食品衛生のプロが教える、食品業界の裏側。
今回は異物混入について、そもそも「異物混入」における「異物」には何が多いのか、という話をしていきたいと思います。

改めまして、皆様こんにちは。
高薙食品衛生コンサルティング事務所です。
ここだけしか聞くことの出来ない神髄中の神髄、
「プロが本気で教える衛生管理」を、毎日皆様にお教えいたします。

異物混入の異物は何が多いの?

異物混入対策の専門家である身から、異物混入における「異物」とは何が多いのか。
それを今回はお話していきたいと思います。

と、その前に皆さんにも考えてもらいましょう。
異物混入例の中でも、一番多いのって何だと思います?
虫?
金属?
毛?
違う食材?
さあ、何だと思います。

答えは…ええーっ!?

質問。「異物混入の「異物」は何が一番多いのか?」

はい、答えです。
これね、正解を言うと、実は「判らない」
より正確には、「そんなデータが存在しない」です。
データとして全く判らないし、世に出ているデータだってそれを反映しているかは不明です。

勿論、「それっぽいデータ」なら、全くないわけではありません。
ですが基本的には、やっぱりそんなデータは、世にありません。
それはなぜでしょうか。

行政が把握していない

異物混入の「異物」は何が多いのか、実はそれがよくわからない。
つまり、ちゃんとしたデータが、存在しない。
これはなぜでしょうか。

勿論、理由はいくつか挙げられるのですが、やはり一番大きな理由は、行政が把握していない、統計していない、ということでしょう。

このたびの食品衛生法改正で、ようやく食品メイカーが自主回収(リコール)を行う際に、その報告を都道府県に行うことが義務化されました。
というのも、これまでは異物混入事故が発生し、メイカーがリコールを行う場合、別段その報告を行政にしなくてもよかったのです。
結果、従来までは自治体レベルでの取り組みに大きな差が生じていたのですが、今回の改正によってようやく厚生労働省のデータベースで一元的に管理し、消費者への情報提供、それによる事故拡大や健康被害を防げるようにしたのです。

…ってのがまあ食品衛生法改正における「リコール」の話。
じゃあそのリコールのデータを見ればいいんじゃね?ってなるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
「異物混入、即、回収!」ってわけではないのです。
だから、そのデータは「リコール対象とされた異物混入」についてのデータでしかありません。
そして、割と一般的に誤解されていることですが、あらゆる異物混入事故のすべてが毎回自主回収(リコール)されているわけはありません。
詳しくは以前に書きましたが、そもそも食品衛生法での異物混入に対しての「回収義務」基準は具体的には定められていません。
法律を解釈して、しかし一般的には「拡散性」のあるもの、「健康被害」に直結するものの場合に、行政によってリコールが発令されます。
ですが、そんなものはごく一部中の一部。
まあ、異物混入については、ほぼないんじゃないでしょうか。(たまに法定以上の微生物汚染や農薬濃度などがサンプリング検査などで検出され、行政のリコールが発令されることはありますが)
では世で時折行われているリコールってどうしているかというと、そのほとんど99%程度が皆、各社さんが自社基準に基づいて、自主的に回収を行っているんです。
要するにメイカーは、「拡散性」や「健康被害」と、何より「社会的影響の大きさ」を見計らい、各々が「重大と思われる異物混入」発生時のみ、回収しています。
だから「異物混入、即自主回収!」なんてことは全くありません。
つまり世に異物混入として報じられている、つまり「重大と思われる異物混入」は氷山のごく一角であり、言ってみればそれ以外の異物混入はその数十倍はあるわけです。
私の実感だと、うーん、あくまでこれは専門家としての経験上の感覚論ですけど、実際世に出される異物混入事故って0.01%かもっと低いくらいじゃないでしょうかね。

回収はすればいいってもんじゃない!

と、こんな話をすると、「冗談じゃない!だから食品メイカーなんて信じられないんだ!」「異物混入を起こしたら、ロット分まるまる、すべて自主回収すべきだ!」ってすぐに憤る方が一部おられるかもしれません。
が、それは余りに短絡的すぎます。そんな簡単な話じゃない。
今回は若干テーマが逸れるので余り話を広げませんが、大体、明らかに異物混入してないものまで回収する必要がどこにあるかということです。
そもそも、そんなことをしていたら食品メイカーが持ちません。
勿論、問題があるものを交換、返金という対応を行うのは当然かもしれません。
しかし、だからといって不必要な回収までもを行う必要は、全くないでしょう。
食品衛生法にだって、そこまでのことは書いてません。(行政指導による回収事例を除く)
だって、簡単に言いますけれどメイカーさんは原料を購入し、それ以外の包材やら何やらを購入し、人件費を使って製造し、取引先に販売し、流通に乗せて運賃を払い、人件費を掛けて小売りに出した製品を、もう一回回収するんですよ?
勿論、回収したものは即廃棄処分です。それもタダじゃない、お金を掛けて。
全くの無駄。
フードロスどころの話じゃない。真逆の行為です。

 

おっと今回のテーマとはちょっとズレるので、今回はこのへんで。
上の過去記事にもう少し触れていますので、よろしければそちらをお読みください。
またこれについては、別にゆっくり書きましょう。

異物混入のデータはどこにある?

