アイスクリームで時折報じられる回収事例。
なんでそんなにも、アイスクリームばかりが法違反品として検出されるのか。
今回は衛生管理のプロの立場から、そんなアイスクリームと菌についてお話したく思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことのできない真髄中の真髄、
プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教え致します。

 

今日のお話の概要
  • この夏の東京都の保健所の検査で、菌汚染がアイスクリームだけ検出された
  • 時々アイスクリームは、大腸菌群の陽性で法律違反のためのリコールが起きたりする
  • これらのアイスクリームの法違反の根拠は、食品衛生法第11条第2項である
  • アイスクリームは「乳及び乳製品」であり、成分から3つに区分される
  • アイスクリームの規格基準は、「大腸菌群」陰性と「一般生菌」10万以下である
  • 保健所では、この規格基準に則って収去検査している

 

法違反品のダントツがアイスクリーム!?

東京都から、この夏の「食品衛生一斉監視実施結果」の中間報告がなされました。
この夏の前半(6、7月)の結果概要の報告です。

 

で、その中でちょっと面白いのが、ここ。
太字に注目してみてください。

3 食品等の収去検査結果(表6、表7)

食品等 5,946 検体について、58,567 項目の検査を実施し、6 検体(7 項目)の違反を発見した(違反率 0.10%)。
違反品については、改善指導等の必要な措置を行った他、生産者を所管する自治体へ通報を行った。

(1) 細菌検査
成分規格、食中毒菌等の細菌検査を 33,002 項目実施した。
その結果、大腸菌群を検出した「アイスクリーム」等 5 検体(6 項目)が違反となった。

 

つまりこれは

「都内で製造された数多くの食品の6000品近くを保健所が調べたら、アイスクリームだけが突出して法違反品で検出された」

とまあ、ざっくり言えばこう書いてあるわけです。

ええ、そんなにアイスクリームってやばいの?
ええ、アイスクリーム食べたら食中毒にマジでなるの?
と一般の人ならそんな反応をしかねないですよね。

ちょっと待った、と言いたい。
何事にも、物事には理由があるもの。
これが一体どういう意味なのか、食品衛生のプロが答えましょう。

時々起こる、アイスクリームの回収事例

実際、時々ですが、アイスクリームの回収事例ってのがあります。
そのうち多いのが、「大腸菌群」が検出されたから回収、というもの。
以前の記事でもあげましたが、例えば嘗てはハーゲンダッツなんかでもありました。

 

最近でも、そんなことが起きています。

リコールプラス
【回収】にゅうにゅう工房 アイスクリーム一部 大腸菌群陽性(ID:37826) | リコール...
https://www.recall-plus.jp/info/37826
「アイスクリーム(抹茶)」で成分規格違反(大腸菌群陽性)が判明したことから、兵庫県はにゅうにゅう工房に対し回収を命じた。(R+編集部)

 

ほれみろ、やっぱりアイスクリームはヤバいんだ。
そう決めつける前に、知ることがあります。
「何故、回収まで至っているのか」ということです。
アイスクリームが法違反って、んじゃ、どんなことを破っているのか。
そこが実は重要です。

食品衛生法第11条とは

さて話を最初のデータに戻して、もう少し細かく見てみましょう。

 

 

成る程、
この表を見ると、上の通り、アイスクリームだけ5件、「大腸菌群」が検出されてしまっています。
「違反法」は、「食品衛生法」の「11条第2項」とある。
つまり、これを破っているからアイスクリーム5件は法違反品とされたわけです。

「食品衛生法」というのは、食品衛生管理における基本法です。
その「11条第2項」には、「お上が定めた食品の規格基準を外れたもの作っちゃいけないよ」、って書かれています。
要は、こういった規格外を取り締まるための法的根拠がこれです。

 

第11条:食品等の規格及び基準


厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。


前項の規定により基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、若しくは保存し、その基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販売し、若しくは輸入し、又はその規格に合わない食品若しくは添加物を製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、保存し、若しくは販売してはならない。

 

つまり、保健所はこの法律の定める基準に則って検査を行い、その結果、上のようなアイスクリーム5件が出た、というわけです。

アイスクリームの区分

さて、もう少し見てみると、一言アイスと言っても「アイスクリーム」と「ラウトアイス」とがあることが判ります。
これらは何が違うのか。

アイスは法律上、「乳及び乳製品」となります。
牛乳を主原料としているからです。

この「乳及び乳製品」には、それこそ牛乳からアイス、バター、チーズ、発酵乳、乳飲料などまでが入っています。

で、そうした乳製品、正確には「乳及び乳製品」を取り仕切る省令があります。
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」
俗に言う「乳等省令」。
「乳頭」ではありません。「乳等」です。(それいらない)

で、この「乳等省令」に、アイス、まあ正確には「アイスクリーム類」ですか。
その定義が書かれています。

乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって、乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く)をいう。

 

で、そこで更にアイスクリーム類を、「アイスクリーム」、「アイスミルク」、「ラクトアイス」と3つに分類しているのです。

 

「一般社団法人日本乳業協会」さんのところからご拝借。
とまあ、こんな区分です。

ちなみに、この3つ以外に、似たようなもので「氷菓」ってのもあります。
アイスキャンディーやシャーベット、かき氷などの類です。
これは乳成分を使用しない(正確には「乳固形分3.0%未満」)というのが基準。
似たような氷菓子だけど、乳を余り含んでいないので、アイスクリーム類じゃないよ、というわけです。

アイスクリームの規格基準って?

