密封包装された未開封のパンに、カビが付着した。
このようなことは、どうして起こるのでしょうか。
その要因に、今日は迫ってみようと思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • まだ開封していないパンにカビが生えている、というクレームのご相談をいただいた
  • 検査の結果、このカビは「クラドスポリウム属」(クロカビ)と判明した
  • 食品工場で問題になりやすい三大カビは、「アスペルギルス属(コウジカビ)」、「ペニシリウム属(アオカビ)」、「クラドスポリウム属(クロカビ)」である
  • カビの生息要件とは、「酸素」「水」「栄養源」「温度」である
  • カビは、酸素がないと死滅はしないが、しかし活動が停止する。
    だから食品でのカビの増殖を防ぐためには、酸素のない状況に閉じ込めてしまうことが有効になる
  • カビ対策において食品包装に求められることは、「如何に酸素を通さないようにするか」である
  • しかしほんの少しでも酸素の供給がされた場合、カビは停止状況から再び活動をし始める

 

今日のテーマ:未開封のパンにカビが!その原因は?

ケーススタディ・ザ衛生管理。
「工場の現場で起こりやすいこと」、「実際に起こったこと」を例題事例とし、現場に即した対処方法を、ここではお教えしてきます。

というわけで、今回のテーマは、こちら。

「未開封のパンにカビが発生した!その原因は?」
です。
これについて、今回、次回と前編後編に分けて、二回で解説いたします。

パンの中でカビが発生したというクレームが複数発生

ついこの間のこと。
うちのお客様の工場で製造した未開封のパンに、カビが発生したというご相談を受けました。
しかも、それが立て続いて数件ほど複数回見られたのです。
まあ、でも実はこれ、そこまで珍しい話でもなかったりします。

取りあえず、カビの同定検査が必要になります。
その結果、このカビはいわゆる「クロカビ」だと判明しました。
正式名称「クラドスポリウム属」ってやつ。
うん、やっぱりね。

というのは後でも触れますが、カビの混入が起こった場合、こいつであることが一番多いんです。
実際、家でも工場でも、どこでもよく日常的に空中に浮遊しているカビのことです。


Wikipedia

実はこんなケースは、時々お客様からも相談されますし、ネット上でのリコール情報などでも見られたりします。
さあ、これらの問題はどうして生じたのでしょうか。

食品工場で問題になりやすいカビとは

まず、カビの基礎的なお話から始めましょう。

一般的に80,000種以上はあるとされているカビですが、しかし」今回のようなパン、あるいは菓子類やその他の製造工場内で問題となるカビは、意外とそれほど多岐にわたりません。
主に工場で問題になりやすいカビは、次の三つです。

 

食品工場で問題になりやすいカビ
  • アスペルギルス属
  • ペニシリウム属
  • クラウドスポリウム属

 

「アスペルギルス属」とは、いわゆる「コウジカビ」のことです。
しかしここで言っているものは発酵食品に使われるもの(「アスペルギルス・オリーゼ」)とはやや違う、自然界に普通にいる土壌性の代表的な野生カビの一種のことを指しています。
これらの仲間には、恐ろしいカビ毒(「アフラトキシン」)を出すものもあります。(「アスペルギルスフラバス 」)
コロニーは緑、黄土色、茶、黒、白、青緑など、菌種によって色は様々です。


東京都福祉保険局

次の「ペニシリウム属」は、いわゆる「アオカビ」のことです。
医学的には、ペニシリンなど多くの抗生物質のもとになってきたカビであり、またチーズの製造にも欠かせない存在だったりという一方で、穀物に発生してカビ毒(「マイコトキシン」)を生成することもあるほか、しばしば食品内に混入することもある代表的なカビでもあります。
よくおモチやパン、あるいはみかんなどで見られるのは、このカビが多いです。
コロニーは青色を筆頭に、その他、緑や白、オレンジなどもあります。


Wikipedia

そして三つめ、今回問題になったのが、これ。
「クラドスポリウム属」は、いわゆる「クロカビ」とよばれるものです。
自然界は勿論、一般的な家庭内にも見られます。
お風呂場やエアコン内などの黒い斑点。あれがそうです。
食品混入の実例が最も多く、その場合、
ただしカビ毒は生成しません。


Wikipedia

以上、これらは「食品工場の三大カビ」ともいわれるような、代表的なものばかりです。
よって工場内で問題となるのはこれらのうちのいずれかだと思っていいでしょう。
…とまでは言いませんが、まあこのいずれかのケースが割と多いです。

↑ついさっきぼくの部屋で見つけた、ペニシリウム属(笑)。

カビの生息要因とは

さてこれらのカビの生息要因とは何でしょうか。

尤も、一重に「カビ」といっても多種にわたりますので、一概に全てがこうだとは言えません。
ですが、一般的に多くのカビの主要因としては次の4つがそれにあたります。

 

カビの生息要因
  • 酸素
  • 栄養源
  • 温度

 

カビの種類によって、その条件はまちまちですが、しかしまずはこれが基本です。
そして今回の話において、最も重要になっていくのが、一番上の「酸素」です。

カビは酸素なしに活動ができない

カビは、いわゆる「偏性好気性菌」に属します。
要するに、カビが生きて活動し、増殖していく上で、酸素が必要です。

では、酸素がないとどうなるか。
確かに酸素がなくても、カビ胞子は死滅することはなく、生きています。
ですが活動ができず、休止しているような状況になります。
そして再び酸素が加わると、すぐに発芽し、増殖し始めます。

つまり、カビ胞子の増殖を防ぐためには、酸素のない状況に閉じ込めてしまうことが有効になります。

そして一般的な食品包装技術は、これらを利用し、開発されてきているのです。

食品包装に求められるもの

このように、カビは酸素がなければ活動が出来なくなります。
ですから、カビ対策において食品包装に求められるものは、これに尽きるのです。

「如何に酸素を通さないか」

勿論、食品包装のためには包装した後に密封してシーリングしなければいけません。
ですから、この工程においても如何に酸素を通さず密閉させるかが重要になります。

それからもう一点。

一端、酸素を通さず包装したとしても、途中で何処かに隙間が生じて酸素が入ってしまっては意味がありません。

ほんのわずかの隙間から入った酸素でも、カビが繁殖を始めるには十分となります。

しかも、食品は、箱詰め工程や物流、店頭など、様々な環境の中で衝撃に晒されることになります。
少しでも強度が低ければ、それらの間に劣化が生じて小さな穴、「ピンホール」と言いますが、それが生じ、途端に酸素が流れ込むことになります。

つまり、有る程度の衝撃に耐えうる強度があること
これも食品包装資材においては重要なテーマとなります。

 

…さあ、少しながら原因が見えてきたでしょうか。
そろそろ長くなってきましたので、前編はこの辺にしておきましょう。

後編では、具体的なカビ対策としての包装方法をご紹介しながら、そこにおける様々な原因についてのお話をしていきたく思います。

 

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