先日10月18日は、「冷凍食品の日」でした。
というわけで、今回は実は結構ややこしいこの「冷凍食品」について、初心者でもわかるように解説をしていきます。
今回は3回目、「冷凍食品」と、そうではない「そうざい半製品」についてのお話をしていきます。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • スーパーには「そうざい半製品」という、「冷凍食品」ではない凍結した製品が売られている
  • その「そうざい半製品」の表記には、「そうざい半製品」と書かれていないものも多い
  • 「そうざい半製品」とは、消費者が加熱調理をほどこすことで惣菜として完成する、「惣菜の半完成品」のこと
  • 冷凍されている「そうざい半製品」の場合、どこまでが「冷凍食品」なのかの区分は結構曖昧
  • 「そうざい半製品」の規定には「弁当及びそうざいの衛生規範」、「各自治体の定める基準」などがあるが、前者は法的強制力のない「規範」であり、後者は自治体単位の基準でしかない
  • 「冷凍食品」と「そうざい半製品」の最大の違い、それは法的な規格基準があるかどうか
  • 2016年に発生した「冷凍メンチカツ」でのO-157食中毒は、「そうざい半製品」だった。
  • 但しこの場合、法令違反対象とはならない。「そうざい半製品」には法令規格がないから
  • 「そうざい半製品」が「冷凍食品」に品質や美味しさで劣ることは全くない

 

 

10月18日「冷凍食品の日」、てことで冷凍食品を考える

初心者でもよく判る「冷凍食品」の謎。
ちょっと込み入っていて複雑な「冷凍食品」について、今回は3回目ということで、これまでの基礎を踏まえながら、「冷凍食品」には含まれない「そうざい半製品」についてのお話をしていきます。

尚、こちらは三部構成の「後編」になります。
まだ基礎からのお話である「前編」と、それに続く「中編」を読んでない方はそちらからどうぞ。
意外とこのややこしい「冷凍食品」に対し、ここまでまとめているところってウチ以外には少ないですよ。
(自画自賛/笑)

 

スーパーの冷凍ケース内にある「冷凍食品」ではないもの

さて。
前回、スーパーやコンビニの冷凍ショーケース内で凍結状態で売られているものの中でも、「冷凍食品」ではない存在のことについてお話しました。
その中でも、「そうざい半製品」というものがあるよ、とお話しましたね。

 

んじゃ、「そうざい半製品」ってなんだろう。
話を始める前に、実際に見てもらったほうが早いかもしれないですね。

 

こないだ買った、スーパーの冷凍食品コーナーに置かれていた二つの食品が、こちらです。

いいですか?
同じ冷凍ケースに入っていた、同じ白身魚と野菜を使った製品。
調理法も、ほとんど変わりません。
ともに、フライパンで7分炒めるだけ。

ですが、まず左側「白身魚と野菜の黒酢あん」。

 

実はこっちには「冷凍食品」の表記がある。

 

ほら、「名称」の上に「冷凍食品」という表記があります。
これは「冷凍食品」。
前回お話したように、「冷凍食品」にはその表記が法的に必要だからです。

しかし右の「白身魚のバジルソテー」はどうでしょうか。

ここでちょっと前回の「食品衛生法」上の区分を、もう一度見てみましょう。

 

下の緑の括りを見てください。
食べる前に加熱調理が必要な冷凍食品である「加熱後摂取食品」ってのがありますよね。
この製品も、フライパンで熱しないと食べられません。だからここなのかな?ってまず思いますよね。

で、そこから更に二つに分けられる。
製造工程上、凍結する前に加熱をしていない「凍結前未加熱」ってのがある。
つまり製造工程上、凍結する前に加熱していない。
この製品はほとんど加熱されていないので、ここかなってやっぱり思いますよね。
そう思って裏をめくります。

 

あ、あれ!?
「冷凍食品」の表示はおろか、何もない!?
じゃあこれは一体なんでしょうか。

そう実はこれが「そうざい半製品」です。

なんやそれ。
どういうこと?
意味が全くわからないよ冷凍食品ーっ!

「そうざい半製品」とは

このような「そうざい半製品」とは、どんなものでしょうか。

一言でいうなら、「そうざい半製品」とは、消費者が加熱調理をほどこすことで惣菜として完成する、その言葉のまんまな「惣菜の半完成品」のことです。

 

この「白身魚」も、ぼくが冷凍庫から出して揚げることで、やっと料理として食べられる「そうざい」に完成するわけです。
「そうざい半製品」には、このほかにも衣をつけたトンカツやエビフライ、冷凍グラタン、生のハンバーグや餃子などが入ります。

勿論、「そうざい半製品」はその全てが冷凍というわけではありません。冷蔵されているものも少なくありません。

ですが、冷凍されているものの場合、どこまでが「冷凍食品」なのかは、結構曖昧なのが実状です。

ええー、さらに訳が判らなくなってきたよ冷凍食品ーっ!

