衛生管理、異物混入対策のプロ中のプロが、異物混入に出くわした際の、正しいクレームの付け方をこっそりと伝授します。
第三回目は、いよいよ実践編。「飲食店でのゴキブリの異物混入」、二部構成のうちの前編です。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

いよいよ実践編

プロがこっそり教える、異物クレームの付け方。
今回は三回目。いよいよここから実践編。
まずは誰もが聞きたいであろう、「ゴキブリの異物混入」についてです。

なお、もしこれらの前提の基本である前回までを読んでおられなければ、そこを最初に読んでください。
これからの話は、それを踏まえてのものとなります。

 

 

飲食店で頼んだ料理にゴキブリが入っていた

実践編ということで、誰もが興味あるであろうこのことからいきましょうか。
「飲食店で頼んだ料理の中にゴキブリが入っていた」場合です。

まず、ゴキブリの混入した料理を食べてしまった方、
ご愁傷様です。

お気持ちは判らないでありません。
この商売の長いぼくのような身でも、そのショックはそう変わりません。

昔、大手衛生管理屋に働いていたときのこと。
皆で中華やさんにお昼を食べに行きました。
で、食べている途中、部下がいきなり、「!」って顔したんですね。

そして、すぐに顔をしかめて落胆しながら、一言。

「チャバ…。」

 

ちなみにこの「チャバ」というのは、「チャバネゴキブリ」の意味。
業界の略語、あるいは一般の人に判らないように伝える隠語です。
こう聞けば、この世界で生きる者なら、意味がすぐ伝わることでしょう。

さすがに騒ぎません。
こっちゃ毎日その相手をしているのですから。
何ならコイツ、さっき一時間前にやっつけてました、と。
あ、これから午後にも会いに行ってきますわ、位のものです。

静かに店員さんを呼んで、事情説明。
すぐに返品処理。
以上、それだけ。

それ以上騒ごうが、どうにもならんことを我々はよく知っているからです。

でも、その最初の初動、インパクト、落胆については、一般の人のそれとそれほど変わりません。
それを見た我々の戦慄も同様です。

「マジかよ」、
「どうすんだ、この目の前のラーメン…」
その気持ちもそう大きく変わりません。
専門的知識があるかないかの差くらいです。

はっきり言って、それなりに、凹みます。
プロでそうなので、皆さんはもっとそうかもしれないですね。

それらを判った上で、お話します。

混入していたゴキブリの種類と実状

ゴキブリの混入のインパクトは大きなものです。
ですが、まずゴキブリの種類を把握しましょう。

上でも触れましたが、飲食店で問題になるゴキブリは、そのほとんどが「チャバネゴキブリ」です。
よって大概の飲食店でのゴキブリの混入は、「チャバネゴキブリ」です。

「チャバネゴキブリ」については、以前に書いてある記事を参考にしてください。

 

さて、「チャバネゴキブリ」がどうして料理に混入したのか。
その理由は簡単。
店内にわんさか生息しているからです。

この「チャバネゴキブリ」は、一般で考えられている茶褐色や黒い、あのゴキブリとは違う種類のものです。
そう、こいつです。↓

 

詳細は上の過去記事に書いてありますが、この「チャバネゴキブリ」は、人間の生活空間でしか生きられません。
つまり外部自然環境では生きられないので、店の中で多量に繁殖します。

結果、常日頃あちこちに出ているので、店の人も完全に慣れています。
「ぎゃー!ゴキブリー!」
なんて店の人は叫んだりしません。
すぐ慣れます。女性でも、パートの主婦さんでも、バイトの女子大生さんでも、誰でも。
何なら貴方が飲食店で働いたら判ると思いますよ。数日で慣れますから。

そうなると、ゴキブリはいるのが当然化します。
こうしたゴキブリは食器や器具の上、場合によっては食材の上も徘徊しています。
それだけわさわさといるのだから、いつかは何かの拍子に食品の中に入ることもあるでしょう。
その結果、こうして異物混入しているわけです。

実状を知っている我々からすれば、
「ああ、いるね、発生してるね」
「結構進行してるね、そろそろやばいね」
「ああ、そりゃ入るよね」と。

これがチャバネゴキブリの異物混入の実態です。

不衛生だ、駆除しろ。

言いたいことは判ります。
でもそれにはまず、それなりの経費がかかります。
薄利多売の飲食店は、どこでもカツカツです。
また、構造上や設備上、そう簡単になかなか完全駆除が出来ないところもないわけではありません。

それに何よりも、一度駆除したところで、また数ヶ月後には元の状態に戻ります。
一度発生したゴキブリをゼロにするためには、かなりの投資と環境整備、高レベルの作業が必要になります。