「行政が握っている異物混入データは、回収対象となった事故だけで、それは極氷山の一角でしかない」
「それ以外の異物混入は、その数十倍は世の中で発生している」

さあ、ここまではご理解いただけましたでしょうか。
では、その多くを占めている「それ以外の異物混入」のデータは、なぜ存在しないか。
これもいくつか理由が考えられます。
まず、「異物混入」ってどこまでのものか。
この線引きが、結構難しい。
このひとつに「異物混入事故が起こった場所」の問題があります。

そもそも、「異物混入」っていう自体が、ざっくり過ぎる。
だって、あなたが今パソコンを眺めながらつまんでいるお菓子の袋の中に、何でもいいから目の前にあるものを手に取って、そしてそこに入れてみてください。
はい、異物混入事故がそこで1件発生しました。
いやいや、って思うでしょ?
でもこの程度のものが本当に多いんです。

消費者由来の異物混入とは

異物混入事例の中には「消費者さん由来のもの」、というケースがしばしばあります。
要するに、正常な製品を買って食べたお客さんのところで、異物混入が生じていた。クレームを言われた食品メイカーからすれば「いやこれ完全にウチじゃないやん」というケースです。
勿論、皆が皆、故意にクレームをつけている、なんてことを言っているのではありません。
ですがやっぱり消費者由来の異物混入は、結構な割合を占めている。
この場合、クレームを付けられたメイカーさんは一応、謝罪対応を消費者にします。
ですが、これを異物混入としたらどんなものも異物混入になります。
先の話と同じロジックですからね。
ですからメイカーさんは社内対応で、「明らかに製造工程外」と書いて書類を上に回して、以上。おしまい。
こんなものを異物混入にしていたらキリがないです。

実際私もよく、お客様から相談されます。
「実は消費者クレームでこれがあがってきてさあ…」
なんて言われて、お客様から異物混入されたものの相談が。
見たら、「歯片」。
現在の一般レベルの衛生管理を実施している食品工場で、普通に製品を作ったら「歯片」なんて、まあ入りませんね。
だってみんなそのためにマスクしてるんです。
こんなん食べていたときに欠けたに決まってます。

その他、虫の異物混入も、虫体が整っているものは、割と高めな確率で、この手の消費者クレームだったりします。
大体、加熱調理されたら虫体なんかまともに残りません。
一般の人は知らないでしょうが、虫って死ぬとすぐボロボロに崩れる。
カニとかと同じで、骨がないんですね。
だから外郭が骨の役目を果たしてる。
それが死ぬとすぐに乾燥し、触覚やら足やらがすぐ取れちゃう。
それでも残っているのは、異物として混入して間もないからです。
こういう場合は、大概お客様と顔を見合わせてお互い、苦笑いです。
「これ…どう見ても工程内で入ってないですよね?(笑)」
「ですよね(笑)。まあでもクレーム処理しないと立場上いけないんで…(苦笑)」
毎回、こんな感じ。
大概はカタラーゼ検査やって、終わりです。

社内でのクレームは表に出ない

異物混入統計が信じられないのは、他にも理由があります。
例えば、食品工場内の工程上で異物混入事故が起きて、それがあやうく社内や、あるいはその先の取引先で発見された。
でもこの場合、社内クレームとしては扱われるけれど、表に、つまり社外に出ることはありません。
私もよく相談されます。
「実は社内クレームでこれがあがってきてさあ…」
なんて言われて、お客様から異物混入されたものの相談が。
勿論、企業としてこれらの要因分析や対策に向かう「べき」ではあるでしょう。
しかしこの場合、どこかの機関に届け出す必要は全くありません。
当たり前ですが、その混入異物の分析義務だって基本的にありません。

水面下の異物混入は、実は多い

先の通り、異物混入の社内クレームは当然社内データとして取り上げられるけれど、表には、つまり社外には出ません。
そしてその水面下では、ほぼ毎日、365日、あちらこちらでそうしたことが起きている。
しかも「食品メイカー」って、むっちゃ数がある。
だって、考えてみてください。「食べ物」って言われたらどれだけ種類が豊富だと思います?
そしてその種類数だけ、日本には企業があるんです。

思えば5年ほど昔、私が大手食品衛生会社で働いていたとき、ある有名な、それこそ名前を出せば誰でも知っている業界最大手の企業さんを顧客としていました。
そのメイカーさんの工場は本社機能も備えていて、日本全国の自社工場の情報を統括していた。
毎日、FAXが届くんですよ、混入異物の分析依頼が。それも日に2~3通。
そのくらい、大手一企業でそれだけ発生しているわけです。
1社でこの状態ですから、それを統計するのは、土台ムリでしょう。

それともう一つ言うなら、これは善し悪しでしょうが現実論として、クレームってメイカーに言わないで黙って終わるケースも非常に多い。
勿論、異物混入も同じです。
何か異物混入事故が生じていても、言わない。
言わないどころか、場合によっては、気付かない。
だから判らない、という面も大きくあります。

私がこの仕事を始めた20年くらい前って、かなり明確な異物混入事故が多かったんですね。
でも最近は違います。
よーく見るとこれっていう場合がほとんどです。
寧ろよくこれ見つけたなあ、てすら思うくらい微小なものばかり。
恐らく気付かないケースも多分にあるのだと簡単に推測できる。
当然これも、データには出ない。

カギは検査機関が握っている

ですが、大手の検査分析機関には毎日大量の混入異物の分析依頼が届けられます。
だから彼等分析機関に通じていると、どんなものが多いかがなんとなく判る。
勿論、世には分析会社なんて山ほどありますので、それらが合同で統計を取る、なんてことはありません。
だってこれらは皆、普通社内秘データですから。
だけど、トレンドは、その業界にいれば感覚でわかる。
何せ日々異物混入に向かっているわけですからね。
私もまたそんな身だからよく判ります。

さあ。
異物混入は何が多いかはデータや数値的には全く判らないけれど、でもここから「検査機関に分析依頼されている異物混入の異物は何が多い」かレベルであれば、私のようなプロの専門家なら見当が付きます。
ではそうした中で、異物混入の「異物」として多いのは、一体何でしょうか。

…長くなってきましたね。
いやあ、引っ張るなあ(笑)。
てわけで、答えは後編に譲ることにしましょう。

 

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