最新の食品業界ニュースから気になった話題を定期的にピックアップし、食品衛生管理のプロの目線からコメントさせていただきます。
今回の話題は、福島県がHACCP用のスマホアプリを開発、そして無料公開している(しかも他地域でも全然使える)というニュースについて、お話したいと思います。

 

本日の時事食品ニュース

 

 

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

 

今日のお話の概要
  • 福島県がHACCPシステム構築、運用のためのスマホアプリを開発、無料公開する(している)。
  • 「ふくしまHACCP」とは、福島県の地域HACCPのことである。
  • このHACCPアプリは、他地域の事業者でも、しばらくは使用できる、とのこと。
  • すでにDL、インストールが可能。(2020年1月12日現在)そこで実際にインストールし、使用してみた。
  • アプリは、「日常の管理」である一般衛生管理と、「食材別の管理」であるHACCPに沿った管理とに分けて設定、使用する。
  • このアプリ一つで、一般的衛生管理プログラム(PP)とHACCPのシステム構築、運用が出来るようになっている。

 

 

福島県がHACCP用スマホアプリを開発&無料公開!?

福島県がHACCPシステムの構築・運用が出来るスマホアプリを開発し、無料公開するというニュースがあがっています。

minpo.jp
ふくしまHACCPアプリ開発 14日公開 食品衛生管理手軽に | 福島民報
https://minpo.jp/news/detail/2020011071540/amp

県は独自の食品衛生管理手法「ふくしまHACCP(ハサップ)」公式アプリを開発し、十四日から県内中小事業者向けに無料公開する。
スマートフォンに対応し、ダウンロードすれば衛生管理計画の作成や管理実績の記録、確認が手軽にできる。
ハサップは食品衛生管理の国際基準で、食品衛生法の改正に伴い、六月から食品関係業者に導入が義務化されるのを前に対応した。

ふくしまハサップは、食中毒や異物混入など一般的な食品衛生上のリスクに加え、福島県特有の課題である放射性物質対策の視点を盛り込んだ。

アプリは全業種に共通する「日常の管理」と業種別に定める「食品別の管理」、「放射性物質管理」の三分野で標準的な管理項目を設定している。
業者名を登録して業態(飲食、製造、販売など)や扱う食品の種類(菓子、飲料、麺など)に応じて項目を選択し、管理計画書を作成する。衛生管理の重要性やハサップの考え方を学べる構成とし、事業者の負担を軽減するとともに衛生意識を促す狙いがある。

希望者は十四日以降にスマートフォンなどでQRコードを読み込み、アプリをダウンロードする。
運用開始に合わせてキックオフセミナーを十四日午後一時から郡山市のビッグパレットふくしまで開く。
県の担当者がハサップの趣旨や利点、アプリの使い方を説明する。
ハサップを導入している食品業者が取り組みや課題を発表する。

 

はい、このニュースなんですけどね。
「いや自分、福島県に住んでないんでー。」とか思うじゃないですか。
ところがこれ、普通に他地域でも使えます!
無料で、手軽に、HACCPに沿った管理が設計、運用出来るスマホアプリ。
しかもこれ、一般企業じゃなくて行政、お上が作ってるんですよ!?
ここが一番のポイント。

さあ、もう少し詳しく追っていきましょう。

「ふくしまHACCP」って?

さて、このアプリは、福島県の自治体が、「ふくしまHACCP」を踏まえて開発したものです。
ではその「ふくしまHACCP」とは、そもそも何でしょうか。

「ふくしまHACCP」とは、福島県の「地域HACCP」である

前回、前々回と、「東京都食品衛生自主管理認証制度」のお話をさせていただきました。
(以下、「都認証」)

 

そこで、「都認証」とは何かを説明する際、「都認証とは、東京都の地域HACCPだ」という話をしたかと思います。
ではもう一度、その「地域HACCP」について解説しますね。

現在義務化が進んでいるHACCPですが、実はHACCP認証にはいくつか種類があります。
例えば業界団体だったり、民営企業による審査機関だったりというなかで、地方自治体が認証しているものもあったりします。
これがいわゆる、「地域HACCP」というやつです。