別にチャバネゴキブリが出まくっている店の肩を持つわけではありませんが、しかし事情がある場合だって多いのです。

食べたものは不衛生だったか

さて、ゴキブリが入った食べ物は不衛生だったのでしょうか。
少し冷静に、客観的に考えてみましょう。

まずゴキブリに媒介されるような菌やウィルスは、加熱によってほとんど死滅します。
80度以上で数分の加熱を加えれば、一部の菌を除き、殺菌されてしまうものです。
うんち菌、正確には「大腸菌」も70度で死にます。

ということは、ゴキブリの混入した食べ物も、しっかりと加熱されていれば食中毒になることはありません。
また仮にゴキブリ本体を食べたとして、これまたしっかり加熱されていれば、恐らくですが、それ自体で病気にはならないでしょう。
またこれを「病気に絶対なる」という疫学的根拠もそうないはずです。

前回のテーマなので繰り返しませんが、「不衛生」に対する法的根拠は、「食品衛生法」です。
「食品衛生法」では、「健康を害するような異物混入をした食品を製造販売するな」、と書いてます。
つまりこの場合、法律上、「健康を害するような異物混入」にあたらない可能性があります。

 

これね、前も書いたことなんですけど。
お偉い弁護士さんのネットの話を読むと、如何にも「不衛生な異物混入は食衛法違反だ!」とか書いてあるんですよね。
でもこの人達、法律のプロではありますが、食品衛生や食の現場にはドシロウトです。

例えば、それによる「精神的苦痛」や「ゴキブリの混入で気持ち悪くて寝込んだ」云々をその「健康被害」とどう結びつけるのか。
法律のドシロウトのぼくは知りませんが、多分ムリなんじゃないですかね。
どこかの病院で、その医者がその病気とゴキブリとの因果関係について診断書を書いてくれる、というなら別なんでしょうが。

ともあれ、法を逸脱していなければ、行政も保健所も、どこも取り締まりません。
いくら貴方が叫んでも、それは可哀想だったね、で終わりです。

特に個人経営の飲食店では、保健所に伝えても、よっぽど悪質だったり社会的影響が大きい例を除いては、一応の指導的なものがあるだけでしょうね。
だって「健康被害」が出ていないのですから。

だからこそ、ぼくは最初に「異物混入クレームを付ける前に、その目的を押さえましょう」と言っていたのです。
これホント大事。

チェーン店でのゴキブリ混入

今年初頭に、吉野家さんでゴキブリの混入があって、その対応がネット上で話題になりました。

 

では、チェーン店でゴキブリの混入があった場合、どうすべきか。

まず、チェーン展開している飲食店には、「直営店」と「フランチャイズ店」があります。

一般的に、「直営店」でゴキブリが混入したとなれば、本社にクレーム情報をあげるのは絶対命令です。
本社側も、クレームは重要な自社情報として蓄積したいので、それを「直営店」に求め、命じます。
ましてやある一定のレベルの大手企業になると、そこら辺の対応はすでに構築しているはずです。
ですから本社に連絡すれば、それなりの対応がなされることでしょう。

でも店舗レベルでそれがされるかは判りません。
深夜のバイトに何かを求めても、無駄なケースがほとんどでしょうね。
「すみません」程度が関の山じゃないかな。

「フランチャイズ」の実状は知りません。
オーナー次第のところもあるのか、そうではないのか。
本部へのクレーム報告は絶対でしょうが、実際どうかは知りません。

要するに。
私が知っている限り、チェーン店で異物混入があったら、状況、場所、状況、時間などをチェックし、本社対応のクレームとしたほうがいいでしょう。
店長を介して、本社のクレーム対応の部署をつなぐように言って、その人に事情を説明する。
恐らくは、それが一番ベストな方法だと思います。

 

その後の対応は各社別になるでしょうが、それでも店舗レベルにクレームを付けるよりもより適切な対応をしてくれるのではないかと思います。
まあその「適切」さが、貴方の望んでいる「適切」レベルかどうかは別ですが。

あ、前回も書きましたが、「金を払え」と言ってはいけません。

上にも書いたとおり、ゴキブリの異物混入で企業に賠償責任を求めるのはムリがあります。
にも関わらず金を出せとは、これは恐喝です。
当然企業もそれを熟知しています。
ですからそれを言った瞬間に、貴方は可哀想で申し訳ない消費者から恐喝で企業を脅かす存在へと変身します。

 

長くなってきてしまいました。
ここで一旦区切りましょう。
後編では、よりワンランク上のクレームの付け方や、チェーン店の実状などをお話します。

 

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