衛生管理・異物混入対策のプロフェッショナルが、大手一流食品メーカーに異物クレームをつけたらどうなるか!?
先のブログ記事、「【ほこ×たて】異物混入対策のプロが大手飲料企業に異物クレームをつけたらこうなった!」の顛末について今回はご報告&分析していこうかと思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

 

今日のお話の概要
  • 金属異物クレームを出したメーカーから、謝罪の手紙とQUOカードが送られてきた
  • QUOカードの金額は500円だった
  • クレームにおいて、「対策」と「対応」は違う。
  • 製品の「安全安心」において、「安全」、つまり「事象」に対する「(再び)起こさない」ためのリスクマネジメントが「対策」である
  • 製品の「安全安心」において、「安心」、つまり「心」に対する「広げない」ためのに対するリスクマネジメントが「対応」である
  • 「対応」においては、「顧客満足度」がそのカギになる。
  • その点、ぼくは十分に満足しているので、この件においての「対応」としては成功している
  • だが「安心」には限りもパターンもないので、キリがなくなりがち。
  • この後、製造工場や取引先で分析がかけられるので、報告書待ちの状況である

 

 

大手メーカーの後手が!

今週は連休明けで色々と忙しく、更新がなかなかおぼつかない状態でした。
申し訳ありません。

さて。
そんな中、ありましたよ!
先手、衛生管理屋に対する大手飲料メーカーの後手が。
なんと分析報告の前に、謝罪の手紙とQUOカードが送られてきたのです。

 

QUOカードの金額は、500円。
缶チューハイを買って、数百円ちょい余る。
この余り分が謝罪の分。
大手メーカーが、この手のすみませんで出す金額が、これ。
ま、相場なんてぼかあ知りませんが、こんなもんでしょう。

しかも実はこのQUOカード、前にも書いた通り、電話口で一旦頂くのを断ったもの。
「そういうつもりじゃないから、いらない」
そうはっきりとクレーム担当には伝えたのですが、いえいえ申し訳なかったので受け取ってくださいとかなり食い下がられ、つい承諾してしまいました。

そして謝罪の文章。
雛型のコピペなのでしょうが、ことの詳細が書かれています。

 

おっと、そうですね、説明が遅れました。
これだけを読んだだけでは、何のことか判りませんよね。
いや、実はぼく、今月の初頭に缶チューハイを飲んでいたら、金属異物の混入事故に出くわしたのです。
こう見えても20年以上、食品衛生管理と異物混入対策の最前線に関わってきたプロ中のプロ、にですよ?(笑)

 

細かな顛末は上をまず一度読んで頂きたいのですが、簡単にまとめるとこれまでのところ、こんな感じです。

 

これまでの主な流れ
  • 異物対策のプロの家で、缶チューハイ内への金属片の混入事故が発生した。
  • 異物混入への対応①健康被害の有無。今回はなし。
  • 異物混入への対応②まずは状況把握。自分由来の可能性は限りなく低い。明らかに製造工程上と推測される
  • 異物混入への対応③異物をルーペや顕微鏡でよく観察する。明かに金属片。
  • ただし缶チューハイの製造工程上、金属異物の混入はほとんど発生しない。これを考えると、メーカー側が消費者(ぼく)由来の混入だと思われる可能性は否定できない。
  • 異物混入への対応④メーカー連絡の前準備をすます。各種情報を揃える
  • 異物混入への対応⑤メーカーに電話し、クレーム担当に事情報告。上記のことを伝える。案の定、大きく警戒される。
  • 異物混入への対応⑥X線分析試験結果と、混入要因、それに対しての対応策を教えて欲しいと伝える

 

 

とまあ、大きくこんな流れです。
さて、それでは大手メーカーの後手について、分析していきましょう。

謝罪文について

さて、QUOカードに同封されていたお手紙には、つらつらと謝罪分が綴られていました。

 

