目下猛威を振るって連日報道を賑わせている、新型コロナウイルス。
今回はこの新型コロナウィルスとその対策について。
更にはなんと、欠品が話題となっているマスクやアルコール消毒液の裏事情についても、お話をしてしまいましょう。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 新型コロナウイルスへの報道が連日なされている。
  • ウイルスには、「エンベロープ」という脂質の皮膜を持つウイルスと、持たないウイルスがある。
  • エンベロープを持つウイルスはアルコール消毒液で失活が出来る
  • 新型コロナウイルスは、インフルエンザウイルスなどと同様、エンベロープを持つウイルスであり、アルコールが有効である
  • ノロウイルスは、それらと違ってエンベロープを持たないウイルスであるため、アルコールが有効ではない
  • ノロウイルスなどは次亜塩素酸ナトリウムが有効である
  • マスクやアルコール消毒液が欠品続きなのは、中国の工場から製品が届かないことも要因として大きい
  • 国内製造もすでに稼働率100%を越えており、すぐに対応が出来ない状況にある

 

 

新型コロナウイルスとは

連日メディアで報じられている、新型コロナウイルスの猛威。
毎年この時期になると話題にあがるノロウイルスが、完全に霞んでしまってしまう勢いです。

2020年2月7日現在で、中国では死者が563人、感染確認者が2万8000人。
日本国内でも、まだ死者は出ていないものの、45人の感染者が確認されています。


国立感染症研究所

この新型コロナウイルスとは「2019-nCoV」のことであり、ヒトに感染し肺炎などを引き起こすウイルスです。

そもそも、コロナウイルスはこれまで6種確認されています。
そのうちの4つは風邪などを起こすウイルスなのですが、残る2つは「SARS(重症急性呼吸器症候群)」、「MERS(中東呼吸器症候群)」を引き起こす重症性の病原体を含むウィルスです。
今回新たに確認されたこの新型コロナウィルスも、その仲間です。

尤もぼくは食品衛生の専門家なので、医療関係の専門家ではありません。
ですから医学的な話は、そちらの専門の方々に譲ることにしましょう。

エンベロープウイルスとは

さて、ここからが本職、食品衛生の範囲のお話です。

ウイルスには、構造上から二種類に分けられます。
それが、「エンベロープ」のあるウイルスと、ないウイルスです。
これがどうして重要なのか。
それは、エンベロープがあるかないかによって、ウイルス対策が変わってくるからです。

ウイルスは、遺伝子である「核酸」をタンパク質で出来ている殻(「カプシド」)で覆っています。(「ヌクレオカプシド」といいます)
そして、ウイルスによって更にその周辺に「エンベロープ」という皮膜を持つものと、そうでないものがあるのです。

エンベロープは脂肪や糖タンパクなどで出来ているのですが、そのためアルコールや界面活性剤などといった脂質に影響を与えるような消毒剤で破壊することが出来ます。
つまり、エンベロープを持つウイルスは、アルコール消毒液や石けんで失活させることがしやすい、ということになります。

逆に言うなら、エンベロープを持たないウイルスはアルコール消毒液などでの失活が難しい、ということになります。
(全く出来ないわけではないのですが、そう簡単ではないよ、という意味です。後にもう少し詳しくお話しいたします。)

エンベロープのあるウイルス、ないウイルス

エンベロープのあるウイルスとはどのようなウィルスでしょうか。
代表的なのが、インフルエンザウイルスです。
その他、C型肝炎ウイルス、エルペスウイルス、日本脳炎ウイルス、エボラウイルス、これまで発見されたコロナウイルスなども含まれます。

そして。
今回発見された新型コロナウイルスも同様に、エンベロープを持つウイルスです。
そもそもコロナウイルスは、このエンベロープの形状が太陽のコロナのようであることから、その名が付けられたウイルスです。

これらエンベロープを持つウイルスは、そのエンベロープの脂質を利用してヒトの細胞に感染します。だからこのエンベロープを溶解してしまえば、感染しなくなる、というわけです。

 

エンベロープのあるウイルス
コロナウイルス、インフルエンザウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、エルペスウイルス、日本脳炎ウイルス、エボラウイルスなど

 

 

では、一方でエンベロープを持たないウイルスにはどのようなものがあるでしょうか。

代表的なのが、ノロウイルスです。
しばしばノロウイルスにアルコールが効きづらいというのは、そのためです。

その他、ロタウイルス、A型肝炎ウイルス、アデノウイルスなども同様です。
いずれも、手などから口に入って体内に取り込まれるような経口感染型ウイルスです。
これらは腸内でたやすく溶解されないよう、エンベロープを持たないのです。

 

エンベロープのないウイルス
ノロウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルス、アデノウイルスなど

 

 

アルコール消毒液と次亜塩素酸ナトリウム

さて、食品工場や飲食店でお馴染みの殺菌剤といったら、やはり消毒用エタノール(アルコール消毒液)と次亜塩素酸ナトリウムですね。
これらはウイルス対策上、どう違うのでしょうか。

