最新の食品業界ニュースから気になった話題を定期的にピックアップし、食品衛生管理のプロの目線からコメントさせていただきます。
今回の話題は、昨日Twitterでバズったコンビニエンスストア、「ファミリーマート」でのネズミ動画です。
これね、今回はさすがにプロから見てお店や企業さんが可哀想なので、専門家から少々フォローするため書くことにしました

本日の時事食品ニュース
  • ファミマ店舗でネズミがウジャウジャ 動画にネット騒然….店舗は休止に(2019年8月6日)

 

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えしています。

鼠がコンビニの店内に大量に!?

さて、こちらのニュース。
実は本日、ウチの社員から教えてもらいました。
で、動画を見せてもらったら、結構なショッキング映像。
というのもですね。実は何を隠そう私も7~8年前のこと。
まだ私が某衛生管理企業にいた頃に、大手コンビニ店舗での鼠対策に呼ばれてお店に出向き、監視カメラで店内に出てくる鼠の画像を見たことがあったんです。

ですが、それとて単体での侵入。
さすがに、こんな多量に出てきたのは今だ見たことがありません。

うーん。
プロの身ですら、インパクトがありますねえ。

これを見る限り、3~4匹のネズミが場内を徘徊しているようです。
色々な意味で、よくここまで放置していたなあ、ってまずは最初に思いました。
早く改善活動しとけと。
結果、随分と高くついたなあ、このお店。
でもその一方で、お店も少々可哀想なところもないわけでもない。
じゃあこれ、本当に全部が全部お店の衛生管理不足のせいなのかよと。
そういうわけでも、実はない。

ですがしかし現在、Twitterやネット上では、デマや勝手な嘘がまことしやかに垂れ流されています。
だからこそ、そんな勝手なことばかり言っている人に問いたい。
本当にこれ、店の衛生管理不足で招いた問題だとばかり思いこんでますか?
さあ、
プロの衛生管理屋として、専門家目線からの本当の話をしようじゃないですか。

まずこのネズミは何なのか

そもそもこのネズミは何でしょうか。
これすら知らない一般の人達が、ネットでは言いたい放題な有様です。
ですから最初に、知るべき最低限の基礎知識を踏まえましょう。

そもそも日本には20種弱のネズミが生息しています。
そのなかで、いわゆる「イエネズミ」と呼ばれるものが、我々がいう一般的な「ネズミ」です。
で、この「イエネズミ」とは大きく三種あります。
「クマネズミ」、「ドブネズミ」、「ハツカネズミ」がそれです。

このうち、郊外で問題になるのは「ハツカネズミ」です。
東京都内には余り生息せず、農地など地方の田舎で問題になります。
今回の問題の対象外なので、ここでは余り触れません。

で、残る「クマネズミ」「ドブネズミ」こそが、東京都内での問題児二大ネズミです。
さあ、まずはこの二種を分けて考えましょう。
じゃないと、全く問題が変わってきます。
だって、ネットでの暴論の多くはこれを完全に混然化しているケースが余りに多い。


港区

クマネズミの特徴
  • ビルや家屋の中に侵入し、建屋の内壁や天井裏などに生息する
  • 寒さに弱いため、屋内に住み着いて営巣しやすい
  • 壁や柱を伝って、高所にもたやすく移動する(上下の垂直活動が可能)。
  • 警戒心が高く、賢い
  • 駆除が非常に難しく、一般的な家庭や施設内で問題になりやすい

 


港区

ドブネズミの特徴
  • 基本的には屋外に生息し、土中や下水内などに営巣する
  • 寒さに比較的強く、必要に応じて家屋内に侵入する
  • 水中活動をするが、しかし上下の垂直活動は苦手
  • 警戒心が薄く、あまり賢くない
  • 獰猛だが捕獲しやすいため、駆除はそれほど難しくない

 

で。
今回、先の動画に出てきて問題になっているのは、前者の「クマネズミ」です。
はーい、一旦「クマネズミ」チェックー。

このネズミは、高いところでも軽々と平気でよじ登ることが出来るネズミとあって、そのせいで都内の多くのデパートや施設内、駅構内、飲食店、マンションなどなど、あらゆるところにそれこそ数多く生息しています。

しかも物凄い小さな隙間、こんなところからも!?という隙間からも侵入します。
一般的には半径3㎝の隙間があれば、侵入が可能です。
そして、かなり意外でリアリティがないかもしれませんが、我々の居住空間、オフィス、いやお店や工場ですら、「そんな隙間すらない作りの施設はあり得ません」。
だから、ここのビルにはクマネズミがいない、来て住むことはない、そう言える建物は東京都内には、実は希有です。もし貴方がそう言うなら、ただ勝手にそう思いこんでいるだけです。
つまり、都内においては建物やビルの中で生息しているのが全く珍しくないネズミです
衛生状況が例えどうであれ、クマネズミは、ビル内に生息するときはしてしまいます。
そしてその完全駆除は、一般的に考えられているほど、決して簡単でも安くもありません。

どうして店内にネズミが生息しているのか

さて、こうした基礎知識を踏まえた上で、この問題を改めて見てみましょう。
その上で、私が言いたいのは、ネット上ではみんなが大きな勘違いをしているということです。

つまりですね、この問題は「お店が不衛生にしていたらネズミが出た」のではない。
「ビルの中で多量にネズミが増えたから、隙間からお店にネズミが侵入した」のが真実だということです。