拝啓

日頃より弊社商品にご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。

このたびは、弊社商品「○○○○(商品名)」につきまして、ご連絡を頂戴し、ありがとうございました。

××(ぼくの名前)様には、大変ご不快な思いをおかけいたしました上に、ご送付のお手を煩わせ、誠に申し訳ございませんでした。

お預かりいたしました商品は、早速、担当部署にてお調べいたします。
結果をご報告するまでに2週間ほどお時間をいただきますこと、何卒ご理解ください。

なお、お品代とご迷惑をおかけしましたお詫びといたしまして、クオカードを同封させていただきました。
些少ではございますが、お納めください。

今後ともお客様にご安心いただけるよう、品質管理には万全を期してまいります。

××(ぼくの名前)様におかれましては、変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

まあ、具体的な商品名とぼくの名前以外は、典型的なコピペ文です。

いろいろとご迷惑かけてすみません云々と書いています。
「クオカードは不快な思いをさせたお詫びです」ということでクオカードが入っていた。
てことはクオカード渡さないとこの文章が成立しないのかもしれないので、「面倒臭いのやだからQUOカード受け取ってくれ」とクレーム窓口も食い下がったのかもですね(笑)。

まあ、そんな細かいことや謝罪文なんてどうでもいいんです、実は。
プロが見るのは、そこじゃない。

ではこれらの企業の返答に対し、異物混入対策のプロはどのように考えるのでしょうか。

メーカーの「後手」を分析する ~その目的は?

まず、この手紙とQUOカードの目的は何でしょうか。

弁償。
謝罪の意を表す。
誠意を示す。
等々、出てくるかもしれませんね。
では、それらは全て何のためでしょう。

 

結論から言えば、こういうことです。
これは、製品、食品の「安全安心」における、「安心」を目的とした企業のリスクマネジメントの一手です。
だから、「心」に向けられている。

ああ、金属片ですか。
じゃあんたのところで入ったかもしれませんね、とは書いていない。
ウチじゃ可能性薄いっすよ、なんてここでは書きません。

何故ならこれは、「心」向けのリスクマネジメントだからです。
まずは事を大きくしないために、「心」に訴えかけています。
これらの企業行動をプロは、クレームに対しての「対応」と、敢えて呼びます。

そう、メーカーにおいて、クレームへの「対応」と「対策」は別物なのです。
ぼくらに対して企業が行う行動は、クレームへの「対応」なのです。

クレームへの「対応」と「対策」は何が違うのか

このような一流の大手メーカーでは、或いはぼくらのようなプロの異物混入対策屋がコンサルをする場合。
こうした異物混入などの「クレーム」に対して、そのリスクマネジメントの行動を「対応」「対策」とで分けて考えましょう、とまず最初に伝えます。

ではそれらはどう違うのでしょうか。

結果から言えば、「対応」とはお客さんや社会、メディアになど、主に対外的なクレーム処理業務や企業としての振る舞いのことです。
一方「対策」とは、再発防止を含めた要因究明から是正措置までの、主に自社内における一連の改善活動、取り組みのこと。

これをある程度区分けして、リスクマネジメントすることが実は重要なのです。

なぜこのようにして区分けした考え方をするのか。
それは、これらは(もちろん重なる部分もあるのですが)、若干ながらその最終目的が異なるからです。

結論から言えば、「対応」とは製品の「安心」における、また「対策」とは製品の「安全」におけるリスクマネジメントです。

 

食の「安全安心」など、しばしば一体として言われるこれらの言葉ですが、これ。
よく考えてみると、「安全」と「安心」は本来微妙に違うものです。

 

「安全」と「安心」の関係性
  • 「安全」とは:客観的に危険が小さいこと
  • 「安心」とは:主観的に危険が小さいと感じること

 

 

やや抽象的ではありますが、ちょっと考えてみれば判るかと思います。
「安全」とは、客観的な危険性の少ない状況、事象、そのもののことです。
一方で、「安心」とは、それを主観的に見て「そう思うかどうか」という、主観、実感、体感のことです。

だから、「安全」であったとしても、人間の心である「安心」を満たせるかどうかはわかりませんし、また「安心」しているものが実は本当に「安全」かといえばそうではない可能性だってあるでしょう。

