間から落ちたという話のほうが現実味がありませんか?

勿論、これらはただの一例です。
このような構造や工程になっていない工場も多いことでしょう。
ですが、実際にこのような問題が起きているのも、また事実です。

多くは人間由来の問題である

この事例で学ぶべきことはなんでしょうか。
そう、多くは人間の要因が関わっている、ということです。
混入経路は神すら見落とすかもしれませんが、それを造っているのは他ならぬ人なのです。

大体、水を多用する飲料工場でクロゴキブリの生息をゼロにするのは、そんな言うほどに簡単ではありませんし、再発防止はほぼ不可能です。
だって、場内に生息しているのではなく、外から侵入してくるからです。

そして実は問題の本質はそこにありません。
この場合、コンベアカバーを日常的に開放していたことにこそ、本質的な問題があるのです。

そういえば、皆もう忘れてしまっているでしょうが、2016年には「はごろもシーチン」へのゴキブリ混入が広く報じられたことがありました。

 

ぼくはこの工場内を知りません。
ですが、プロとしてはっきり一つだけ言えることがあります。

問題の本質はこの当時このように言われていたシャッターの隙間などでは全くないでしょう。
大体、防虫管理のプロであるぼくらからすれば、保健所なんて、はっきり言って防虫管理のド素人です。
こんなのはただの問題の「落としどころ」であって、「本質」ではありません。

くどくは書きませんが、ぼくはプロとして、この「シーチキンゴキブリ混入」での自主回収をしなかった判断は全くもって正しいものだったと、当時から思っていました。
これまで何度も書いてきましたが、食品衛生法上での回収基準は、「健康被害」と「拡散性」だけです。
この場合、ゴキブリ単体まるまるでの混入であり、またそれも外部からの迷入という「外部侵入要因」(内部発生ではない)であり連続性はない、つまり拡散性がないということ。
缶詰にされたままボイル殺菌されることで健康被害も起きないということから回収の必要性がない、というのは極めて正当だと思います。
だからそれはいい。

あのね、日本の民度として、企業に対してネットでの気分やノリで「ごめんなさいなら回収しろ」を煽るのは、いい加減やめませんか?

 

ただし。
回収云々はさておいて、それはそれ。でも、これはこれなんですよ。

はっきり言えば、この事件の本質的要因は、少なくともシャッターの劣化なんかではありません。
そもそも、シャッターの劣化では工場に虫は入りますが、それが直ちに異物混入にはなりません。
異物混入したからには、間違いなく何らかの要因が別に」あったのでしょう。
それは、何らかの今回のような問題だった可能性は、実は結構大きいものだと思います。

まとめ

今回はペットボトル飲料へのゴキブリの異物混入について、その原因や背景についてお話いたしました。

そもそもこうした事例の原因究明は、虫に対する高い専門性と現場知識、経験値が必要です。
これが虫の異物混入の難しく、奥深いところでもあるのです。

以上、このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。
明日のこの国の食品衛生のために、この身が少しでも役に立てれば幸いです。

 

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