その意味において「のみ」、お店は寧ろ被害者的ですらあります。

それとですね、このネズミは上にも書いたように「クマネズミ」です。
先の通り、クマネズミは、普段ビルの建物内の天井裏や内壁で生息し、繁殖します。
いいですか?
ということは、このクマネズミは、店の中ではなく、普段はビルの建物内の天井裏や内壁で生息し、繁殖しているのです。

さて、この店舗さん、ビルの中のテナントとして入っている、いわゆる「ビルイン型店舗」なんですね。
つまりビルのオーナーがいて、そのオーナーとテナント契約し、店を出している。
その契約の内容は様々あるのですが、「基本的にはビルの施設上の問題はオーナーの責任」となります。
つまり、ネズミが店舗の中ではなく、ビルの建物内の天井裏や内壁で生息し、繁殖している場合、その責任は「原則的」に、オーナー側にあります。
要するに、今回ネズミがいたのは、店だけではなくビルにも問題がある、ということです。
だからある一定の規模のビルは、ある一定スパンでこうしたネズミや害虫の駆除点検をしなさいよと、法律でも定められているのです。
(ここのビルがその対象かは知りません)

ネズミが店内に生息しているのは誰の責任か

尤も多くの場合、飲食店やチェーン店はビルの契約とは別に、害虫業者などに委託して衛生管理を行います。
だってビルオーナーは最低限の衛生管理しかしないでしょうし、する必要がありません。
それ以上に衛生管理レベルを上げたいのであれば、害虫業者に委託契約を行うのが普通です。

さて、このお店がどういう契約をしていたかは知りませんが、私もプロなので、おおよその検討はつきます。
「点検契約」、つまり、最低限問題があるかどうかを捕獲トラップや聞き込みで点検する。
もし問題があれば、オプションとして別途お金を払って、何らかの問題対処を行う。
「モニタリング契約」、とも言いますが、一般的なコンビニ程度ならそんなレベルの契約だったのだろう、と簡単に想像がつくところです。
まあ、私が害虫業者なら、オーバーコストにならないこのくらいでいいんじゃないですか?って提案しますね。
うーん、1ヶ月に一回点検で、大体14万円から18万円くらいかな。
あ、でもコンビニだから何店舗契約というネット契約でもう少し安いかもしれませんね。

いずれにしたって、その程度の契約はしてるかもしれませんし、全く何もしてないかもしれない。
それが世のコンビニの実状です。
まあこのお店、フランチャイズだから何処とも契約していなかった可能性も高い。
本部直轄のお店なら、大手衛生管理屋さんなどと契約しているものですが。
あ、仮にしてなくても、法律には触れませんからね。
別に飲食店、大量調理施設という扱いでもないでしょう。
何度にもなりますが、このファミマさんの事情は知りません。

 

さて、この場合、ネズミが出たらどうなるか。
業者との契約をしていた場合。
業者はネズミが出ていれば、問題の原因を探り、対策提案を伝えるべきです。
「点検契約」していながら、それを怠っていた、抜けていたら、これは業者の怠慢です。
一方、業者は「ネズミが出ているから何とかしたほうがいい」とお店に伝えているかもしれません。
ここから出ているからここを塞げ、或いは捕獲対策をしろ、云々。
勿論、これらには別途予算が必要です。
提案を受けていたのに、何もしなかったのであれば、これはお店の責任です。

業者との「点検契約」をしていなかった。
この場合、責任は、まあ半々、ビルオーナーとの折半でしょうね。
何度も言いますが、このケースは「お店が不衛生にしていたらネズミが出た」のではない。
「ビルの中で多量にネズミが増えたから、隙間からお店にネズミが侵入した」のです。
となると、まあどっちもどっちでお互い様だわな、という結論が相場でしょうね。

いずれにせよ、「店内を汚らしくしていたからネズミが出た」のではありません。
「ネズミが出てくる隙間を放置していたから、ビル内で増えたネズミが出た」のです。
もしお店が衛生管理を怠っていた、というのであれば、その問題を放置していたことが問題です。

でもこの問題、先にも触れましたが、皆さんが一般的に考えているよりそう簡単に解決できる問題でもないんです。
放置、というか、困っているけれど仕方なく悩んでいた、に近いと思います。

話によれば結構前から問題は出ていたようで、それを放置していた分だけ結果的には高くついたなあ、と私としては思わずにいられません。
社内のペナルティもあるでしょうし、かなりな痛手だったと心中お察しいたします。
でもだからといって店舗の衛生管理に全て問題がある、なんて私は思いませんがね。

 

…うーん、やっぱり長くなりました。
前編を以下、まとめます。

今回のまとめ
  • この事件で問題になったのは、「クマネズミ」である。
  • その「クマネズミ」は都内のビルでは何処にでもいる
  • 「お店が不衛生にしていたらネズミが出た」のではない。
    「ビルの中で多量にネズミが増えたから、隙間からお店にネズミが侵入した」のが真実だ
  • ビルの中にネズミがいるのは、店だけではなくビルにも問題がある
  • でもその「隙間から店にネズミが侵入している」問題を長らく放置していたのが、お店側の最大の問題。でもその解決は簡単でも安くもない。

 

では、具体的な状況についてのお話を、後編ではしたいと思います。

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