既にお話してきたように、アルコールは脂質を溶解します。
ですから、脂質で出来たエンベロープのあるウイルスには有効です。
石けんでの洗浄なども同様です。

しかし一方で、エンベロープを持たないウイルスへの効果は今ひとつです。
というのも、これらのウイルスは本体が剥き出しの状況であり、これらがアルコールで溶けてしまうということはないからです。

 

もう少し詳しく言うと、有る程度アルコールが付着していると、やがてウイルス本体のタンパク質が変質され、失活することも出来なくはないのですが、まあ現実的ではない、と思ったほうがいいでしょう。
ですからこちらについては、ウィルスの殻であるカプシドを破壊してしまう次亜塩素酸ナトリウムのほうが効果が高い、ということになります。

ちなみに、アルコール消毒液のアルコール濃度は70~80%がもっとも効果的と言われています。
アルコールがウイルスのエンベロープの脂質を溶解させるには、それなりに付着している時間が必要になります。
ですが、濃度が濃すぎるアルコールではすぐに揮発してしまうため、その時間が設けられなくなります。
つまり、適度な濃度と、適度な時間。このバランスが一番優れているのが、この70~80%くらいであると言われています。

業界裏話!マスクやアルコールの欠品は何故?いつまで?

ところが、このところドラッグストアなどではマスクをはじめ、アルコール消毒液までが売れ切れになっている、と話題になっています。

 

ぼくらも商売上、これらのものは仕事の必需品。
ですからしっかり確保しないといけませんので、全くもって他人事ではありません。
業界のネットワークをきちんと張りながら、日々、情報収集を欠かせない。

では、これらの品切れ状況はどうして発生しているのでしょうか。
またいつまでこのような状況なのでしょうか。
転売用の爆買い、買い占めなどなど、ネットでは様々言われていますが、本当のところはどうなっているのか。

まず、考えなくてはいけないのは、これらはどこで作られているか、です。
そう、重要なのは「工場の実状がどうなっているか」なのです。

じつは日本の市場にあるかなり多くのアルコール消毒液やマスクの製造工場が、中国にあります。
勿論、国内生産している工場もないわけではありません。
ですが、この手の工業品は、安く人件費がおさえられる海外生産が増えてきています。
そして。実を言うと、その中国から製品がなかなか入ってきていない状況にあるのです。

勿論、現地での製造が追いつかない、ということがまずあると思います。
そもそも、こんなマスクやアルコール消毒液なんてある一定分以上そうそう出るものではありませんから、それほど生産量を増やすことはありませんし、そんな体制もラインも備えていないのが実状です。

その結果、全てのメーカーがどうかまではわかりませんが、多くの主流メーカーでは既に製造依頼分はもう出し切っており、次中国から入ってくるのは未定というところばかり。
つまり、ここ1年ほどの製品ストックは、もう市場に出されてしまっているのです。
ぼくの聞く限り、どうやら次の中国からの出荷は、何の改善もされない限り9月くらいになるだろうというところが一般的には多そうです。

特にこの話は、アルコール消毒液が顕著です。
中には、アルコール自体は国内工場で製造しているものの、スプレー容器が中国産、というケースも珍しくありません。
いずれにせよ、中国から入ってこなければ製造自体、出来ません。

一方、国内生産しているメーカーではどうでしょうか。
目下稼働しまくりで製造に追われていることは、言うまでもありません。
ですが既に工場稼働率は100%を越えているところばかり。
製造計画だってありますし、従業員さんだってすぐに増やせるわけでも、また教育しないまま現場に出すわけにもいきません。
つまり工場だって、そう簡単に「じゃあ明日大量に作るわ」なんていくわけがないのです。
このことは、食品工場の方なら容易に納得出来るかと思います。

ですから現在、これらの製品を扱っている多くのメーカーは、一般向けの販売分は勿論のこと、多量にケース購入するような法人顧客に対しても新規取扱いを滅茶苦茶断りまくっています。
何故なら、いつも購入してくれていたような重要なお客さんへの欠品だけは許されないからです。

こんな状況なので、一般の人が普通にメーカーに問い合わせたって、けんもほろろ、なしのつぶては当然の帰結でしょう。
それどころか現在、メーカーはかなり卸先に対してどこに販売するかを厳しく管理している状況にすら至っています。
業界で聞く話では、大きめの個人病院にすらも売ることが出来ず、医師や従事者は使い回している状況だ、とのことですからコトはかなり深刻です。
日々それらを使用している食品工場でも、やもすると不足しかける、というところもぼくのお客さんに出てきています。

結果、卸先はそう簡単に新規販売をすることが難しい状況になっているところが多くなっている。
法人対象ですらこうなのですから、そりゃあ一般的な家庭への対応がしきれないのは当然です。

まとめ

今回は、話題のコロナウイルスについて、食品衛生のプロの身からその対策と、現在起こっている状況の裏側に触れてみました。

このように、このブログでは食品衛生の最新情報や知識は勿論、その世界で長年生きてきた身だから知っている業界の裏側についてもお話しています。

 

 

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