先の「都認証」はつまり、東京都による「地域HACCP」であり、都の自治体が独自に定めた審査基準で認証を行っているのです。
そして「ふくしまHACCP」とは、それと同様に、福島県の自治体による「地域HACCP」です。

「ふくしまHACCP」の特徴とは

さて「地域HACCP」といっても実は全部一様なわけではなく、実は結構まちまちだったりします。
ですからそれぞれ、地域地域の特徴を帯びた、独特の規格となっています。

例えば「都認証」は、前々回に書いたように、大都市東京らしい性質を帯びています。
東京は地価が高く、大型の食品工場がほとんど存在しません。
またその一方で、大都会である東京には他の都道府県とは比にならないほどにおびただしい数の飲食店が存在します。
これらのことから「都認証」は、中小規模の工場や飲食店向けに、HACCPというよりはその基礎になる一般衛生管理に特化した認証となっているのが特徴です。

さて、ぼくは別に福島県に住んでいるわけでもないので、その実状はよく判りません。
ただし、公式ページの解説を見る限り、そのベースとなっているのは一般的なHACCPであるといっていいのではないでしょうか。
(というか「都認証」が特殊なのであり、他の一般的な地域HACCPと同様だと捉えていいかと思います)

ただし、そこはやっぱり地域がら。
例の原発事故を受けて、そこに「放射能物質」への対応が見られるのは、これは「ふくしまHACCP」ならではの特徴ですね。

食品衛生意識の高い福島県

そうした原発事故や放射能問題、風評被害問題などを背景にしていることもあって、福島県はかなり食品安全に意識の高い自治体なのだと思います。

また意識が高いだけでなく、その取り組みも熱心です。
それは「ふくしまHACCP」のホームページを見れば、なんとなく判るはず。

 

オリキャラ、「食品安全特別戦隊HACCPレンジャー」。
何それwwww

 

まあ、漫画の内容自体はかなりお役所感に満ちているんですけどね。
萌えとまでは言わないけれど、うーん、もうちょっとねえ…(笑)。

ちなみに福島県では、このアプリの公開日である2020年1月14日を、県内のHACCPのキックオフとして、アプリの説明からHACCPの講習会など、大々的にイベントを規格しているようです。
多くの自治体がモタついているなか、福島県は一歩先を行っている、そんな風に見えます。
福島県、始まってた!

「ふくしまHACCP」の公式アプリが開発された!

そんな福島県の自治体が、「ふくしまHACCP」をベースにして開発されたのが、この「ふくしまHACCP」公式アプリです。

 

ではこのアプリは何をするものでしょうか。
説明によれば、基本的な衛生管理計画の作成、それからそれらを行っての管理記録、そして管理者による確認が出来る、ということ。

要するに、いわゆる「HACCPに基づく衛生管理(基準A)」にしても、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(基準B)」にしても、それらに対応しうるスマホで使えるアプリを、地方自治体が開発し、無料公開した、ということです。
て凄いなっ、福島県!

 

実はこの手のHACCPにまつわるスマホアプリって当然ながら、既に他にも結構出ていたりします。
例えば、食品施設や機器関係の業者が作ったものですね。
食品業界ビッグウェーブを狙った、典型的なHACCPビジネスです。
ですが、これは作り手が行政、というのがポイント。
何せ、お役所がこれをやればいいですよ、とお墨付きを与えているわけです。

それともう一つ。
これ、なんと他地域の事業者も無料で(しばらくは)使える、ということです。

 

「福島県外の事業者については当面の間ご利用が可能ですが、予告なく利用ができなくなる可能性がございます。」
とありますが、まあしばらくは普通に使えるんじゃないかな。(笑)

確かに、「ふくしまHACCP」自体は、その認証はあくまで福島県内の事業者が対象です。
ですから、福島県以外の事業者は、その認証を取ることは出来ません。
ですが、「ふくしまHACCP」自体はオーソドックスなHACCPシステムです。
なので、このアプリを使って管理すれば、別に福島県の事業者じゃなくても、ベーシックなHACCPシステムを導入することが出来るはずです。

まあ、放射能云々ってのはあると思うのですが、そこは普通にスルーすればいいだけ。
これ、なかなか凄くないですか?

すでに公開されていてインストールが可能!

