前回の続きで、さて皆様、クイズです。

アイスは腐ると思いますか?
それとも腐らないと思いますか?
アイスで食中毒になる可能性はあると思いますか?
それともアイスで食中毒になる可能性はないと思いますか?

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

アイスって腐るの?食中毒の可能性はないの?

はい、前回の続き。このクイズに答えていきましょう。

いきなりクイズ
  1. 冷凍状態(-18度以下)で長期間(5年)保存したアイス。
    これは、腐っているでしょうか。それとも腐っていないでしょうか
  2. 冷凍のアイスを食べての食中毒は起こりえるでしょうか。
    それともアイスで食中毒は起こらないでしょうか

 

さて、この問いに対し、前回は1問目、「アイスは腐るのか」について、お話いたしました。
答えは、「アイスは腐らない」。
だから、賞味期限もない。

では、2問目。
「冷凍のアイスを食べて食中毒は起こりえるか」。
これについて、後編では解説していきましょう。

尚、こちらは二部構成の「後編」になります。
まだ「前編」を読んでない方はそちらからどうぞ。

 

アイスでたまに起きる食中毒

結論から言います。
実は、ほんと時々なのですが、アイスでも食中毒は起きています。
つまり、アイスでも食中毒は起こるんです。

前回、アイスを作る工程のお話をしましたね。

 

アイスはこのように、アイスミックスというアイスの元を加熱して殺菌し、それから冷却して凍らせて作ります。

-18度で凍結させてしまうと菌の活動は大きく止まってしまいます。
だから、もしアイスで食中毒が起こるとすれば、「加熱が至らず、冷却のときに菌が繁殖した」か、あるいは「加熱の後に菌が付着して繁殖した」かのどちらかになります。

アイスでの食中毒の原因
  • 加熱不足で、冷却時に菌が繁殖した
  • 加熱の後に、菌が付着して繁殖した

 

ではこれを踏まえながら、どんな食中毒が考えられるか、みていきましょう。

サルモネラによるアイスの食中毒

アイスの食中毒で多いのは、「サルモネラ」(サルモネラ・エンテリティディス)によるものです。
多い、というより多かった、でしょうか。


公益社団法人日本食品衛生協会

 

サルモネラ(サルモネラ・エンテリティディス)
  • 主に鶏の腸内に生息
  • その他、河川や下水道等の自然界にも広く生息する
  • 鶏の保菌率が高いため、卵や鶏肉での汚染がしばしば生じる
  • その他、牛や豚、うなぎやスッポン、ペットなども
  • 乾燥や冷温にも強い
  • 少量の菌数でも発症する

 

実は「サルモネラ」による食中毒は、近年めっきり減っています。
卵の管理レベルが大きく高まったからです。
しかし、20年以上前までは、結構多かったんです、「サルモネラ」での食中毒が。
その中には、卵を原材料とするアイスも実は含まれていました。

「サルモネラ」は、おもにニワトリや家畜の腸内菌です。
なので、それが付着した卵が使用されると、アイスの元であるアイスクリームミックスが汚染されます。

乾燥に強く、低温にもそこそこ耐える「サルモネラ」は、冷凍では活動しないものの、死滅はしません。
ですから、加熱殺菌でよっぽどしっかりされないと、死滅されずに残ります。

かつてアイスで発生した食中毒の多くは、このパターンでした。
つまり、アイスミックスの加熱不足によって、残っていた「サルモネラ」が増殖した、というわけです。

とはいえ、近年は生卵のサルモネラ対策がかなり進化している上、加熱殺菌技術も高まっています。
一般的にアイスで食中毒が発生することはほとんどと言っていいほどなくなっています。

 

 

なーんて油断していると、こんなことも。
たまたまこれ書き終わった後に見つけたニュースです。

ペットフードのササミの干しもので、犬猫が「サルモネラ」の食中毒になったというこちら。
食中毒は何も人間だけではありません。
先に触れたように「サルモネラ」は乾燥や冷蔵に強い。
だからこのような乾物でも発症したのでしょう。
ササミだから鶏由来かな。

 

さて、話を戻して。

ことアイスにおいては、「サルモネラ」の問題は随分と減っている。
では、アイスでの食中毒は大丈夫なのか。
アイスを食べて食中毒が起こる可能性はないというのでしょうか。

いや、いるんですわ。
厄介で、やべえ菌が。

実はやべえ食中毒菌、リステリア菌

なぜか日本ではマイナー。
なのに、欧米ではよく聞くどころか、死亡事故もしばしばな確立で起こる。
そんな、実はやべえ食中毒菌が、「リステリア」(リステリア・モノサイトゲネス)です。


Wikipedia

実際、アメリカではアイスによる食中毒での死亡事故も起きています。
それも2015年、そんな前の話じゃない。
この事件により、カンザス州で大手メーカー「ブルーベル」のアイスを食べて、三人が死亡しています。
しかも、メーカー側の調査結果は、原因不明とのこと。

 

ニュース記事を少し引用してみますね。

米国では毎年数百名の死者を出しているこのリステリア症。
食べ物を通じて感染するもので潜伏期間は数時間~3週間ほど。

悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛が初発症状で胃腸症状は人によりけりであるため、インフルエンザと勘違いされるうちに髄膜炎や敗血症に進行した場合、患者の10%が死亡するという恐ろしい病である。
(exciteニュース)

 

こ、こえええーっ!

