プロに聞く、衛生管理&防虫管理Q&A。
今回は真冬に工場や店舗内で見たクロゴキブリの幼虫は内部発生なのか、そんな質問に答えます。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 質問:「冬に工場内で見たクロゴキブリの幼虫は内部発生なのか」
  • ほとんどのクロゴキブリは、冬を幼虫か卵で過ごす。
  • クロゴキブリは夏から秋にかけて卵を産むため、冬に見かけるゴキブリは多くが幼虫である
  • クロゴキブリの内部発生はレアケースであり、そのほとんどは外部侵入である
  • 何故、冬に工場内でゴキブリがいるのか。それは、見えないところ、気付いていないところに下水へ通じる配管があり、そこから侵入していることがほとんどである
  • 夏の暑さが長引いて、かつ暖冬である今年は、成虫のクロゴキブリも真冬によく見かける

 

 

質問:冬に工場内で見たクロゴキブリは内部発生なの?

「真冬にも関わらず、クロゴキブリの幼虫の生息確認がありました。
これは内部発生しているということなのでしょうか」

はい、お答えしましょう。

実をいうと、このような質問は、冬の1シーズンに1度くらいは案外聞かれる質問です。
いや、いいんです。
だってそれって、衛星管理意識や、防虫管理の知識の高い証拠ですから。
何せ、この質問っていくつかの前提、ある程度の基礎知識、リテラシーの上から成り立っている高度なものなんです。

この質問を成立させている前提的基礎知識
  • 工場内の生息昆虫は、「外部侵入要因昆虫」か「内部発生要因昆虫」のいずれかである
  • 幼虫が生息している、ということは「内部発生要因昆虫」である可能性がある
  • そもそも、クロゴキブリの幼虫がそれであることを認識できる知識がある
  • もし昆虫が内部発生していたらの場合の危険性や対処の困難さを知っている

 

と、ですねえ。
まあ、このくらいの知識、リテラシーが備わっていないと、「……は?」、「……で?」となってしまうような質問だったりするんじゃないでしょうか。
つまり、これらの基礎知識をある程度踏まえた上で、防虫管理のプロとしての意見を聞きたい、というような、ですねえ。
これ、ある意味で結構上級者な質問だと思いますよ。

むしろ、逆に言うとこういう質問が来ると、ぼくらはそれがわかってますから、「待ってました!」とばかりに目を輝かせる。
目を輝かせて、「いやそれがですねえ!」と熱弁し始める。
うん、ある種の変態です(笑)。
あ、それ、プロ意識、と呼んでやって下さい。(笑)

というのも正直に言うとですね、実はこれ、つい先日ぼくが実際にお客さんから聞かれた質問だったりするんです。
というか、防虫管理屋なら、ワンシーズンに一回くらいは約束みたいに答える定番の質問でもあります。
いわゆる、あるある。
そんな珍しいわけじゃない。

さあ、そんな質問に答えましょう!
(あー、これやべえ、マジめっちゃ楽しい!)←変態

ゴキブリは冬に何をしているのか、をまず知ろう

とはいえ、ですよ。
いずれの場合も工場ごとに環境や事情、状況が違いますので、一概に必ずしもそうだとは言えないところがあります。
それを踏まえてお話しますよ。

ですが、おおむね共通して言えることがあります。
まず、考えなければいけないのは、クロゴキブリは冬にどういう状態にあるか、ということです。
いいですか?

ほとんどのクロゴキブリは、冬は幼虫か卵で越冬(冬を越すこと)します。

つまり、「そもそも論」として、冬に見かけるゴキブリは幼虫が多いんです。
ですから、冬に幼虫が発見されるのは、決して珍しいことではないのです。

クロゴキブリの生活史

ここで少し、ゴキブリ、特にクロゴキブリについてお話しましょう。
これが今回のお話の、基礎知識になります。

ええとですね、クロゴキブリの寿命は、思われているより長いんです。
通常1年半から2年程度。
これ、実は結構、長い。
少なくとも、1年弱が寿命のチャバネゴキブリより、遥に長いです。

さて。
基本的にゴキブリは、夏から秋にかけて卵から生まれ(孵化し)ます。
そして、ゴキブリは、卵→幼虫→成虫、という生活史、生態ステージをたどる昆虫です。
(蛹の期間がない)