もちろん、「安心」とは本来的に「安全」という「状況」、「現象」に基づくものです。
ですが「安心」は「心」ですから、「現象」とイコールにはならないこともある。
よくある話だから判るでしょう。

そして、企業クレームにこれを落とし込むとどうなるか。
彼らはその「安全」と「安心」への双方へのリスクマネジメントを行わなければなりません。

言い換えるなら、企業は製品の「安心」に対し、形のない「心」への「対応」と、形のある「現象」への「対策」というリスクマネジメントをともにしている、ということになります。

 

クレームへの「対応」とは
  • 最終目的は、製品の安全安心における「安心」
  • 主観性、「心」(「ヒト」)に向けたリスクマネジメント
  • 問題を「広げない」ための、「事後」に向けた取り組み
  • 顧客や社会、メディアなどの主に「対外的」な、「他」に向けた企業行動
  • 主に顧客への謝罪や情報公開、メディア対応、行政報告など

 

クレームへの「対策」とは
  • 最終目的は、製品の安全安心における「安全」
  • 客観性、「現象」(「コト」)に向けたリスクマネジメント
  • 問題を「(再び)起こさない」ための、「事前」に向けた取り組み
  • 製造現場や管理面など、主に「対内的」な、「私」に向けた企業行動
  • 主に原因究明調査や、再発防止のための改善活動、社内規定の見直しなど

 

さあ、これらを踏まえて、もう一度先の「対応」と「対策」の違いを改めて見てみてください。

クレームへの「対応」としての評価

では、話をまた戻します。

この場合の「クレーム対応」をどうとらえるか。
「安心」という「心」、「ヒト」に対する「広げない」ためのリスクマネジメントはできているでしょうか。

この場合、カギになってくるのは「顧客満足度」です。

以前、「グッドマンの法則」についてお話をしましたね。
すげー乱暴に産業(三行)で言うなら、

「企業はクレームをしっかり対応しろ
その客は必ず
またその会社に戻ってくる」(超訳)

です。

 

さてこの「グッドマンの法則」の通り、クレームを訴えた「顧客」がまた企業に戻ってくるのは、そこに「顧客満足度」があることが必須です。
「顧客」は企業の「心」への「対応」に「満足」したのか。
顧客の「心」が「満足」すれば、それは果たされている。

 

さて。
今回の場合は、ぼくの「心」ですよね。

ぼかあ、こういう職業なので、正直この程度で何とも思いません。
せいぜい「ネタが出来たな」程度しか考えてないので、このメーカーさんの缶チューハイはまた買います。
てか、実は昨日も飲んでました。(笑)

その点で、十分「顧客満足度」は満たされています。
その意味において、もうこの「対応」で企業の目的は果たされています。

ただしぼく以外だったらどうだろう。

クレームの「対応」は「心」、「ヒト」次第。
てことは、「これ」という基準がありません。
しかもこういうSNS全盛、誰しもが好き勝手に言える時代。

こうなると、全ての形なき&制限なき「安心」を満たす「対応」なんて、はっきり言ってありません。
存在しようがないし、定義しようがない
だからキリがない。線引きがない。やりようがない。
そこに悩んでいるのが、この業界です。

「安心」という曖昧さ

「安全」は判る、だが「安心」なんて判りようがない。
全くその通りです。
ですが、「だから、んなものはいんだよ」と表だって言えないのがこの業界。

そのせいか、この「安心」に対するクレームへの「対応」についての講習会が、実はここ10年くらい増えてます。

対象は、食品メーカーさん。
講師を務めるのは、例えば、やれネットの炎上分析屋、やれクレーム処理経験者、やれメディアの分析屋、あるいはメディアで実際にクレーム研究をしている人…。
そこら辺の食品の素人ではあるが自称「対応」のプロの人々が、したり顔で「対応」について語っていたりする。
この手の「クレーム対応」テーマな講習会が、ここ近年随分と増えている。

