最新の食品業界ニュースから気になった話題を定期的にピックアップし、食品衛生管理のプロの目線からコメントさせていただきます。
今回の話題は、沖縄での公立認定こども園での給食に立て続いている異物混入についてお話します。

本日の時事食品ニュース

 


琉球新報

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

今日のお話の概要
  • 沖縄のこども園で、給食への異物混入が連続して問題化している
  • 異物混入は同じ民間企業に委託した給食センターで発生している
  • 給食の予算はかなり厳しい場合が多く、請負先がそれほど多いわけではない
  • 給食の異物対策は、各自治体の教育委員会ごとにマニュアルが作られている場合が多い
  • その異物対策マニュアルに、「危険異物」と「非危険異物」の区分けが書かれており、教員や職員はそれに従って異物混入発生時の対応を行う
  • マニュアルでの情報開示は各教育委員会ごとにまちまちである

 

沖縄のこども園の給食で異物混入事故が連続発生中

沖縄での公立認定こども園で、給食への異物混入が立て続いている、というニュースがあがっています。

Yahoo!ニュース
給食に塗料片や小バエ… 那覇市のこども園「あまりに多すぎる」 10園で34件の異物...
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190903-00465849-okinawat-oki
那覇市の公立認定こども園17園中10園で、園児や保育士に提供される給食への異物混入が - Yahoo!ニュース(沖縄タイムス)

 


QABニュース

那覇市の公立認定こども園17園中10園で、園児や保育士に提供される給食への異物混入が相次いでいることが2日分かった。

2018年4月から今年7月末までに、市が園側の報告を受けて確認した異物混入は34件で、このうち塗料片など市が健康被害の恐れが高いと判断した「危険物」は4件。
全て同じ民間業者が提供した給食だった。

市は園児が実際に口に入れた2件を除き、保護者への説明や公表はしていなかった。

 

ではこれについて、プロの衛生管理屋として少しばかり考えてみたいと思います。

請負先が少ない給食事情

今回の話は、どうも民間企業に委託された給食センターで起こっている、とのことです。

んじゃどうやってこの委託先が決まるのか。
公立の場合、業者の入札で決まります。
つまり請け負いたい業者が挙手し、このくらいの予算でというのを入札します。

「学校やこども園というまとまった数量の食事を1年間、定期的に売上げられるんだ。さぞかしぼろい商売なんだろう」

とんでもない。
そのぶん、ムチャクチャ値段叩かれます。
それに、その数量以上は売上げが出ません。
はっきり言って、この手の給食はめちゃくちゃ薄利多売でうま味が少ない、ってのが定石。
だから、やりたい業者はそれほどいないのが給食の世界です。
少なくとも、そうぼくは聞いています。

 

勿論、今回のケースの実状をよく知らないので、あくまでこれらは一般論です。
もしかしたら、案外そうでもなく、ホクホクうま味じゅるじゅるなのかもしれない。
ま、その事実はさておき、更にぼくが知っている一般論を続けましょう。

しかも給食は時間が決まっている。
配送は製造後2時間、と決まってるんですね。
給食の衛生管理は、文部科学省の管轄。
そこから出ている「学校給食衛生管理基準」に書いてあるんですね。
(後でのお話にも出てきますが)

このように給食は限られた時間にカツカツで作って、そして配送する。
しかも薄利多売ですから、人手不足は日常茶飯事。
高まっている人件費だって、利益を逼迫させますからね。
最低限以上は雇いません。

そもそも民間企業です。税金使ってお給料出しているわけじゃない。
企業は、利益が出てなんぼ。利益がないなら、推して知るべし。
そうなると衛生管理なんて、彼等にとっては経費ですからね。
そんな経費はかけられない、そんな本音があるところも多いでしょう。
またそれを行う人的資材も、人手不足。時間もない。
衛生管理って、タダでもラクでもないんです。

ほんと、これは一般論です。
が、実際に意外とこういうことが給食の現場に、多い。
ていうか、それで数年前に神奈川大磯町の学校給食で問題になったわけです。


日テレNEWS24

今回のニュースでも、契約を破棄して他の業者に委託する、という話が出ているようですが、果たして「それじゃあ是非ウチに!」という企業があるのか。
ぶっちゃけ、ないからこうなっているわけです。
衛生管理を強化するから、給食の値段を上げさせてくれ、という話が出たっておかしくない。

混入異物の危険性の区別

それともう一つ。
これを読んで、恐らく「え?」となるのが、混入異物の「危険物」というもの。

このうち、健康に影響する恐れがあるポリスチレンや小バエなどの「危険物」は4件あった。
琉球新報より)

 