で、この幼虫期間は、環境、温度、そして何より卵から孵化した時期によって大きく変わります。
例えば、初夏に生まれたクロゴキブリは、冬に差し掛かるころには幼虫の最終段階(終齢幼虫)に近い状態となっています。
しかし一方で、秋から晩秋近くに生まれたクロゴキブリは、まだ小さな状態(若齢幼虫)であることが多いです。

そもそもクロゴキブリの活動は、夏季に最も活性化します。
活性化したクロゴキブリはそこで交尾し、その後20日程度で卵(卵鞘)を生み落とします。
産み落とされた卵鞘からは、大体40日かそれ以上かけた後にクロゴキブリの幼虫が生まれ出ます。(孵化)
つまり、活性化から2か月後くらいに、幼虫が生まれるのです。
これを考えれば、10月以降の秋に生まれることが多い、という理由も見えてくるでしょう。

ちなみに、これ以降になると今度はクロゴキブリは卵によって越冬し、来春以降に孵化することになります。
また成虫は、夏~秋季の活性化の時期を終えて、冬には死んでしまうものが次第に多くなっていきます。

つまり。
クロゴキブリの寿命の長さは、秋季から冬季をどう過ごすか、に関わっているわけです。
そしてその上で、秋季から冬季は、クロゴキブリは幼虫であることが非常に多い。
まずはここを踏まえましょう。

そして、もう一つ。
真冬に、所謂「ゴキブリだー!」というイメージの成虫を見たら、こいつはもう死にかけだっていうことです。
なので、自ずと、冬に見るゴキブリは幼虫ってことになります。

冬のクロゴキブリは何をしているのか

これらのことから、冬のクロゴキブリは幼虫が多いということがわかるかと思います。
ではこれらのクロゴキブリは、冬の間は何をしているのでしょうか。

一般的に、クロゴキブリはチャバネゴキブリより寒さに強いといわれています。
とはいえ、さすがに北風吹きすさぶようなところでは生きていないかもしれませんが、案外と物陰に潜んで、静止していることも多いです。
また暖を求めて建屋内に入りこむこともあるでしょう。

実はつい先日。
最近(1月半ばですよ?)ゴキブリをよく見かけるというお客さんに頼まれ、建屋内の駐車場を調査したら、なんとクロゴキブリが枯れた排水溝の影で営巣しているのを発見し、駆除したばかりです。

以上のことから、冬季にクロゴキブリの幼虫が発見されたといっても、必ずしも内部発生しているわけではない、ということがお分かりかと思います。

そもそもクロゴキブリの幼虫は、活動力もそれなりに高いものです。
また虫体が小さいため、逆に成虫の入れないような小さな隙間からの侵入が可能です。
よって、小さな幼虫だからといって、工場内で発生したとは限らないのです。

クロゴキブリの内部発生とは?

さて、それでは仮に「クロゴキブリが内部発生していたら」を考えて見ましょうか。

そもそも「内部発生」という現象は、かなり特殊です。
ある昆虫が侵入し、ここで生きていこうとして卵を産む。
それがある時期に孵化して、問題になる。
これが内部発生という状況です。
と、ここまでは判りますよね。

で、問題は、「どこで孵化すると内部発生なのか」ということです。

そもそも「内部発生」の「内部」とはどこまででしょうか。
これは、「管理可能な範囲」のことを意味します。

つまり、
「内部発生の”内部”とは、”管理領域内部”である、
 外部侵入の”外部”とは、”管理領域外部”である」
ということが原則になります。

○は管理出来るもの、△は難しいもの、×は不可能なもの、という意味です。

例えば、下水内で発生している昆虫は、薬事亜などを流せば多少は駆除出来るかもしれませんが、完全にコントロールは難しいですよね。
その場合、下水という「管理領域の外部」にて発生したものが、「管理領域内部」に入ってくるのですから、「外部侵入要因昆虫」となります。
工場の外周設置のグリストラップや緑地帯などもそうでしょう。

 

さて。
「クロゴキブリの内部発生」というと、部屋の片隅に卵(卵鞘)が落ちていて、そこで孵化(生まれた)したというイメージを強く持つことでしょう。
でも、意外とそういうケースは稀だったりします。