無論、ぼく自身もこの手の講習会には何度か出ています。
ですが、ぼくは「対策」の、つまりは異物混入対策、衛生管理のプロなので、「対応」、つまりはアフターケアのプロではありません。

素人が浅知恵でものを語ることほど無駄なことがないのは、衛生管理のプロとしてよく判っている。
なので、ここでぼくは敢えて「対応」には深く踏み込みません。
ぼくは、「対応」屋ではなく、あくまで「対策」屋なので。

なので、ここら辺の「飛び火しない対応の仕方」みたいな話は、すみません、他を当たるようにしてください。
モチはモチ屋、ウチの専門とは外れます。

今後の展開予測

てなわけで、ウチの専門の話をしましょう。

さて、先程の謝罪文を読むと、こうあります。
ちょっとポイントを太字にしますね。

お預かりいたしました商品は、早速、担当部署にてお調べいたします。
結果をご報告するまでに2週間ほどお時間をいただきますこと、何卒ご理解ください。

 

多くのメーカーで違いはあるかもしれませんが、一例を。

この場合、「担当部署」とは、この会社の「品質管理」部門です。
つまり本部の品管さんが、これを作っている取引先か工場に連絡します。
そこが異物を受け取って、お付き合いのある検査機関に検査依頼をします。

検査屋は、まずX線分析をかけて、この金属が何だか調べます。
電導性検査でこりゃ金属だねとすぐ判るのですが(で、これでアタリを付けるのですが)、スペクトル検査で、どんな金属が調べます。
こんなん、検査屋に依頼かけて検体を送付して2、3日もあれば結果が出ます。

なので「2週間」てのは懸かりすぎです。
その後、どうするかというと、要因分析です。
尤もこんな健康被害も出ていない異物クレームの要因分析調査なんてのは、数分でしょうね。
で、それらしい話を製造工場の品管さんが作る。その手間、10分~1時間。
それを本社や取引先に提出し、それでオーケーが出れば、ぼくのところに届く。
概ねそんなもんでしょうな。

ま、今のところ結果も何も出てないのですから、まずはそれを待つとしましょう。

飲料の異物混入について

実際、飲料の異物混入は少ないです。
ぼくの場合なんて、恐らくはレアケースです。

…と言いながら、こうやって存外あったりもするからバカにできない。
(いやバカにはしてないす笑)

例えば、これ。
つい先日、起こった異物混入事故です。

 

フルーツジュースの中に、「製造機器部品の一部である黒いセラミックの破片」が混入。
7万本近いロット回収、リコール案件です。

ここで注目すべきは、「製造機器部品の一部」という混入要因でしょう。
製造機器が劣化破損して、それがつい何かの拍子に混入した。
しかもストレーナーでろ過出来なかった。
そう、硬質異物の混入って、こういう設備や施設以来のことが多いのです。

今回のぼくの混入異物も恐らくはそんなものではないかと思います。
思います、てだけで、これは推測の域を出ないもの。
事実は、メーカーの返答にこそあります。
尤も、「わからない」という返答の可能性も多分に、というかそちらのほうが高いくらいにあるのですが。

さあ、何にせよ、後手に対しての返し手は、今回のこの記事です。
次の最終局番なるかな、今後の向こうの対応を待つとしましょう。

 

今日のお話の概要
  • 金属異物クレームを出したメーカーから、謝罪の手紙とQUOカードが送られてきた
  • QUOカードの金額は500円だった
  • クレームにおいて、「対策」と「対応」は違う。
  • 製品の「安全安心」において、「安全」、つまり「事象」に対する「(再び)起こさない」ためのリスクマネジメントが「対策」である
  • 製品の「安全安心」において、「安心」、つまり「心」に対する「広げない」ためのに対するリスクマネジメントが「対応」である
  • 「対応」においては、「顧客満足度」がそのカギになる。
  • その点、ぼくは十分に満足しているので、この件においての「対応」としては成功している
  • だが「安心」には限りもパターンもないので、キリがなくなりがち。
  • この後、製造工場や取引先で分析がかけられるので、報告書待ちの状況である

 

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