「総菜」の規格はどうなっているのか

とどのつまり「そうざい半製品」ってのは、要するに「惣菜」の一種です。
ですが、これが「そうざい半製品だ」というような規格があるものでも実はありません。

そもそも惣菜自体の定義や規格が曖昧なので、こっちは更に曖昧です。
ですから、「冷凍食品」などと違って、「食品衛生法」には「惣菜」の具体的な規格基準はありません。
よって「そうざい半製品」の規格基準も同様に、食品衛生法の対象外です。

それでも探すとすれば、一応次のようなものが適用対象となります。

 

「そうざい半製品」の基準
  • 弁当及びそうざいの衛生規範
  • 各自治体の定める基準

 

うーん、この二つくらいでしょうか。
ちなみに後者は、どこの自治体でもあるわけではありません。というか無い方が圧倒的に多いです。

では前者、「弁当及びそうざいの衛生規範」はどうでしょうか。

「弁当及びそうざいの衛生規範」による「そうざい半製品」の基準とは

第161号厚生労働省環境衛生局食品衛生課長通知、いわゆる「弁当及びそうざいの衛生規範」。
これが総菜の基準に触れています。

以下、引用してみます。

製品のうち、サラダ、生野菜等の未加熱処理のものは、検体1gにつき細菌数(生菌数)が100万以下であること

3 製品
(1) 製品は、次の①及び②に適合するものを使用及び製造するようにすることが望ましい。

① 製品のうち、卵焼、フライ等の加熱処理したものは、次の事項に適合すること。
ア 細菌数(生菌数)は、検体1gにつき10万以下であること。
イ 冷凍食品の規格基準で定められたE.Coliの試験法により、大腸菌は陰性であること。
ウ 黄色ブドウ球菌は、陰性であること。

② 製品のうち、サラダ、生野菜等の未加熱処理のものは、検体1gにつき細菌数(生菌数)が100万以下であること。

おお、一見、結構踏み込んで規定しているように見えますよね。

しかし、ここにも問題があります。

まず一つめ。
この「衛生規範」ってのは、あくまで「規範」です。
何せ、これは本来「厚生労働省環境衛生局食品衛生課長通知」、つまり厚生労働省の環境衛生局が保健所に出した「通知」であり、その本来の目的は、そのように現場指導しなさいねという、要は保健所への指導通知です。
ですから法的強制力をもって製品を規定するようなものではありません。

それからもう一つ。
確かに「卵焼、フライ等の加熱処理したもの」については、大腸菌の陰性を規定しています。①のイがそうですね。
では、生のもの、例えば「衣を付けただけのメンチカツを凍結させたもの」のような「そうざい半製品」についてはどうか。

そう、未加熱のそうざいに関しては、大腸菌が陽性でも問題がないことになっています。

確かに②には未加熱そうざいについての規定があります。
「サラダ、生野菜等の未加熱処理のものは、検体1gにつき細菌数(生菌数)が100万以下」ってやつですね。
でもこれは「サラダ」や「生野菜」についての話であって、「メンチカツ」のようなものを想定していません。
その場合、買った消費者の加熱がしっかりなされないと、食中毒になりかねません。

 

「冷凍食品」と「そうざい半製品」の違いは「規格基準があるかないか」

「冷凍食品」と「そうざい半製品」の最大の違い、
それは法的な規格基準があるかどうか、です。

「冷凍食品」については、前回も触れた通り「食品衛生法」における明確な規格基準が存在します。

 

とまあ、このように菌数も定められており、これを越えたものは市場に出せません。
先にメンチカツの話を挙げましたが、こちらでは未加熱でも「E.Coli」(大腸菌)は陰性が基準です。

また「JAS法」によって、はっきりと「冷凍食品」と表示され、保存方法も農林水産省の定める「-18℃以下」が表示されているのです。

しかし一方、「そうざい半製品」には厚生労働省の定める規格基準がありません。
ですから、「そうざい半製品」には表示規定がありません。
「冷凍食品」ではないので勿論そう書かれているわけがないのですが、かといって「そうざい半製品」とも書かれていないことも多い。
こちらも、このように商品名だけしか書かれていません。

 

だって、そういう表示上の決まりがないのだから、書く必要がないのです。

勿論、工程上からの双方の一番大きな違いは、「生に近いものか、いくらかの加工がされているのか」です。

例えば、先の「冷凍食品」のほうの「白身魚と野菜の黒酢あん」を開封し、見てみると、白身魚がフライ状になっていました。

 

一方、「そうざい半製品」のほうの「白身魚のバジルソテー」はといえば、味付けはされていますが完全に生の状態です。

 

この違いこそが、実は「冷凍食品」か「そうざい半製品」かを分ける大きなポイントです。
でもそれだって曖昧といえば、曖昧でしょう。
わからないっすよね、普通ぱっと見で。

その結果、ぶっちゃけ、「冷凍食品」の規格基準に満たないものが「そうざい半製品」として市場に出ているケースもあるようです。
勿論、全部が全部そういうものばかりだ、というわけではないことは強調しておきますが。

そんなわけで、ひとまず地方自治体レベルでこれら「そうざい半製品」について指導基準を設けているところもあるのですが、それでも国が動かないことにはどうにもならんというのが、実はこの「そうざい半製品」だったりします。

ええー、それでいいの冷凍食品ーっ!?