さてこの表をよく見ると、右欄のほうに、アイスの菌の基準が書かれているのがわかるでしょう。
「成分規格」の右の2項目。
これがアイスクリームの菌に対する基準です。

 

「大腸菌群」と「細菌数」。
この二つが書かれていますよね。

「大腸菌群」は、「陰性」。つまり、大腸菌群は検出されない、ということ。
(検出された場合は、「陽性」と言います)
「一般生菌」の細菌数は5万あるいは10万以下。
あ、この「一般生菌」ってのは、まあここでは乱暴に、あらゆる雑菌だと思っていいです。

つまり、この基準に適さないと作ったり売ったりしちゃいけないよ、ってのが、先に出ていた食品衛生法の第11条第2項だったわけです。

なお、こういう食品の基準を、「規格基準」と言います。
今回はアイスと菌についてお話していますが、当然ながら様々な食品の様々なことがらに対して「規格基準」が設けられています。

そして行政は、食品衛生法に則って、こうした「規格基準」をお上の名のもとで出すことを法律上許されています。
だって、ほら、もっかい食品衛生法の第11条を見てください。
2項ばかり話してきましたが、1項にあるじゃないですか。

 

第11条:食品等の規格及び基準


厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。


前項の規定により基準又は規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品若しくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、若しくは保存し、その基準に合わない方法による食品若しくは添加物を販売し、若しくは輸入し、又はその規格に合わない食品若しくは添加物を製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、保存し、若しくは販売してはならない。

 

ね、ほら。
そこで厚生労働省のお役所機関である保健所は、この法の名のもとに「規格基準」外の食品を取り締まっている、ということです。

保健所の収去検査

少しずつ見えてきましたか?

まず、アイスクリームには法律上の分類とそれに対する「規格基準」がある。
で、それに則っていないものが、保健所で検出されると、「食品衛生法第11条第2項」によってこのように晒される。

ここまでは、いいですか?

さて、保健所は様々な食品を市場から集めて検査しています。
これを「収去検査」と言います。
その基準や範囲、時期、その他諸々はその時次第です。

が、何も保健所だって、むやみやたらに「収去検査」を行うわけじゃない。
それなりの基準や定番がある。

んじゃ、「それなりの基準や定番」ってなんだ、となる。
お役所機関ですから、そりゃ公的な基準があるもののほうが検査結果を評価しやすい。
つまり、「規格基準」のあるものが、その対象にどうしたってなりやすい。
ついでに、その時期よく出回るもの、子供が食べるもの、影響力のあるものは、当然対象になりやすい。

おやおや、少しずつ見えてきませんか?

随分と長くなってきました。
前編はこのへんで。
後編ではより突っ込んで、アイスクリームと大腸菌群についてお話していきましょう。

 

今日のお話の概要
  • この夏の東京都の保健所の検査で、菌汚染がアイスクリームだけ検出された
  • 時々アイスクリームは、大腸菌群の陽性で法律違反のためのリコールが起きたりする
  • これらのアイスクリームの法違反の根拠は、食品衛生法第11条第2項である
  • アイスクリームは「乳及び乳製品」であり、成分から3つに区分される
  • アイスクリームの規格基準は、「大腸菌群」陰性と「一般生菌」10万以下である
  • 保健所では、この規格基準に則って収去検査している

 

 

■□貴方の工場・店舗で悩んではいませんか■□
・どうやって防虫管理・衛生管理をすればいいか判らない
・今やっている防虫管理・衛生管理が正しいか判らない
・何か問題が発生したときの対応が判らない
・取引先や保健所の査察が不安だ
・でも余りコストもかけられない
だったら貴方が防虫・衛生管理のプロになればいいのです!

高薙食品衛生コンサルティング事務所にようこそ
  • 私達は、どんな工場、お店の方でも防虫管理・衛生管理のプロレベルに育成することが出来ます。
  • 何故なら、防虫管理・衛生管理のプロとは、基礎知識に加えて「正しい管理の仕組み」を作れる能力を持つ者のことだからです。
    この「管理の仕組み作り」を知るこそが、防虫管理・衛生管理のプロへの道なのです
  • そんな防虫管理・衛生管理のプロを育成し広めることで、日本の「食の安全安心」を、さらにより広く、より高くさせることが私たちの使命だと信じています
  • どうですか?
    そんな防虫管理・衛生管理のプロにあなたもなって、本当の「食の安全安心」を私達と一緒に広げていきませんか?