さてこのスマホアプリ、2020年1月14日公開、と報じられています。

ですが、これを書いている2020年1月12日。
へえ、と思ってiphoneのアプリ検索をしたのですが。

 

普通にDL出来るやん!

てなわけで、早速DLしてみましたよ。
ではこのアプリ、どのように使うのでしょうか。

その使い方を簡単にお伝えいたします。

実際にHACCPアプリを使ってみる

一般的なアプリと同様に、DLしてインストール。
立ち上げてみましょう。

 

まず最初に様々な基礎情報を入力していきます。
業種の中から、自身の業務に合わせて選んでいきます。

 

そんじゃ、焼き菓子工場の「高薙食品」、と…。

福島県管轄の保健所を入力させられます。
まあ、こんなんどこでもいいや。
よくわからないから、「いわき保健所」、と。

 

うーん、
ちょっと重いというか、反応が鈍いのはこれ、ぼくのiphoneだけでしょうか。

基本的な情報を入力し、IDを取得すると、HACCPレンジャーの管理画面になります。
さて、このアプリのユーザーは二つに分けられます。
それは計画し管理と確認を行う管理職の「管理者」と、現場でそれらを実行し、記録していく一般従事者である「記録者」です。

そう、このアプリは、一つのIDを「管理者」と「記録者」の複数で使い合うようになっています。
(勿論、小さな飲食店のように「管理者」と「記録者」が同じ場合もあるでしょうが)

 

まずは、「管理者」が、「衛生管理計画」を作成していきます。
そうです、マネジメントシステムの根幹、PDCAサイクルの「P」からですね。

 

この「食品衛生計画」は、3段階で構成されています。
ステップ1の「日常の管理」、ステップ2の「食品別の管理」、ステップ3の「放射性物質管理」。
福島県内の方以外は、ステップ3の「放射性物質管理」をスルー。(するかどうかは、ご自身の状況に合わせてください)

というわけで、ここで全ての業種に関する「日常の管理」と、業種ごとに定める「食品別の管理」を設定していくわけなのですが。
これはどういうことかといえば、HACCPの二層構造に対するそれぞれの設定です。
つまり、前者が一般衛生管理、後者がHACCPを示しており、それらに対する取り決めを定めていくわけです。

成る程、判りやすい!

 

だから「日常の管理」はこのような「一般的衛生管理プログラム」(PP)の項目があります。

 

これらの項目を一つずつ埋めていくことで、一般衛生管理のルールづくりが行われる、というわけですね。
印刷機能もついてますから、それらは文書として表示したりファイル保管することも出来る。

 

このようにね。
アプリに沿って選択していくだけで、自身の工場の基礎的な衛生管理のルールが一から全部構築出来るのは、結構便利かと思います。
またこれに対するポイントやアドバイス、何故それをやるのかの目的の解説があるのもいいですね。

 

さあ、一般衛生管理の「日常の管理」の入力が終わったら、今度はHACCPである「食品別の管理」です。
こちらも、入力は基本的に同じ。
このように、工程上の重要な危害に対する管理内容の設定が求められます。

さあ、「計画」を立てたら、あとは記録、確認、管理。
つまり「D」、「C」、「A」ですね。
これらを日々に行っていく。

 

このホーム画像から、日々現場でそれらを一般従事者である「記録者」が入力し、それを管理職である「管理者」が確認し、問題があれば是正する。

とまあ、こんな具合になっています。

まとめ:使ってみた感想

最初の入力と、記録を少しだけしてみただけなので、使ってみた、と言えるほどぼくは使いこんでませんが(笑)、基本的なHACCPへの対応はこれで出来るように思います。
取りあえず、HACCPって何をどうやるのかが判らない、という事業者には、まずこれを使ってみればざっくりと何をやればいいかがそれなりに見えてくる、そんなアプリかと思います。

まあ、いかにもお役所が作ったな、というような硬さはありますし(実際に作成したのは入札で取った地元業者なんでしょうけど)、もうちょっと細やかな設定が欲しい気がしないでもない。

でもそんなことより何よりも、一地方行政がHACCPシステム構築・運用のためのスマホアプリを開発し、このように一般に無料公開しているのが、素直に凄いとぼくは思います。
うーん、凄い時代になってきたなあ。

 

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