というのも、大概は、天井裏や内壁、配電盤の中や床下など、目の届かない、つまり管理が及ぶかどうかがかなり微妙な場所で孵化することが多いものです。
この場合、「内部発生」と「外部侵入」の極めて狭間のような状況だったりしますが、多くの場合はギリ「外部侵入」であり、隙間対策などの「外部侵入要因対策」が有効であったりするものです。
小さな隙間のシーリング、とかですね。

大概のケースは皆、配管からの外部侵入である

それともう一つ。
クロゴキブリが内部発生したら、つまり場内の卵が孵化したら1匹、2匹見た、なんてことはありません。
立て続いて数匹の複数発見が日々、これでもかとばかりに連続します。

ちょっと数匹見かけた、という場合。
ほぼ90%以上の場合がこれにあたるでしょう。
つまり、今回の質問でのダイレクトな解答を致します。

ズバリ。
それは見えない、発見していないところに、下水に繋がっている配管があるんです。
クロゴキブリの幼虫は、下水が供給源で、そこから幼虫は出てきているのです。
例えば、冷凍庫のドレン水の排水管。
使っていないまま、封されていない配管。
こうしたものが原因であることが非常に多いです。

クロゴキブリは水無しでは生きていけません。
水のあるなしは生命線なので、必ず水場の近くで生息します。
また下水内は非常に温かいので、越冬にはもってこい。
更に餌も豊富と、生息環境としてはこれ以上ないほど条件が整っているのです。
ですから、クロゴキブリを見つけた場合は、どこかに下水に通じている配管が付近にあるのだ、とまず疑ってみることが一番です。

でなければ、外部側溝。
でなければ、ゴミ庫。
でなければ、床下。
冬の間にクロゴキブリの幼虫が発見された場合は、これらを順に疑ってみてください。

今年の冬は成虫も見る?どうして?

これはぼくの現場感覚でしかありませんので、データがあるわけではありません。
でも、自信を持って確実に言えることがあります。

それは、今年は真冬でも成虫のゴキブリが捕獲されている、ということです。
普通は、例年は、真冬の1月、2月に工場内で成虫が見つかることってそんなにないのです。
クロゴキブリが問題になりやすい工場でも、真冬に捕獲されるクロゴキブリは幼虫ばかり。

でも、今年は何故か、成虫が混じっていたりします。
これ、PCOの同業者なら多分、皆が感じていることなんじゃないかなあ。

恐らく、ですがその理由は、夏の暑さがかなり長引いたこと、暖冬であることに関わってきているのだと思います。
夏の暑さが長引けば、その分だけ成虫は寿命を延ばしますし、その分だけ繁殖が活性化しますし、その分だけ幼虫は成虫へと育ちます。
これらの結果、真冬でも成虫を見ることになったのだと思います。

まあ、これはぼくの感覚論なので、データがあるわけではありません。
でも長年やってきているプロの感覚なので、そんなにズレてはいないと思います。

まとめ

「真冬に工場内で見るクロゴキブリの幼虫は内部発生なのか」、という質問に、防虫管理のプロとして解答しました。
その答えは、「恐らくは下水や周辺からの外部侵入である」です。
まずはそれを疑ってみるのがよいでしょう。

■□貴方の工場・店舗で悩んではいませんか■□
・どうやって防虫管理・衛生管理をすればいいか判らない
・今やっている防虫管理・衛生管理が正しいか判らない
・何か問題が発生したときの対応が判らない
・取引先や保健所の査察が不安だ
・でも余りコストもかけられない
だったら貴方が防虫・衛生管理のプロになればいいのです!

高薙食品衛生コンサルティング事務所にようこそ
  • 私達は、どんな工場、お店の方でも防虫管理・衛生管理のプロレベルに育成することが出来ます。
  • 何故なら、防虫管理・衛生管理のプロとは、基礎知識に加えて「正しい管理の仕組み」を作れる能力を持つ者のことだからです。
    この「管理の仕組み作り」を知るこそが、防虫管理・衛生管理のプロへの道なのです
  • そんな防虫管理・衛生管理のプロを育成し広めることで、日本の「食の安全安心」を、さらにより広く、より高くさせることが私たちの使命だと信じています
  • どうですか?
    そんな防虫管理・衛生管理のプロにあなたもなって、本当の「食の安全安心」を私達と一緒に広げていきませんか?