2016年に発生した「そうざい半製品」でのO-157食中毒

まあ、当然ながら良い訳がありません。

覚えている人もいるかもしれません、およそ3年前。
2016年の10月に、「冷凍メンチカツ」で、広域に渡っての腸管出血性大腸菌O157食中毒が発生しました。

結果、1都5県に渡って、患者数67名が発症。
普通は、「冷凍食品」の規格基準である「E.Coli」陰性を逸脱していますから、法令違反となります。

さあ、もうお判りですね。
ところがこの冷凍メンチカツ、「そうざい半製品」だったのです。
だから法令規定自体が存在しなかった。

もう一度言います。
そうざい半製品」の規定には「弁当及びそうざいの衛生規範」、「各自治体の定める基準」などがあります。
ですが、前者は法的強制力のないただの「規範」でしかなく、また後者は自治体単位の基準でしかない弱いものです。
そして「弁当及びそうざいの衛生規範」には、未加熱そうざいに対する大腸菌の規定はありません。

「そうざい半製品」に対する注目が俄然高まったのもこの時でした。
皮肉なことに10月、「冷凍食品月間」に、奇しくも「冷凍食品」の問題が浮上、注目されたわけです。

普通は、こんな食中毒を起こしたら製造メーカーの責任ガー!となるところでしょう。
ですが、これを焼いたのは消費者です。
製品にはしっかり加熱条件や保存条件が書かれていた。
それをやっていないのは、消費者の問題でしょ、ということになる。

これにはさすがに行政もケツを叩かれました。
今後、HACCPの義務化とともに、このあたりも改訂の対象へとして、「冷凍食品」への統合が進んでいくのかもしれません。

まとめ:実は高品質で美味しい「そうざい半製品」

今回は冷凍された食品のなかでも、「冷凍食品」との区分の曖昧な「そうざい半製品」について解説しました。

そして。
最後に誤解されては困るので、断っておきます。

このように、確かに「そうざい半製品」の規定は曖昧です。
ですが、だから製品として劣悪だ、衛生管理レベルが低い、食べるな、食中毒になるぞ、という話では断じて!全く!ありません。
いいですか?そんなことをぼくは一言も書いてないですからね!
ただ基準がないよ、という行政上の話をしているだけですよ。
ここ、本当に強調しておきます。

実際、各メーカーは努力して、「冷凍食品」並みの製造管理に基づいて製造していることでしょう。
自社規定では「冷凍食品」規定並み、あるいはそれ以上の品質を目標にしているところが、まあほとんどだと思います。

それともう一つ。
ぼくは「そうざい半製品」は「冷凍食品」以下だとも、微塵も思ってませんし、書いてもいません。
むしろぶっちゃけ、「冷凍食品」より「そうざい半製品」のが美味しいことはめっちゃ多いです。

だって、既に作られたものを冷凍するより、生のを作りたてで食べるほうが美味いに決まってます。
(とこうやって書くと、今度は「じゃあ冷凍食品が不味いってのか!?」ってな声が上がりそうなのが面倒臭いなあ/苦笑)

結論。
「そうざい半製品」は、美味しい。

これ本当です。
ただし、しっかり加熱しましょうね、ってだけの話です。

え、本当に本当かって?
よーし、じゃあスーパーで実際に「そうざい半製品」選んで買ってきて、実食してやんよ!?

(次回実食編に続く!?)

 

今日のお話の概要
  • スーパーには「そうざい半製品」という、「冷凍食品」ではない凍結した製品が売られている
  • その「そうざい半製品」の表記には、「そうざい半製品」と書かれていないものも多い
  • 「そうざい半製品」とは、消費者が加熱調理をほどこすことで惣菜として完成する、「惣菜の半完成品」のこと
  • 冷凍されている「そうざい半製品」の場合、どこまでが「冷凍食品」なのかの区分は結構曖昧
  • 「そうざい半製品」の規定には「弁当及びそうざいの衛生規範」、「各自治体の定める基準」などがあるが、前者は法的強制力のない「規範」であり、後者は自治体単位の基準でしかない
  • 「冷凍食品」と「そうざい半製品」の最大の違い、それは法的な規格基準があるかどうか
  • 2016年に発生した「冷凍メンチカツ」でのO-157食中毒は、「そうざい半製品」だった。
  • 但しこの場合、法令違反対象とはならない。「そうざい半製品」には法令規格がないから
  • 「そうざい半製品」が「冷凍食品」に品質や美味しさで劣ることは全くない

 

 

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