「リステリア」の食中毒は免疫の低下した病人や高齢者、妊婦がなりやすく、またその場合は重症化する可能性が、極めて高いんです。

で、特にヤバいのが、妊婦。
妊婦はリステリア食中毒に、健全な人の数十倍なりやすく、しかも。
妊娠中に感染した場合、胎児は流産、早産するか、生後まもなく死亡することが多いんです。

ちなみに何から引用したのか知りませんけど、上のニュースには「髄膜炎や敗血症に進行した場合」の死亡率が10%と書かれています。
ですが、私が持っている学術資料には「髄膜脳膜炎に至った場合の死亡率は30~50%」と書いてあります。
どっちが本当なのかわかりませんが、いずれにせよ死亡率が高いことがよく判ります。

げげげ、まじか!?
「リステリア」、ハンパねえ!

 

しかも厄介なことに、低温でも活動出来る「リステリア」は、冷蔵下でも繁殖します。
例えば大腸菌が付着した食品でも、冷蔵保存がしっかりとなされていれば増殖することはありません。
ですが「リステリア」は、0度近くでも繁殖します。
無論、冷凍にも耐えます。

しかもこいつ、土壌菌なので、普通に土壌や河川、植物などに存在しています。
なので野菜や果物はじめ、多くの食品が多くの機会に汚染されている可能性がある。
人の保持もある。

ということは、汚染経路の特定が難しいということでもあります。
特定が難しいと対策も打ちづらい。
それに加熱後の交差汚染だって考えられるでしょう。

ついでに言うとこいつ、発育pH域が広く耐塩性があります。
要するに、塩分濃度が高いことで日持ちさせるような保存食下でも生きれるということ。
生ハムやスモークサーモン、チーズなどでの海外事例が多いのはそのためです。
ほんと、結構な厄介さん。

 

ですが。
こんな世界的にやべえとされている、やべえ食中毒菌が、しかし日本ではそれほど起きていない。
(実は意外と多いという説もあるけど)
それもあってか、「リステリア」は日本ではかなりマイナーな存在です。

リステリア菌(リステリア・モノサイトゲネス)
  • 低温でも活動、繁殖が可能
  • 塩分の高い保存食品内でも活動する(耐塩性がある)
  • 普通に土壌に存在している(汚染経路の特定が難しい)
  • 低い菌数で発症し、また重症化しやすい
  • 海外ではしばしば死亡事故が生じている
  • 特に妊婦が危険
  • でも日本ではマイナー
  • 加熱による殺菌が効果的

 

 

結論:アイスは腐らないが、食中毒の可能性がある

さあ、そんなわけで、結論です。

いきなりクイズ
  1. 冷凍状態(-18度以下)で長期間(5年)保存したアイス。
    これは、腐っているでしょうか。それとも腐っていないでしょうか
  2. 冷凍のアイスを食べての食中毒は起こりえるでしょうか。
    それともアイスで食中毒は起こらないでしょうか

 

答え。

1、アイスは腐らないから、腐っていない。
2、冷凍のアイスによる食中毒は時々発生する

でした。

店舗でのソフトクリームで食中毒が

それともう一つ、補足を。

店舗で製造したソフトクリームを食べて食中毒になった。
そんな事例もあるようです。

原因は、「黄色ブドウ球菌」
機械トラブルによる洗浄不足が、その要因です。

 

機械のメンテ時に、従事者の手指から、「黄色ブドウ球菌」が機械に付着した。
室温放置されている機械内で「黄色ブドウ球菌」は増殖し、やがて「エンテロトキシン」強力な毒素を生成します。
これが機械を通ったソフトクリームに付着し、食中毒が起こった、というものです。

「黄色ブドウ球菌」の作る毒素「エンテロトキシン」は熱に強く、普通の加熱殺菌ではなくなりません。
100度30分の加熱にも耐えるほどです。


公益社団法人日本食品衛生協会

 

黄色ブドウ球菌
  • 人や動物の皮膚や粘膜の常在菌
  • 化膿している傷口、ニキビなどには特に多い
  • 髪や手指に保持している人もいる
  • そのため、人の「手」を介してしばしば汚染される
  • 耐熱性の毒素(エンテロトキシン)を作って、食中毒を引き起こす
  • 大規模な食中事故を起こしかねない

 

多くの飲食店では、ソフトクリームの元になるアイスミックスをメーカーから購入しています。
このアイスミックス自体は、黄色ブドウ球菌に汚染されていることはありません。
製造元で上の工程どおり、加熱殺菌されているからです。

ですが、店舗で扱う際に、菌がアイスミックスに触れてしまう、ということは確かに考えられることでしょう。
しっかり機械を洗浄していないと、残っていた「黄色ブドウ球菌」の毒素に触れてしまうことは、考えられることです。

 

まとめ

今回は、アイスによる食中毒についてお話しました。

アイスは凍っているから腐らない。
だけど、凍っているアイスによる食中毒は、ないわけではない。
日本では起きていないけれど、実際に海外ではアイスによる食中毒で、死亡者が出ている。

そんなお話をさせていただきました。

まだまだ暑い日が続きます。
そんな夏のちょっとした楽しみであるアイスについて、少しご理解が進めば何よりです。

 

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