なんだろ「危険物」て、って思いませんか。
メディア側もよく判ってないから、よく判ってない報道しかしていません。

ていうかこれ、そもそも「危険異物」の間違いじゃないですか?(笑)
まあそのくらいの理解なのでしょう。

当然ながら学校は、文部科学省の管轄です。
だから学校給食の衛生管理も、文部科学省の管轄になります。
食品衛生の素人である文部科学省は、プロである厚生労働省の出した「大量調理施設衛生管理マニュアル」をパk…いや、参考にして、「学校給食衛生管理基準」を作りました。

さて、各自治体の教育委員会では、この「学校給食衛生管理基準」を元にしながら、各々の異物対策マニュアルを作っているところが多い。

とはいっても、何処も皆イチから作るわけはありません。
大概の大枠はちゃんとそれ用の雛型があって、少々自分たちでカスタマイズして自治体の名前を付けて、さあ給食の異物混入対策マニュアルを作成しました、なんて言っています。(笑)

んで、このマニュアルの雛型ってのがですね。
概ねが、まず最初に、やれ「異物とはこういうものである」みたいな定義で始まっていまして。
そして、それから次に、この「混入異物の区分」というのがある。
そこで、混入異物をその危険性に対し、「危険異物」かそうじゃない「非危険異物」に分けているんです。

 

どこいっても給食の異物混入対策マニュアルには、似たり寄ったりでこんな風な区分が書いてある。

「危険異物」か「非危険異物」に分ける理由は、衛生管理の素人である学校職員などでもマニュアル対応が出来るようにです。
「危険異物」だったらこういう風に対応しなさい、「非危険異物」ならこうしなさいって、その対応策がマニュアルなので書いてあるわけです。

実際、異物の危険性がどうかなんて、一般の人が判るわけがない。
だからコバエが「危険異物」だとか言いだす。
「いやこういう理由があるんです」とかあればいいんですけどね。
虫?んじゃ、よくわからないけれど、衛生害虫じゃね?とそんな感じでしょう。

そもそもこの業界では、コバエの混入を「危険物」とは普通扱いません。
コバエの混入は環境指標の重要性ではあっても、健康上の危険性ではほとんどないからです。

コバエが混入しているのは、防虫管理を怠っているから、厨房内で発生しているんです。
コバエが混入した場合、そのコバエの種を同定し(コバエと一言で言ってますが山ほど種類がありますし、各々生息条件が異なります)、場内の防虫管理、モニタリング結果(しているのかどうかは知りませんが)や清掃状況を確認するのが常識です。

尤もそんなこと、保健所も判っていません。
こんなんで業者の衛生改善指導なんて期待できるのかな。

情報開示の必要性について

で、別のニュースを見ると、職員や保護者から、情報公開はどうなってるんだと不満の声が出てる、とある。

市は現在、認定こども園での給食に異物が見つかった場合の対応について基準を設けておらず、園児が実際に口に入れた2件を除き、保護者への説明や公表はなかった。
園で働く職員や保護者からは市の情報開示の在り方について疑問の声が上がっている。
沖縄タイムスより)

 

あ、じゃあここではその、マニュアル自体がなかった、てことかな。
まあ、あったところで何という話じゃないからこういう状態になっているんでしょうけど(笑)。

教育委員会で作られるマニュアルには、大概、給食で異物混入が発生した場合、教育委員会および給食センターやその業者に混入状況を報告しろとあります。
で、給食センターはそれに対して、異物混入の調査や分析を行い、その報告を保護者に文書として配布しろ、ってのが多くの内容です。

それを現場で実際にやってるかどうかは別ですが。

ただしそれを市の行政、つまりは教育委員会がネットなどで情報公表したり、報道機関に伝える、みたいなことまで触れているか、あるいはその基準や手順などは各教育委員会ごとにまちまちだったりします。


琉球新報

まとめ

沖縄のこども園での給食への連続異物混入ニュースから、給食の実状や異物混入対応の状況などについて、今回はお話したしました。

でも他にも結構ポツポツ出ているんですよね、給食の異物混入って。
こないだはここで秋田市の給食の話をしたばかりですが。

 

また折を見て、お話していきたく思います。

今日のお話の概要
  • 沖縄のこども園で、給食への異物混入が連続して問題化している
  • 異物混入は同じ民間企業に委託した給食センターで発生している
  • 給食の予算はかなり厳しい場合が多く、請負先がそれほど多いわけではない
  • 給食の異物対策は、各自治体の教育委員会ごとにマニュアルが作られている場合が多い
  • その異物対策マニュアルに、「危険異物」と「非危険異物」の区分けが書かれており、教員や職員はそれに従って異物混入発生時の対応を行う
  • マニュアルでの情報開示は各教育委員会ごとにまちまちである

 

 

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